2002年11月30日
「人間だもの」

 第12週、グリーンベイ@タンパベイのゲームを見ました。「つまづいたって いいじゃないか 人間だもの」とは相田みつをさんの言葉ですが、ファーブにいやグリーンベイのファンにこの言葉をかけたいです。

 この週共に8勝2敗での対戦。ここで勝ってプレイオフでのホームフィールドアドバンテージに一歩近づきたいのは両チーム同じ気持ちでしょう。特に今年は4地区制になり地区優勝が大切なことはいうまでもありませんが、ホームフィールドアドバンテージも従来以上に重要です。

 ところが第11週、グリーンベイはミネソタに乗り込み痛恨の敗北。私はゲームを見ていないのですがファーブは3インターセプト。先週ミネソタで勝っていれば地区優勝が決まったのにというところ。もちろんそれでもグリーンベイの地区優勝は時間の問題ですが、早く決まるのと決まらないのは大きな違いですし、ホームフィールドアドバンテージ争いということに焦点を絞れるわけです。

 ところで現役ナンバー1QBは誰でしょう?と訊けば恐らくほとんどの人がブレット・ファーブと答えるでしょう。人によって好みがあったりはすると思いますし、ギャノン、ブレッドソー、マクナブ、ブレイディ、ブルネルそしてワーナーとどれをとっても能力としてはひけをとらないかも知れませんが、10年後100年後に名の残るQBといえば迷わずファーブが筆頭でしょう。

 若い頃のファーブはスーパープレイもしましたが、私は荒削りな感じがどうにも目に付く感じがありました。これはスーパーを勝ってもそう思っていました。しかしそれでもファーブの凄さ、それは単にQBとしてではなくてゲームを支配する凄さというものは感じずにはいられませんでした。

 そのファーブが先週は3インターセプト。そしてこのゲームでも4インターセプトと並のQB以下の惨憺たる成績。インターセプトというのも状況によって重みに違いがあると思いますが、特に2本目のインターセプトはこれによってタンパベイが逆転に成功し、完全に完璧にモメンタムがタンパベイに移った点から重大な失策でした。

 全般にこの日「も」ファーブは調子が悪かったと思います。しかしそれでも随所に見せるプレーは超一流ですし、2タッチダウン差ぐらいは簡単にひっくり返しそうな凄味もありました。そして何よりもこれがアメフトのおもしろさなのです。

 ファーブのような選手が能力通りミスのないプレーを連発するのなら勝てる相手はいません。コンピュータやサイボーグではないのですからムラやミスがあって当然なのです。だからゲームが面白いのです。「人間だもの」。

 共に8勝2敗と書きましたが、厳密にいえば状況は少し違います。タンパベイは絶対に負けられないゲームであったことはいうまでもありません。プレイオフに入り氷点下のグリーンベイに行ってゲームに勝てる可能性は万に一つもないからです。しかしグリーンベイは違います。ファーブは違います。仮にここで負けてもプレイオフの一発勝負で勝つ可能性は充分にあるのです。

 先ほどコンピュータではないと書きましたが、コンピュータのプレイヤーは予めインプットされたデータ通りに活躍します。しかし人間はそうではないのです。可能性や確率では動かないのです。

 タンパベイのWRキーション・ジョンソンは最初ポロポロとパスを落としまくっていました。ジェリー・ライスのシュアーなプレーとはかけ離れたものがあります。しかし彼はTDパスをしっかりキャッチしその後も重要な場面ではきっちり来たボールをキャッチしました。

 これがスーパープレイヤーたる資質なのだと思います。100%が望むべくもないということは誰が考えても分かります。いつも平均的に何かが出来るプレイヤーよりも、集中力を発揮して一瞬の閃きにかける。これが我々の求めるプロのプレーではないでしょうか。

 タンパベイは自分のゲームをしました。ロースコアゲームに持ち込み、ディフェンスできっちり相手を止め、少ないオフェンスのチャンスをモノにする。オフェンスが出ないとどうしてもイライラしますが、何度も書きます。NFLはディフェンスのゲームなのです。そしてディフェンスは大きな破綻が(選手が抜けない限りは)ないのです。このゲームに勝ったことによりタンパベイはスーパーの切符を半分手にしたといってもいいと思います。


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