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4月30日(金)
今日はBuddha Purnima(仏誕会)である。日本で言えば花祭りだが、去年のBuddha Purnimaには、「ブッダが再び微笑んだ」のである。そう、ポカラン実験場での核実験である。

早いもので、あれからもう一年が経とうとしているわけだ。そもそもインドは核実験をやる必要があったのか、インド・パキスタン双方の核実験の後、南アジア地域の安定はインドがいう言うように増したのか、それとも諸外国の言うように不安定要因が増大したのか、インドはCTBTへの署名が出来るのか、など、答の出ていない問題は残ったままである。

我が社の仕事は核実験後の日本政府による「経済措置」の影響を真っ向から受けてしまった。例年であれば、この時期は暑さの中、新規案件の採り上げに向けて東京からの出張者が相次いで我々も追われているはずなのだが、今年は閑古鳥が鳴いている。過去1年の仕事も、何時になったら解除されるのかさえ分からない経済措置(とは呼んでいるが実態は「制裁」である)を受けて、継続支援が不可能となる可能性のある案件について、東京とインド側の板挟みになって先の見えない議論を繰り広げることに費やされた感がある。

デリーに駐在して以来(というよりも、我が社に入社して以来)、インドと日本の架け橋になるような仕事をしたい、というつもりで臨んできたのだが、核実験後、その「架け橋」の儚さ、日本のインドを見る眼が東南・北東アジアを見るそれとは随分と異なることを身を持って経験させられたようで、実に哀しい。

Vajpayee首相は、今日行われたIndia Today誌のインタビューで、「国会が継続していれば、CTBTについて議論を行い、何らかのコンセンサスを得ることが出来たはずだが、選挙が後ろ倒しになれば、選挙管理内閣としてはCTBTにコミットすることは困難になる。国会とは別に全政党による協議会をもつことも試みるが、選挙を前にするとそれも困難だろう」と述べた由。

核実験のみならず、無責任としか言いようのない政権打倒劇のお蔭で、我々の行く先に何某かの光明が見えてくるのも遠のいてしまったのである。


4月29日(木)
円借款資金でプロジェクトを実施している機関はインド中に50以上あるのだが、今日はその全てにファックスを送るという仕事があった。送り始めたのは午後4時過ぎ。ローカルスタッフが運転手の手も借りて送ってくれていたのだが、午後7時頃になっても全て送りきれず、彼女達を残しておく訳にもいかないので、僕が替った。その時点で残っていたのは約30機関、インドの南の端の小さな港、東の端の電力庁、西の端の森林局、そしてデリー周辺の諸機関等々、である。

電話が繋がらないということは殆どないのだが、繋がっても先方のファックスが反応しないということが多い。インドにはTelefaxという言葉があって、読んでの通り、電話とファックスを兼用しているということなのだが、ファックス機能に手動で切り替えてもらわないと受信できないものが多いらしい。流石に午後7時過ぎともなると、オフィスには誰もいないところが多いため、こちらは空しく呼び出し音を聞かされ続けるということが続いた。

そうこう言いつつも、いくつかの機関のファックスは反応したので、送信作業を続けていたのだが、単純作業なので段々飽きてきて注意力散漫状態となってしまい、午後8時過ぎに、アンドラプラデシュ州発電公社(APGENCO)のファックス番号と電話番号を間違えてかけてしまった。すると、驚いたことに先方はまだ働いていて、正しいファックス番号を教えてくれて、アンドラプラデシュの勤勉さが分かるような気がした。

また、北東部のメガラヤ州にファックスを流そうとしたときにも番号を間違えてしまった。電話に出たのは女性だが、北東部特有のアクセントの英語で話しており、それが日本人の英語訛りと似ているので笑ってしまった。

結局午後10時過ぎまでかかって何とかファックスを送れたのは20機関余り。電話を掛け続けるといった単純作業なのだが、この広いインド中のここそことやり取りをしていた訳で、ちょっとした「居ながらにしてのインド横断」の感があった。

