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☆アジア映画通信63号より

マギー五冠!トニー三冠!! 第20回香港電影金像奨レポート 《小島初枝》

去る4月29日、香港電影金像奨は記念すべき第20回を迎えた。昨年はミレニア

ム記念と称して一般観客も招待し、香港コロシアムで大々的に行われたが、今年

は会場を古巣の香港文化中心に戻しての開催となった。

授賞式の開会は夜7時半。深紅の絨毯が敷き詰められた文化中心の表階段を、

スターたちが次々と登って来る。美しく着飾った、舒淇/スー・チー、王祖賢/

ジョイ・ウォン、袁詠儀/アニタ・ユン、楊紫瓊/ミシェル・ヨー…見るだけで

ため息ものだ。香港男子一番のお目当ては梁詠[王其]ジジ・リョン。彼女の姿

を見るや「ジージ!ジージ!」の大コールが巻き起こった。そして昨年の影帝、

劉徳華/アンディ・ラウの登場でファンのボルテージは最高潮に。負けずと「華

ー仔!華ー仔!」の大声援だ。おや?と思ったのが梁朝偉/トニー・レオン。毎

年恋人の劉嘉玲/カリーナ・ラウを伴って仲良く入場する偉仔だが、今年は王家

衛/ウォン・カーワイ、張震/チャン・チェンらと来場。カリーナはプレゼンテ

ーターとして出席の予定だったが、急遽欠席となった模様。なにがあったのだろ

うか…と、心配しているうちに式の方は始まっていた。オープニングは、ケニ

ー・B、五佰、プリシラ・チャンほか豪華メンバーによる電影主題歌メドレー。

思わず口ずさんでしまい、嫌でも気分は盛り上がる。

助演女優賞は、『臥虎蔵龍/グリーン・ディスティニー』鄭佩佩/チェン・ペ

イペイの貫禄勝ち。香港小姐(ミス香港)に選出された愛娘とともに壇上に上が

り大喜び。娘さんの映画デビューの日も近いかもしれない。

助演男優賞の授与では、レスリー&アンディとの共演を果たした常盤貴子、そ

してスー・チーが壇上に。台湾出身で広東語ベタのスー・チーとの絶妙のコンビ

ネーションに、会場は大受け。スー・チーより発音が良い!と拍手喝采を浴びて

いた。奇しくもこの日、29歳の誕生日を迎えた常盤貴子。滞在中、流動的な香港

式スケジュールにも動じることなく、「そんなん、ありあり!」と乗り切ったそ

うだ。関西人の彼女に香港の水は合うのかもしれない。賞の行方は、これが初の

受賞となる呉鎮宇/ン・ジャンユーに。受賞作の『公元2000』は、陳嘉上/ゴー

ドン・チャン監督、郭富城/アーロン・コック主演の現代アクション。他部門で

のノミネートもなく、ジャンユーの単独受賞ということからも、彼の評価の高さ

がうかがえる。

各賞発表の合間にも、数々のショー要素が盛り込まれているのも授賞式の楽し

みの一つだ。今年はなんと言っても『グリーン・ディスティニー』一色。太鼓の

生演奏をバックに、ステージを縦横無尽に飛び回るワイヤーワークを駆使した殺

陣が披露され、会場は大興奮。香港映画人には見慣れたものだろうが、掛け声と

ともにワイヤーを大勢で引っ張る様子は、何度見ても驚きだ。まさに東洋の神

秘、ハリウッドで受けるのもうなずける。

また例年、熱愛カップルの冷やかしで盛り上がる授賞式。フェイ・ウォンとニ

コラス・ツェー、イーキン・チェンとジジ・リョンなど、壇上でのろける姿は実

にオープン。しかし今年は“生意気新人”に攻撃が集中した。主演女優賞にノミ

ネートされた章子怡/チャン・ツーイーがその人だ。成龍/ジャッキー・チェン

の新作に出演中だが、撮影中ジャッキーのひざに乗ってブドウを口に運んだり、

スタッフをあごで使ったりやりたい放題、いろいろと醜聞が飛び交っている。新

人賞の発表で壇上に上がったアニタ・ユンは、新人の必須条件として「同じボト

ルの水を飲みあったり、ブドウを食べさせたりしないことね」とおもむろに攻

撃。主演女優賞の授与を行った周潤發/チョウ・ユンファも「大陸の俳優っての

は何でもやるね。ブドウを食べさせてあげたりとかさ」と連打を浴びせ、会場を

爆笑の渦に巻き込んだ。しかし当の本人は「ラッシュ・アワー2」ロケ中のジャ

ッキーとともに欠席なのだから、痛くも痒くもないか?

