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  愛知商工新聞
第185号(2009年11月10日発行)
発行:愛知県商工団体連合会
〒456−0018 名古屋市熱田区新尾頭1丁目4番3号
Tel:(052)679-6911/Fax:(052)679-6912
目次
ターニングポイント〜ステラ プリンス 伊藤 泰浩 さん(29歳)
人権無視の税務調査や徴収をやめろ!納税者の権利を守れ!〜名古屋国税局交渉
街に基地はいらない〜第13回小牧平和県民集会
10・17全国会長会議
日本政策金融公庫交渉
支部活動の大切さわかった〜愛商連支部役員学習会
Dr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第103回

厳しい現状だが商売続けたい

伊藤 泰浩 さん
ステラ プリンス
伊藤 泰浩 さん(29歳)
名古屋市中村区太閤通7−15
TEL・FAX 052−483−2777

中村区太閤通で洋菓子店を営む伊藤泰浩さん(29歳、中村民商会員)。実家が熱田区で和菓子屋を営んでいたため、高校生の時には、洋菓子職人になることを決め、専門学校に通いました。卒業後は、名古屋の洋菓子店や和菓子屋の実家、東京へ修行に行きました。いつかは自分の店が持ちたいと考えていた伊藤さんは、ケーキ店の空き店舗があることを友人に紹介され、2年前に今の店をオープンしました。


食べて美味しく目で見て楽しい

店には季節のフルーツを使った、色とりどりのケーキが並びます。春から夏の時期は、傷みやすく、お客様もケーキよりゼリーを好まれます。ケーキは、秋から冬に需要が高く、品揃えを充実させています。本格的で綺麗な美味しいケーキをお手頃な値段で提供している伊藤さん、定番メニューに加え、季節感のある新作商品で、お客様に飽きのこないような工夫をしています。


大好評の誕生日ケーキ

また、お誕生日ケーキに、クリームで文字やイラストを描いています。「特別な日を、思い出に残るケーキで提供したくて始めました。描いてほしいイラストを持ってきてもらってつくっています。手間は掛かりますが、お客様から『子供が大変喜んでいた』との話を聞くとホントに嬉しいです」と話します。このオリジナルケーキはクチコミで広がって、注文が増えています。


季節感のある店づくり

お気に入り見つけて

営業時間は朝9時半から夜8時半です。お客様は、自転車でご来店される地域の方がほとんどです。ケーキやクッキーなどの焼き菓子もすべて手作りの為、朝は五時から市場に行き、7時からケーキを作り始め、準備をします。午前中は年配の方が多く、クッキーなどがよく売れます。昼からは綺麗なケーキがよく売れ、夕方には仕事帰りのお客様が多くみえます。時間帯によって人気の売れ筋商品が変わるので、お客様の要望に合わせられるように品揃えをいつも注意をしています。年配の方がお孫さんの為に買っていかれることも多く、目で見ても美味しいケーキや季節感のある商品を並べています。取材にうかがった時は、ハロウィンのパンプキンカップに入ったクッキーや紅葉をイメージしたお菓子などが並べられていました。「季節感を大切にしています。年配の方から子供まで、お客様が行くことを楽しみにしてくれるようなお店にしたい。新しい企画をはじめるとお客様の反応や変化が直に伝わってきて嬉しいです」と話します。


周りの人に励まされて

開店から2年間は、兄と一緒にやってきました。兄に経理や接客を任せていましたが、私が今年の夏に結婚したので、夫婦で店を経営することにしました。「兄の接客姿勢や経営方針の考え方は大変参考になりました。兄がやっていた分もこれからは二人で力をあわせてやっていきたい、開業前に思い描いていたお店になるよう、一歩ずつコツコツとやっていきたいです。そして、設備や内装も前の店のままなので、いつかは自分の思い通りの店に改装したいです」と夢を話してくれました。また、「店を開業して、苦労したこともありましたが、周りの人に助けられました。お客様や取引先や従業員、自分がここで店を開かなければ出会わなかった多くの人に助けられてやってこれたことが、一番嬉しいです。」と話します。


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人権無視の税務調査や徴収をやめろ!納税者の権利を守れ!