因みに、インドにおける電話の積待数(電話接続を申し込んで待たされている人)は2,887千人(96/97年度)、人口100人当たりの電話接続数は1.62本(96/97年:全国平均であり、電話が普及している都市部を除くと実態は大幅に低いものとなる)であり、全国的な電話サービスの普及はまだまだである。


4月28日(水)
今日は一日休みをもらって、昨日ジャイプールから帰ってきたOさんをデリー市内にご案内した。フマユーン廟、ラクシミナラヤン寺院、クトゥブミナール、INAマーケット等々。

行く先々で、ガイドと称する男が、「コンニチハ」と日本語で話し掛けてきて案内するというが、「全部知ってるから要らない」とヒンディー語で返すと、皆すごすごといなくなる。デリーに住んで既に2年7ヶ月、デリー市内の観光名所であれば、大抵のガイドは勤まるようになった。それでも、来た当初は、エライさんの案内をするために、週末などに各遺跡に行って、なにがしかの金を払ってガイドを雇い、密かに彼らの口上を記憶したものだ。フマユーン廟のオジサンなどは、もう顔見知りである。

さて、クトゥブミナールでは、何やら30m程の高さのやぐらを組んで、塔の修復が行われていた。やぐらの上では、3、4人が作業しているのだが、何と、塔の表面を覆っている砂岩の老朽化した部分を、大人二人が抱えられる位のブロック毎に引っぺがしてはそのまま地面に向けて放り投げているのだ。地面に落ちた岩は周囲に砕け散って危ないだけでなく、塔の下の部分を傷つける惧れすらある。

これを見ていたOさんは、「日本だったら、塔の周りをぐるっと囲む形でやぐらを組んで、その周りに防護ネットを張り、それでネットの中が暑すぎる場合には、冷房を入れてでも安全性を優先するんですけどねぇ」と言っていた。確かに、日本ならそれくらいするだろうなぁ、と思いつつも、インドで工事現場に冷房を持ち込むことなど未来永劫ないだろうなぁ、と思い、12世紀から建設が始まったムスリムの戦勝記念塔(=クトゥブミナール)を見上げたのだった。

政治の話はつまらんので、別に「インド政治日記」というページを立ち上げた。基本的にその日に起きた主要な出来事を記しつつ、必要に応じて論評、説明を加える予定。言わば「裏日記」が出来てしまったわけであるが、これで睡眠時間がまた減ることになりそうだ。


4月27日(火)
今日はMuharramというイスラムのお祭りでお休みだったので、仕立て屋に頼んでおいたバミューダパンツとクルタを取りにいった。インドでは、仕立て屋稼業にムスリムが多く、これまでサファリスーツやシャツなどを作ってもらっているその仕立て屋もムスリムの親子の小さな店である。サファリを作る時は、採寸した後、ポケットの形のような、作業場に対する細かい指示書きはオヤジがウルドゥー文字で書くのだ。

出来上がったものを受け取って、帰り際に、気を利かせたつもりで、"Muharram mubarak!"(= "Happy Muharram!")と挨拶をして、その場を去った。

そのことをこの日記に書こうと思って、付け焼き刃でMuharramのことを調べたら、青くなった。

そもそも、Muharramというのは、モハメッドの死後に起きた後継者争いの中で命を落としたHusainを追悼するための祭りであり、祝祭ではなくて、悲しみの祭りなのだ。信者達は、自らの身体を叩いて、Husainの死を悼むものなのだという。それに輪をかけて、MuharramはHusainを正統教主とするシーア派に限られており、インドにおけるシーア派の中心地であるラクナウを中心として行われるという。

Muharramの何たるかも知らずに、且つ仕立て屋のオヤジはシーアでは無かったかも知れないのに、mubarakなどと言ってしまい、飛んでもない間違いを犯してしまったのだ。

僕はインドについて人並み以上には知っているつもりではあるが、よくよく考えてみると、それもヒンドゥーのことばかり。人口の約12%を占めるムスリムのことは殆ど知らない訳で、如何に偏った知識・理解しか有していないかということを、今更のように思い知らされたのだった。