 脚本賞は、『榴[木連]瓢瓢/ドリアン・ドリアン』の陳果/フルーツ・チャ

ン監督。この作品は新人賞も同時に受賞した。『グリーン〜』『花様年華』とい

う大作二本にはさまれながらも、着実に実績を残した陳監督。3年前、『香港製

造』で大賞を射止め、壇上で舞い上がっていたのが懐かしく思い出された。

 主演女優賞は、5度目の受賞『花様年華』の張曼玉/マギー・チョンに。しか

し夫であるオリビエ・アサヤス監督とともにアルゼンチン映画祭に出席するため、

当のマギーはまたしても欠席。代わってトニー・レオンがチョウ・ユンファから祝福

のキス(!)を受けた。国際電話でのインタビューでは、「トニーとのダブル受賞が

果たせてうれしい。王家衛監督は私の役者人生に一番大きな影響を与えてくれた

人。また一緒に映画を作りたい」と喜びを語った。

 そして、主演男優賞は同じく『花様年華』のトニー・レオンに。プレゼンテ

ーターの張國榮/レスリー・チョンからまたしても祝福のキスを受け、悲しげに

「多謝、王家衛…」と一言。式後の祝賀パーティーには、すでにだいぶ酔った様

子で現れた。また、祝賀会場から立ち去る車の中では泣いていた、という目撃証

言もあるが、涙の真相はいかに。カリーナ欠席の件といい、ちょっと気になる偉

仔だった。

 残す監督賞、作品賞は誰もが予想したとおり『グリーン・ディスティニー』

李安/アン・リー監督の頭上に。取材陣に囲まれ、「オスカーをはじめ、さまざ

まな賞巡業に時間を費やして本当に疲れたが、この金像奨はうれしい」とにこや

かに語っていた。

 主演男・女優賞の華やかな部分は『花様年華』に持っていかれた形となった

が、注目の大作2本の激突は、16部門のうち『グリーン〜』8部門、『花様年華』

5部門と、『グリーン〜』に軍配が上がった。また今年は金像奨授賞式に先駆け

て、『国際華人電影工作者精英交流会』なる会合が開かれ、“中国語圏の映画が

世界市場で成功するための討論”が行われた模様だ。呉宇森/ジョン・ウー監督

がハリウッドで成功したのとは違い、『グリーン・ディスティニー』は“中国語

映画”が世界に認められたという、エポック的な作品になったことは間違いな

い。


《受賞作一覧》


《最佳電影》(最優秀作品賞) 『臥虎蔵龍/グリーン・ディスティニー』

《最佳導演》(最優秀監督賞) 李安/アン・リー

《最佳編劇》(最優秀脚本賞) 陳果/フルーツ・チャン『榴[木連]瓢瓢/ドリ

アン・ドリアン』

《最佳男主角》(最優秀主演男優賞) 梁朝偉/トニー・レオン『花様年華』

《最佳女主角》(最優秀主演女優賞) 張曼玉/マギー・チャン『花様年華』

《最佳男配角》(最優秀助演男優賞) 呉鎮宇/ン・ジャンユー『公元2000』

《最佳女配角》(最優秀助演女優賞 )鄭佩佩/チェン・ペイペイ『臥虎蔵龍/

グリーン・ディスティニー』

《最佳新演員》(最優秀新人賞) 秦海[王路]/チン・ハイルー『榴[木連]瓢瓢

/ドリアン・ドリアン』

《最佳攝影》(最優秀撮影賞) 鮑徳熹/ピーター・パウ『臥虎蔵龍/グリー

ン・ディスティニー』

《最佳動作設計》(最優秀アクション指導賞) 袁和平/ユエン・ウーピン『臥

虎蔵龍/グリーン・ディスティニー』

《最佳剪接》(最優秀編集賞) 張叔平/ウイリアム・チョン『花様年華』

《最佳美術指導》(最優秀美術賞) 張叔平/ウイリアム・チョン『花様年華』

《最佳服装造型設計》(最優秀衣装デザイン賞) 張叔平/ウイリアム・チョン

『花様年華』

《最佳音響効果》(最優秀音響効果賞) Eugene Gearty『臥虎蔵龍/グリー

ン・ディスティニー』

《最佳原創電影音楽》(最優秀映画音楽賞) 譚盾『臥虎蔵龍/グリーン・ディ

スティニー』

《最佳原創電影歌曲》(最優秀主題歌賞) 「月光愛人」歌・李[王文]/ココ・

リー『臥虎蔵龍/グリーン・ディスティニー』


《専業精神奨》 袁和平/ユエン・ウーピン

《終身成就奨》 白雪仙/バッ・シュッシン


