厳しい現状だが商売続けたい
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ワイルドストロベリー
山田 音代 さん
名古屋市昭和区塩付通3−17−3
TEL 052−853−5087
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今月のターニングポイントは、名古屋市昭和区でアンティーク雑貨店を営む山田音代さん(昭和瑞穂民商会員)です。山田さんはフランスや北欧、米国のアンティーク雑貨に興味をもち、自分で集めるようになりました。いつかはアンティーク雑貨の店を開業したいと夢を持ちながら、デパートやブティックで販売員として働きました。
4年ほど前に、自分の出来ることからやろうと、働きながらインターネットでの販売を始めました。「自分の好きなもので興味のあるものから徐々に商品を増やしていきました。「アンティーク雑貨を購入する人はこだわりを持っています。知識も深い。そういう人達と知り合えることも喜びのひとつでした」と話します。
しかし「インターネットではお客様と目と目を合わせてお話しすることが出来ない。また、実際の商品を手にふれて選んでもらいたい。店を開くことで、同じ趣味をもつ人が集まれる場所になればと思います。アンティーク雑貨に興味がある人が集まるお店にしたい」と2年半前にお店をオープンしました。
山田さんのお気に入りのひとつにアメリカのレストランウェアーメーカー「ファイアーキング」があります。一九四〇年から耐熱ガラスを使用した食器を中心に製造していました。一九七六年に製造が中止されていますが、マグカップなど今でもファンがいて人気が高く、活発に取引がされています。「自分が気に入って大好きなものに囲まれ、それを仕事に出来ることは大変嬉しいです。お客様がお気に入りのものを見つける喜びを一緒に体験できることは幸せです」と話します。
お店を開き、オープンするにあたり、フランスや北欧にも直接買付に行き取り扱う種類を増やしました。コーヒーカップや家具、人形や洋服など、店内にはアンティーク雑貨がズラリと並んでいます。「まだ並べきれられない倉庫に置いてある商品がたくさんあります」と話します。欧米の物だけでなく日本の昭和時代のレトロ商品もあります。
「多くのお客様に来ていただいて、実際に商品に触れて選んでほしい。趣味があう人がくると本当に嬉しい。そんな人とのお喋りはとても楽しいです。商品だけでなく、人間関係も作れれば嬉しいです。同じ趣味を持つ人の輪をこれからも広げていきたい」と山田さんは話しています。
大好きなもので人のつながりを
愛商連共済会一泊学習会
業者青年対策 サマーキャンプ
愛商連は、9月12日・13日に犬山キャンプ場で、業者青年を対象にサマーキャンプを行い32名が参加しました。
この日は朝からあいにくの雨でしたが、参加者は集合時間前から集まり、ブルーシートなどを使って雨よけの屋根をつくり、地面にも水がたまらないように溝をつくるなど、みんなで創意工夫を凝らしながらキャンプを行いました。そんな努力のおかげで、予定通りバーベキューやカレー、鍋などをつくり、みんなで美味しく食べました。
家族づれで来ている参加者も多く、子供向けのメニューをつくり、親と一緒に食材を加工したりと親子のふれあいの場にもなりました。子供達は雨の中でも元気に走り回り、夜はインディアンのテントで宿泊し、普段の生活では体験できない貴重な体験をしました。
服部愛商連青年対策部長は「業者青年が集まり、みんなが主人公で力を合わせてキャンプをやり、楽しく交流できたので良かった。集まれば様々な知恵が出てくることも実感できた。初めてあう人も多かったと思うが、大いに交流できたことは、今後の愛商連、民商青年部の力になると思う」と話していました。
参加者は「雨で大変だったけど、親子で貴重な体験ができた。こういう場にまた参加したい。」「アウトドアは大変なことも多いけど、楽しかった」「子供も雨の中でも喜んでいた。楽しい思い出が出来た」などと話していました。
