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  愛知商工新聞
第162(2007年12月10日発行)
発行:愛知県商工団体連合会
〒456−0018 名古屋市熱田区新尾頭1丁目4番3号
Tel:(052)679-6911/Fax:(052)679-6912
目次
身近な造園アドバイザー
利用しやすい制度融資を〜金融機関と懇談
10・28国民大集会に全国から42,000人〜国民の声で政治を-動かそう!
責任共有制度導入 融資制度はどう変わるのか〜愛知県保証協会や自治体と懇談
旺盛な税金闘争を〜愛商連・税金研究集会
自公大敗で変化実感〜各界連が国会議員要請と学習交流会
訃報 伊藤國男名誉会長が死去
気持ちを音楽に託して
Dr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第82回

身近な造園アドバイザー

身近な造園アドバイザー
庭楽
広田純子さん
北名古屋市鹿田西赤土60
Tel:(0568)70-7128
Fax:(0568)26-1337

今月のターニングポイントは、お庭の設計・施行・施工管理で頑張る広田純子さん(北名古屋民商会員)です。造園業に携わって10年、造園の模索を続ける中で、中小業者の得手を生かして、お客様の身近な造園業者として頑張っている様子をご紹介します。


園を造る私の天職

園を造る私の天職

広田さんは、学校卒業後、外国語学校や高級旅館の営業に就きました。営業所長など責任ある立場でやりがいをもって働いてきたのですが、会社の倒産により転職を余儀なくされました。「営業活動、特に人とコミュニケーションをとることが楽しく仕事をしてきました。人と接する仕事が大好きです。」と話します。

仕事探しをしていた時、「自由な発想でオリジナルの庭をつくってみませんか?」と造園職人を募集しているチラシを見つけ、「これは面白そうだ」とすぐ電話をしました。未経験の女性ですが、「そういう人に是非働いてほしい」と言われて決意しました。職場はガーデニングセンターの開店から携わり、商品の仕入・販売から造園の設計・施行・施工管理まで、勉強と発見の毎日でした。庭造りにこだわりを持つお客様にプロとしてのアドバイスが出来るように必死で勉強し、園芸・造園・工事に関する数々の資格を取得し、努力の甲斐あって造園部リーダーを任せられるまでになりました。「理想の庭を形にして喜ぶお客様を見て、自分も幸せになります。毎日が楽しく充実していました。造園は私の『天職』だと思いました。」と話します。

そんな毎日で目にしたのは、完成した喜びも束の間、どう手入れしていいのか、植物の管理をどうすればいいのかわからず途方にくれるお客様でした。荒れた庭をみて自信を失うお客様が多いのです。庭をくり込み、年々深みがまし、育てていくことに喜びを感じて頂くにはどうしたらいいのか考える様になりました。


育てて楽しいお庭造り

昨年3月に人にもすすめられ、お客様とのより密接な関係をつくりたくて、独立しました。広田さんの造園は文字通り、「園」を「造る」こと。建築と土木だけでは美しい日本を創造できない。植物を主要素材として、豊かな自然を守り再生して美しい庭を造ることです。昨今では、『プロがつくり管理する、観賞する為の日本庭園』よりも、『育てて楽しむ和洋折衷の庭園』を求めているお客様が多いことに気づきました。「お庭は造った時が、終わりではなく、始まりです。四季の変化や樹木の成長を家族で楽しめる庭、育てる事で深みが増す庭をお客様と一緒に造っていきたい。」と話します。


花と緑あふれる街をつくりたい

開業から一年半がたちますが、以前からつながりのあるお客様からの紹介で仕事が途絶えることはありません。「半年に一度はお客様を訪問する様にしています。お客様との距離がより近くになった気がしています」と話します。お客様が「私たちは素人なので、疑問に思うことがたくさんある。いつ何をしたらいいのかもわからない。有料もよいから定期的に来てアドバイスして欲しい」と言われた事から「造園実地セミナー」を始めました。少人数で集まり、机の上だけでなく実際の庭を見ながらアドバイスをし、体を動かして造る出張セミナーです。その中でお客様同士の交流も深まればと思っています。

「一生勉強ですが、来年の3月までは特に強化期間と決め土木等もさらに勉強中です。まだ模索中のところもありますが、お客様一人一人の身近な造園相談者として頑張っていきたい。『庭で家族と過ごす時間が増えて嬉しい』『庭の手入れのコツがつかめて、植物を育てていると楽しくて幸せな気分』といったハッピーな言葉がたくさん聞けるよう頑張っていきたい。」と話します。そして、自分の事業を通して、庭造りを楽しむ人を増やし「人の心を幸せにする緑豊かな街づくり」をしたいと考えています。

