大好きな商売を続けたい!
|
|
雅工芸
左右木雅人さん(33歳)
半田市瑞穂町5−5−10
電話・Fax:0569-26-1999
|
今月のターニングポイントは、看板の製作と施工を行う事業を開業した左右木雅人さん(33歳、知多中央民商会員)です。祖父や父親が看板業を営み、左右木さんも小さい頃から看板業に憧れていました。学校を卒業してすぐ、「世間を見てきた方が良い」と、岐阜県の会社へ修行に行き、大変尊敬できる社長に様々なことを教えてもらいました。お父さんが病に倒れた時は、まだ未熟で自分一人ではやっていく自信がなく、父親の看板屋を廃業しなくてはなりませんでした。社長からは「若いし遊びたい年頃だけど、今勉強したことは将来左右木君の大きな財産になるから頑張りなさい」と言われ、必死に勉強しました。
いつかは「地元で開業を」と考えていた左右木さんは、名古屋の看板屋に転職しました。そこでも仕事が終わった後、毎日のように事務所にある専門書で勉強しました。「現場だけでは、実際に受け持った仕事のことしかわからない。多種多様な技術を身につける為に、一人で事務所に残って勉強しました」と話します。地元から通い、学生時代の仲間から誘われましたが、遊びたい気持ちをおさえ『まだ仕事中だから』と断って勉強しました。
それほど頑張っていた左右木さんですが、給与は安く、寝たきりの父親と病弱な母親をかかえて、お金に苦慮するようになりました。困り果て泣く泣く給与のいい地元の自動車部品メーカーで働くことにしました。社長からも「左右木くんは、努力家だし、他の人が持っていないセンスを持っているから、この業界をやめてくれるな」と言われ、自分で「ここまで頑張ってきたのに」との思いが大変強かったのですが、生活のため、一時だけと割り切りました。
数年間働いていたころ、看板業を営む親戚から「忙しいので、手伝ってくれないか」と頼まれ、喜んで行きました。手伝いと言っても、看板の設計から現場の段取りまでなんでもこなしました。休日は夜勤明けでも手伝いに行き、体を休める日はありませんでした。それでも「看板にたずさわっているときはイキイキ仕事ができた。」と言います。同時に、「どうして工場で働いているんだ。看板業を開業するために努力してきたんだ」と思い、もう一度開業のために頑張る決意をしました。親戚にその事を話すと「今、抜けられては困る。開業したいならこの仕事を譲ってもいい」と言われましたが、「自分の力で、自分の名前で開業することが夢ですから」と断りました。奥さんにも「子どもが二人いて、これからやっていけるか不安です」と言われました。それでも左右木さんの決意は固く、奥さんが納得するまで話し合いました。
今年1月に看板業を開業した左右木さんは、営業活動から始めました。ほとんどが飛び込みの営業です。これまで、850件ほどに営業しました。3日で100件を訪問して一件も仕事がとれなかった事もありました。「若いし始めたばかり、名刺すら受け取ってもらえない事も少なくありませんでした。それでも粘り強く話をしました。相手にしてもらえない人に父や祖父の事を話すと『なんだそれなら話は別だ』と仕事をくれた人もいます」と苦労の中嬉しい話もありました。そうしたことがあって徐々に仕事が増え、お客様からの紹介も出始めました。また、人のつながりを広げるために民商始め、様々な人の集まりに顔を出しています。
「父が倒れたときや自動車部品工場へ転職したとき、開業直前の苦しいときなど、何度も開業をあきらめかけました。しかし、僕は祖父の代から続いてきた看板業が大好き、その思いがあったから開業できたと思っています。これからも地域で信頼を得て仕事をしていきたいです」と話します。
新しくなった全商連共済会の給付制度
全商連共済会は6月13日、第20回臨時総会を開催し、保険業法とのたたかいの到達と教訓、今後の方向を明らかにするとともに規約・運営規定の改正を行いました。臨時総会にむけた仲間を増やす取り組みが大きく広がったことは、助け合い共済が一人ひとりの会員にとってかけがえのないものであることを示しました。愛知の民商も大いに奮闘して、瀬戸旭、北名古屋、尾北、岡崎の4民商が表彰されました。
