オフェンスフォーメーションの理解
まずはフォーメーション(体型)の理解

 そもそもフォーメーションとは何か?というところから始めましょう。アメフトの考え方の根本は戦争で用語は「軍事用語」が多く使われていますが、フォーメーションとはその戦争における体型のことを指します。

 つまり状況に応じて目的達成のために無駄のない準備をするという意味です。右に展開するのに左に多く人数を敷いたフォーメーションでは展開が遅くなります。しかし逆にこのようにわざとに反対側に展開するように見せかけて相手を騙すこともありです。

 要するに状況に応じてフォーメーションを使い分け、少しでも展開を有利に、相手の裏をかき、素早く目的を達成するというのがフォーメーションの理解です。そして実はNFLの場合オフェンスのフォーメーションというのはそれほど複雑ではありません(本当は複雑かも知れませんが、ディフェンスほどわかりにくくない)。順に見てみましょう。

 どのアメフト入門書を読んでも、フォーメーションの基本は「Tフォーメーション」ということになっています。事実歴史的にはそうなのでしょう。しかし私はここでアメフトの歴史を学ぼうということではなくて、テレビで見ていてもアメフトがわかるようにという目的でこのホームを立ち上げた以上、敢えて断言します。オフェンスの基本は「Iフォーメーション」だと。ほとんどのフォーメーションはIフォーメーションさえ理解できていれば理解できると思います。少し乱暴ですが先に進んでみましょう。


Iフォーメーション

 なぜ「I(アイ)」フォーメーションというか?それは二人のランニングバックが縦に並んでいるからです。もともとはクォーターバックと3人(!)のランニングバックの位置関係からTフォーメーションというのが基本形でありました。話がいちいち元に戻るのでややこしいかも知れませんが我慢してください。そのTフォーメーションの派生系で、ビアフォーメーションとかウィッシュボーンフォーメーションなどがあったのですが、その先に行き着いた洗練されたフォーメーションがIフォーメーションなのです。

 Iフォーメーションの最大の利点はバランスにあると思います。フルバックとハーフバックが縦に並んでいるので、ランプレーの場合左右どちらに展開するか予想がつきにくいのです。もちろんプロのIフォーメーションはタイトエンドがどちらにつくかでそれを予想しますが、そのことは少しおいていきます。ハーフバックの前にブロッカーであるフルバックがいるので、ブラストプレーも素早く(ここ大事)できるし、オープンに展開することも容易です。

 そして2人のレシーバーがセットしていることから、ランで来るのか、パスで来るのかの予想もしにくくなります。上にも書きましたが、いかにオフェンスの意図を隠しそれでいて効果的な体型を取れるか?これがフォーメーションの要諦です。よりバランスのよいものが基本になるのは当たり前のことだと思います。

 しかし実際にはフルバックがクォーターバックのすぐ後ろにいるとドロップバック(クォーターバックが後ろに下がること)の際に邪魔になるとかの理由で下記のようにフルバックがオフセット(少しずれて)したオフセットIフォーメーション一般的です。


プロTフォーメーション

 もうおなじみになったと思いますが、「プロTフォーメーション」といいます。これのどこが「T」なのか疑問に思った方も多いと思いますが、正調Tフォーメーションというのが昔ありまして「ストレートTフォーメーション」といいました。しかし現在のNFLではほとんど見ません。また逆にいろんな複雑なフォーメーションがありますが、私はここにピックアップしたフォーメーションを覚えて、その「意味」を考えれば、あとはそのバリエーションですから恐れることはないと考えています。

 このプロTフォーメーションは上のオフセットIフォーメーションと似ていますが、実際にはほぼ同じと考えてください。どこが違うかというとオフセットIフォーメーションはIフォーメーションから一歩「右」に(左の場合もある)ずれたもの。プロTフォーメーションはハーフバックとフルバックが元々横並びだったのを少し「前」にずらしたものです。

