My Dear Ambassador


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アンバサダーという車


Hindustan Motors(http://www.hindustan-motors.com/)というインドの会社が作っているAmbassadorという車をご存知でしょうか?1950年代に英国で製造されていたMorris Oxfordというモデルをインド風に焼き直した車で、Hindustan Motorsが製造を始めた 1954年から大きなモデルチェンジなしに今日現在まで生産されつづけている、まさに「生ける恐竜」のような車です。

インドに来るに当たって、色々とやりたいことはあったのですが、その中で半分シャレのつもりで考えていたのが、「アンバサダーを買って乗り回す」ことでした。赴任した96年9月から、97年の10月までは、事務所で所有している車に余裕があったため、もっぱらそれ(古い型のクラウン)を利用させてもらっていたのですが、インド国内の規制上、売却せざるを得なくなったため、私が利用できる車がなくなりました。タクシーやオートリキシャも乗り慣れればボッタクラれることも少なく、特に自家用車などなくても困るものではないのですが、ないよりはある方が便利なのと、前任者から引き続き雇用していた個人運転手(アショク)の雇用確保のためにも、車を買うことにしました(因みに、私はこの時点では運転免許を持っておらず、「シャレ」の部分を除くと後者の理由のほうが大きかったような気がする。下記参照)。

アンバサダーへの道


私はそもそもアンバサダーを買うつもりでいたので、最初からアンバサダー一筋だったのですが、色々回りの人(勿論インド人)の意見を念のために聞いてみると、皆口を揃えて、「アンバサダーはハンドルは重いし、エンジンも非力だし、ドアは外れるし、電気系統もすぐ壊れるし、...。いずれにせよ、問題が多すぎて、結果的に高くつく。何でマルチのZen(1000ccの小型車)やEsteem(1400ccの中型車)を買わないんだ?マルチのほうが軽いし、品質も保証されているのに...。」といいます。私から、「せっかくインドに来たんだし、マルチなんて半分日本車みたいなものを買っても面白くないじゃない!アンバサダーは色々な意味で本当にインド的な車だと思うし、インドのVIPはみんなアンバサダーに乗ってるし、インド中どこにいってどこで故障してもすぐに修理できるし、新型のいすゞエンジンのエアコン搭載モデル(注)なら、エンジンも静かだし、アンバサダーのどこがそんなに悪いのか分からない!」とどっちがインド人で日本人なのか分からないような問答をひとしきりした後では、結構高い確率で、「確かにアンバサダーもいいところはあるんだよなぁ。何といってもあの車に乗っていると、Secureな感じがあるのがいいよなぁ。」と言い出して、「まぁ、君が買いたいなら、アンバサダーも悪くないと思うよ」ということになるものでした(インド人のアンバサダーに対して抱く複雑な気持ちはここ(http://www.commercenetindia.com/50years/lovable.html)ご参照。)

また、普段は輸入日本車に乗っておられる当地日本人社会の奥様方の中にも、「実を言うと私アンバサダー好きなのよねぇ」とおっしゃる方がおられたりして、大きく力づけられたものでした(?)。

10月後半からアンバサダー購入をマジメに検討し始めました。取り敢えず、インドに何年居られるか分からないので、中古のアンバサダーがないか、出物を新聞の日曜版で探したのですが、あまり良いものがなく、中古車ディーラーを当たったところ、私の求めている、いすゞエンジンのエアコン付き最高級モデルだと3年落ちくらいのモデルで25万ルピーといわれ、それなら新車を買って2年後に売っ払ったって大して損にはならないなぁと思いつつ、実際に2、3台みてみたものの、色がアズキ色のものばかりで、「VIPが乗っている」という理由で私がどうしても欲しかったオフホワイトのものはありませんでした。

