いい人間関係が、良い建物をつくる
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西空設備
西澤 一成さん(36歳)
名古屋市南区西桜町20番地
ジェネスサクラ208号
電話・FAX 052-823-6054
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今月のターニングポイントは、マンションなど建物の水道や空調の設備を行う西空設備の西澤一成さん(36歳、名古屋南民商会員)です。
西澤さんのお父さんがこの設備の仕事をしていました。中学生の頃から時間があるときは手伝うようになりました。実際にやってみると、見たり聞いたりするより仕事の大変さを経験しました。大学進学が思うようにいかず、高校を卒業してすぐにお父さんのもとで働き始めました。「初めた頃は、それほど仕事に魅力を感じたわけではありませんでした。しかし、やっているうちに、自分が働いて建物が完成する喜びやお客様からの感謝の言葉に励まされ、この仕事に魅力を感じるようになりました」と話します。昨年の六月にお父さんが腰を悪くして現役を退くことになり、西澤さんが事業主として事業をすることになりました。それから一年になります。
お父さんと一緒にやり始めたのが、バブル崩壊の時でした。「仕事が少なくなり、単価の引き下げでがると父の頭を悩ませていましたが、今よりはずっとよかったと思います。」と話します。それから単価が上がったことはありません。さらに納期や労働条件は厳しくなるばかりです。最近では短い納期に加え、材料の搬入制限も厳しく毎日材料を手配しないと置く場所もありません。接着剤の量まで厳格です。附属工事はいつも後工程なので、本体工事の影響で、急な日程変更も珍しくありません。
さまざまな困難もありますが、できあがった建物をみると仕事の達成感があります。「今まで自分がやった建物は近くに行った時は眺めています。自分が造ったモノが増えていくことは嬉しいです。」と話します。
水は生活の生命線です。少しの間違いが大きな損害になることもあります。普段、蛇口をひねれば当たり前に水は出てくるものですが、一つ間違えると大変なことになります。断水やつまり、漏水など困ったことも多く起こります。「修繕も新築工事とは違ったやりがいがある」と西澤さんは言います。図面があって材料も決まっている新築工事と違って、修繕工事は、設計図も仕様書もないことがほとんどで、経験と知識が必要です。「父とやってきた18年間の経験が役に立っています」と話します。今でも古い建物になるとお父さんに相談することもしばしばあります。「きちんと修繕ができ、お客様に感謝されると嬉しいです。難しい修理のときほど達成感があります」と話します。
西澤さんは、技術の事はもちろんのこと、同じ現場で仕事をする人とのコミュニケーションを大切にしています。大きな建物は、半年から一年同じ現場に通い、同じ人達と顔を合わせます。現場の業者や職人さん、監督さんなどみんながプライドをもっていて、ぶつかり合うこともあります。しかし、西澤さんは『良い建物を建てようという思い違いはない』と信じて、休憩時間などに積極的に話をするようにしています。「話をしないと人は分かり合えない。良い建物は多くの人が力を合わせないとできないと思っています。」と話します。お互いの気心がしれれば現場でも融通が利くようになり、仕事がスムーズにすすみます。また、仕事を紹介し合うことなど、今後にもつながっています。
第80回愛知県中央メーデー
5月1日、名古屋白川公園で第80回愛知県中央メーデーが開催されました。中央メーデーに4500人、県下7カ所合計で6000人が参加しました。民商・愛商連からも役員や事務局員が、地域の労働組合や民主団体などとともに働くものの祭典に参加しました。
中央集会では、羽根愛労連議長が「昨年から広がる派遣・非正規切りに対して、労働者が立ち上がり反撃に始まっている。」とあいさつし、愛知派遣村実行委員長の藤井さんや愛知憲法会議の元名古屋大学教授から連帯のあいさつがありました。
今年のメーデーにはマスコミ各社に加え、フランスのテレビ局も取材にきて、「平日なのにこれだけの人が集まっている」と驚いていました。フランスではメーデーの日は休日です。
安心して飲めるお店を知ってほしい
中民商 スタンプラリー〜参加者も協力店も大満足!!