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利用しやすい制度融資を

金融機関と懇談
中京銀行と懇談する役員

愛商連は、中京銀行と名古屋銀行、愛知銀行、瀬戸信用金庫の本店と懇談を行いました。

この懇談は毎年行っていますが、今年は責任共有制度への金融機関の対応が注目されました。「責任共有制度の導入で対応に変化はあるか」と質問すると「特別に変わりはありません。地域の中小業者に利用しやすい融資を行っていきたい。」と回答し、中小業者への融資を積極的に行っていきたい意向をしめしました。



10・28国民大集会に全国から42,000人

国民の声で政治を-動かそう!

10月28日、東京・亀戸中央公園で、「許すな改憲、ストップ消費税増税10・28国民大集会」が開かれ、全国から4万2千人が集まりました。


愛商連から141名が参加


10・28国民大集会

民商・愛商連から141名が参加し、愛知からは労働組合などを含め300名以上が、そろいのサンバイザーを着けて参加しました。

「参院選後、国民の声、国民のたたかいが政治を動かす新しい情勢が生まれている。草の根から共同して「ストップ改憲!許すな消費税増税!なくせ貧困!いのちとくらし・雇用を守ろう!」の訴えに参加者は大きな拍手や「そうだ」と声をあげていました。悪政が続く中で、青年労働者や障害者などから生活していくこともままならない悲痛の叫びに、「政治を変えなければ」との決意を固め合いました。

集会後は2.6キロのデモ行進(約1時間半)を元気にシュプレヒコールをしながらしっかり歩き、沿道の車や歩行者にアピールしました。


何かが変わろうとしている

元気にデモ行進
元気にデモ行進

「数年前にも参加したけど今回は活気があって、参加者が見違えるように生き生きしていました。次から次と人が会場に集まってきて、何かすごい力が動いているように感じました。デモ行進も長い長い列で、皆が政治に関心を持っている現われだと思いました。今の政治を何とかしないとダメだと感じている人が多いのだろう。まるでフランスの10万人デモを見ているような錯覚を覚えました。すごい。」

「小泉内閣の構造改革、規制緩和がもたらした貧困と格差の拡大により、政治に対する国民の批判や怒りが一気に噴出していました。若者の不当な雇用状態を生の声で聞くことができました。まじめに働いてもまともな生活ができない。このような若者が増え続けています。真夏を思わせるような汗ばむ中、元気良くデモ行進をしました」

発言を聞き大きな拍手
発言を聞き大きな拍手

「秋晴れの天気にも恵まれ、大集会とデモで心地よい疲労感。集会の雰囲気をみんなに伝えたい」「熱気を感じるすごい集会でした。帰ったら署名をさらに集め頑張ります」

「国民全体に政治への怒りが広がっていることを実感しました。共同して政治を変えたい」


自民党も10%は大変〜議員要請行動

10・28国民大集会

翌日の29日、全国から120人の仲間が集まり各県選出の衆参の国会議員全員に、民商共済会の保険業法の適用除外、新テロ特措法反対、消費税等増税反対の要請行動を行いました。

愛知からは12名が参加をし、4組に分かれて行動しました。衆院で午後から守屋前事務次官の証人喚問が行われていて、議員本人は不在ですべて秘書の対応でしたが、要請書は全議員秘書が受け取りました。

要請の中で、自民党議員秘書は「個人的には消費税が10%にでもなったら大変。共済もすべて保険扱いするのはいかがなものか。しかし、党としては与党ですから」と言い、民主党秘書は「共済に対する修正法案を出す予定をしているが、中身はまだである。」 と話していました。

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責任共有制度導入融資制度はどう変わるのか

愛知県保証協会や自治体と懇談
融資制度はどう変わるのか

愛商連は、10月14日愛知県保証協会へ「責任共有制度のもとで保証協会本来の役割の発揮をもとめる要望書」を提出して、愛商連からは太田会長はじめ9名が参加し、保証協会は6名が応対しました。


円滑な資金供給〜目的は同じ

最初のあいさつで協会は、「制度の改定が行われたが、中小零細業者に円滑な資金供給を行いたいという趣旨は変わりがない。利用者である皆さんの声をよく聞いて、出来る限り応援したい」とのべ、太田会長は、「大企業が史上空前の利益をあげる一方で、中小業者はますます苦しい状況で商売を行っている。保証協会の役割をしっかり果たしてほしい」と発言しました。

