ライブ開始のブザーと共に暗転。ざわついていた会場内が静まりかえった。
バンドの派手なオープニングのサウンドが、ROBERT DAMPERの弾くピアノのソロ演奏によるイントロへ移りゆくと同時に、
過去にライブにきたひとたちだろうか、何割かの観客たちが客席の後方へ振り向くように注目した・・・
イントロが終わるか終わらないかのタイミングで、左後方の入場ドアにアルトサックスを手にしたケニー・Gが登場した。
Home
ライブアルバムでおなじみのアルトサックスによる、ゴスペルワルツ調の曲。聴き馴染んだテーマもそこそこに、
アドリブプレイに移行。私は彼のアルトサックスのこの曲が好きだ。低音よりも高音、
それもフラジオ音域のハイトーンを多用してパワフル且つテクニカルなアドリブフレーズを、
決してブローしないクリアな音色で奏であげる。客席内の通路を歩きながら、時には立ち止まり、
観客を見つめ、握手をしながらのプレイ・・・静かでスイートなソプラノサックスのイメージしか無い、
ライブが初めてのファン達が、驚嘆する瞬間。
(このあと、お約束となった客席前方に設置された、お立ち台へ。東京の5日のライブでのことだが、
お立ち台のすぐそばの通路際のシートの方が、きっと思っても見なかったことだったのだろう、ハンカチで何度も目を拭う光景を見た。
ケニーも気が付いていたようだ。よほど感動されたのでしょう。)
Silhouette
マネージャーのGaryからソプラノサックスを受け取ると同時にシルエットのピアノ演奏のイントロが流れ始める。
スローテンポのソプラノサックスのメロディー・・・・・・・・。ロングトーンへ。時折お立ち台の上で回りながら、
お辞儀をしたりしながらサーキューラー・ブリージング(循環呼吸)によるロングトーンを披露。お立ち台を降り、
ロングトーンをつづけつつ、通路際のお客さんと握手をしながら移動しステージへ・・・
ロングトーンからテーマに移ると同時にバンドの重厚なサウンドが一気にホール内の空気を熱くさせた.
Sade
ライブアルバム・ビデオでもおなじみの定番・・・シャーデー。
ホームにつづくアルトサックスによる2曲目の演奏。ホームでのアドリブプレイにも通じることだが、
アドリブプレイにテーマのフレーズを繰り返し、繰り返し取り入れて会場の空気をどんどん盛り上げていく・・・・。
彼の演奏スタイルを、「黒くないソウルミュージック」と言われることがしばしばあるが、それはこうした演奏手法による。
Everlasting
イントロが始まったとき、ちょっと驚いた。もちろん私はこの曲をしっているけれども、この曲に関してはノーマークだった。
実は、この「Everlasteing」という曲は国内発売のアルバムには収録されていない。輸入盤の「Ultimate
KennyG」というベストアルバムの1曲目に収録されている。雰囲気的には、センチメンタルに共通するところがあるので、
そのかわりだったのだろうか?。大阪では、ここでセンチメンタルが演奏された模様である。
(ケニー・G挨拶 )
「ワタシノ、ニホンゴハ、アマリウマクアリマセン・・・。」
名古屋では、来日間もないからか、東京にくらべて比較的日本語は少なかっただろうか。
時折考え込むように、一生懸命日本語を話すのは、サービス精神旺盛な彼にとってはなた一つの彼のご愛敬だといえますね。
「ツギノキョクハ、アルバム、ザ・モーメントカラノ・・・ハバナデス。」
Havana
タイトルから察するに、キューバのハバナをイメージしたのだどうか。ルンバのリズム。ステージを歩きながらの演奏。
JOHN RAYMONDのギター演奏の脇へ歩み寄ってみたり速いテンポでのフレーズを小気味よく奏でる。曲の後半から、
パーカッションのスティックさばきとリズムが強くなっていく・・・。
(RON POWELL パーカッション・ソロ )
日本には、彼のファンは本当に多い。パワフルで且つ、愛嬌いっぱい。
自分の持ち場であるパーカションのセットでの演奏にはとどまらない。我々も、彼のステージ中央でのパフォーマンスを待っているのだ。
VAIL JOHNSONがRONの後ろでドラムスのJONATHAN MOFFETTと一緒になってタムタムドラムをたたいて、
彼のパフォーマンスを盛り上げる。名古屋と東京の最終日では、手に持った小さなドラム(?)の裏側から擦るようにして、
“悩ましい“・・・ウッフンサウンド(といえば良いのか?)で場内を沸かせた。
一部の情報によると、彼は最近LASambaという自分のBandでの活動もしているようだ。
(こうした情報も、今後くわしく調べてお知らせできたらと思う。)
G Bop
前奏なしのケニーのソプラノサックスのフレーズからスタート。アルバム「ブレスレス」を彷彿とさせるリズミカルなフレーズまわし。
(VAIL JOHNSON ベースギター・ソロ)
伴奏のリズムがかわり、ケニーに促されるようにVAIL JOHNSONがステージ中央に躍り出てベースギターのアドリブパフォーマンス。
彼は自分のリーダー作アルバムを2枚と、他のバンドでのライブ演奏の収録アルバムをすでにリリースしているが、
こうしたソロの場では、そのアルバムでの演奏を彷彿とさせるパワーあふれるベースギターを聴かせてくれます。
(みなさん、是非彼のアルバム聴きましょうね。「Terminator」の出だし部分、渋いです。)
Innocence(大阪、神戸、東京5日)
名古屋では無かったこの曲は、アルバム「The Moment」から。伴奏はROBERT DAMPERのピアノだけ。
この曲は、彼の子供達を思って作られた曲とのことで、静かな雰囲気がそれをよくあらわしています。
The Moment(東京両日)
ピアノのイントロが始まったとき、一瞬何の曲なのか判らなかった。メロディーをケニーのソプラノがメロディーが
