2001年11月25日のゲームの感想
「恐るべしターミネーターオフェンス」

 第11週のマンデーナイト、タンパベイatセントルイスのゲームを見ました。私の今年のNFCチャンピオンシップと予想したゲームですが、タンパベイがなぜかつまずいていてここまで4勝5敗と青色吐息。今週負けるとプレーオフは黄色信号です。対するセントルイスは今季ここまでたったの1敗だけ、リーグ最高勝率を誇り、オフェンスもダントツの1位です。

 一昨年のNFCチャンピオンシップも同じ対決でしたが、そのゲームはQBワーナーの放ったたった1本のパスでゲームが決まってしまいました。それまで堅守を誇っていたタンパベイの一瞬の隙をつくものでした。正に恐るべしカート・ワーナーです。因みにその時のタンパベイのディフェンスコーディネーターは現在セントルイスで同職についています。

 セントルイスの第1シリーズは、RBフォークのランも軽快に出て、リズミックパスも炸裂。どこに投げてもパスが通ってしまうような印象すらあります。このリズムの良さは10年前のバッファロー・ビルズのノーハドルオフェンスがハイパーオフェンスと呼ばれていた頃を彷彿とさせるものがあります。しかし詰めが甘くFGの3点で止まりました。タンパベイのディフェンスが止めたというよりも、セントルイスのオフェンスが少し集中力を欠いた結果でした。しかしこのことが後々大きく尾を引いてくるからアメフトはやめられません。

 タンパベイの第1シリーズは、いきなり最初のプレーでQBサック、大きく後退してしまい、結局3&アウト。最初のシリーズはパントに終わりました。と、そのパントをリターンしたWRハキームがなんとファンブル。リカバーはタンパベイで、大きく陣地を挽回しました。そのシリーズはセントルイスのディフェンスが踏ん張り、FGを名手グラマティカが外してしまいました。

 ところが次のセントルイスのシリーズ。リバースからのファンブルであっという間にタンパベイに攻撃権を渡してしまいます。ターンオーバーは単にボールを渡す以上に、精神的にもダメージがでかいもので、それが1Qだけで2回も出るなんて尋常ではありませんし、出れば普通は負けます。

 一方ターンオーバーで得たシリーズを得点すれば、その得点は倍の価値はあります。タンパベイは堅実にRBオルストットのランでTD。その後セントルイスがFGで3点を返し、2シリーズ続けてタンパベイのオフェンスを3&アウトに仕留めた次のシリーズ。またしてもファンブルで攻撃権を渡してしまうセントルイス。それをきっちりFGで戴いちゃうタンパベイのしたたかさはもちろん評価されますが、それ以上に不甲斐ないオフェンスの尻ぬぐいを必要以上にしているセントルイスのディフェンスは、昨年のものとはまるで別のチームのように、動きが良く、アグレッシブで、本来ならこのハイパーオフェンスと相まって、タンパベイくらいはこてんぱんのはずですが、なぜかオフェンスがリズムには乗れません。

 次のセントルイスのシリーズもFGで終わり、前半終わって10対9ととてもセントルイスのゲームとは思えない渋い展開。逆にタンパベイは自分たちのゲームをしているともいえますが、鳴り物入りでQBブラッド・ジョンソンをワシントンから取って来た割には拙攻です。因みに策士マイク・マーツ、セントルイスヘッドコーチは前半のうちに2回チャレンジをしました。ルールでチャレンジはゲーム中2回しかできないので、これで後半何があってもセントルイスはチャレンジできません。ホントにこのコーチは勝負師だなと思います。

 後半に入りタンパベイは最初のシリーズで定石通りオルストットのランで7点追加。着実な亀さんオフェンスです。これが通常の相手ならジャブが効くところですが、相手はリーグ1のハイパーオフェンスですし、超ポジティブ野郎のワーナーです。セントルイスは4thダウンギャンブルを交えて、怒濤のオフェンスを展開し、1ヤードから裏をかいてパスでTD。これで17対15。ここで何を思ったか策士マイク・マーツは2ポイントコンバージョンのプレーコール。結果フォークのランを成功させ同点にするのですが、この辺の嗅覚というのがさすがだなぁと唸らせます。

 私ならまだ4Qまるまる残っているのだし、セントルイスのディフェンスは頑張っているわけですし、リズムさえ取り戻せば(このシリーズのように)あっという間にTDは取れるわけです。確かに1点差も2点も変わらないとはいえ、ここで2ポイント行く勝負感はさすがです。

 次のタンパベイのシリーズで、セントルイスが前半チャレンジを使い切ったことが大きく響いてきます。RBダンのサイドライン際の快走でTDを上げるのですが、リプレーを見ているとどうもラインを5ヤード地点で踏んでいるようなのです。いかに策士といえども未来を予見することはできないのです。チャレンジの要求もできないまま、7点を取られてしまい24対17です。

 ここから数シリーズパントが続きます。そしてセントルイス自陣深くからのパントの時に、タンパベイのスペシャルチームがビックプレーを決めます。パントブロックで、敵陣にポジションしたのです。マーツヘッドコーチの勝負感が、チャレンジ以外では優れていたのに対して、タンパベイのヘッドコーチ、トニー・ダンジーはここで大きな失敗をします。敵陣数ヤードのところで4thダウンギャンブルに行き、パスをインターセプトされるのです。FGを蹴っておけば確実に3点入るのに、セントルイスのハイパーオフェンスに怯えたのか、欲をかいてしまったのか。

 しかしセントルイスのオフェンスのリズムのずれは結局ゲーム終了まで修正されず、次のシリーズでタンパベイ同様に4thダウンギャンブルのパスをインターセプトされ、残り3分48秒。次のタンパベイのシリーズを3&アウトに止めて、残り2分と少し、ワーナーなら楽勝のドライブですが、最初のパスがまたインターセプトで万事休す。残り2分をイートされゲーム終了です。

 このゲームのポイントはダンジーが欲をかいて3点を取れなかったのに対し、5回もターンオーバーをしていながら、審判の誤審がなかったら同点だったセントルイスの恐ろしいチーム力にあります。ゲームは確かにタンパベイが勝ちましたが、壊しても壊しても襲ってくるターミネーターのようなオフェンスの力を一番思い知ったのはダンジーヘッドコーチでしょう。



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