集団自決の軍命令はなかった

               テイケイ梶@会長 高花 豊

 

 米軍が沖縄の座間味島と渡嘉敷島に攻め込んでたときに、追い詰められた住民数百人
が集団自決するという痛ましい出来事があった。

 これを、それぞれの島の部隊長・梅沢少佐、赤松大尉の命令によるものであるという
記述が、昭和25年の「沖縄タイムス」刊行の『沖縄戦記 鉄の暴風』に載って以来、
事実であるかのように広がっていった。

 さらに両島では遺族が援護法によって年金を受けるための理由としてこれが取り上げ
られたこともあって、定説化していったのである。

 教科書に軍命令説が載るようになったのには、このような背景があった。

      だが、「集団自決軍命令」は虚構性がその後明らかになってきた。

 座間味村では、村の助役の指示に従って「住民は隊長命令で自決した」とうその証言
をしていた元女子青年団長(宮城初枝さん)が良心の珂責に耐えかね、事実は梅沢隊長
のもとに自決用の弾薬をもらいに行ったが追い返された、と自白した。

 実際に集団自決の命令を下したのは、村の助役だった(実弟の座間味遺族会会長を努
めた宮村幸延氏の自筆証言書あり)。

 渡嘉敷島の隊長赤松大尉は、住民の自決を知って「何と早まったことをしてくれ
たんだ」と嘆き悔やんだ。ここでも命令したのは村長だった。

 しかし戦後、赤松氏は後任の村長に懇願されて自決命令を出したとするニセの証明書
を厚生省に出していた (年金受給のためである)。その間の事実については、元琉球
政府職員で軍人・軍属や遺族の援護業務に携わっていた照屋昇雄氏の勇気ある最近の
証言によって、赤松大尉の無実が証明されている。

      『鉄の暴風』に書かれていることは、荒唐無稽のものを含め、きわめて
歪曲されたものであることが今では明らかになっているが、この記述をそのまま事実と
して、両部隊長の人格を全否定するような論をしつこく書いているのが大江健三郎著
『沖縄ノート』(岩波書店)である。

 冤罪を晴らすべく、梅沢裕元少佐と赤松元大尉の実弟・赤松秀一氏は、ついに平成
17年8月5目、大江健三郎氏と岩波書店に対し、名誉毀損と損害賠償の訴訟を起こ
した。現在、大阪地方裁判所で審理が行われている。

 この集団自決に関しては、曽野綾子氏が直接当事者に取材してある神話の背景』
(文芸春秋)というノンフィクションを書かれているが、真実は圧倒的に原告側に
あることはいうまでもない。

      現在、沖縄などの検定見直しを要求する人たちは、もともと虚構の隊長
命令説に基づいて軍命令による集団自決を主張し、教科書もそのように記述していた。

 ところが、最近虚構が明らかになってきたため、「軍の関与」ということを言い出し、
それを論拠として、軍命令の削除取り消しを要求するようになってきている。

 その証拠の一つに、自爆用の手榴弾が配られた、ということを言っているが、これは
住民による防衛隊と陸軍部隊とを混同した話である。そもそも両島に配置された部隊は、
海上挺身隊という陸軍特攻隊である。したがって住民
lを指揮する権限を持っていたのは
村長・助役など村の行政であり、それが防衛隊を組織していたのである。防衛隊から
配られた手榴弾を、軍から支給されたと証言する人がいるが、これは日本軍とは直接
関係はないのである。

 責任をたどれば、住民の長に行き着くことになりかねない。いずれにしても住民感情と
事実とを混同してはならない。