二日目は、午前中かけて引き続き「5つの分散会」で討論。午後から愛知医科大学の柴田栄治教授による「アスベスト問題」の講演、5つの分散会の代表発言がされました。「規約・運営規定がより深く理解できた。自主共済規制をはねかえす為に会員加入率80%を目指す」「会員加入率80%の意義がよくわかった」「昨年インフルエンザで一緒に仕事をしていた息子を亡くし、生きる気力を失ったとき、共済役員や婦人部に助けられた」という話も出され、人と人とのつながり、助け合いの大切さなど参加者の心が一つになった分散会でした。柴田先生の「アスベスト問題」の講演は、大変好評で、質問が次々と出されました。共済実務について、「知らないことがあまりに多い事を実感した。もっと学習が必要な事を痛感した」との声も寄せられました。
愛知県と「2010年度愛知県予算編成にあって」の交渉
愛商連は9月14日、愛知県と「2010年度愛知県予算編成にあって」の交渉を行い、県下全ての民商から120名が参加しました。県当局は、中小企業金融課など8名が対応しました。
太田愛商連会長が、要望書を提出し挨拶したあと、7名の参加者が自分の商売の実態を訴えました。「月100万円あった売上が、今では数万円しかありません。息子と商売を継続するために、2回の緊急保証制度を利用して商売を続けているが、先の見通しがたたない。中小業者が商売を続けられるように、事務所の家賃や電気代への補助をしてほしい」「トヨタ関連の仕事をしているが、仕事が激減し、病気にもなり機械のリース代が多大な負担になっている」「売上が二、三割に減っている。先の見通しが見えず、従業員の事を考えると不安でたまらない」など製造業者から次々と実態報告がありました。
「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の、県や自治体の対応について話し合いました。県当局は「国の指示に従い、県の財政が切迫している中で、インフルエンザ対策や公共の建物の耐震化などに使いました」と回答しました。また、「固定費の補助金については考えていない。20人未満の製造業者に毎月12万円の補助を2年間行うには1100億円が必要で、財政的に難しい」と回答しました。参加者からは、「交付金の主旨は、地域活性化です。それなら地域経済を支えている地元中小業者の為に使うべきだ」「捜査活動支援システムや教職員研修費に交付金を使うというのは、中小業者施策を軽視している証拠だ」「中小企業庁も交付金で固定費の補助は出来ると認めている。すぐにやるべきだ」と訴え、「月に12万でなくても、電気代の補助など、もう一度工夫し試算してほしい」と要望すると、宮崎中小企業金融課主幹は「補助制度についてはもう一度検討したい」と回答しました。
融資について、県の「制度融資は税金で行っている制度なので、税金の完納が融資の条件」という回答に、「国は通達をだし『滞納していても完納の見通しがあれば融資は可能』と変化している。県はかたくなに税金完納にこだわる。中小業者の実態が全くわかっていない」「全国でも税金完納を要件としているのは愛知だけ、すぐに改善するべき」「国の方針に従わず、県は別の立場をとることはいかがなものか」と問いただすと、「もう一度検討したい」と回答しました。
県交渉は毎年行っていますが、今年は、経済危機の中で、中小業者の営業とくらしが危機的な状況であることを強く訴えた交渉になりました。しかし、交付金の使い方や融資制度の改善などの県の中小業者施策は、中小業者の実情にあっているとは言えません。引き続き愛知県を始め自治体や国に私たちの実情を伝え、中小業者が安心して商売が継続して、くらしていけるように要求実現まで運動していくことが大切です。
愛商連共済会は、犬山市・迎帆楼において九月十九日午後一時から二十日に愛商連共済会一泊学習会を開催し、二二民商から六四人が参加しました。一日目は、鈴木義一理事長から、「全商連共済会第20回臨時総会方針」吉里政治副理事長が、「規約・運営規定の改正」鈴木正廣専務理事が、「共済の実務」の報告がされ、5つの分散会で活発に討論しました。夜の懇親会には、前進座俳優の益城宏さんから前進座名古屋特別公演「さんしよう太夫」の紹介・説経節やカラオケで大いに盛り上がりました。
今こそ56条の廃止を
民商婦人部・愛婦協では、10月8日の全国業者婦人決起集会に向け、所得税法第56条の廃止を求める請願署名に取り組んでいます。各民商では、ニュースや活動袋をつくって、五六条の説明をして署名への協力を呼びかけ、地元の国会議員の地元事務所へ訪問しています。各民商婦人部の奮闘で署名は1万5625筆集まっています。(10月1日現在)。