5月13日に中民商婦人部は、スタンプラリーを開催しました。「全国で開催しているスタンプラリーを私たちも」と中民商や愛婦協の協力も得て、実行委員会を立ち上げて半年前から準備しました。
一年前まで「元気な名古屋」と言われていたのがウソのようです。名古屋市中区の飲食店の経営は厳しい状況です。スタンプラリーを行う地域は、栄ウォーク街(女子大小路)と呼ばれる繁華街ですが、夜一人で歩くのが怖い雰囲気があります。店主も「一見さんは丁寧に断るようにしている。」と言います。「こんな時だからこそ、安心して食べて飲める会員の店を知ってもらおう」と県下の民商で参加を広げる一方で、労働組合や民主団体に何度も足を運び参加を呼びかけました。また、メーデーや集会でチラシを配り参加者を集め、48名が参加しました。
協賛店の呼びかけにお店を訪問し、店主に「県下の民商の会員さんと労働組合の人たちだから安心です」と訴えると「それは嬉しい是非参加します。」と15店舗が快く承諾してくれました。
実行委員会では、
6時30分の集合時間前から続々と参加者が集まり、田中婦人部長のあいさつと説明を受けた参加者は元気よく一店舗目をめざして歩いていきました。スタンプラリーのルールは、三人一組で2時間の間に3店舗を回ります。各店舗では、一杯の飲み物とつまみが提供されます。お店ごとに趣向を凝らし、参加者を歓迎してくれました。
8時半に戻ってきた来た参加者は、ほろ酔い気分で上機嫌、集めたスタンプとアンケートを提出して、お楽しみ抽選会が行われました。最後にアンケートの記入をお願いし、「優しい言葉はいりません。今後の指針にできる厳しい言葉待ってます」と訴えました。
終了後は「4次会に行くぞぉ」と、他の参加者にまだ行ってない店の様子を聞き、次の店をめざして行きました。
当日は、中民商の役員が『スタンプラリー案内人』の帽子をかぶり、道の辻々に立って、参加者に店へ案内しました。多くの店がひしめき合い、知らなければ行けない場所でも参加者は迷うことなく安心して店を回れました。
参加者は「あんな所にも店があるんだ。知らなきゃ行けない」「短い時間だったけど、店の雰囲気はよくわかった」「安心して飲める店を見つけられてよかった。」などみなさん大満足の様子です。協力いただいたお店の方も「最近は怖くて一見さんは断ることが多い。今日のお客さんは安心しておもてなしができた。」「この店の良さを知ってもらえたら嬉しい。またやってほしい。」とこちらも満足そうでした。
仕事の時間を削って昼も夜も奮闘された田中婦人部長は「開催までには、多くの苦労がありました。参加者にも協力店にも満足いただけるか最後まで不安でした。しかし、今日の参加者の笑顔を見たら、今までの苦労もなくなりました。『また今度もやって』の声がたくさん聞けたことは、スタンプラリーが成功したことだと思います。受け入れる側も緊張の中、楽しい時間を過ごせたことに、参加者、協力店、警備に協力してくれた役員さんに感謝しています」と話しています。
紡ぎつづけて
戦後、朝鮮半島での戦争を通して息を吹き返した日本は、資本主義復活への発展をとげる地平にたっていました。こうした中で、この東海地方に多くの女工さん達が全国から続々と働きに出てきました。名古屋北部や一宮、津島、尾北地域の紡績会社に働きに来た彼女たちは、15歳で親元を離れたった一人で都会へ都会へと働きに来ました。寮生活の中で労働組合や働くということ、人間とは何かを学んでいきました。そうした彼女たちが、この地方の労働運動や革新運動の先がけとなっていきました。その若々しく元気な人間の姿が、この作品(ドキュメンタリー)に描かれています。文字通り「若く明るい歌声―古い上着よさようならー」の世界が広がっています。愛知の革新運動のルーツです。是非、みなさんもこのドキュメンタリー映画を観てください。
商売交流会の取り組み
愛婦協では、商売の状況がますます厳しくなる中で、「パートやアルバイトに出る前に、自分の商売を見直そう」と仲間が集まり、商売の交流や改善を行っています。
2月3日に、「コミュニティビジネス現場見学バスツアー」に8名が参加しました。遠山さん(小売店、昭和瑞穂民商婦人部役員)は、「今まで、店を閉めることばかり考えていましたが、もう少し頑張ってみようと思いました」と感想を述べていました。
この後、月1回「商売交流会」を開催してきました。2回目、3回目は遠山さんのお店で開きました。2回目は、参加者がお店の対する感想やアドバイスを出し合いました。3日目は、専門家の意見も聞こうと建築士の成田さん(知多中央民商会長)を助言者に「お金をかけないでレイアウトを工夫する」をテーマに話し合いました。