共済金の一部標記を見直すだけで、「保険業」としての届け出や廃業することなく、助け合い共済を守りぬいたことは貴重な成果です。2011年の保険業法見直しの期限に向けて、全会員加入をめざし、当面会員加入率80%の達成にむけて、助け合い共済を守る運動をいっそう強めることが求められています。7月22日に開催された愛商連共済会第2回常任理事会では、現在64・5%の会員加入率を早急に80%にするために、11月末までに1、000名の仲間をふやす運動に取り組むことを決めています。
(*)E会員の死亡弔慰、高度障害見舞いは、加入3年以内で病気事由は、25,000円。
五つの緊急要求
民商・愛商連は、7月23日、24日、28日、29日の4日間、4官庁と中部電力、同業組合44団体へ訪問し、全商連「五つの緊急要求」を示して、要望と懇談を行いました。
7月23日の愛知県中小企業金融課との交渉には5名が参加し、「地域活性化・経済対策臨時交付金を活用して、地元業者に仕事を出し、商売継続に必要な資金の援助を」など5項目の要望書を提出して懇談しました。対応した宮崎中小企業金融課課長補佐らは、「政府が景気は底を打ったと言っているが、それは大企業で、中小企業の経営が依然として厳しいと承知しており、知事や産業労働部長も参加して中小業者の現況調査を行っている」と回答しました。しかし、「県として中小業者への具体的な施策はありません」と回答しました。
参加者は、全国商工新聞での中小企業庁の答弁を示し、「臨時交付金で、中小業者の固定費の補助は可能だと言っている。経済危機の影響を一番受けている愛知県が、全国に先駆けて、中小業者への具体的支援策を実行してほしい」「県下の自治体に対して、中小業者への支援を強めるよう要望してほしい」などと要求しました。
29日には、中部経済産業局、東海財務局、社会保険事務局を訪問し、要望書に基づいて懇談を行いました。
中部経済産業局では、杉山中小企業課課長補佐など4名が対応しました。参加者は「昨年は、月150万円売上があったが、今は月数万円です。固定費は最低でも40万円必要で、セーフティーネット融資を2回利用したが、夏以降は見通しがない。商売を継続させ、息子に技術を継承したい」「地域活性化・経済危機対策臨時交付金は、地域経済を活性化させるための仕事おこしの施策を行うと認識していたが、自治体職員の認識は全然ちがっている。中小業者の仕事おこしにつながるような施策を実施するように、国が指導してほしい」などと要望しました。
担当者は、「経営が厳しいことは認識しており、実態調査は出来る限り行っている。今日のご意見やご要望は、中小企業庁にあげます」と回答するにとどまり、我々の要望に対しての具体的な施策や対応については言及はありませんでいた。
同業組合など44団体との訪問活動では、「不況の影響で組合数が減って大変。会員の経営状況もとても厳しく、対応できない」「昨年の材料費の高騰と単価の引下げで経営が大変厳しい」「今年になってから退会者が多く、一割以上会員がへっている」など、この不況の中での困難さが増していることが話されました。参加者は、全商連「5つの緊急要求」を説明し、緊急署名への協力を求めました。
- 個人消費を拡大するため、消費税をただちに減税するとともに社会保障予算を大幅に増やし、雇用を守る
- 中小業者に必要な資金をまわす緊急対策を実施する
- 自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応戦し、中小業者の仕事を増やす。
- 大企業による一方的な下請け切りを許さず、「休業保障制度」を創設し、地域産業、下請け製造業の生き残りを支援する。
- 財源は、消費税増税ではなく、不公平税制の是正と大企業の内部留保を活用し、確保する。
社保協総会・国保の減免申請運動
愛知社会保障協議会総会
7月4日午後から、労働会館東館ホールで愛商連も加盟する愛知県社会保障推進協議会の総会が開催され民商・愛商連から4名が参加しました。総会では、「暮らしを支える経済政策への転換」「地方自治体は住民の暮らしを守るとりでに」の2つを柱に、運動方針が提起され、拍手で確認されました。また、記念講演は、広島県立大学の都留民子教授が「失業と貧困の実態と社会保障の課題」をテーマに講演。「社会保障は国民がつくり出した社会的な富を再分配する仕組み。日本の貧困は、その再分配の仕組みが不平等のため」とフランスなどを例に、日本の貧困状況の異常さが強調されました。