流れると同時に、拍手がわき上がった。拍手に軽く頭を下げるように演奏しながら応えるケニー。前回はこの曲は
演奏されなかったので、今回は是非とも聴きたい曲だった。アルバム発売当時には、日本航空のコマーシャルソングに採用、
2001年のお正月には、TBSの特番「あなたの願いかなえまひょかスペシャル」でのエピソードでとても有名になりました。
ライブでの演奏は、アルバムよりも少し速いテンポで、滑らかななかにもキレのあるメロディーライン。
Brazil(名古屋のみ)
サンバのリズム・・・ケニー・Gの曲の中では異色。前回2002年のツアーは、アルバム「パラダイス」はまだ発売前だった
こともあり、このアルバムから演奏されたのは、当時バンドメンバーが「2-Hip」と呼んでいたアルバムタイトルである「パラダイス」のみだった。
この「Brazil」も次の曲と共に初披露となった。
Malibu Dreams
私は、この曲の演奏は全く予想外でした。
しかしながら、メロディックな旋律と、ドラムの刻むリズムの絡みが絶妙なこの曲はライブでも十分映える。
「Brazil」のサンバのアップテンポのスピード感から、この「Malibu Dreames」へのつなぎは
聴くものにとってはとても心地よいものだったように思う。
JOHN RAYMOND ギター・ソロ
Malibu Dreames のメロディーから一転、赤いギターを持ったJohn Raymondがステージ中央へ。
前回までは比較的控えめでアコースティックな雰囲気であったが、今回は前面に強烈なソロを展開。
ケニー・Gライブビデオでのプレイを彷彿とさせるパワフルなギタープレイだった。
Forever In Love
今さら言うまでもなく、グラミー賞最優秀インツトゥルメンタル作曲賞受賞曲。
お客さん達も、その辺はよく知っているからか、イントロが流れ始めただけで拍手が起こる。
アルバムそのままのテーマと、少しフェイクされたブリッジのメロディーライン。
ソングバードと共に、ケニー・Gといえばこの曲を忘れてはならない・・・This is KENNY G !!
Summertime・ROBERT DAMPERピアノソロ
アルバム「クラシックス」からのスタンダード。ステージ中央に、各メンバーがアコースティックセットを設置。
”アンプラグド”風の小規模のジャズクラブの演奏を思い起こさせる。ケニーをはじめ各メンバーが
本当にリラックスして、時折笑顔で言葉を交わしながら静かな空気の中、ROBERT DAMPERのピアノソロ。
控えめではあったがジャジーなスインギーなソロプレイでした。
(ケニー・Gによるメンバー紹介)
Robert Damper(P)、VAIL JOHNSON(B)、JOHN RAYMOND(G)は、ケニー・Gライブでもおなじみのメンバー。
Ron Powell(Per)は、ブレスレスツアーの頃からの参加。Jonathan Moffett(Drums)は、おなじみのBruceが体調不良で
来日出来なかったための抜擢。「Janet Jackson,Michael Jackson,Stevie Wonder,Maddonna」のバンドで活躍していることを
紹介しました(名古屋)
「スペシャルゲストヲ、ショウカイシマス・・・」(Wu Fang がステージに登場)
Jasmine Flower(名古屋/Wu Fangのメロディーからスタート、ケニー・Gが絡んでいく)
「ブレスレス」に収録されているこの曲は、もともと中国の民謡。中国琴独特の音色が巧みに旋律を奏でる。
徐々にケニーがソプラノサックスで絡んでいき、アルバムそのままのような旋律を演奏。
「5月にハワイでケニーさんと共演し、今回も共演させて頂くことになりました。」 Wu Fang日本語での挨拶。
戦台風 Wu Fang古琴演奏・戦台風
Wr Fang のベストアルバム「万華鏡」に収録されている曲で、とても力強い雰囲気でアルバム収録のほぼフルバージョンの演奏をしました。
JONATHAN MOFFETT ドラム・ソロ
すごいドラムソロでした。ドラムセットのセットアップもとても機材が多かったですね。
頭後ろの方にもシンバルがあったりして、あれだけのセットを使いこなすと同時に、パワフルなスティック裁きがとにかくすごかったですね。
ライティングの演出も冴えて、ドラムのパワーと一体となって、まさに”凄まじい”といえるものでした。
バックステージの彼は、とても柔らかく穏やかな人柄でしたので、私はそのギャップもあって感嘆の一言。
Joy Of Life・(客席ウォーキング演奏)
イントロが始まると同時に、会場の雰囲気は一気に最高潮へ!!
会場最上階にテナーサックスを手にしたケニー・Gが登場しスポットライトに照らされてた。
登場した階のお客さんは、総立ち状態となり手拍子をして盛り上がりを見せる。
階から階への移動の際、VAIL JOHNSONが客席におりてのパフォーマンスを展開。
空いている席に座ったりして演奏してました(名古屋)
アンコール
ケニー・G ソロ・アドリブ披露)
「ソングバード」のテーマをモチーフに、ケニー・G独特のソロ・パフォーマンスを演奏。
Songbird
このソングバードは、ケニー・Gのヒット曲であり、今日の彼の大成功を収めるきっかけになった曲。
もともとは、夫人に送った曲でライブのアンコールでは無くてはならないものとなっている。
全ての曲の演奏が終わると共に、メンバー全員がステージに肩を組んで挨拶をして、
ジャパンツアーを締めくくった・・・・。
2004/08/01
(Live Report)Masami Sakata
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