中古車市場に2、3回行ってそもそも出回っている車が少なく、あるのは主にマルチ系の車で、アンバサダーやパドミニ(旧型フィアット型の小型国産車・これも生ける恐竜の一つでアンバサダーよりは個人所有の率が高いと思われる)の出物が少ない、ということに気が付きました。これをどう解釈したらよいのか分かりませんが、恐らく、いくら車に容易に手が届くところまで所得が上がってきたといっても、日本のように次から次へと車を買い替えるような消費社会に到達しているわけではない一方で、(恐らく経済改革が始まった1991年以降に)マルチを購入した層の中には既に買い替えを行っている人々もおり、最近良く言われる「インドの中産階級数億人説」(確か1〜3億まで幅があるはず)を裏付けていると共にその層の薄さを物語っている、ということが出来るのではないかと思いました。

この時点で私の選択肢は、a)別にどうしても必要な車じゃなし、中古車市場漁りを当面続ける、b)これで諦めて、素直にアンバサダーをショールーム経由購入する、c)インド人の友人達が薦めてくれるように、マルチのモデルを購入する、の3つになりましたが、ハナから私の頭はアンバサダーに固まっており、中古車市場も行くのは苦痛ではないのですが、色々待たされ、結局1日で2台くらいしか見せてもらえないので、面倒だ、ということで、b)のオプションを採ることになりました。(この辺、自分でも予定調和的な気がする)

納車・御払い


さて、12月に入って、コンノートプレース(デリーの銀座?)のRajiv Motorsというディーラーに即金一括払いで38万ルピー(約130万円)を支払い(生涯でまとめて払った金額として最高額)、待つこと2週間、あこがれのアンバサダー(当然新車ですよ、旦那!)が1997年12月18日納車されました。
新車新車!、と意気込んで、颯爽と後部ドアを開けようとしたところ、これが開かない!ちょっと押し込んだり、色々して呼吸を合わせて(この辺説明が難しいのですが、アンバサダーに触れたことがある人には分かってもらえるでしょう)、何とかドアを開けて乗り込んだのは良かったのですが、今度内側から開けようと思ってノブを引いても、これも開かない!色々試して、結局、一寸肩をあてがって、また呼吸を合わせてグッっと押してやってやっと開きました。「流石にアンバサダー、出会い頭に思いっきりやってくれるよなぁ」と笑う一方で、「シャレはシャレとして、130万円もかけてなんてモノを買ってしまったんだ、俺は。」といった思いが交錯しました。

さて、日本と同じように、インドでも新車はお寺でお払いをしてもらいます。これはその時の写真です。一枚目には、アショク(左)と、Holiの欄でも登場したMr Verma(中)、とヒンドゥーの坊さん(右端のオレンジ色の服のおっさん)が写っています。Mr Vermaは、午後7時過ぎにオフィスに電話して、「今、納車されたから御払いに行くけど一緒にくる?」と聞いたら、二つ返事で駆けつけてくれました。その他廻りにいるのはお寺の廻りに常に屯している乞食を始めとした「その他大勢」です。


ボンネットに書かれてあるのは、坊さんが書いてくれたSvasticaと呼ばれる、日本語でいう卍(マンジ)です。

二枚目はアショクと私と坊さんですが、どの写真をみても、アショクが一番偉そうに写っているように見えるのは私の気のせいでしょうか?

因みに、アショクが持っている箱はお供えのお菓子で、この写真の後、廻りにいた人達にいくつかあげて、翌日、オフィスで「縁起物」ということで、みんなに配りました。みんなに新車購入記念パーティーをやると約束して回ったのですが、忙しくて今のところ約束を果たせずにいます。

アショク


さて、アショクは11月以降アンバサダーが納車されるまでロクにやることもなく、暇を持て余していましたので、やっと念願の車が納車されて一番喜んだのは彼でした。彼は、10年前から、OECFの駐在員の個人ドライバーとして働き始め、歴代駐在員に引き続き雇用されてきた運転手です。彼は、運転が上手く、何よりも正直者で、絶対に悪いことをしない好人物でした。私も彼の家に何回か呼ばれ、家族と一緒にお昼をごちそうになったり、彼の子供と一緒にヒンドゥー教のお寺に行ったり、仕事を離れても色々と世話になっていました。

