Up Date / May 7th, 2000

KENNY G JAPAN TOUR 2000
LIVE REPORT

私がライブ会場に入って、始まるまでの時間に考えていたことは何か・・・・。
それは、オープニングの曲が何であるかということだ。ライブ予想をしたから、その曲目との違いが気になったのも事実だが、 それよりも何より、”このライブツアーのスタイルがどうなるのか”を知るための材料になると思ったからだ。 ライブの構成する曲目・・・それはすなわち、ケニーG自身のライブというものに対する考え方を、最も表すものになる。 そして、その構成は私自身の期待を決して裏切らないものであった。
(詳しくは、あとで述べることにする。)

オープニング

ステージが華やかな照明にライトアップされると同時に、インパクトのあるバンドの演奏が始まった。そして一瞬の静寂の後、聴き覚えのあるピアノのイントロが静かに流れだした。聴衆の注意がステージに集まる中、彼は観客席後方から登場した。アルトサックスを 手にしたケニーGが、その澄んだ音色で奏で始めたのは

1. Home(ホーム)
客席から登場するのではないか・・・・と半分は予測していたのだが、実際に登場する姿を目にすると、 やはり気持ちが高ぶってしまった。ケニーのアルトは、他のプレーヤーにくらべてクリアな音を放つ。 この曲は1989年発売のライブアルバムにも収録されているので、自分も含めて多くの人たちがその演奏を耳にしてるのだが、 生の演奏は当たり前の事だが、迫力があって素晴らしい。その演奏を、手をのばせは届く距離で聴くことができる。そしてそれは、 彼自身が聴衆の反応を肌で感じたいと思っていることを表しているのである。客席の通路を歩きながら、そして時折立ち止まり、 演奏しながらも握手に応えるサービス精神旺盛なケニーのプレイ。(しかし、良くあんな状態で、演奏がくずれないものですね) 客席の中に臨時に組み立てられたお立ち台に乗っての演奏を披露。

アルトにかわってスタッフがソプラノサックスを手渡すのど同時に、2曲目のイントロがスタート。

2. Silhouette(シルエット)
拍手とともに一気に盛り上がりをライブ会場。ライブアルバムと同様にスローテンポで曲が始まり、間もなくこの曲での一番の見せ場が訪れた。 ロングトーン・・・・・Bの音(ソプラノのキーで)を、ケニーは出し続けだした。長い。 ライブアルバムでもかなり長いのだが、ライブのそれは比べ物にならないほど長いのです。 きっと、初めてケニーのライブを鑑賞された方は、度肝を抜かれたことと思います。 これは循環呼吸奏法というテクニックを使っているのですが、このテクニックの理屈を知っている我々サックスを演奏するものでも、 驚きを覚えます。ましてや、歩きながらや、握手をしながら片手になっても音が安定していて、余裕すら感じさせれれる。 それにしても長い!!。そして、微笑みを浮かべんばかりのケニー。そのままステージに移り、 ロングトーンからブレス無しで鮮やかなアドリブフレーズへと移って、場内の雰囲気も一気に盛り上がって行った。
(私は幸運にも名古屋では1階5列目、それも右と後ろが通路側という場所に座ることが出来た。そして、お立ち台が 私のすぐ斜うしろに設置されたこともあり、ホームと、シルエットの2曲ではワイヤレスマイクを通さないケニーGの サックスの生の音を1メートルと離れていない距離で聞くことが出来たのである。)

3. Sade(シャーデー)
再びアルトに持ち替えてのこの曲を聴いて思い出されるのは、やはり”ライブアルバム”だ。 ステージ狭しと歩きながら演奏するケニーG。アルトでのパワー溢れる演奏は、決してアルバムでは(ライブアルバムでも) 感じることはできないと思う。Sadeと、Silhouetteは、彼が必ずライブで演奏することからみても、 思い入れのある曲なのかもしれない。

4. Sentimental(センチメンタル)
ケニーGのライブを見ていて思うのは、曲にあわせて上手くライティングがされていることだ。”センチメンタル”という曲には、 イントロと同時にステージの上は、夕焼けに染まるように赤く照らされた。派手な演出こそないが、 こうしたライティング効果は聴く者の気持ちを引き付けるのには充分で、 私はまるで沈んでいく夕日をみながら聴いているような切ない気持ちにさせられてしまった。

