98年州議会選挙


開票結果
解説
参考リンク
投票所潜入記


1998年11月29日午後11時現在の開票結果(Star Newsによる)

マディヤプラデシュ州(定数320) 全議席確定
(国民会議派政権->国民会議派政権)
政党獲得議席数前回からの変動
国民会議派174-1
BJP120+3
BSP110
IND8+1
SP3+3

ラジャスタン州(定数200) 197議席確定
(BJP政権->国民会議派政権)
政党獲得議席数前回からの変動
国民会議派149+75
BJP33-62
諸派8-13
Janata Dal3-3

デリー特別行政区(定数70) 69議席確定
(BJP政権->国民会議派政権)
政党獲得議席数前回からの変動
国民会議派51+37
BJP15-33
諸派2-1
Janata Dal1-3

ミゾラム州(定数40) 全議席確定
(国民会議派政権->ミゾ国民戦線政権)
政党獲得議席数前回からの変動
ミゾ国民戦線21+7
諸派13+3
国民会議派6-10


解説

11月25日、上記4州で州議会選挙が行われた。

中央にBJP政権が成立してから8ヶ月。4つの州に限定されてはいるものの、今回の州議会選挙はBJP政権への国民の信任度を明らかにするものとして注目された。中でも、デリー、ラジャスタンはBJP政権であり、こらら州政権の過去のパフォーマンスについて有権者がどのような判断を下すかが注目された。

選挙前のイシューとしては、BJP中央政権の信頼度、近来のタマネギ等を中心とした生活物資の物価急騰、電力・水などインフラの問題、治安の悪化、汚職問題などが挙げられていたが、このうち、有権者の関心が最も高かったのは、物価急騰であろう。

インド人の食生活に欠くことの出来ないタマネギが今年7月過ぎから急騰し、小売価格が1kg10ルピー以下から10月には一気に60ルピーにまで達したもので、BJP政権は外国からのタマネギの緊急輸入などで対処したが、完全に急騰を抑えるには至らず、タマネギは現在でも1kg当たり15ー20ルピーで推移している。天候不順などによるタマネギの生産減が原因とも言われるが、その一方で、中央政府がタマネギの海外への輸出を放置し、それが品不足に輪をかけた、とも言われている。

デリー、ラジャスタンにおいては、野党たる国民会議派はこの「タマネギ問題」に焦点をあて、BJP政権の失策を攻撃した。タマネギ以外にも、ジャガイモなどの価格が急騰しており、食卓を直撃している。なお、10月には、「塩の供給不足」とのうわさが流布され、塩の価格も急騰したが、これは直ぐに収束を見ている。BJP側は、これらの価格急騰・品不足を国民会議派により煽動されたもの、と反論してきていた。

10月中旬、BJPはデリーの首席大臣を更迭し、イメージの一新を図ったが、党内が更迭を支持する勢力と反対勢力に2分され、党内の一貫性がない、との印象を有権者に与えるに至った。

また、今回の選挙の直前に、Romesh Sharmaという、暗黒世界と政界との間で暗躍していた人物が逮捕され、政治家とマフィアの結びつきも争点となった。Romesh Sharmaとの結びつきがあると国民会議派側から指摘されたデリーの首席大臣(新任)Sushma Swarajiは、Bhagawat Geetaに手を置いてそのようなことは一切ない、と宣誓を行うなど、熱のこもった選挙戦となった。

選挙前の世論調査などでは、「物価上昇などで、『現職不利』であり、ラジャスタン、デリーについてはBJPが苦戦し、マディヤプラデシュでは国民会議派が苦戦する」という見方や、「主要3州全てでBJPが苦戦」との見方などがあった。投票後の出口調査では、デリー、ラジャスタンはBJPの惨敗、マディヤプラデシュでは国民会議派の後退が予想された。

結果は上記の通りであり、主要3州全てでBJPが敗北した。ラジャスタン、デリーについては惨敗ということが出来よう。当初BJPは、「物価急騰など、『現職不利』の展開になる」との見方で、マディヤプラデシュについては楽観していた模様であるが、結果は国民会議派が政権維持することとなった。マディヤプラデシュ州は国民会議派政権ではあるが、同州を基盤とした国民会議派の有力政治家(Digvijay Singh首席大臣、Madhavo Scindia, Arjun Singh等)はお互い反目していることが多く、求心力がない、とも言われるが、今回は 州内の会議派勢力の糾合が成功を納めたものと見られる。

今回の選挙は完全に国民会議派とBJPの一騎打ちとなったが(Janata Dal等の後退を意味し、それ自体注目すべきことではある)、国民会議派は、各州での勝利を「Sonia Gandhi総裁のリーダーシップが発揮され、全党で選挙に取り組んだ結果」としており、『現職不利』の潮流に乗ったものであるとの見方を否定している。但し、例えば、デリーの現状を改善するための具体的な施策ということになると、明確な且つ即効性のある回答はないようでもあり、有権者が国民会議派を強く支持したというよりも、『現職不利』の追い風を強く受けた中での選挙戦であった、ということは否定出来ないのではないか。

一方、BJP側では、デリーの結果を中心に、「BJPがBJPに敗北した(=党内の見解の相違が脚を引っ張った)」(Sushima Swarajデリー首席大臣)との発言や、「自分が首席大臣に留まっていればこのようなことにはならなかった」(Saheeb Singh Verma前首席大臣)などの発言が出てきている。組織として急速な成長を遂げた結果、従来BJPの強みであった「組織決定の下の固い結束」にも翳りが見えてきており、BJPも政党としての曲がり角にきた、ということが出来るかも知れない。

両党とも選挙結果について分析を行い、今後の戦略を練っている段階であり、今回の結果が中央政権に与える影響を分析するのは時期尚早であるが、Vajpayee首相を始めとするBJP首脳陣は中央政権の安定性に影響を与えるものではなく、連立与党の結束は固い、との発言を繰り返している(但し、開票結果を見ての第1声で、Vajpayee首相はMid-term Electionの可能性は完全には否定できない、と発言)。

一方、国民会議派は、「今回の選挙結果は国民によるBJP政権への不信任の現れである。BJP連立政権は国民会議派が不信任決議などの形で引きづり降ろさなくても、17党連立のその重みで自然に崩壊する。そうなった時には国民会議派は野党第1党としての責務を果たす(=組閣する)」としている。従来国民会議派とは一線を敷いてきたインド共産党(マルクス派)は、BJP政権が崩壊した場合には、国民会議派政権を閣外から支援する用意がある旨を明らかにしており、BJP政権の構成政党の切り崩し(特に歴史的にはむしろ国民会議派との結びつきが強かったAIADMK (Jayalalitha党首)など)が図られる可能性も否定できない。因みに、1999年にもアンドラプラデシュ州(Naidu首席大臣率いるTDPはBJP政権を閣外支援)を始めとした州議会選挙が予定されている。また、ウッタルプラデシュ州など、他の州の政権への影響も注目する必要があろう。

来年早々にMid-term Electionに持ち込まれる可能性もある(テレビなどでは、来年3月総選挙か、との発言が聞かれることもある)が、もう選挙は懲り懲り、というのが、政治家はもとより、大半の国民の気持ではないか。民主主義のコスト、と言えば格好がよいが、この大きな国土で毎年のように総選挙を行うための支出は、責任ある政治、という観点からは必ずしも正当化出来るものではないだろう。


参考リンク

Rediff On Netの州議会選挙関連ページ

India Todayのニュースページ

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