要望書に対する回答では、「責任共有制度のもとでも保証協会の公的性と公共性を重視し中小業者に円滑な資金供給を行っていきたい」融資の申込については、「責任共有制度対象外は従来通りです。対象の融資は原則は金融機関が受け付ける。保証協会に持参した場合は受付・審査を行い。融資可能なら実行できる金融機関をお客様とさがす」今年の4月から申込書や記入事項が増大した件は、「意見があったことは、上部機関に伝えます」と回答しました。また、「さまざまな相談に対応できるよう相談室の人員を増やして対応するので、わからないことや疑問点は連絡ください。」と話しました。

また、年末融資については、「無担保融資は12月14日までに受け付ければ、年内に実行できるよう金融機関にも伝えてある」と回答しました。愛商連は引き続き金融機関交渉を予定しています。


制度融資は自治体の責任で

豊橋市との懇談
豊橋市との懇談

豊橋民商は11月13日に、豊橋市商業観光課と融資懇談会をおこないました。参加者は民商役員や婦人部役員、事務局など14名がさんかしました。

「責任共有制度」の導入により、金融機関による「貸し渋り」が懸念されています。これに対し、中小業者の厳しい実状をかんがみ、貸し渋りがないように金融機関へ指導することを求めました。市は「金融機関への説明会を開き、市の融資制度であるから事業者に不都合がないようにとお願いしている」と説明しました。

また、通常7年の返済期間を10年に延長してほしいという要望に対して、「運転資金は無理だが、設備資金に関する延長は必要だと考えている」という回答しました。保証協会との調整を行い、早ければ来年にも十年に延長される見通しです。

市の融資制度は、金融機関任せにせず、受付や審査を市で行うよう強く要望しました。


住友跡地問題で名古屋市と懇談〜南民商

10月23目(代)午後、住友電工の跡地開発を考える市民の会が、名古屋市住宅都市局住宅都市計画課の課長らと懇談しました。日本共産党の榑松市議が同席しました。

11月末の改正都市計画法の施行を受け、名古屋市は来年の3月議会で関係条例を改正し、夏以降に施行する予定です。市艮の会は「条例改正が来年夏以降だとしても、規制に違反する計画の申請は受けるべきではない」「駆け込み出店は認められない」と、10月8日号の全国商工新聞を示して長崎県の対応も紹介しながら、懇談しました。

担当者は「法施行前であっても、法改正の趣旨を理解し、計画内容の変更など協力を求めていきたい」と回答しました。「春夏秋冬=南民商」

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日帰りバスツアーで笑顔〜名古屋西民商

日帰りバスツアーで笑顔

西民商は、11月11日に帰りバスツアーを行いました。この日の為に支部役員や共済会、婦人部、青年部が実行委員会を開催し準備をすすめ、27名が参加しました。満員で出発したマイクロバスは南知多へ向かいました。午前中はあいにくの空模様でしたが、目的地が近づくにつれ晴れ間もみえ午後には良い天気になりました。

旅館に到着すると、早速に温泉にはいる人、談笑して親交を深める人など思い思いに過ごし、お待ちかねの宴会へ。活造り料理を堪能し、毎年恒例のビンゴゲームとカラオケ大会でおおいに盛り上がりました。

帰りはお土産屋に立ち寄り、両手に土産をもち皆さん笑顔で家路につきました。


旺盛な税金闘争を〜愛商連・税金研究集会

愛商連税研集会は、11日労働会館ホールで愛婦協役員による「所得税法56条廃止」の寸劇で始まりました。板平勇愛商連税対部長が「所得税と消費税の同時調査が大幅に増え、違法・不当な税務調査を受けて民商に入会する業者が増えています。大いに学んで交流もして税金に強い民商を」と主催者あいさつをしました。富山泰一(不公平な税制をただす会事務局長・税理士)が「消費税導入以降、所得税などの課税の不平等が拡大している。しかも、所得税の最高税率の引き下げで租税負担率は下がり、社会保障負担率は上がっている。財政制度の根幹は国民生活の充実であり、そのための負担は応能負担が原則。消費税引き上げや所得控除の改廃ではなく、いまこそ国の施策により儲けた大企業・高額所得者・資産家等の利益の社会還元を」と講演されました。 午後は「事後調査」「納税猶予」「国保減免」「自家労賃」の4つの分科会で討議がされました。 参加者の感想は、「税務調査を受けて入会された人の発言を聞き、会外では大変な税務調査がされていることにビックリした」「闘ってこそ民商と確信した」「国保問題で各地の運動を聞き、心強く感じた。強力に取り組んでいきたい」「所得税法56条の見方が新しく深まった。後継者問題との関係で運動を広げることも大切と思った」などが寄せられました。参加は100名、分科会には75名が参加しました。