私が話せる片言のヒンディー語も彼に教えてもらった部分が大きいのですが、彼にも欠点が2つあり、それはあまり英語が得意でないことと、酒好きなことです。

私にとって却ってヒンディー語の勉強になるという意味もあった前者はともかく、後者については何回か、車の中で酒瓶を発見し、「今度見つけたらその場で警察に連れて行く」等、注意・警告を与えつつ、1年以上雇っていたわけですが、結局、2月、出張帰りの私を空港まで迎えに来た帰り、どうも様子がおかしいので、車を止めさせ詰問したところ、「仕事の前に少し飲んだ」ことを認めました。ここで、「飲んでない」と嘘をついていれば、私としてもとりなし様があったのですが、あっさりと認めてしまったので、反射的に「お前馘(クビ)だあぁー」といわざるを得なくなり、あえなく彼は馘になってしまいました。偶然ですが、アンバサダーが納車されてから丁度2ヶ月後のことでした。

彼は非常に悲しがりましたが、こちらも、信頼していた運転手に裏切られたという思いが強く、悲しい気持ちになりました。また、正直言って、「お前が働きつづけられるように、大枚はたいてアンバサダー買ってやったのに、裏切りやがって!」という怒りもあったことは事実です。

結局、彼の後には運転手は雇わず(そもそも一人身なので、使用人の数は少ないに越したことはなく、車についてもタクシー等で動き回ったほうが楽)、もっぱらアンバサダーは週末に事務所の運転手から運転を教えてもらうためにしか使っていないような状況で、走行距離もまだ1,500km程度です。早く免許を取って、自分でガンガン運転できるようにならなければいけないなぁと思っています。

その後のアンバサダー


さて、私と私のアンバサダーはどこに行くのでしょうか?今までのところ、コーナーを曲がりきってもウィンカーが返らないことがあること、何故か室内にガソリンの匂いがもれてくること(誰か原因が分かる方教えてください)、を除いて大きな問題はありませんが、これからいろいろな問題が出てくるのだろうと思い、期待(?)しているところです。大きな課題は、駐在年季が切れた時に日本に持って帰るかどうか、ですが、それも含めて、今後もアンバサダーの近況をご報告していきたいと思います。

その他・変わり種のアンバサダーなど


街を走っていると、色々変わり種のアンバサダーを見かけます。一番驚き、感動したのは緑のメタリック塗装のアンバサダーで、サンダーバード2号を想像させ、唸らせるものがありました。その他、シルバーメタリックとか時々見掛けますが、ショールームにもない色なので、特注、もしくは塗装をし直したのでしょう。私のアンバサダーも(既に!)塗装が落ちかけているところがあるので、いっそのことサンダーバード色に塗り替えてしまおうかなぁ、とも思っています。真紅・黄色・ピンクのアンバサダーには未だにお目にかかっていません。

時々、ニューデリーの鉄道省前のラウンド・アバウト付近でアンバサダーのヴァンを見掛けます。これが結構カッコイイのです。いつも気が付くと通り過ぎてしまい、常時携帯しているデジカメも間に合わないのですが、既に3回は見かけたので、次こそカメラに収め、暇ならば追跡調査してみたいと思います。果たしてそういうモデルがそもそもあるのか、特注なのか、はたまたその辺の板金やで適当に改造してしまったのか、その辺を調べ上げる必要があります。

その他、アンバサダーも40年間デザインが変わらないとはいうものの、細部をみるといろいろと変わっているところがありますが、それについては、写真付きで別途ご紹介しましょう。

アンバサダー・リンク


Hindustan Motors元祖(?) Hindustan Motorsのページ。ランサーの新型モデルなんてまだみたことないけどなぁ?
Hindustan Ambassador Home Pageその道(?)では比較的有名なページ。細かいスペックの説明は、ショールームで配っているパンフレットのWeb上の再生。
Welcome to Ambassador&Miranda Cameraなんと、東京でもアンバサダーが走っていた!私のアンバサダー持帰り意欲を一気に増大させたページ。情報交換よろしくお願いします。
'60s CARNIVAL - WCP・H-01gooで検索していたら、こんなページも見つかりました。何とアンバサダーが60年代のクラシックカー扱いされている!「今でも作ってるよ」、というのが正しいのか、「60年代じゃなくて50年代だよ」、というのが正しいのか???


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