4月26日(月)
既に報じられているように、Narayanan大統領は本日、下院の解散を宣言した。(詳細は、「お仕事モード」のページへ。

このところ、政治政治した記事ばかりでつまらない、という感想もないわけではない。取敢えず一区切りついたので、ここでは出来るだけ政治そのものから離れたことを書こう。

インドの選挙は「世界最大の選挙」である。選挙委員会のページ(手続き面なども事細かに掲載されており、これを全部読むのは大変)によると、

  • 96年総選挙では、全国で13,952名が立候補した。内、500名が女性。
  • 同選挙の投票所は全国で767,462個所。
  • 同選挙では、投票用紙として約8,000トンの紙が使われた。2,525,595個の投票箱が使われた。
  • 同選挙では、52億ルピー(約146億円)が選挙管理に費やされた。
  • 98年総選挙では、有権者数605,884,103人。投票所は全国で773,667個所。 投票用紙として7,700トンの紙が使われ、選挙管理費用は約66億ルピー(185億円)。
  • 96年総選挙の最高所の投票所は、ラダックのAnlay Phoo投票所(海抜5,000m)。
  • 同選挙の最小の投票所は、アルナチャルプラデシュのChako投票所で、有権者数3名。
  • 96年総選挙では、アンドラプラデシュのNalgonda選挙区で480名が立候補(小選挙区)。
  • 96年のタミルナド州議会選挙では、Modakurichiという選挙区で1033人が立候補し(小選挙区制)、投票用紙(ここ参照)は小冊子となった。

との由。いやはや凄いもんだ。

選挙になったので、ローカルスタッフがやっていた、「国民会議派は何議席取れるか(現状139議席)という賭けに参加。僕は「せいぜい150」という予想を立てたが、Hard Core CongressiのMPS氏、VS氏は200も夢ではない、という。賭けの結果が何時でることになるのか(選挙が何時行われるのか)分からないが、政治観戦の楽しみが一つ増えた。

選挙期間中には、MPS氏の田舎(UP州)に行って、UP州の熱い戦場がどのように戦われているのか、この目でしかと見てこようと思っている。


4月25日(日)
朝5時起きでデリー駅へ行き、6時15分発のShatabdi Expressでアグラへ。アグラでタージマハル、アグラ城、そしてアグラ郊外のFatehpur Sikriを観光。40度を超える暑さの中、アグラで借り上げたアンバサダーはオーバーヒート気味ではあったが、乾燥した暑さなので、汗でじとじとになることもない。少々疲れたが、燦々と照る太陽に焼かれた石畳の上を裸足で「あついあづい...」と言いながら跳ね回るのもオツなものであった(?)。


さて、今日の出来事。

  • Mulayam Singh Yadav、Jyoti Basu首班を無条件で支持する旨表明。
  • Sonia Gandhi国民会議派総裁、大統領に面会し、「他の勢力を説得することに失敗した。一部勢力(=SP?)が国家の利害よりも個人の利害を優先したため」と、会議派による組閣工作の失敗を報告。同時に「Third Frontだか、Fourth Frontだか何だか知らないけれど(third or fourth front or whatever ...)」と言いつつ、反BJP・非会議派政権は支持しない方針であることを述べる。
  • CPI(M)、いずれのケースにおいても、会議派が責任を果す必要があり、として、公式にはJyoti Basu首班を受け入れるか否か明らかにせず。(但し、本日のCPI(M)の政治局会議で、Jyoti Basu首班を原則受け入れ可との結論を出したにも関わらず、それを会議派が一蹴したとの情報もある)
  • Laloo Prasad Yadav (RJD)、Rashtrya Loktantric Morcha(全国民主戦線)の盟友であるはずのMulayam Singh Yadavを今回の新政権不成立の責任を負い、BJPを助長するものであるとして批判。
  • CPI(M)のSurjeet書記長及びJyoti Basu西ベンガル州首相、大統領に面会、国民会議派及びSPをBJP政権を長らえさせるものとして批判。
  • 夕刻、大統領がVajpayee首相を招き、これまでの各党との協議状況(= BJP政権に替る政権樹立は不可能)について説明した模様。これを受けてVajpayee首相は「明日閣議を開く」と発言。それ以上の説明は無かったが、実質的に下院解散の勧告を大統領に対して行うこととなる見込。