自公大敗で変化実感

各界連が国会議員要請と学習交流会
社会保障施設の充実求め

「年金・社会保障口実の消費税増税は許さない」と消費税廃止各界連絡会は14日、国会議員会館で学習交流会をひらき、11中央団体と各地から56名が参加し、愛知から愛商連、保険医協会、日本共産党の3団体から代表が参加しました。

「消費税増税と国民生活―消費税で生活・社会保障は改善されるのか」と題して公文昭夫(年金実務センター代表)が講演。「所得の再配分を受ける側が税・社会保障の負担をさせられ、政府の政策により肥え太った側が大減税の恩恵―社会的還元を」と題して富山泰一(不公平な税制をただす会事務局長)が講演。各地域や各団体から「街頭で署名を訴えると『どうせ上がるんでしょ』と言う人がいたが、最近はいない。自民・公明両党の大敗で起きている変化を実感している」「地方議会での消費税増税反対の意見書可決をめざして働きかけている」と発言。

これに先立って午前中に「消費税の増税はやめること」を議員要請し、愛知県選出の衆・参議員12名に要請しました。

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訃報伊藤國男名誉会長が死去

愛知県商工団体連合会(愛商連)名誉会長の伊藤國男さんが、10月23日、病気のため死去されました。87歳でした。

伊藤さんは、1946年に製薬会社に勤務し、労働組合委員長だったために不当解雇に遭い、五四年に名古屋市西区で薬局を開業。翌55年に名古屋西民商の前身である愛知県民主商工会西支部に入会。1966年に愛商連の前身の愛知県民主商工会会長に就任し、その後28年間会長を務められました。翌67年から94年まで全商連の副会長もつとめるなど長年わたり、民商・全商連運動の前進に大きな役割を果たされました。


気持ちを音楽に託して

新美 勝樹 さん
新美 勝樹(31歳)さん
半田市住吉町1−46−408
電話/FAX 0569-24-8109

今回の好きです商売は、ソングライターの新美勝樹(知多中央民商会員、31歳)さんです。難病をかかえながら、大好きな音楽で自分の気持ちをストレートに表現したいと頑張っています。

新美さんは、学校を卒業して家業である塗装業を手伝いました。仕事は「1日に新築の家を四軒もまわったこともある」と言うほど多忙でした。さらに、マスクをせずに働くなど労働条件もよくありませんでした。そんな仕事を続けていた為か、刺身を食べて歯が折れたり、急にめまいで倒れるようになり「こんな体で仕事は続けていけない」と思いました。病院でパニック症候群と診断され、不安な毎日を過ごしていました。20代前半でお父さんが廃業する事になり、職を探しましたが、「病気の事を正直に話すと、それまでいい顔をしていた面接官が一転して、どこも雇ってくれるところはありませんでした。『自分は一人でやるしかない』と痛感しました」と話します。

それなら自分の一番好きだった音楽で生きていこうと決意し、東京へ行きました。何のツテもなかった新美さんは、行く先々で地方出身者だと冷たい待遇を受けました。『負けてなるものか』と思い、『愛知で頑張ってやる』とふたたび地元に戻ってきました。『東京は仕事で必要な時に行けばよい』と考えるようになりました。自分の生まれ育った大好きな街で音楽活動ができてうれしい。愛知をもっとメジャーにしたい」と言います。


ストレートな思いを伝えたい

日本作曲家協会に入りました。普通は入会するには師匠の推薦がいるのですが、新美さんは直接電話をして作品を送りました。1次試験が通り、面接の時に推薦者の欄に名前がないのを見た面接官は、「あなたなら私が推薦者になります。最近は型にはまった人が多いけど、あなたみたいな人に頑張ってほしい」と励ましの言葉をもらいました。

病気も回復に向かっている新美さんは、南知多町の街おこしの曲づくりやボイストレーニングの講師、ライブなど積極的な活動を始めました。3月にはCDを出す予定です。また、学習塾を経営する旧友が「あなたの生き方・考え方を生徒に話してほしい。勉強だけが人生ではないことを教えてあげて欲しい」と月1回、遠方まで人生論を話しに行きます。

「病気、差別、いじめなどでもう音楽はやめようと思ったことが何度もありました。しかし、一度始めた事だから、自分の思ったとおり、最後までやり通したい。結果は後から着いてくる。こんな僕を応援してくれる人が何人もいることを何よりの支えにしています。世の中、弱い物いじめや格差社会が広がっている。払えないような税金もかけられる。そんな中で自分の気持ちをストレートに歌いたい。弱い人を励まし、愛知や東海地方が元気になる音楽をつくり、歌いたい」と話します。