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☆華仔来日レポート 《黒瀧麗》


 5月6日(日)午後、劉徳華が成田空港に降り立った。今回は『阿虎』(日本題

『ファイターズ・ブルース』)のプロモーションのための来日だ。

 近くで見る華仔は、かなり痩せている。香港情報では、現在撮影中の『痩身男

女』(ジョニー・トウ監督作品)で、『ナッティ・プロフェッサー』のような太っ

た人の特殊メークをしている華仔。徹夜の撮影の翌日に、この特殊メークのまま

一日中待ちの日もあったりと、撮影がかなり過酷なせいか?しかもこの特殊メー

クのおかげで、腕にひどいアセモができているという。この『痩身男女』は日本

を舞台にした映画。今後日本ロケもあるが、5月現在は、日本という設定で香港

で撮影しているため、香港に来た日本人旅行者に声をかけ、エキストラとして使

っているそうだ。

 その後のイベントでは、反町隆史との共演映画『フルタイム・キラー/全職殺手』(ジョニー・トウ

監督作品)の話題も出る。反町を評して「彼は若いけど、アクションが素晴らし

い。最初に、香港のアクション映画をどう撮るか、彼に勉強してもらった。その

後、他の部分を撮った。その方が彼の為にもなるからね」。映画中の日本語のセ

リフを怪しげなイントネーションで披露する華仔に、会場は拍手喝采。反町の撮

影は終わり、今後は華仔パートを撮影とのこと。ジョニー・トウはこの作品で、

カンヌを目指すらしい。華仔独特のジョークで会場を湧かせたり、ファンとの2

ショット写真を撮ったり、サービス精神に溢れた香港芸能人らしさを見せてくれ

た華仔だった。

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☆イム・スルレ監督「ワイキキ・ブラザース」ワールドプレミア
◎第2回全州国際映画祭  2001年4月27日〜5月3日
World Premiere: Im Sun-rye's "Waikiki Brothers"
2nd Jeonju International Film Festival 27 Apr. - 3 May, 2001 
 今村ミヨ Miyo Imamura
 昨年の楽しい思い出につられて、再び全羅北道の全州(チョンジュ)映画祭に参加した。今年3月より国際線は仁川(インチョン)に集約されたので、福岡からまず仁川国際空港に着いて、シャトルバスでソウル市内をかすめながら、5時間かかって全州に入った。思いのほか時間がかかったので正直ちょっと疲れた。海外からのゲストと会えば、私の場合は何時間だったと言い合うのが挨拶代わりとなった。だが、こんなにまでしてもやって来るのだから、映画祭の力である。
 さて、ここは韓国でも、種類豊富な野菜を入れた混ぜご飯“全州ビビンパ”が特に有名だが、そんなビビンパのように、映画祭もいろいろなジャンルの作品がミックスされて上映されている。まず、世界の新作、アジアのインディーズ作品、3人の監督による全州オリジナルのデジタル特別上映、世界の異色のデジタル作品、韓国の短編集、 この他、最近の中国映画特集、小川紳介監督特集、世界のドキュメンタリー特集、韓国の過去のドキュメンタリー特集、ファスビンダー特集、真夜中の特別上映、韓国映画レトロスペクティブなど、時間も朝11時から、ミッドナイトショーまで映画三昧だ。 
 目玉はオープニング作品。昨年から聞かされていたイム・スルレ監督の韓国映画「ワイキキ・ブラザース」のワールドプレミアだ。前作「スリー・ フレンズ」(97年第11回福岡アジア映画祭にて上映)から5年。作品の数こそ少ないが、韓国でも指折りの女性監督だ。多くのマスコミにもみくちゃにされながら、質問に答える姿がなんとも嬉しそう。上映後のパーティーでは一緒に祝杯を上げた。物語は前の作品の流れを組んだもので娯楽映画とは全く反対の芸術映画路線。ナイトクラブのバンド・メンバーの人生を、韓国の歌になぞらえて辿っていく渋い内容だ。メンバーのリーダー、ソンウは、高校を卒業してから級友たちとバンドで渡り暮し、故郷に帰ったことはない。