以上のような状況で、反BJP勢力はほぼ三分された形になっており、反BJP政権が成立する可能性は既にないものと考えてよい。一方、BJPも269議席を上回る支持を集めておらず、現時点で反対勢力からの引き抜き工作を図ることは、会議派をHorse Tradingを行ったとして批判した以上、自殺的行為であることから、BJP政権の返り咲きも不可能となっている。これにより、明日の閣議で、下院の解散を大統領に勧告する決定が行われる可能性が高い。

これまでの流れの中で目立つのは、「政権の座に早く付きたいとする会議派の焦り」である。

これまで会議派は、現在の状況は会議派が作り出したものではなく、BJP政権が矛盾を孕んでいたことによるものであって、会議派には責任はない、との立場を取ってきているが、結局、会議派単独政権に拘り、Third Front政権への支持も不可能としてしまった。特に後者のロジックは、共産党政権への会議派の支援を嫌うという建前もあるが、実質的には、「いずれは倒れる政権であり、倒すのは(閣外支援を撤回する)会議派であることから、政権崩壊後の選挙で会議派が勝てない」(= UF政権崩壊後の1998年選挙の二の舞)といった事態を避けたい、ということであり、自らの党利しか考えていないというのは会議派とて同じことである。

そもそも、記者会見などを見ていると、「化けつつある」Sonia Gandhi自身が、首相になりたい、という欲望を表面化させて、「私が首相になってあげると言っているのに、みんな何で支持しないのか、けしからん」、と言っているように見えてならない。「嫌々ながらも、『偉大なる家族の伝統』を引き継ぐために政治の世界に飛び込み、重い責任を双肩に負わされた悲劇のヒロイン」という彼女のこれまでのイメージ(多分に捏造されたもの)は今回の政権崩壊劇で大きく変わってしまったのではないか。選挙になれば、BJPがこの点を彼女の出自と絡ませて激しく攻撃してくることは確実である。それにも関わらず、国民会議派が「Sonia Power」のみで選挙を乗り切ることができるのか、見物である。


4月24日(土)
今日の出来事。
  • Jayalalitha、大統領との面会後、Jyoti Basu西ベンガル州首相(CPI(M))と面談。その後の記者会見で、「現状を打開するためには、Third Frontの連立政権に対する国民会議派の閣外支援以外に方途はない。会議派がそれを呑めるかどうかがポイント」と発言。Jyoti Basu首班支持を明らかにする。
  • CPI(M)はJyoti Basu首班については引き続き態度を留保。明日の政治局会議でJyoti Basu首班を受け入れるか否か決定する見込。
  • 国民会議派、公式見解としては、今尚少数単独内閣を志向。但し、何らかの連立にも柔軟に応じられるとの見解も伝えられる。
  • BJPのJaswant Singh外相(私の大家(笑))、大統領に面会。大統領から、BJPも今回の新政権樹立プロセスから排除されている訳ではないこと、BJP政権を復活させるためには270議席以上の支持を再度確認する必要があること、について確認を得る。
  • ビハールで起きた下位カースト部落襲撃事件の容疑者25名(地主階級の「自衛団」Ranvir Sena)逮捕される。

と、いうことで、会議派単独政権の線はなくなったと見てよい。反BJP勢力の選択肢は、「会議派主導連立政権」か、「Third Front政権への会議派の閣外支援」に絞られた。

1996年のUnited Front政権樹立の際にも、Jyoti Basu首班との声が高く、Jyoti Basu自身も首相のポストに魅力を感じていたにも関わらず、CPI(M)は、多党の連立であり、32議席しか有しないCPI(M)自身の政策が実施出来るわけではない、との理由で、党内多数決を経て、Jyoti Basu首班のオファーを蹴った。国民会議派とも、BJPとも距離を置くとの政策を取ってきたCPI(M)にとっては、会議派寄りと見られることが、支持基盤を失うことに繋がる(少数党であるRSPやAIFBにとってはより深刻な問題であり、それ故に一環して反会議派単独政権を主張しているもの)。(CPI(M)の歴史的な矛盾については、ここに簡単にまとめられている)