スポットライトに照らされるケニー。日本語も前にくらべて上手くなっている。ステージでの挨拶は、ほとんどが日本語であった。 彼は曲目も日本語で紹介した。

「ツギノキョクハ、アルバム”ザ・モーメント”から、HAVANAです」

5. Havana(ハバナ)
スローテンポなイントロが始まり、ケニーのソロが絡む。スローな雰囲気からアップテンポに移り変わるこの曲は、そのルンバというノリの良いリズムとも合わさって非常に心地よいのである。曲の途中から、ロン・パウエルのパーカッションへアドリブを渡し、ドラムと一緒になって素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。ノリノリの彼は、観客の拍手にも乗せられ、ステージ中央にまで出てパフォーマンスを繰り広げました。タンブリンをマジックのようにまわし、観客の拍手との掛け合いもしてみたりと、本当に楽しませてくれましたね。

6. G.Bop(ジー・ボップ)
アルバムとはアレンジがかわり、曲の途中のフレーズをイントロに使ってのスタート。”ボップ”という名前が示すとおり、 スイングのような香りがして軽快なリズム。ライブの良いところは、こうしたアルバムとはひと味違ったアレンジが聴かれることです。

7.Forever In Love(フォー・エヴェー・イン・ラヴ)
これはもう御存じグラミー賞を受賞した名曲です。ケニーGの定番と言って良いでしょう。ホール一杯に響き渡る ソプラノサックスのメロディーの、こんな曲こそケニーGの本領発揮と言えます。私自身も、数多い彼の曲の中でも3本の指に数える曲です。 彼にとっても思いで深い曲であることは間違い無いでしょうね。

ここで再び日本語でのトーク・・・・
メンバー紹介のあと、ちゃめっ気たっぷりのジョーク風の日本語には、思わず観客の皆さんからも笑いが起きてました。

「イマ、ニホンゴヲ、ベンキョウシテイマス・・・・」
「スイマセ〜ン、マクドナルドハドコデスカ?」
「スイマセ〜ン、”ウメシソマキ”アリマスカ?」
「スイマセ〜ン、サケノミスギタミタ〜イ」

こういったあと、バックのメンバーと何やらゴソゴソ話していたかと思うと、
再び日本語で、

「バンドノメンバーワ、ココデ5フンカンノ、
    キュウケイヲ、ヨウキュウシテイマス」

といっている間に、バンドのメンバーがステージの裾に引っ込んでしまいました。
どうなるのだろうと思っていると。

「ココデ、”ルイ・アームストロング”トイッショニ、エンソウシマス」

8. What A Wonderfull World(ホワッツ・ア・ワンダフル・ワールド)
ケニーのソプラノサックスによるイントロが始まると同時に、ステージ上がスクリーンとなり、あの”サッチモ”の映像が写し出されました。 アルバム「CLASSICS IN THE KEY OF G」そのままの、二人のデュエットが展開されました。これは見事私の予想が適中!!。 こうしたことは我々日本人にはなかなか判らないことですが、彼の本国アメリカでは相当名誉なことだと思います。 それが許されるケニーGが、サックス奏者として如何に高い評価を受け認められているかの証と言えます。

バンドのセッティングが、シンプルなアコースティックセットに替わり、

9. Summertime(サマータイム)
アルバムそのままのイントロを、ジョン・レイモンドのフルアコのジャズギターが奏ではじめ 何とも言えない雰囲気をかもし出しました。ケニーのソプラノサックスもさる事ながら、 この曲では、ピアノがロバート・ダンパーがジャジーなアドリブを展開。スウィンギーなノリの良いアドリブプレーが実に良かった。 本当にジャズそのもの!!

10. Desafinado(ジザフィナード)
今回はじめての、テナーサックスによる演奏。パーカッションの、ロン・パウエルが大型のタムタムをベルトで肩にかけてのリズムを演出。 ステージの上は、ジャズクラブのジャムセッションのような雰囲気でした。スタン・ゲッツを彷佛とさせるクールなケニーGのテナーは、 ジャズを愛好されている方には喜んでもらえたのではないでしょうか。

ここでドラムとベースが、アドリブパフォーマンスを展開
ヴェイル・ジョンソンの白人離れした、スラップするベース奏法は、あのケニーGライブビデオから飛び出して来たようで、ノリ乗りのプレーで魅せてくれました。 ド迫力のバッキングが始まり、いよいよライブの最高潮の瞬間が来ました!! ケニーのテナーが奏でる曲は、