名古屋国税局交渉

名古屋国税局交渉

愛商連は、10月9日(金)午後3時半から一時間余の交渉を行いました。名古屋国税局からは、岡本名古屋国税局総務課・課長補佐、岡嵜名古屋国税局総務課・総務第三係長が応対しました。愛商連から太田会長はじめ八名が参加しました。

太田愛商連会長が要望書を岡本課長補佐に手渡し、挨拶をしました。岡本課長補佐からもあいさつがありました。この後、事前に渡してあった要望書に対する回答がありました。

税制改正については、「お答えする立場にない」として、上部に伝えると回答しました。

税務行政について次のように回答しました。

■「七年分の調査ができる」は、「いつわり、不正の場合七年できる」であって、「はじめから七年分見せろとか、資料を預かることはしていない」。
■滞納相談について、「近年、滞納者が増えている。申告してもらっても滞納にならないよう、滞納発生状況により、分割納付の場合、担保として手形、小切手をお願いする場合がある。行き過ぎにならないように指導をしている」。
■個人の白色申告者で消費税の申告をしている納税者に「元帳があるか、無いなら消費税の仕入税額控除を認めない」と「納税者を脅迫するような言動をやめるように」との要望について、「脅迫するような職員はいない」と回答しました。
■「税務運営方針の徹底」を要望「折を見て話すようにしている。職員が自覚して職務に当たるようにしている」と回答しました。
■調査理由の開示について「調査を限定するような理由は言えない」として、「質問検査権の行使の必要性」を示しませんでした。反面調査については「署員の判断で必要最小限に行っている」と述べました。
■白色申告者の更正・決定処分の理由付記を要望しましたが、「義務付けられていないので付記しない」と拒否しました。又、修正申告の「慫慂(しょうよう)はしているが、強要はしていない」と回答しました。
■税務調査の可視化について、「受けたまわる、秘密保持のためことわる」と回答しました。
■要望の文書回答について、「するつもりは無い」と回答

熱田税務署の職員が「申告は仮の申告で、税務調査で確定する」(国税通則法を否定すること)と言い放った。総務課長も、追認した。申告納税制度を否定するもので許されない」。

補佐の回答は「申告して確定することはそのとおりと認め調査・指導すると約束しました」。

西民商の会員が国税特別徴収官から電話で「お宅は分納の約束を守らなかったので、残りを一括で払ってほしい。でなければ売上げを差し押さえる」。奥さんは「今年に入って売上げが激減し、納められなかった。相談に行きます」。署員「払えないのに来てもらってもしかたがない。こちらからいく」。

税務署交渉の後も「娘さんを保証人に、先日付小切手を切るように、売れるような新しい機械はないか」などの不当な言動に抗議しました。補佐も「調査します」と回答しました。

納税の猶予の不許可理由について、該当項目の記載がされていると回答しているが、「何項に該当しないので却下」と記載している。なぜ該当しないのかの理由の記載をしてほしいと要望しました。

名古屋西民商と北名古屋民商は、9月18日に8名が参加して西税務署交渉を行いました。

交渉の中で西民商会員のAさんは、特別徴収官から「分納の約束が守られないので一括で払うか売上を差し押さえる」と言われ、相談に行くというと「払えないのに来てもらってもしょうがない」といい、来店時の民商の立会があると何も言わずに帰り、本人だけになると「融資を受けられないのか、担保を出してほしい。小切手を切ってほしい」と執拗に迫る実情について、「商売が大変な状況は全く理解してもらえないのか」と怒りをこめて語りました。また会員のBさんは、商売が大変なことを署員に話すと「そんな状況なら税務署も早く手を打たないといけない」と言われゾっとした経験を話しました。これに対して総務課長は「言葉づかいや横柄な態度などは、研修で総合調整していく。」と答えました。

また、納税猶予の規定には、病気やケガだけでなく売上の激減でも納税猶予を認めるべきです。国会でも経済環境の急激な悪化も適用要件にはいると国税局次長は答えている」と迫りました。税務職員の暴言が相次ぐ中で、調査や納税相談で第三者の立会を認めるように要望しました。