国保料(税)の本算定が届くこの時期、各民商では国保の減免申請運動に取り組んでいます。国保料(税)には、法定減免と申請減免があり、法廷減免は本算定で自動的に減額されますが、申請減免は要件を満たしていても申請しないと適用されません。商売と生活が厳しい中で、高すぎる国保料(税)の負担は重くなっています。積極的に申請することが大切です。
名古屋南
名古屋南民商で6月24日に行われた「国保改善運動学習・交流会」では、保険料の滞納者から保険証を取り上げ、資格証明書の発行で医療の窓口で全額を負担しなければ治療が受けれず、死亡する事例も多発してる事例や、この間の運動で子どもの無保険を無くすため、中学生以下の子どもがいる世帯に短期保険証を発行させる成果が話されました。
また、新型インフルエンザ問題で国の資格証明書を発行する論拠が崩れる出来事が起こり、資格証明書の患者がインフルエンザになって保険証を取りに市町村の保険窓口に来て感染拡大をしては困るので直接、病院にいっても普通の保険証として扱うよう厚生労働省が市町村に通達を出しました。
大阪の堺市、大和市では短期保険証をすべての資格証明書世帯に送った。厚生労働省の通達は「保険料を納付することが出来ないと認められる事情があると考えられる」としてこれまでの「悪質滞納者のレッテル」を訂正した内容になっています。日比谷の派遣村にたどり着いた五百人のうち臨時診療所に受診した130入のほとんどの人が保険証を持っていなかったと言う事実などが話されました。
尾北民商
尾北民商では、7月13日〜18日までを「国保減免申請週間」と位置づけ、「憲法25条で保障された、健康で文化的な最低限の生活を営む権利」を守るためにも、積極的な国保税減免申請を呼びかけました。
相談会では、商売や生活の実態を聞きながら、実際に申請用紙を作成しました。参加者は「商売が大変で所得も減っているのに、国保税の負担は重い。国保税は高すぎる!減免して負担を減らしたい。」などと話していました。
中村民商
中村民商では7月22日に、国保料の集団減免申請を行いました。申請者と役員・事務局員が区役所に集まり、保険年金課へ申請しました。対応した職員は、「受け取って検討します」と回答したにとどまりました。
天白区
天白民商など五団体で組織する「国保と高齢者医療をよくする会」は、天白区役所ホールで学習会&相談会を開き22名が参加しました。
保険医協会の沢田さんを講師に、名古屋市国保の状況と減免制度について学習を行いました。その後、「介護保険は、減免にはならないだろうか。」、「医療費の三割負担を1割にして欲しいと窓口で話をしたが無理だった。今回の話を聞くと出来るはずだが。」、「売上が大幅に減り、所得の見込みが264万円以下なるけど、減免申請の書き方を教えて欲しい。」などの質問が出されました。29日に集団申請を行うことや減免を勝ち取る運動が提案されました。
その後の個別相談では、ほとんどの相談者が減免を受けられる事がわかりました。
瀬戸旭民商では、毎月火曜日に「なんでも相談会」を開催しています。毎週会内外から2〜5名ほどの相談者が来ます。
毎週寄せられる
支部長や拡大推進委員長、三役が相談に乗り、税金滞納や融資の相談が多い状況です。「消費税を分納で納付しているが、融資を受けれないか」「税務署から差押えの通知が来たけど」など、経営悪化で苦しむ相談者が相次いで事務所に来ています。役員は親身に相談に乗り、必要なときは、一緒に税務署や保証協会、金融機関などにも交渉に行きます。愛知商工新聞で紹介した先日付小切手を税務署から取り戻した会員は、その後、名古屋国税局とも交渉し、これまで納めたすべての小切手を取り戻しました。
拡大推進委員長は「困っている業者はたくさんいて、相談する場所を探している。知り合いの業者に声を掛けてほしい。また、民商への加入を訴えるダイレクトメール(DM)を送っているので、宛名を書いてほしい。」と訴えています。先日も相談者や役員が書いたDMを27通発送したところ、一人の相談者がきて入会しました。
瀬戸旭民商では、この相談会が、役員はもちろん、会員の確信になり、拡大運動がすすみ、新しい役員が生まれています。
要求運動と組織建設の前進を
愛商連幹部学校