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シリーズDr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第82回

「格差社会」の問題点を地方都市からみる−新城市を事例(1)−

今年のゼミ調査は新城市をテーマにしています。新城市を選んだ理由は、「病院に産婦人科医がいなくて、子供を産むことができない町」との新聞報道があり、「その後、どうなっているのだろう」という学生の問題意識からでした。先週も、私はゼミ生と一緒に新城市の企業団地の工場訪問を行い、今年、6度目の新城市訪問です。今回は、地方都市新城市から見た「格差社会」の問題点です。


新しい合併都市新城市

新城市民病院産婦人科の勤務体制
新城市民病院産婦人科の勤務体制

新しい新城市は、2005年10月に新城市、鳳来町、作手村の一市、一町、一村が合併してできました。合併後の面積は、愛知県内で豊田市に次いで2位ですが、人口は51,937人(07年11月現在)しかいません。(223万人都市名古屋よりも面積は大きいのです)。今後、人口増加が見込める地域かどうかを考えても、鳳来町は1960年21,420人から2000年14,355人でマイナス7,065人、作手村は5,449人から3,526人でマイナス2,223人となっており、旧新城市は人口減少が続いている地域を合併しました。

2000年の3つの地域の合計人口が53,603人ですから、07年と比べると人口減少が続いています。誰もが思う問題点として、「広大な面積と減少する人口」をどう調和をとっていくのだろうか。広域の交通体系、限界集落、山間地の小・中学校問題、病院、診療所問題など、広くなればなるほど問題が拡大していきます。新城市は、合併前から「広大な行政地域と人口減少」をどう調和させていこうと考えていたのか。私たちが歩けば歩くほど問題がでてきます。「なぜ合併したの」と首をかしげてしまいます。


地方自治体の役割とは−生命の再生産に関わる問題−

人間の歴史が続いていくためには、2つの再生産を行なう必要があります。物の再生産と生命の再生産です。「産婦人科がいない、医者がいない」状況は、人間生活の基本である、生命の再生産が安心して行えないということです。この問題を解決せずして、地方自治体といえるでしょうか。

地域住民の皆さんに聞いてみても、「豊川、豊橋の方へいっている」との声が圧倒的でした。市民病院のへ出向いてみると、小児科、産婦人科は一人しかいませんでした。午前・午後、一週間すべて一人の先生が勤務しているようです。これでは、体がもたなくなるのは時間の問題だといえます。今、市は広域の光ファイバーケーブル事業を熱心に進めています。生命の再生産かケーブルか、どちらに優先順位があるのでしょうか。


企業誘致に奔走する地方自治体の問題

財政危機に陥っている地方自治体で流行しているのは、企業誘致です。雇用増加、税収増加を見込んでのものです。企業誘致で有名になったのは三重県亀山市のシャープ誘致でした。最近では、大阪府がシャープに対して10年間で約330億円の補助金を想定し、今年度予算で150億円の予算を計上しているとのニュースです。補助金額の莫大さに驚いています。

愛知県でも高速道路の整備が進み、物流環境が充実してきており、企業誘致がさかんに言われています。新城市でも、商工課の業務のなかに、企業誘致を組み入れています。どこの地方自治体も税収を増やすために企業誘致ブームなのです。

誘致された工場の関係者にお話しを聞いていますが、全く違っているのに驚いています。そして、行政への要望を聞くと、「安心して働くことができるような基本的な生活インフラを揃えてほしい」というものです。「従業員が安心して住めるのか。病院の医療体制が充実していない。買い物に行く場所が、ユニーとバローでいつも同じスーパー、新城市で生活する気にならないのでは」などでした。

せっかく企業誘致しても、作手、鳳来方面から勤めに来る人がいなくなった。働く人は豊川、豊橋、浜松方面からが多くなっている。理由は、新城市の人口減少と高齢化で、「山の方から働きに来る人がいなくなった」からです。

せっかく企業誘致をしても、新城市の工場で働く人が地元にいなくては、もともこもありません。地方自治体は企業誘致する前に、安心して暮らすことができる病院、市営住宅、学校、交通体系などの生活インフラの充実策させることが重要だということです。工場関係者は続けて言います。これ以上工場を誘致する必要はないのではないか。工場誘致のために、何億円もの造成費用をかけるより、医療体制を充実させる方が何倍も重要なのではないのか。地方自治体は工場という「箱もの」が大事なのか、それともそこで「働く人」が安心して暮らせることが大切なのか。ゆっくりと考えてみる必要がありそうです。


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