所得は申告では確定しない?熱田税務署員が暴言

名古屋南民商の会員で今年夏に税務調査になったAさん、商売を始めて30数年で初めての調査です。

調査の際に、「どうして私が調査になったのか聞きたい」というと署員は「所得金額は確定申告で確定しているわけではなく、調査して初めて確定する。」と暴言を吐きました。これには、Aさんは「それなら私は30数年間の所得はまだ確定していないのか」と追及し、立ち会った役員は「今の言動は国税通則法第16条に違反した発言で許すわけにはいかない。」と抗議しましたが、署員は一切返答をしませんでした。

あまりにひどい言動に一日目はこれで終了し、3日後の調査では、「申告で確定していますが、改めて確認したい」と言動を一転させましたが、一回目の暴言への謝罪はありませんでした。


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街に基地はいらない

第13回小牧平和県民集会
第13回小牧平和県民集会

9月27日〓春日井・西本町公園で「ブルーインパルスは小牧基地に来るな、空中輸送機の小牧基地配備と基地機能強化反対、米軍機来るな、自衛隊は海外から〜撤退せよ、憲法違反の海外派兵恒久法の阻止」などの要求を掲げて第13回小牧平和県民集会」を開催しました。

今年の航空祭での曲芸飛行を中止させることができました。運動の成果として、確信にすることが大事との訴えがありました。しかし、航空祭の当日は、7機のブルーインパルスを会場に展示したり、戦闘機の編隊飛行を朝9時から午后3時までくりかえしました。

集会のあと、小牧基地に向け、デモ行進を行いました。行進では、元気にシュプレヒコールを行って沿道の市民に訴えました。




10・17全国会長会議

10・17全国会長会議

10月17日、18日千葉の幕張メッセで、全国会長会議が開催され、愛知から24名が参加しました。この会議に向けて、「会員比一割の商工新聞読者を増やそう」と奮闘し、県全体で401名の読者を拡大、天白、港、瀬戸旭、春日井の四民商が目標を達成しました。参加された会長の手記をご紹介します。


民商運動の先頭に立って

港民商会長 志治 広和

会長になって五ヶ月、初めての会長会議に、愛知県を代表しての発言という任務を背負って、プレッシャーの中で参加しました。そして、この会議に向けて、会員比10%商工新聞拡大(82名)を、役員・事務局員の大奮闘によって、85名と超過達成して意気揚々と送り出していただきました。

2日間の会議で、全国津々浦々で、こんなに多くの会長が、まさに中小業者の営業がドン底に追い込まれている中で、税務署や保証協会、自治体を初めとした交渉などで闘いながら、民商運動に全力を挙げて奮闘していることに感動しました。

会長の役割、構え、決意が本当に重要で決定的であり、会長と事務局長が状況や情報などを常に共有し、共通認識を持つことが不可欠であると思いました。

例えば、チラシを新聞の休刊日にむけて配るなど、具体的な行動や工夫など、参考になる発言も多く聞くことが出来ました。

代表発言を準備する中で、港民商の現状について整理することができ、役員・会員と事務局員の大きな力に依拠して、先頭に立って頑張る決意を固めることが出来た、私にとって大きな意義のある会議になりました。


原点に返り、大きな民商を

瀬戸旭民商会長 大野 芳治

会長になってから、今回で三度目となる全国会長会議に参加しました。今回は政権交代もあり、政治的な議論は大変勉強になりました。また、全国の会長が会員数の激減と集金・配達体制の確立が思うようにすすまないと悩んでいました。民商の原点である「集まって、話し合い、相談し、助け合って営業と生活を守る」この事が求められていると強く感じました。

会長会議にむけ、「増やしてこそ民商」と会員比一割の商工新聞読者拡大にとりくみました。瀬戸旭民商では、役員会で「拡大目標をなんとしても達成して、会長を送り出そう」と一丸となって奮闘し、愛知で最初に目標を達成達成することができました。今回の会議でも拡大についての様々な困難が話されましたが、それでも目標を達成している多くの民商がありました。閉会挨拶で「減っている民商は、増えている民商と何が違うのか、常に問題意識を持ってほしい。その追求なしに大きな民商はつくれない」と話されましたが、私はその通りだと同感しました。