愛商連は7月25日と26日で、幹部学校をホテル明山荘で開催し、113人が参加しました。アメリカ発の世界経済危機の大津波が中小業者をおそいかかり、営業とくらしはかつてない打撃を被っています。それだけに、地域の業者を励まし、民商・愛商連のたたかいが例年にも増して求められている情勢の中で開催されました。
第1日目は、4名の講師からの講演を聞き、第2日目は、8つの分散会に分かれて午前中の3時間、討議をして交流しました。午後は、各地の民商からの活動報告が行われ、有意義な幹部学校となりました。
参加者からは、「講演で、社会のしくみ、経済のしくみを学ばせて頂き民商とくらし、政治がいかに密接にくらしを左右しているか痛切にかんじました。太田会長の全商連方針と基本方向に改めてわかりやすく説明をされ腹にすっきり落ち、納得できました」、「民商運動に関して対話の重要性を強調され、反省させられました。規約の話しで、民主的運営についての問題提起も良かった」、「分散会では、民商歴2年から5年の方が積極的に幹部となって頑張っている発言に大いに励まされ、又、参考になりました」、「幹部学校に初めて参加しました。吉田先生の『現実の中で課題と展望を見る』のお話の中で、なにか明るいヒントが見えました」などの感想が寄せられ、明日からの民商・愛商連運動の前進に大きな力を与えてくれた幹部学校となりました。
講演は、「情勢の講演」は吉田豊(愛知県学習協会長)さん、「全商連方針と民商・全商連運動の基本方向」は太田愛商連会長、「規約」は藤栄愛商連副会長、「共済会」は、鈴木愛商連共済会理事長がそれぞれ分担して報告しました。
住宅は福祉。地域に住まいの運動を!
「増改築相談員」の資格を活かして地域で仕事おこし
増改築相談員は、建築に関する実務経験を10年以上保有する方で、研修会を履修し、考査に合格することにより、住宅リフォーム・紛争処理センターに登録される資格制度です。現在全国で18250余名の方が住宅相談に対応しています。
- 費用:新規受講 33,000円(民商会員31,000円)/更新 25,000円
- 日時:9月19日新規研修 9:15〜21:00更新研修 13:00〜18:00
- 場所:労働会館(名古屋市熱田区沢下町9)
2011年から消費税増税?
政府与党は、6月に経済財政政策の基本となる「骨太の方針2009」を決定しました。同時に決めた「財源確保に向けた『中期プログラム』」は、年金、医療、介護や少子化対策について「消費税を主要な財源とする」と明記しています。そのための消費税の増税を『2011年度からできるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じる』としています。
政府は先に消費税率を段階的に12%まで引き上げると公表しています。「社会保障」を口実に、消費税増税に向けて、世論を誘導しようとしています。
そもそも2089年からの消費税の導入以来、国民が支払った消費税は213兆円です。それと同時に、法人税は税率が40%から30%に引き下げられ、182兆円もの減税が行われ、大企業が恩恵を受けています。そして、またも消費税増税と法人税減税をセットで実施する方針を明記しています。社会保障費もあくまでも「抑制路線」を続けています。
中小業者は、消費税を売上に転嫁することが出来ず、身銭を切って納税している人が多くいます。まさに営業破壊税です。これ以上の増税は、中小業者の死活問題です。
消費税は、財務大臣が「逆進性の税金であることは事実」と認めるとおり、所得が少ない人ほど重い負担、社会保障財源にふさわしくない税金です。社会保障の財源には=無駄遣いの一掃=大企業・大資産家への減税見直し=増え続ける軍事費の縮減などで生み出すべきです。
経済危機で消費購買力と内需の拡大が求められている経済状況の中で、消費税は増税ではなく、直ちに減税すべきです。今度の総選挙、消費税の増税勢力に厳しい審判を下しましょう。
シリーズDr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第102回
私の見たフランスの中小企業問題について(1)
