| 2001年12月17日のゲームの感想 |
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「熱いハートに、クールな頭脳」
第14週のマンデーナイト、セントルイスatニューオーリンズのゲームを見ました。ここまで2敗のセントルイスに最初に土をつけたのはニューオーリンズでした。ニューオーリンズのゲームはここ数年見ていないのでそういう意味でも楽しみなゲームです。 因みにこのゲームで勝つか引き分けるとセントルイスはプレーオフが決まり(同時にサンフランも決まる)同ディヴィジョンの2チームに先行される上に、自身のプレーオフにも黄色信号が点るためニューオーリンズとしては絶対に、もう一度書きます絶対に負けられないゲームです。 ニューオーリンズの最初のシリーズはリズムは悪くないものの、つまらないキャッチミス、パスミスであっさりパントに終わります。しかしそのパントがセントルイス陣深く5ヤードからの反撃だったため、さすがのセントルイスQBワーナーも窮屈なオフェンスを強いられ3&アウトのパント。 今度はセントルイス陣44ヤードの好位置からのオフェンスを得たニューオーリンズは QBブルックスが黒人独特の(この表現は差別用語か?)柔らかいタッチでパスを決め、割と苦もなく先制のTD。しかしこの後のキックオフで度肝を抜かれました。なんとまだ試合が始まったばかりだというのにオンサイドキックをサプライズプレーでやったのです(つまり、キッキング体型のまま、オンサイドを行う一種のフェイクプレー)。絶対に勝ちたいというニューオーリンズの執念のようなものを感じましたが、残念ながら10ヤード進む前に味方選手がボールに触り反則。セントルイスもまた敵陣46ヤードの好位置を得、もちろんワーナーがこんなチャンスを逃すはずもなく、これ又見事なタッチのパスでTDで同点。 セントルイスのキックオフでもドラマがありました。こちらはニューオーリンズのリターンでリターナーが途中でサイドラインを踏んだのでは?とセントルイスのHCマーツがチャレンジをしたのです。因みにこの時点で前半3回あるタイムアウトは使い切っていました。つまりこのチャレンジを失敗すると前半のタイムアウトはなくなってしまうわけです。 踏んだと思われる地点とボールデットの地点は5ヤードも離れていません。こんな事でチャレンジするか?とも思いますし、数週前にチャレンジ使い切って負けたことを忘れたのでしょうか?いいえ、違います。コーチ・マーツはとにかくチャレンジが好きなのでしょう。極論理的に疑いがあればやってしまうのでしょう。もしこれがオフィシャルに対するプレッシャー、つまり「ちゃんと見ないとどんどんチャレンジするぞ」というアピールならそれは間違っています。いくらアメリカ人のオフィシャルとはいえ、自分の判定にケチをつけられるわけですから、そりゃむかつきもするでしょう。もの凄く微妙で曖昧なら、判定を優先するのは人情というものでしょう。 案の定微妙ではありましたが、「確実に判定を覆す理由がない限りは判定優先」という前提条件のため、チャレンジは失敗しました。しかし私は敢えてコーチ・マーツの英断といいたい。彼はやはり稀代の「ハスラー」なのです。なぜなら「お前らがむかつこうが、タイムアウトがなくなろうとチャレンジするぞ」というのは心理的にプレッシャーになるからです。事実その後のプレーで若干セントルイスに甘い判定がありましたが、これはいわゆる「行って、来い」なのでしょう。 また、なぜかこのチャレンジのあとから(もっといえばオンサイドキック失敗から)ニューオーリンズのオフェンスがリズムを失います。それでなくとも反則の多いチームなのですが、まぁ、面白いくらいに下がっていきます。すぐに3&アウトのあとのシリーズでセントルイスは7点を挙げ点差を広げます。 次のシリーズも精度を欠くパスであっさりパントでしたが、なんとそのパントをセントルイスPRハキームがファンブル。このチャンスをロングとショートのパス2本でTD。前半終了2分前に同点に追いつきます。 ここで並のチームなら普通にオフェンスを展開するのですが、セントルイスは違います。ロングパス、ノーハドルとお家芸のリズミック・オフェンスを展開してあっという間にレッドゾーンまできます。こういうノーハドルオフェンスや時間のない時のロングパスには欠点が一つあって、鈍足(私よりは速いかも知れないけど)オフェンスラインもボールが進んだ地点まで進んで、セットしなくてはならないというロスです。もちろん同様にディフェンスも相手にあわせて、スクリメージラインの後ろに下がらなくてはいけないのです。ロングパスでゴール目前に迫ったこのシチュエーションで、普通はボールをスパイクしてダウンを1つ損してもハドルの時間を確保するのですが、コーチがハスラーなら、QBもハスラーです。スパイクすると見せかけて飛び出したWRにパス。このパスは失敗だったものの、ディフェンスの選手が戻りきっていないことを見越してのパスでオフサイドの反則を得ることができたのです。時間は止まるは5ヤードただで進めるは、しかも次のパスでTDわずか1分半のオフェンスシリーズですが、前半終了間際におたおたするニューオーリンズディフェンスとは対照的に極めて冷静に、冷徹に進められたオフェンスシリーズでした。 とはいえまだこの時点で7点差。ゲームの緊迫感はとぎれていません。後半に入りニューオーリンズの最初のシリーズがINT。ターンオーバーのあとはビックプレーをの原則通り、ワーナーはきっちりTDで7点追加。 このゲームの白眉は次のニューオーリンズのシリーズでした。何とかリズムを取り戻し、ゴール前5ヤードまで進みながら、ディレイ・オブ・ゲームで5ヤード下がり、フォルス・スタートで更に5ヤード、ホールディングで10ヤード、パーソナル・ファールのアンネセサリー・ラフネスで15ヤードと40ヤードも下がり、まるで反則の勉強会のようです。しかもセカンドダウン。いくら強くてもこんな事をやっていては勝てません。半ば呆れ顔で見ているとなんと次のプレーでロングパスがヒットして1発でTD。ブルックス恐るべしです。 このあとセントルイスは2つのFGで点を追加し、ニューオーリンズの追撃をかわしました。このゲームで感じたのは、まずニューオーリンズがいいチームになっているということです(皮肉ではなく)。前ヘッドコーチのマイク・ディトカがドラフトの権利を投げ出してまで取ったRBリッキー・ウィリアムズも随所でいいプレーを見せているし、QBブルックスのプレーも悪くありません。問題はやっぱり反則でしょうね。 アメフトはもの凄く合理的にできていますが、それでもやはりモメンタム(勢い)や運は必要ですし、何よりも「精神力」などという昨今の日本でも軽視されるものが重要だったりします。大切なのは熱いハートとクールな頭脳。先走って反則を犯すのは頭に血が上っているいい証拠です。 逆にセントルイスのHCマーツやQBワーナーのように空恐ろしいほどの冷静な人間を見るにつけ、安定して勝負に勝てるのはこういう人達なんだなぁと思わざるを得ません。 |
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