民商の原点に返り、仲間で知恵を出し合って要求を解決し、さらに大きな民商を建設したいと思います。


全会員運動で目標達成

天白民商 牧田 充生

天白民商は、会員が234名、読者が345名で事務局員が一人の民商です。今度の秋の運動では、会員比一割の読者拡大運動に取り組みました。しかし、9月は、会員が2名、読者が五名と目標残は、10以上でした。10月に入って役員会で議論し、「10月11日に拡大統一行動を行い、18名の読者拡大をなんとしてもやりきろう」と意思統一しました。そして、拡大競争をしようということで、10月5日に春日井民商へ役員8名で訪問、翌日は瀬戸旭民商に七名で訪問した事が、大きな契機になりました。統一行動では、10日に5名、11日に4名の拡大ができ、残り九部となりました。この日から連日役員が目標をやりきろうと奮闘し、15日の愛商連常任理事会の途中で、拡大推進委員長から「目標を達成した」と報告があり、最終的には、26名の読者を増やすことができました。

現勢が減少する中で、「このままでは民商がなくなってしまう」という危機感の中、多くの方の奮闘で目標を達成できた事は、今後の大きな力になると思います。12月までの業者訪問を中心に、会員さんにもどんどん声をかけて元気のでる民商活動をしていきたいと思います。


日頃の疲れをリフレッシュ

中川民商共済会

9月21日、中川民商は、43名の参加で下呂温泉への共済会バスハイクを開催しました。

シルバーウィークで高速道路は大渋滞し、一時間遅れて下呂へ到着しました。旅館では、土瓶蒸しや飛騨牛などの昼食を食べて楽しく会食し、カラオケや踊りで大いに盛り上がりました。食事の後は、温泉で汗を流し、日頃の疲れを癒していました。

帰路では、ガン封じ寺へ参拝し、楽しい秋の1日を過ごしました。



日本政策金融公庫交渉


日本政策金融公庫交渉

愛商連は、9月28日、中小業者への融資円滑化を求めて、日本政策金融公庫の名古屋支店と懇談しました。

政策金融公庫は、「税金滞納のみをもって融資を断ることはしない。融資を断る場合は具体的な理由をお客様に言っている。返済条件の変更は、お客様の状況と要望をうかがって対応している」と発言しました。参加者からは、「固定資産税の滞納を理由に融資を断られた」「ハガキ一枚で融資を断られた」など発言通り運営されていない事例を示し告発しました。公庫は、個別の事案は回答できないとしながら、本部と関係支店に伝えることを約束しました。

参加者は、後日、対応の是正を求め、各支店へ要望書をもって交渉し、再度融資を申し込みました。


金融庁が金融の状況の聴き取り

金融庁から久野県連融資対策部長に、「中小業者融資において、金融機関の貸し渋り・貸しはがしの実態を教えてほしい」と連絡があり、九月五日午前に東海財務局理財部金融調査官の稲垣路生氏が、久野副会長を訪れました。

調査官は亀井金融大臣の意向を受け、実態を聞きに来たことを伝えました。久野副会長は「私たち中小業者には銀行が直接貸し出す(プロパー)融資はほとんどない。私たちには、保証協会の保証がない限り、融資はしていない」と前置きした上で、「緊急保証制度は、経営危機に苦しむ中小業者には貸し出されていない。税金の滞納や将来の見通しがない事を主な理由に断わられています。大企業でさえ見通しがない、零細業者は必要な資金を借りて、返済猶予据置の二年の間にどうやって商売を立て直すか考えたいと思っている。金融機関も信用保証協会も従来通りの審査を行い、厳しいところには融資(保証)をしない。これでは中小業者は商売を続けられない。今の現状を打開するためには、金融安定化特別保証のようにネガティブリスト方式にするべきです」と話しました。