そして、5月に開いた第4回目では、「連休中に皆さんの意見を参考に出来るだけレイアウトを変えてみました」と遠山さんが話し、「店を続ける視点で見直してたら、意欲もやりたいことが見えてきた」と遠山さん。成田さんは、建築士としての自身の歴史も語りながら「お客さんの立場にたったお店になっているのかが重要」とアドバイスし、参加者からは、「もっと大勢に聞いてほしい話だね」と感想が出されました。
中小業者への緊急支援を
愛知県と県交渉
5月13日にあらかじめ提出した「経済危機における中小業者への緊急支援の要望書」への回答を求めて、愛知県と交渉を行いました。要望では、税金や社会保険料などの減免制度の緩和や拡充、リース代や事務所の家賃など事業継続に必要な最低限の費への補助を求めましたが、当局は、既存の制度を説明するだけで、「新たに中小業者への支援施策は考えていません。」という内容でした。
参加者は「息子二人と仕事をしている。月々の売上は11月161万、12月142万、1月73万、2月37万、3月3万円でした。事務所家賃、電気代、機械のローン、借入の返済、最低限の生活費などで45万円が必要です。確定申告で所得税12万と消費税30万を払った。これから納税する住民税などが払えない。2月に200万円を借り入れしましたが、今月で手持ち資金がなくなり、6月からの資金繰りの目途が立たない。県として中小業者支援施策を早急につくってほしい。」(鉄工業)、「仕事がない。4月から今日まで仕事をしたのは3日間だけでした。売上は10万円しかなく、生活していけない。仕事の目途もたたない。なんとかしてほしい。」(建設業)など、商売の実態を話す一方で、県に緊急の支援策を求めました。
具体的施策が話せない職員に対して、藤栄副会長は、「今回の経営危機が、災害なのか、経済のなかでの自己責任なのかをハッキリしてほしい。私たちは災害だと認識している。この経営危機は私たちに何の責任もない。今発言があったように経営危機に陥っている中小業者がたくさんいる。前から要望しているように、地震や水害と同じように、中小業者の窮状を解決できる総合的な相談窓口をつくってほしい。」と要望しました。
中小企業金融課の担当者は、「困っている中小業者の皆さんは、中小企業金融課に来てほしい。担当部署に橋渡しを行う。すべて一カ所で相談できるようには考えていない。」と回答しました。
最後に「私たちは、具体的な支援策も要望している。国も緊急対策の予算をとっている。それぞれの専門分野で何が出来るかよく考えてほしい。」と重ねて要望しました。
保証協会への指導を要請
経産中部経済産業局交渉
愛商連は、5月21日に21名で中部経済産業局と交渉を行い、愛知県信用保証協会(以下、協会)が税金の滞納があることを理由に融資を実行しない問題で指導行うように求めました。
久野愛商連金融対策部長は、「通達や国会答弁では、税金の滞納があっても融資は可能だと理解している。しかし、協会は「『相談にのるが税金の完納が保証の条件。』と言っている。国の方針と違うので、指導してほしい。」と訴えました。杉山中小企業課課長補佐は、「国は、滞納があることで門前払いせず、支援の道を探ってほしい。」という内容で協会に伝えている。年末からは改善されていると理解しています。」と回答しました。
しかし、参加者から「源泉所得税の滞納があり、協会は「完納証明を持ってくるまでは融資はしない」の一点張りです。「それ以外には問題がないので仮承諾は出せる。」と言われている。」「国税と社会保険料を滞納していたが、保証を断る理由が二転三転した。審査では、断る理由のあら探しをしている。」「売上が減り、税金を払いたくても払えないのが実態です。消費税を一年間で分割納付しているのに、保証できないのか。」など次々に実態の告発が出されると、杉山氏は「皆さんのお話をお聞きして、国と協会の認識が違うことがわかりました。協会とは連絡をとり、国の方針どおり運用するように伝えます。」と約束しました。
商売繁盛
瀬戸新入会員歓迎会
瀬戸旭民商では、5月18日に新入会員歓迎会を開催し、9名の新入会員と7名の役員が参加しました。
大野会長が「地域に根ざした民商の役割」、久野副会長が「民商の誕生と歴史」について話をした後、食事をしながら自己紹介も行いました。参加者は商売への思いや苦労話を熱く語り、名刺交換や電話番号を教え合うなどの交流が行われました。