先日、コルマールに自転車レースで有名な、ツールドフランスがきて、到着と翌日の出発を見てきました。環境に優しい自転車をもっと見直す必要があると思いました。日本ではマラソン大会が定着していますが、「ツールド知多半島」など自転車レースによる町おこしも、一考に値すると思いました。
華やかなイベントがある一方で、深刻な地域経済状況があります。この間、アルザス・フラッシュコンテ地域で、フランス人が経営する工場調査を行っており、「危機」の実態を目にしています。今回は、「私の見た」フランスの中小企業問題について考えたいと思います。(工場での機械設備など、日仏通訳を交えてのヒアリングですから、日本での専門用語、関西弁などが通じない場面がたくさんあり、あくまでも「私がみた」範囲のものです)
コルマールから北へ30キロ位に、Benfeldという町があり、金型の開発と生産、プレスによる自動車部品を生産しているS社の工場を調査しました。(ガーミン社のカーナビは日本語にも対応しており、どこへ行くにも重宝しています。住所の入力だけでよく、レンタカーを借りてヨーロッパ旅行するには必需品だと思います。)まず、雇用面から気がつくことは、働いているのが正社員だけで、マイノリティがいないことです。不景気になると、派遣労働者には辞めてもらい、地元雇用の正社員だけでの操業、そして正社員も、週3〜4日勤務でした。この先、「もっと不景気になると、正社員のリストラを考える」と言っていました。
工場回りをして、この指摘は、どこでも同じであり、真っ先にリストラされるのは、「派遣労働者」だということです。これは、日本とフランスも同じですが、失業手当、給付期間、研修など、失業者に対する政策が違います。
そして、地元雇用とわかるのは、私に「ボンジュール」とフランス語で話しかけてきますが、部品をつくる従業員同士のコミュニケーションはアルザス語でした。私にはドイツ語?としか聞こえませんでしたが、そうではないようです。ここはフランス国でフランス語社会ですが、工場内での従業員のアルザス語ワールドは、まさに国境地域を垣間見た瞬間でした。
戦後、経済成長は日本と同じように繊維産業でしたが、国際競争にさらされ、この地域でも大手の繊維工場が次々に倒産しました。雇用の場がなくなり、多くの労働者は、ライン川を越えてドイツの工場に働きにでました。通勤時間は同じなのに、毎日の働き場所が外国で、賃金はドイツマルク、企業の社会保障制度もドイツ式が適用されました。今日でも、社会保障政策がドイツ型の遺産があり、フランスなのに、全国共通ではなく、アルザス独自の政策があります。
医療負担を例にあげると、アルザスでは、医療負担の比率が他のフランス地域よりも低くなっています。公務員はフランス適用なので、医療負担が重くなっており、同一地域での負担の不平等が問題となっています。
そして、ドイツからアルザスへの大量の工場進出による競争がありました。戦後、ドイツ企業がフランス市場へ進出する際、パリなどでは、まったくドイツ語を話す文化がまったくなかったようです。戦時のナチスドイツ、フランス語文化などの影響で、ドイツ語への抵抗感がかなりあるようです。そこで、ドイツ語が理解できる国境地域のアルザスは、フランス進出の最前線となりました。これに、アメリカ、日本企業なども便乗し、外国企業の工場進出ラッシュが続きました。アルザスのフランス企業は、ドイツ、外国企業との競争に巻き込まれました。全体の競争問題として、「ベルリンの壁」の崩壊によって、東ドイツ、東欧諸国、ソビエトなどの「社会主義国」の崩壊があります。東欧への工場進出によって、競争がさらに激化しました。
S社も、金属加工からはじまり、自動車部品の生産をメインに行っていましたが、80%から30%へ激減しています。生活していくために、食品、日用雑貨、住居関連など様々な分野にも進出しています。何でも作るという点では、東大阪的だと思いました。
日本では、愛知が自動車部品、信州諏訪では、精密電子部品と地域的に分けられていますが、S社は、非常に小さい精密電子部品と大きな自動車部品の両方の金型を製作しているのに驚きました。「自動車部品の金型とプレスだけなら、とっくにつぶれている」というのが印象的でした。自動車専用ではなく、いろんなものをつくり不効率に見えますが、だからこそ、生き残れたと言えます。競争の連続によって、どういう力が身についているのか、不景気だからこそ、考える必要があります。