2002年10月21日
「天才のゲーム」

 第7週、サンディエゴ@オークランドのゲームを見ました。さて問題です。私が考えるにNFLで「天才」が必要とされるポジションが1つだけあります。どこだと思いますか?

 天才というのは才能のことで頭脳だけのことを指すわけではありません。もっとも、どのポジションでも必要だといえばそうですし、ないよりはあった方がいいわけです。例えばランニングバックで足が速ければ速いに越したことがないのは明白です。しかし足の速さは必須条件ではありません。今シーズン中にもオールタイムのラッシングリーダーになるダラスのエミット・スミスは決して快速ランナーではありません。

 まずディフェンスには必要ありません。重ねていいますが、あればあったに越したことはありません。天才を点から与えられた才能と訳せば、大きな身長、重い体重、素早い判断力、第六感なんてものまでその範疇に入りますし、それは全てディフェンス選手に必要です。

 しかしそれは必須条件ではありません。NBAにデニス・ロッドマンという選手がいました。ご存知の方も多いと思いますが、デトロイト・ピストンズの2連覇に貢献し、シカゴ・ブルズでもチャンピオンになっています。もっともそうしたコート内での活躍よりも、奇抜なファッションや言動の方で有名な選手ともいえます。

 彼は得点王になったことは1度もありません。献身的なプレーで観客を沸かしたりしません。むしろあまり攻撃には参加しない選手です。彼はフォワードというポジションでより万能性が要求されるポジションでしたが、彼は「リバウンド」にのみ力を発揮する選手でした。

 しかし彼は自分の身体的な能力のみに頼ることなく、徹底的に相手チームのビデオを研究し、誰がどこからシュートを打つのが好きか、そのボールはどこへ跳ね返るかを研究しつくしたのです。その結果彼は7回ものリバウンド王に輝くのです。一見地味ですが(彼は人間的には派手ですが)その力はバスケット通の間では非常に高く評価されています。

 つまりディフェンスの選手には天賦の才よりもロッドマン的ないわゆる秀才の能力が必要なのだと思うのです。天才ディフェンダーといわれたディオン・サンダースはランカバーが全く出来ませんでした(しませんでした)。アメフトは人数が多いので彼にはパスカバーだけをさせていればすみましたが、ディオン・サンダースが11人いてはディフェンス崩壊です。

 同様にキッキングチーム、オフェンスラインもそうです。身体が大きくなければラインメンは出来ませんが、多少不利があってもカバーする方法はあります。

 先を急ぎますが、先週のオークランド@セントルイス。オークランドはセントルイス陣3ヤードまで攻め込み4thダウン。オークランドのキャラハンヘッドコーチはギャンブルしました。結果失敗。

 NFLのヘッドコーチでギャンブラー、ハスラーといえばその筆頭に上がるのがセントルイスのマーツ、もう一人はピッツバーグのカウワー辺りでしょうか。しかし今シーズンから指揮を執るこのキャラハンも相当なギャンブラーのようです。

 そうですNFLで唯一天才が必要なポジションは「ヘッドコーチ」です。いくらタレントを揃えても勝てないのがアメフトなのです。一緒の時期にいたかどうか分かりませんが、松井、清原(元西武四番)、マルチネス(元西武四番)、石井(元近鉄四番)、広沢(元ヤクルト四番)、江藤(元広島四番)を集めてチームを作るような、ジダン(フランス代表)、フィーゴ(ポルトガル代表)、ラウール(スペイン代表)、ロベルト・カルロス、ロナウド(ブラジル代表)を集めてチームを作るような真似はアメフトではナンセンスなのです。因みに野球でもサッカーでもこれだけの選手がいれば監督は相当なアホでも勝てます。勝てなければおかしいです。しかしアメフトは違う。

 現に、リッチ・ギャノン、ジェリー・ライス、ティム・ブラウン、チャーリー・ガーナーなどそうそうたる面子を揃えていても今日のサンディエゴには勝てなかった。戦力に差が多少あってもヘッドコーチ(を含むコーチ陣)の努力と才能によって勝つことが可能なのです。

 むしろアメフトには天才は必要ない、必要なのはヘッドコーチだけ。そんなことを感じさせてくれたゲームでした。


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