一方、国民会議派にとっても、「共産党首班」を支持することにより、「共産主義者を支持した」とのレッテルが貼られること、1991年に会議派政権により始められた一連の経済改革プログラムに逆行する政策が導入されることを恐れていること、などから、Jyoti Basu首班は簡単には呑める話ではない。

一説によると、CPI(M)が今回Jyoti Basu首班に反対しているのは、共産党政権ということになると、産業界の反発が激しくなり、いずれにせよ不可避な総選挙に向けての各党の選挙資金確保に支障が生ずるから、との由。共産主義者が産業界の意向を気にするのも妙な話ではあるが、会議派が改革プログラム云々と言っているのも根はここのところにあるのではないか。会議派はThird Front政権を支持する場合には、首班は会議派が選ぶことを条件にするとも言われており、「インド初の共産党政権」樹立には難航も予想される。

CPI(M)も歴史的にみると、フラフラとしており、「筋金入りの共産主義党」とは言えないところもあるが、上述のJyoti Basu首班への反対の経緯をみると、「党内民主主義」と言う観点からは、Jalalalitha独裁のAIADMKや、「何でもSoniajiの思し召しのまま」とする国民会議派よりはずっと立派ではある。


さて、今晩、9年程前に、我が社に出向され、送電線プロジェクトを中心に技術面からの検討をして頂いていたOさんがデリーに到着された(我が家にご宿泊)。当時インドにも出張で来られたのだが、今回は完全なプライベートで、インドへの「センチメンタルジャーニー」である。我が社は技術系を中心に出向の方が多いのだが、親元に帰られてからもお付き合いが続き、その上わざわざデリーくんだりまでお出かけ頂けるとは、個人的にも、また、インドにとっても実に有り難いことである。

明日はOさんのお供でアグラ行き。40度を超える暑さの中のタージはどのようにみえるか。


4月23日(金)
今日の出来事。
  • Mulayam Singh Yadav (SP (20議席))、大統領に面会。会議派単独政権は支持しない旨伝える。SP、国民会議派を反ムスリム的であり、「Secularismの仮面を被っているが故に危険である」として非難。Third Frontによる組閣を主張。
  • RSP(5議席)、AIFB(2議席)、大統領に面会。会議派及びBJPと同じ距離を置く旨伝える。但し、反BJP政権樹立がRSPとAIFBのみの不賛成により成立しなくなる場合には、立場を見直す可能性ありとする。
  • JD(6議席)、最終的な立場を決定できず。明日大統領に面談予定。但し、JDのRam Vilas Paswanは、Laloo Prasad Yadavの関係する政権は支持せずと発言。
  • Sonia Gandhi会議派総裁、大統領に233議席相当の支持レターを提出。過半数には大幅に不足しているため、もう少し各党間の調整をしたい、と大統領に申し入れ認められる。大統領との面会後の記者会見で、連立政権の可能性を排除せず。
  • BJP及びその連立党、共通の戦線(Front)を設ける方向で議論。Vajpayee首相は、首相ポストが代ることによってBJP連立政権が可能となるのであれば、辞任する余地があると発言したが、全会一致でVajpayee氏が首相には最適であるとの結論に至る。

と、いうことで、BJP政権が信任投票に敗れてから6日経った今現在も新政府はできず、むしろ混乱が増している状況。Sonia Gandhi総裁が提出した233議席の内訳は明らかではないが、恐らく、信任投票に反対した党の内、SP(20)、RSP(5)、AIFB(2)、JD(6)、TMC(3)、BSP(5)の合計41議席分が加わっていない模様。但し、会議派支持を表明した勢力の中にも、「Sonia Gandhiによる会議派単独政権を支持」との条件付きとも取れるレターを提出しているもの(AIADMKなど)もあり、会議派単独政権がほぼ不可能となった今、それらレターの有効性にも問題が出てくるかもしれない。

SPが国民会議派単独政権に反対している理由は、単独政権に関する会議派の一方的な決定に対する怒りもあるが、SPの地盤であるウッタルプラデシュ(UP)での票田争いが主因である。