 基本は「I」と書いておいていきなり前言をひるがえすようで申し訳ないですが、やはり「Tフォーメーション」のバランスの良さは基本です。参考のためにアメフト初期の頃の正調Tフォーメーション「ストレートTフォーメーション」を見てみましょう。

 正に左右対称のシンメトリーです。このころはプレーの殆どがランだったのでこのようなフォーメーションが編み出されたのですが、これをどんどん変形させていってアメフトのオフェンスは進化しているのです。


ワンバックフォーメーション

 オフェンスのフォーメーションは無数にあるといっていいのですが、基礎的なものはいくつかに集約されます。次に紹介する「ワンバック・フォーメーション」は私の一番好きなフォーメーションで、パスに重心をおきつつ、からめ手も混ぜると匂わせたトリッキーなフォーメーションです。

 このフォーメーションはフルバックを外してスロットバックの位置に入れて、3ワイドレシーバーとするところが肝です。3ワイドレシーバーですから、当然ランニングバックは1人だけになり「1」(ランニング)バックフォーメーションというわけです。

 このフォーメーションの時は大抵「マンインモーション」といって、フランカーかスロットバックをスクリメージと平行に1人だけ移動させます。なぜかというと、レシーバーを最初から多くしたこのオフェンスに対抗すべく、ディフェンスもパスカバー用のスペシャリストを1人多く入れた「ニッケルディフェンス(ディフェンスの項参照)」というフォーメーションを敷いてきます。

 ニッケルディフェンスは6人のフロントと5人のバックスによって守るディフェンスでこれがマンツーマンで守っていれば、比較的ランプレーが有効だし、もしゾーンで守っていればランはそれほど出ないかも知れない(この辺もディフェンスの項参照)。それを早い段階で見守るためにマンインモーションをする。

 もしオフェンスのフランカーがインモーションして、それにディフェンダーがくっついてくればマンツーマンディフェンスだし、ついてこなければゾーンディフェンスだと分かる。このワンバックフォーメーションはそういう意味でオフェンスの強い「意志」を感じるより攻撃的なフォーメーションだと私は思っています。


ショットガンフォーメーション

 もっとも攻撃的なフォーメーションで、このフォーメーションは誰が見てもすぐに分かります。セットの段階でクォーターバックがセンターの後ろ7ヤードくらいのところにセットしているからです。ハーフバックの位置に注目してください。なぜこんな位置にいるかというと、タイトエンドがいないのでどうしてもオフェンスラインのパスプロテクションが弱くなるわけです。そのためクォーターバックを守る最後の砦として残してあるのと、ドロープレーなどのラン攻撃の可能性も残しているわけです。

 あからさますぎて恥ずかしくなりますが、このフォーメーションはとにかくパスに重点を置いています。なぜクォーターバックが最初から後ろにいるかというとそれはドロップバックする時間を節約してしかもサックしにくいようにしているほか、最初から後ろにいるのでフィールドに対する視野を広く保てるわけです。このおかげでドロップバックの時より2、3秒はパスターゲットを探す時間が稼げますし、快足のワイドレシーバーならあっという間に2、30ヤードは走ってしまいロングパスも可能になります。

 そのうち気が付くと思いますが、このフォーメーションは「パント」の時のフォーメーションの応用です。考えた人はきっと「コロンブスの卵」だと思ったことでしょう。

 この形でクォーターバックがセンターにくっついていれば「フォーワイドレシーバー」のフォーメーションですし、もしタイトエンドがラインに残っていればその時はランニングバックを第4のレシーバーとしますので「ノーバックフォーメーション」という形にもなります。下に4ワイドレシーバーの例も示しておきます。

 最初はフォーメーションを形で覚えると分かり易いですが、チームによっても少しずつ違いますし、インモーションによりどんどん変化します。どういうフォーメーションだと戦いやすいか、有効にヤードが稼げるか、相手をだませるか?ということ考えながら見るといいと思います。


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