調査官は「税金滞納など貸し出し条件の緩和など、その都度通達を出して金融機関などに徹底していましたが、実情はよくわかりました。これからも実情を知らせてほしい。通達などと違う対応がされるようであれば指導したいので、お話をお聞かせ下さい」と話しました。また調査官は「大企業には、仕事を内製化せず、中小業者に仕事をだすように言っている。エコカーでも中小業者に何が出来るか調べてほしいと呼びかけています」と話しました。



支部活動の大切さわかった

愛商連支部役員学習会
愛商連支部役員学習会

全商連の「制度学習大綱」にもとづき初めての愛商連・支部役員学習会が10月4日愛知芸術文化センターで開催され、21民商84人が参加しました。

今回の支部役員学習会は、久野愛商連教育・学習・商工新聞対策部長が開会のあいさつ、服部愛商連副会長が「民商・全商連運動の基本方向と支部活動、班活動」、板平愛商連副会長が「支部活動のすすめ方、支部・班の建設」の講義を聞きました。午後からは、DVD「私たちの民商」を鑑賞、太田愛商連会長が「産業構造の変化に対応した、中小業者の仕事」などについての報告、名古屋南、春日井、岡崎の3つの民商から代表発言が行われ、会場の参加者の質問に答える全体の討論が熱心に行われ、森田愛商連副会長の閉会あいさつで終了しました。

「今日、学んだことを民商での支部・班づくりに生かしたい。やる気、本気、根気で頑張りたい」「一日参加して、民商で大いに努力したい」「太田会長の産業構造の変化に対応した、中小業者の仕事についての話は、真剣に聞きました。息子とも話しをしています。もっと聞きたい」など、学習会に参加した役員の積極的な感想が寄せられました。



 

シリーズDr.Inouchi井内尚樹の腕まくり指南 第104回

日本の中小業者の方向性について−日本・EU比較を通して−

「公園で子供を見守る親たち」

名古屋市守山区で、自動車のメンテナンスを行う松下時男さん(60歳、瀬戸旭民商会員)。学校を卒業して、ディーラーで欧州車の整備士として勤めました。35歳の時、独立し25年が経ちました。


個性が光る欧州車の魅力

「欧州車の魅力はなんといっても、個性豊かなこと」と話す松下さん、お客様は、そんな欧州車を愛する人の口伝えで広がっています。しかし、ヨーロッパの気候や交通事情に合わせてつくられている欧州車は、日本で乗ればどうしても修理が必要になります。真夏の暑さと湿気、高速道路中心の欧州と違って、市街地での渋滞など日本の交通事情は、欧州車には過酷なようです。1960年代〜70年代の車を得意としていますが、古い車は部品の調達にも手間が掛かります。エンジンやホースなど一つ一つを点検しながら解体し、もう一度組み立てて修理します。中には数年掛けて修理する車もあります「手間が掛かるぶん、やりがいがあります。一台一台個性があり、愛着がわきます」と話します。


長年の経験で要望に応える

日本車に比べ部品が高価ですが、インターネットも使いなるべく安く調達し、お客様の負担が少ないようにしています。内部構造も車種によって個性があり、長年の経験が役に立ちます。「メーカーや年代によって、構造が違い、壊れやすい箇所が違います。お客様に状況を聞いただけでは判断できない。修理したことのある車の知識でこれまでやってこれました」と話します。


同業者とのネットワーク

それでもめずらしい車の修理を頼まれれば、同業者の人に知恵を借りることもしばしばあります。「わからないところは教えてもらい、私が知っていることは教えてあげる。専用の工具が必要な場合にも貸し借りしています。個人でやっている同業者同士そうやって、協力しています」と話します。最近の車は、電気で制御する部分が増えて修理が難しくなっています。


大好きな仕事いつまでも

「自動車業界は、変化しつつありますが、往年のヨーロッパ車はこれからも愛され続けると思う」と話す松下さん、「私も個性のあるヨーロッパ車が大好きです。いつまでも、お客様に頼りにされるお店であり続けたい」と話します。

日本に帰ってきて、2週間程度過ぎましたが、あまりに忙しく、フランス気分は吹き飛び、いきなり日本モードです。先日、フランスで訪問したY社の方と駅前で会いました。名古屋料理ということで、「手羽先」を食べましたが、店での注文はタッチパネルです。注文をとる従業員の大幅な減少です。

絶対にフランスなら、合理化だということで大反対が起こるだろう。そして、パネルとにらめっこではあまりに味気ない、今日は何がおいしいなど、コミュニケーションを通じて、料理は楽しむものではないだろうか?