稲沢民商婦人部は、九区選出の岡本充功議員を訪問しました。対応した秘書は56六条に対する認識がありませんでしたが、「東京の秘書に伝えておきますので、東京へ行ったら訪ねてください。」と親切に対応されました。
尾北民商婦人部は、六区選出の石田芳弘議員と十区選出の杉本和己議員(どちらも民主党)を訪問しました。どちらも本人は不在で、秘書などの対応でしたが「帰ってきたら必ず伝えます。紹介議員になれるかどうかは党の意向次第」と回答されました。同時に「私たちの要求」と「5つの緊急要求パンフ」を手渡し対話しました。
愛婦協は、9月17日、18日の2日間で、県下の12団体へ、56条廃止を求める請願署名への賛同を求て訪問懇談活動を行いました。「他の税理士会が提出するので要望書に入れることはしていない。財務委員会に入る議員や地方自治体の議員に働きかけをする事が大切ですよ。女性連盟と積極的に懇談を持つようにした方がよい」とアドバイスされたり、「団体署名は出来ないが個人署名なら協力できる」と7名の役員が全員心よく署名をしたりと、協力的な団体が多くありました。
所得税法56条は「配偶者とその親族が事業に従事したとき、その対価の支払いは必要経費に参入しない」(要旨)となっています。
同居する配偶者や子供など一家で働いて得た収入はすべて事業主の所得になります。事業主の税金が高額になる上、家族従事者は、どれだけ働いても所得がなく、人権や社会的地位が保証されません。
これは、明治時代の家父長制における「家の財産は全て家長のもの」という考え方が今も残り、現在の憲法の下での男女の平等とはそぐわない制度で、民商・全商連は発足当時から56条の廃止を求めて運動しています。
春日井民商は、9月13日、毎年「秋の運動」のはじめに開催してきた班長研修会を行いました。
今年の研修会は、午前中、佛教大学の芳野俊郎先生を講師に「めげない小経営〓地域の文化型『深耕』をどうはかるのか」と題して地域経済の活性化についてお話をいただきました。
講演の中で「世界経済が「バブルリレー」で走り続けてきたこと」「昨年の「リーマンショック」は究極の貧困ビジネスが破綻したもの」「現状の経済ではさらに新たなバブルが作られる可能性がある」と指摘して「百年に一度」といわれる現在の不況状態を解明しました。
続いて、アメリカやドイツと比較しても日本の自営業者が減少していることにふれ「マイスター(匠)を創出する」ような事業継承・経営理念が必要だと話をされ、民商・全商連がそのような運動の形態を模索すべきであるとの指摘をされました。
参加者からは「バブルがはじけた原因がよくわかった」「職人としてだけでなく経営者としての自覚を強く持つことが必要だと感じた」などの意見が出されました。
午後は、午前の講演も参考にして「秋の運動」について討論を行いました。
森山会長から「秋の運動」のポイントについて報告があったあと、業者訪問のとりくみ、新しい「署名」のとりくみ、班会の開催などを中心に議論を進め、10月17・18日の全国会長会議、それに続く11・8国民集会に向けて取り組みを進めていくことを確認し散会しました。
希望者登録制度」を発足させました。市が発注する小規模な修繕の請負、業務の委託、物品などについて、入札参加資格審査の電子申請がしてない事業者を対象として申請を受け付け、登録しでおくものです。
容が軽易で、かつ履行の確保が容易なものとされています。小規模契約希望者登録制度は、すでに全国で四百を超える自治体(全体の23%)で実施されており、この地域でも、犬山市、扶桑町、大口町は、すでに実施されています。
尾北民商は、制度をつくれと繰り返し、交渉や懇談を重ねてきました。江南市は、最近までは他市町を研究したうえで、実施を見送る立場でしたが、この間の地元中小業者の経済危機が深まるなかで、改めて実施することになりました。なお、東よしき市議会議員(共産党)も何度か議会でとりあげてきました。
江南市の実施により、この地域では、岩倉市だけが実施されていないことになります。
新入会員歓迎会
名古屋南民商・星崎支部は、7月18日に新会員歓迎会を開催し、新会員をはじめ11人が参加しました。乾杯のあと、新入会員から自己紹介を順番にしてもらいながら、商売の交流をしました。
新会員は、「父親から商売を引き継いだのを機に民商に入会しました。いつでも、どんなことでも相談にのってもらえるのが良い」「これからもいろんな集まりに参加したい」と話していました。