ホテル・ワイキキでバンドの職を見つけ、そこで皆と落ち着く。しかし、級友たちは音楽に対する純粋な思いを忘れ、女性や毎日の生活に追われていた。食うために音楽をするのではない、音楽に生きるという思いを忘れてはいないか?という恩師の指摘に、ソンウは心を痛めてしまう。そんな頃、歌手でもある初恋の女に再会するが、今の自分に自信がなく苦しみ、生活も荒れていく。そんな彼をしり目に、あるメンバーは離れ、残った者は他の音楽を目指そうとする。残された彼はもう一度、自分が望む音楽の世界へと挑み…。まるで日本の演歌みたいな韓国のソウルミュージックが、キーポイントになって全編流れている。哀愁を感じさせる作品だ。シム・ジェミョンプロデューサーは「JSA」のような娯楽映画だけでなく、このような作品も製作するから偉い!。開幕パーティーの後、深夜11時30分より行われた「ワイキキ」パーティーで飲んでいると、開会式で司会を務めていたキム・テウがやってくる。「JSA」のあの気の弱そうな兵士のイメージとはかなり違っていて、金髪のイマ風の青年だ。「コ・ソヨン(彼が「JSA」の中で、北朝鮮の兵士の恋人と偽って見せた写真の女優)、好きなの?」と英語で聞くと、「何で、彼女の名前知ってるの?」ときれいな英語が帰ってきた。「もちろん知ってるよ。「ハル(一日)」も良かったし、…」というと、「実は、彼女とは大学が同じなんだ。でもあんまりよくは知らない。だから、あれは映画の中だけ」と笑わせてくれる。真夜中を過ぎると皆ペースが早くなる。俳優でプロデューサーでもあるミョン・ゲナム氏、ホン・サンス監督と、ジョッキのビールの中に、ソウジュを入れたグラスを落としたポクタンチュ(爆弾酒)の一気飲み大会をやって、韓国の監督たちのタフさを改めて痛感。
 さてそんな毎夜の宴会で交流を深めるだけではなく、新作を見るのももちろん大切な仕事だ。韓国映画では「ライバン」というタクシードライバーたちを主人公にした新作がプレミア上映された。うだつの上がらない中年タクシー運転手たちが、毎晩、仕事が終わった後に、行きつけの店でとんでもない客や嫌な警官、ライバル会社、女性客とのおいしい話など、ストレス解消に会話を続ける。スターは出ない。でも観ているとカッコよく見えてくるから不思議なおやじパワーだ。
 また、中国映画が数多く上映されていたので、興味をそそられ数本観た。「おはよう北京」のマー・シャオチン主演の「Lingering Face」。ヒッチハイクで地方から出てきた女性が車の運転手に暴行される。その時、同乗していて逃げたはずの若者にも犯人の魔の手が延びて…というサスペンス。という具合いにテレビドラマのような構成のものが多くちょっと期待外れだった。
 さて、全州映画祭独自の企画が、世界の3人の監督によるデジタル短編映画だ。今年は、中国のジャ・ジャンクー、台湾のツァイ・ミンリャン、イギリスのジョン・アコムフラがそれぞれ個性を出し切った作品を見せてくれた。まず、「パブリック」中国で大衆が使うシンボリック的な場所にカメラを向けた。まず、駅。バス停。そして娯楽施設。隠し撮りなのだろう。静かにカメラはその場での人の行動を追っていく。そして、「神様との対話」は台湾では常識的でも、他の人が観たらなんだか変ったことが一杯のドキュメンタリー。神と会話するために、体を傷つけて陶酔する男性、ギラギラと電飾で飾られた舞台で愛想をふりまく踊り子たち。水際で死を待つ魚たち。監督らしい長廻しが効いている。そして、「デジトピア」は、部屋でくつろぐ男の存在は、現実なのか?作られた映像なのか?美しい色調の中、生なるものとそうでないものを問いかけていく。会場ではツァイ・ミンリャンが満員の観客の質問に答えていた。
 途中、プログラマー交代で開催が危ぶまれた時期もあったが、なんとか2回目の開催にこぎ着けたチョンジュ映画祭。韓国の3大映画祭としては後発だが、これからもっと個性溢れる映画祭になるに違いない。これからも期待していきたい。

☆読者プレゼント
 第2回チョンジュ映画祭カタログ    1冊
 「ハル(一日)」サントラCD     1枚
 「イル・マーレ」サントラCD     1枚