子供は社会の宝もの

―社会にとって大切なもの―

フランスの08年の出生率は2・02人であり、ヨーロッパで一番です(日本は1・37人)。コルマールの街中、公園を歩くと、いたるところで2人用などのベビーカーを見ることができ、子供の多さを実感します。

日本でも出生率をあげるためにフランスの子供手当などの諸制度を参考にしはじめたようです。マスコミ報道を見ると、「いくら手当を支給するのか」、財政問題とリンクさせて議論しているのがあります。そして、子供のいない家庭は、手当がもらえないなど、不公平感を助長する議論もあります。

フランスでは、子供には20歳になるまで家族手当が支給され、出産前後の休暇、80%の給与保障、教育費の無料化(大学の学費も安い)、各種手当の支給、職業訓練など、様々な制度が用意されています。子供は社会がサポートしており、そして、学生も同様の支援があります。

写真は公園で遊ぶ子供を両親が見守っている風景です。地域社会では、子供を親が「ちゃんとみる」というルールがあります。晴れている場合には、子供を散歩に連れて行くことは常識です。私の大家さん宅には1歳になる子供がいましたが、よく子供と散歩に出かけていました。一見、子供は親のもののように思われますが、そうではなく、子供は社会の宝ものだと聞きました。

「財政が赤字だから」などの理由で、家族手当を削減するなどという議論にはなりません。日本とフランスでの議論するフレームの違いに驚きます。日本では、社会にとって必要なものの優先順位を、子供に限らず再検討する必要があります。今の労働者、中小業者の位置を根本的に変える必要があります。


環境対応型経済の構築に向けて

21世紀に入り地球環境問題に対応した経済システムの構築を目指さなければなりません。鳩山首相も国連気候変動サミットで「温室効果ガスを90年比で25%削減」を明言しました。中小業者も自らの営業に環境問題を正面にすえる必要があります。

滞在先のコルマールから車で30分位東に行くと、「環境首都」で有名なフライブルク(ドイツ)があります。愛知から来た建設会社の社長さんらと一緒に、エコ住宅を見学に行きました。このエコ住宅は、年間の冷暖房費がほぼゼロであり、屋根の太陽光パネル発電の電力は電力会社が買い取っています。

ガイドさんに対する質問は、建設技術に集中し、それだけした。「どのような断熱材なのか?」、「特別なものではなく、ホームセンターで売っている普通の断熱材です」、「どれだけ発電効率のいい太陽光パネルですか?」「日本の太陽光パネルはいいですね」などのやりとりでした。こうした質問を連続的に、ガイドさんがだんだん怒りはじめたのです。理由は、質問が技術的な問題に集中したからです。

ガイドさんが説明したいのは、技術ではなく、エコ住宅に住んでいる人たちのことを問題にしたかったのです。技術の効率性にのみに注目する日本人は、まちがっていると見たのです。環境技術は日本が世界のトップレベルであり、ドイツの技術レベルを聞いても仕方がないのです。

問題は、エコ住宅に住んでいる人たちが、環境問題にどう対応しているのかなどであり、環境技術のウエイトはそんなに大きくないということ。

エコ住宅はコーポラティブハウスであり、建築士が環境を意識したエコ住宅を提案し、新聞などで広く入居者を募集します。応募者は住宅を建設する前に、「どのような環境住宅」にするのか、徹底的に話し合います。2年以上も議論する場合があり、結果入居を取り止める人もおり、また入居者を募集します。環境に取り組む人間自身のシェアリングが問題であり、環境技術ではないのです。

ガイドさんの一言で、私自身の技術・経済効率一辺倒の思考回路を大いに反省し、本当に大切なものは何かがわかりました。新しい枠組みでの中小業者論を構築する必要があります。