参加者からは「商売を始めて約40年、こんなに仕事がないのは初めて」「こんなときこそ集まって話し合い、元気を出そう」など、次々と出てくる料理を楽しみながら、交流を深めました。
最後に名刺交換をして、「話しを聞くだけでは仕事の内容が分からない。今度、見学に行きたい」など今後につながる歓迎会になりました。
中村民商の岩塚・8社支部の8社班では8月8日に新入会員の学習・歓迎会を行いました。この春以降に入会をした二人の会員さんを含め6人が集まりました。はじめに民商の活動や班・支部のことを学習した後、食事を囲んでの交流会となりました。
新入会員のAさん(内装業)は中村民商の元会員さんの息子さんで、子どものころから、この地域に住んでいたので、歓迎会に参加をした会員さんのお店は昔から知っていました。話をしていくうちに、参加をした会員さんの子どもと同級生だったこともわかり、「身近なところにつながりがあるなあ」と昔の話や地域の話で盛り上がりました。
もう一人の新入会員のBさんは訪問介護の仕事をしています。売り上げが思うように上がらないと悩みが話される中で、参加した皆さんから「ほかの地域同様、お年寄りの世帯が増えている」と、地域の状況などの話を聞き、「必要とされている仕事なので、がんばらなければ」と話していました。
8月23日、昭和瑞穂民商瑞穂支部は、瑞穂商店街で訪問活動を行いました。2時間の行動で、二人一組で32軒を訪ね、商工新聞の号外を手渡し、十軒と対話し、九筆の緊急署名を集めることが出来ました。
商店主は「主人が亡くなり、私一人で店を営業している。息子は働きにいって後継ぎはいない。自分の店だからやっていけるが、食べていくのがやっとです。あなたたちも大変だね。頑張ってね」(用品店)、「最近、同業者が減って売上はあるけど、修理がほとんど。大型店で安売りされては太刀打ちできない」(自転車店)などと、厳しい商売の現状を話していました。突然の訪問でしたが、喜ばれ、快く署名に協力してくれました。昨年民商に入会した会員さんは「売上が芳しくないけど、ここで頑張るしかない。よろしくお願いします」と話していました。
瑞穂通でひとつしかなくなった市場は、奥の方では空き店舗が多く厳しい現状が伺えました。参加した役員は「シャッターが閉まっている店も多かったが、瑞穂商店街の現状はよくわかった。今度は他の商店街も訪問したい。」と話していました。
九条を守りたい思いをこめて
自分の技術を生かして、「憲法九条は絶対に守りたい」という思いから、九条のワッペンを作成し、稲沢九条の会で活用してもらっています。「工場の隣に、九条の会の事務所があり、その人達と話していた時に思い浮かびました。二年くらい前から活用してもらっています。自分の出来ることで力になれて嬉しいです」と話します。
シリーズDr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第103回
日本の中小業者の方向性について−日本・EU比較を通して−
稲沢市国府宮の近くで35年間刺繍業を営む島崎宏さん(稲沢民商会員)です。長野で生まれ育った島崎さんは、デザインの学校に通うために名古屋に来ました。昼間はアルバイトして、夜、学校に通いました。そのアルバイト先が刺繍店でした。学校を卒業して、デザインの会社に勤めましたが、思うような仕事が出来ずに、アルバイトで習得した技術を生かして、刺繍の仕事をすることにしました。「その頃は縫製業が盛んでした。毎日が多くの注文で忙しかった」と当時を振り返ります。島崎さんは主に新生児用の衣服への刺繍を行っています。刺繍の図案は、特に指定されない限り自分で考える島崎さん、デザイン学校で勉強したことがここで生きています。
海外生産のあおりを一番受けている繊維産業、「昔はたくさんいた同業者もこの地域で数件が残っているだけです。多くの仲間がやめてしまいました」と寂しそうに話します。一方で、「生まれたばかりの子供には良いものを着せたい」と、「純日本製」が見直されています。島崎さんの刺繍の入った衣服は、裁断から縫製まで、地元で行われ、この地方で販売されています。「自分のつくったものを売っている、着ているのを見ると嬉しいですね」と話します。
外国製の安いものが出回る中で、繊維業界全体ではなかなか展望が見えない状況ですが、刺繍技術を新しい分野で活用できないかアイデアを絞っています。「35年間続けてきた技術やノウハウを様々な分野で生かしていきたい。刺繍の良さを生かした商品を作りたい」と話します。