新入会員は「『民商ってどんなところ?』と思っていたけど、少しわかった気がする」「仕事興しなど、業者の思いに答えるのはやっぱり民商だと思った。自分も民商運動に参加したい。」「今日はいろんな人と出会い、話が出来て良かった。」「民商にはサラ金や税金で困ったなど悩みを持った人が集まるのに、みんなが明るい。仲間がいて、みんなが前向きです。それが民商の魅力」などと感想を語っていました。
南民商、熱田民商、みどり豊明民商が統合
5月17日、南民商、熱田民商、緑豊明民商の三つの民商が統合して名古屋南民主商工会(読者1、038人、会員720人)を創立しました。
昨年、それぞれの民商総会で統合を決議し、昨年8月から3民商の代表によって統合委員会を設け、10回にわたって検討を重ね、三つの民商の各機関会議での討議をへて、17日、設立総会を迎えました。総会では、名古屋南民商の規約、第1期の活動方針・予算、役員体制などを決めました。
午後からは、創立祝賀レセプションには名古屋南民商の役員・会員・事務局員と県下の民商から総勢150名が参加し、民商の新たな出発を祝いました。
新民商の三役には、会長・板平勇、副会長・清水嘉博、山口雅道、遠藤孝正、三浦孝明、横井正孝、平林利雄、上野健一、吉川工、竹内達夫、会計・鈴木博明、事務局長・平岡充典を選出しました。
18日から旧南民商事務所で、新しい民商運動が始まりました。
民商経営対策交流会を開催
愛商連は、5月15日、愛商連会議室で、民商経営対策交流会を開催し、7民商から9人が参加しました。参加者から、金属加工業売上激減対策会議(中川)、建設業関係の緊急対策会議(春日井)、さくらまつり(千種民商)、経営交流会(知多中央)などの厳しい経営が続く中での民商らしい経営対策の豊かなとりくみが報告され、質問が出るなど大変活発に討論と交流が行われました。
服部経営対策部長は「いま、中小業者の営業とくらしは、かってなく厳しい経営環境にさらされており、この経営危機を乗り越えて、商売を続けるための経営対策を強めることが求められている。そのために(1)民商の会員同士の交流をおう盛に取り組むこと。(2)地域の中で民主団体に民商会員の商売をアピールすること。(3)自治体交渉を強めて、業者が地域の中で生きていく取り組みを強めることが大切さ大切です。」とまとめの報告を行いました。
愛商連共済会第30回定期総会開く
5月24日、名古屋港湾会館で愛商連共済会第30回定期総会を開催し、代議員121人が参加しました。方針案、決算・予算案を全員一致で採決、新たに役員体制を決めました。
午前中に運動方針案、決算・予算案が提案され、昼食をはさんで5つの分散会を行いました。分散会の報告では、健康診断活動や会員比90%以上の共済会加入率を維持するために大変な努力をしいる活動や、会員加入率80%を達成する決意表明の発言に大きな拍手おきました。新役員を代表て鈴木義一新理事長が「全商連共済会臨時総会までに、全ての民商で、未加入会員に総当たりして、会員加入率80%を達成させて臨時総会に参加しよう」と決意あふれるあいさつを行いました。
5月24日、あいち健康プラザ・プラザホールで、愛商連婦人部協議会第40回定期総会を開催し、23民商婦人部より90名の役員・代議員と6名の評議員が参加しました。来賓として、太田愛商連会長、日本共産党愛知県委員会瀬古ゆき子副委員長に挨拶をしていただきました。
総会では、10・8全国業者婦人決起集会にむけて、「所得税法第56条廃止をもとめる請願」署1部員10筆以上を取り組むことなどの方針案と予算・決算案、役員案が提案され承認されました。
代表発言では、(1)子育て世代の部員さんの要求を取り上げて(知多北部)(2)所得税法56条廃止の意見書採択を求める自治体請願行動(尾北)(3)毎月ニコニコデーに取り組んで(中川)の3つの婦人部から報告ありました。
北名古屋と一宮の婦人部が、「昨年総会時現勢を超え、かつ10%以上の部員拡大」目標達成で表彰されました。最後に加藤会長から、「業者のくらしと商売の実態は、ますます大変になっています。だからこそ、みんなで助け合い、励まし合い、笑顔で頑張りましょう」と挨拶ました。
愛商連青年部協議会は、5月23日に第37回定期総会を25名の代議員の参加で開催しました。全国業者青年交流会やビジネススクール、キックベース大会など昨年のとりくみの教訓と今年の秋までに「業者青年の経営安定と地位向上を求める署名」を一部員30名集める事などの方針案、予算・決算案、役員案が提案され、全会一致で採択しました。