11. The Joy Of Life(ザ・ジョイ・オブ・ライフ)
再び客席に登場!!
東京国際フォーラムでは2階へ、名古屋の芸術劇場では5階席に登場しました。こうした客席でもパフォーマンスは、 後ろの方の人たちを喜ばせるのと同時に、ケニー自身が直に観客の反応を感じるための時でもあるのです。時には立ち止まり、 時には片手で演奏しなあら握手をしたり、サービス満点!!。私が思うに、名古屋での盛り上がりが一番良かったように思います。 5階から1階まで移動することもあり、その時間が結構かかるのですが、その間を繋ぐようにしてベースのヴェイル・ジョンソンが客席にまで降りて演奏を展開してくれました。そして、再び1階の通路に設置されたお立ち台に登って演奏しはじめるころには、名古屋のお客さんは、ケニーを取り囲むように総立ちとなっていて、プレーヤーと観客皆さんが本当に一体になったような感じがしました。
(この曲は雑誌などでライブを紹介される際には”Walk”と紹介されていることがありますが、それはきっとプレス向けの案内で ”ウォーキングしながらの演奏”ということが告知されているのかも)

一旦演奏終了後、
お客さん達のアンコール要請に応えてケニーGがステージに登場

ソプラノサックスだけによる、カデンツァ(ソロのアドリブ)を演奏。
まるで複数のサックスが同時に演奏しているかのような華麗なプレイは、本当に素晴らしかったと思います。 そのアドリブから、あの曲のフレーズへ移り変わり・・・・

12. Songbird(ソングバード)
お馴染み定番のこの曲は、ケニーGのライブでは無くてはならない曲です。われわれにしてみれば、
”この曲を聴かない限りは帰れない”というぐらいの代表曲であります。
This is KENNY G !!

実は私はこの曲で終わりだと思っていたのです。(きっと皆さんもそうだったと思います。) でも、間髪いれずに始まったイントロはあの曲だったのです。

13. My Heart Will Go On(マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン)
そうです。あの映画「タイタニック」のテーマです。グレイテストヒッツに収録されていたとはいえ、 まさかこの曲をやるとは思ってもみなかったので、驚いてしまったのと同時に、 不思議なほどの感動を最後の最後で覚えたのは私だけだったでしょうか・・・・。



KENNY G JAPAN TOUR 2000 を終えて

今回のジャパンツアーを鑑賞して改めて思うこと・・・・
今更改めて言うまでもなく、ケニーGファンの方なら 充分理解していることだとは思うこどだけれとも、

ケニーGは・・・ケニーGである

と言えると思う。 つまり、既存のジャンルに当てはめて考えてはいけないサックス奏者だということ。 自分のスタイルを崩さないで頑なに守り続けるライブのスタイル。 Breathlessツアー、The Momentツアー、そして、今回のClassics ツアーを見て判るように、 ライブの構成の仕方は、殆ど変わっていない。そんなことからも彼が我々に言いたいことが感じられる。
それは、

演出の目新しさで、
    みんなの気持ちをつかもうとは思っていない。

ということではないか(これは、あくまでも私の想像に過ぎませんが)。 やろうと思えば、大掛かりな仕掛けを使ったり、もっと派手で奇抜なことは可能なはず。 でも彼はそんなことはしないだろうし、ファンも望まないのではないのか。
もしも、「貴方がライブをする上で一番重用視していることは?」と彼に聞いたとしたなら、 彼はきっと、こう答えるのではないだろうか・・・・。

生のライブでの本当の自分をファンのみんなに感じて欲しい
 そして、僕はファンの気持ちを直に感じられるようなライブがしたい

生のライブこそ彼のライフワークであり、生のライブイコール、ケニーGだと言える。 ライブを鑑賞した皆さんなら、彼のライブでのパフォーマンスは、アルバムとは全く違ったものであることを きっと感じたことでしょう。初めて生のライブを聴いた方は、彼のパワフルさにビックリしたことだと思います。

そんな彼が、昨年は異例のスタンダードアルバムをリリース・・・・ 確かにスタンダードアルバムのリリースにより、ライブの中でも幾つか披露した。だからと言って、 彼はジャズプレーヤーになろうとする気持ちは持っていないことは明らか。 去年の”CLASSICS IN THE KEY OF G"発売当時に発売された、音楽月刊誌ADLIBで、彼のこんなコメントが載っていたことを思い出します。

新しい聴衆に古い名曲を伝える
    責任が僕にはあると思ったんだ

正直言って私自身があまり注視していなかった古き良きスタンダードの名曲が、彼のライブで改めて聴いてみると、 本当に新鮮に感じられ、不思議な気持ちにさせられた。おそらく、彼のアルバムの中に収録されてなかったら、 こうしたスタンダードの名曲を聴くことがなかった人たちも、特に若い人たちには多かったのではないだろうか。

ケニーGのスタイルは、きっとこれからも変わらないのではないでしょうか。そしてきっと、次なるアルバムでも我々の期待を 彼は裏切らないだろうと思います。私は今から、次のジャパンツアーが楽しみでなりません。

May 7th,2000

The KENNY G Hompage Japan _Web master - Masami Sakata

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