日本では戦後政治体制を構築していた自民党が崩壊し、民主党が政権を担っています。後期高齢者医療制度、障害者自立支援法などが廃止に向けて動きだしており、期待したいと思います。政府に対して、中小業者のためになる政策をどんどん提案しつつ、運動していく必要があります。
今回の留学で、アルザス地域の中小企業を中心に、ライン河を挟んで、ドイツのシュトゥットガルト(ダイムラー、ボッシュ、ポルシェなどの本社がある工業都市)からイタリア北部の企業も調査することができました。私の見た範囲で、EUの経済社会から何を学ぶべきなのか?考えてみます。
品質の向上と生産性の問題―「日本的生産システム?」―
現在、買物をする際、「商品は品質がよくて、なおかつ値段が安い方がいい」のではないでしょうか。この考え方は、買物だけではなく、ものづくりなど、すべての生活の場面でいえます。しかし、この考え方を再考する必要があることに気づきました。
今回、EUの企業調査を行い、品質と生産性の両方を絶えず意識するのは、日本だけではないだろうか(アメリカはフォード自動車のベルトコンベアでの量産システムだけ)?と思い始めました。現在、日本の自動車部品生産は、いかに工程を削減し、コストダウンをどう進めるのかが問われています。プレスの後工程である、切削いらず、研磨レス、溶接いらずなど様々な形で工程を削減する努力が日々、追求されています。いままで、5つの金属部品で溶接して組み立てていたものを、プラスチック成形で、新しい樹脂部品一つに置き換えています。
この工程削減、新生産工程への置き換えを実施しつつ、部品価格のコストダウンも同時に進めています。まさに「コストダウンと品質向上」がクルマの両輪であり、頭のなかは、このことの追求で一杯です。典型的な事例は、トヨタ自動車です。トヨタはCCC21など、猛烈なコストダウンを実施してきましたし、現在の不況を乗り切るためにも、さらにコストダウンを進めています。
しかし、この考え方は、トヨタだけではなく、日本のものづくり業界全体にも、言えることではないでしょうか?イタリアで日本企業関係者との会話で、「日本の中小企業はコストダウン、そして品質を向上させることを毎日考えていますが、仏・独・伊で見たことがないので、日本のような事例を探しているのですが?」と問うと、「そう言われると聞いたことがないですね」と返事が返ってきました。『日本の中小企業経営者と話しをすると、すぐに「コストダウンと品質向上」の話しになりますが、こちらでは聞かないですね』と。そこで、どうして仏・独・伊ではないのか?考えてみることにしました。
「社会的効率、共生、ワークシェアリング」と日本的生産効率
生産工程を削減すると、「切削いらず」など、いままであった工程がなくなります。こちらでは、このことを考えないのです。つまり生産工程の削減〓今までこの工程を担っていた労働者の仕事がなくなる〓失業の発生〓自分と一緒に住んでいる地域の友達が困る〓だから、みんなが困ることは考えないのです。『日本から来て、工場内をまわりいろんな「無駄」を発見し、これは削減できると、色々指摘しても、それを担っているワーカーの仕事がなくなるからと、相手にしてくれない』のも同じです。
フランスでは犬の糞がいたるところに落ちています。日本では飼い主が責任を持って処理するのが当たり前で、糞を処理しない人は、自分勝手だと批判します。こちらでは、処理しないのが当たり前で、糞の処理は、糞を処理する労働者に任せられています。「イギリスに住んでいた時、家の前を掃除しようとすると、おこられた。理由は掃除業者の仕事がなくなるから」と昔、先生から聞いたのを思い出します。
こちらでの生活の基本は、「共生」だと理解できます。だから、労働現場であれば、ワークシェアなのです。自分だけが仕事をしているのではなく、みんなと一緒に仕事をしており、労働者は同じコミューンの仲間なのだと。
だから、労働者を削減することにつながる、「切削いらず」などは頭から考えない。そして、「品質を向上させれば価格はあがるもの」だと考えています。日本では、車の両輪のように「コスト削減と品質アップ」を一体として考えますが、こちらではそうならないのです。
自分だけ、自社だけがいいという効率ではなく、社会的に見てどうなのかが問われています。