名古屋西、天白、中川、一宮、津島の青年部から「毎月部会を開き、部員の要求に添った活動を続けている」などの元気な活動報告が行われました。
シリーズDr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第99回
若きマルクスの社会運動の原点とワイン(2)
前回の続きより、マルクスは大学を卒業後、研究者になろうとしましたが、進歩的な教員が大学から排除されたりしたため、断念し、ライン新聞の編集者になりました。そこで「モーゼル通信員の弁護」を書きました。この論文は、故郷トリーアの小・零細業者であるモーゼルワイン農家を救う内容です。
この論文の位置づけを、エンゲルス、マルクスの言葉で見てみます。エンゲルスはマルクスから「自分は木材窃盗取締法およびモーゼル農民の状態を扱うことによってこそ、政治一本槍から経済諸事情へ注意を向けさせられ、社会主義へ到達したのだと」(マル・エン全集39巻405ページ)、聞かされていました。マルクスは『経済学批判』の序言でもライン新聞のモーゼルに関する論文が経済問題に携わる最初のきっかけを与えたと書いています。本来は、先行研究などを踏まえて、詳しく書かなければなりませんが、かいつまんで紹介します。
トリーアでは、モーゼルワインに対する税金が問題となりました。徴税のシステムは、ワインの収穫量に対して、税金が課され、出荷量が増加すれば、するほど多く税金を支払うことになります。ワイン価格が一定なら問題となりませんが、ワイン産地同士の価格競争が起こり、収穫量が多くても、ワイン価格が暴落すると収入は激減します。そこでワイン農家は「税負担を軽減してほしい」と営業収支表まで明らかにし、行政に訴えたのです。
行政は、ワイン農家が、「収穫量をごまかし、税金を逃れようとしており、あつかましい」と攻撃するだけでした。マルクスは、行政が困窮しているワイン農家の生活実態をまったく見ていないと批判しています。
ワインの収穫量の増加、いいワインづくりのために、新たなぶどう畑を購入し、品質管理を向上させなければなりません。大規模な農家は自前で投資できますが、小・零細ワイン農家は、自前で投資できないので、ここに高利貸しが徘徊するようになります。天候がよく十分な収穫量と収入が入ったときには借金を返済できますが、天候が悪化した年には、返済が滞り、小・零細のワイン農家は高利貸から追い立てられます。こうした高利貸しをマルクスは小・零細ワイン農家を苦しめている存在として指摘しています。
マルクスの論文「モーゼル通信員の弁護」では、税収を確保することのみに関心を持ち、ワイン農家の生活困窮の実態をまったく見ない行政を批判し、小・零細ワイン農家にまとわりつく高利貸しなども批判しています。今日的にみると、小・零細ワイン農家を救おうとする若きマルクスと重税反対運動を展開する民商の存在とが、重なるのは私だけでしょうか。
「腕まくり」100号を記念して−厳しい時代に「現場」からの変革−
このように、トリーア出身のワイン大好き若きマルクスは、ワイン農家の窮状を見てとり、「小・零細ワイン業者」論を展開しています。初期マルクス研究にあまり興味のなかった私ですが、「マルクスとワイン」から調べ始め、マルクスの社会運動の出発点にたどり着きました。マルクスがトリーアの「現実」をどのようにみて、どう考え、どう変えようとしたのか。マルクスの原典をもっと学ぶ必要を感じていますし、皆さんも、マルクスの解釈本ではなく、実際、マルクスが書いたものにあたってはどうでしょうか。
「変革」への運動を2つ、この4月に大阪の吹田市で「産業振興条例」が施行されました。以前に、この条例はここで書いています。先進的な吹田の条例について、「腕まくり」で書く機会を与えてもらったことに感謝、そして、八尾の条例づくりの時もですが、条例づくりの「現場」に参加できたことは、研究者冥利に尽きます。条例は長年の運動を展開した吹田民商主導で勝ち取ったもので、事務局長の「粘り」と学習会を積み重ねた業者役員の皆さんに感動です。愛知県内でも中小企業、地域経済振興を「提起する」だけではなく、「条例づくり」の「運動」が求められます。
もう一つ、大学時代につぶれず一緒に活動していた友人が、埼玉県の川口市長選挙に立候補しました。結果は残念でしたが、私たちの世代が世の中を引っ張り、頑張る時代だと、フランスの地から、つくづく感じました。