人口約1億4千万の大票田であるUPでは、伝統的にムスリム(人口の20%弱)と上位カーストが会議派の支持基盤であったが、Ayodhyaにおけるバブリ・マスジッドの破壊(1992年)を会議派中央政権(Narasimha Rao政権)が傍観したとして、ムスリム層が会議派から離脱し、SPに流れた。また、上位カーストはBJPに流れたため、現在会議派はUPにおいては見るべき勢力を有していない。現在、UPの州政権はBJP(Kalyan Singh州首相)であるが、これは所謂Horse Tradingの結果何とか成り立っている政権(対価として与えられた閣僚ポストは90以上)であり、BJP勢力の中にさえ同首相に対する反感が盛上っている状況で、極めて不安定である。そこでSPとしては、次のUP州政権及びいずれにせよ不可避な総選挙でのUPにおける票田確保(=ムスリム層の確保)を狙っているわけだが、Secularismの看板の下に国民会議派が中央政権に返り咲くようなことがあっては、ムスリム層が会議派に回帰する可能性があるため、これを嫌っているもの。

さて、会議派単独政権がほぼ不可能となった今、選択肢は、1)会議派とその他Secularismを標榜する諸党の連立政権か、2)その他党による連立政権への会議派閣外支援、の2つに絞られた感があるが、その際問題になるのは、「誰が首班となるのか」という点。以前にも書いたことがあるが、その他党の中には、Chandra Shekar、Deve Gowda、I K Gujralといった首相経験者が多数いる他、Mulayam Singh Yadav、Laloo Prasad Yadav、Jayalalithaといった、首相ポストへの野望を持つと言われる政治家が群居している。その一方で、Jyoti Basu西ベンガル州首相が一旦担ぎ出されるなど、一体誰がインドの顔になるのか、未だに見えない。


一昨日書いたデリー地下鉄プロジェクトの実施機関であるDMRCのWebサイトをご参考までに紹介しておく。入札情報なども掲載されている。


4月22日(木)
今月は長い記事が多くなってしまったので、一体どれくらいの文字数になるのかと調べてみたら、何と36,000字も書いている。原稿用紙90枚に相当する訳で我ながら呆れる。やはりずるずると書き過ぎである。

ということで、手短に今日の出来事。

  • 昨晩遅く、ビハールのガヤ(仏陀の悟りの地ブッダガヤの近傍)で、下位カーストの村が襲撃され、11人が死亡。上位カーストの「自警団」Ranvir Senaによる犯行とされる。
  • 99年度予算が下院通過(いずれの場合(上院通過、上院による修正のいずれの場合にも上院に提示されてから14日以内に予算成立の運びとなる)。
  • CPI(M)、CPIそれぞれ大統領と面談。
  • Laloo Prasad Yadav(RJD:17議席)及びJayalalitha(AIADMK: 18議席)、国民会議派単独政権を支持する旨の確認文書を提出。Jayalalithaは、「Sonia Gandhiによる会議派単独政権を支持」と語る。
  • Mulayam Singh Yadav(SP: 20議席)、会議派単独政権には反対との立場を変えず。予定されていた大統領との面会を延期。
  • カシミール国民会議(2議席)、「BJP政権に代わるものが如何なる形であろうと支持可能」とする。

と、比較的動きの少ない一日であった(水面下では魑魅魍魎が蠢いているに違いない)。国民会議派が確保している支持議席数は、現状229議席といわれ、これから支持を表明する可能性が高い政党の議席数を足しても、250議席弱。過半数の272議席を達成するためには、Samajwadi Party(20議席)の協力は不可欠である。これまでは、BJP政権に代わる会議派政権づくりの障害となるのはRSP(5議席)とForward Bloc(2議席)であると見られていたが(それは現在も変わらず)、俄然、Samajwadi Partyが態度を硬化。CPI(M)などは、SPに対して、第三勢力による組閣はあり得ないとして、「会議派支持でなければ総選挙以外に選択肢なし」として、働きかけを継続していると言われる。新政権が出来るかどうか、Sonia Gandhiが大統領に言った2日間の期限を守れるかどうか、明日が山場。土壇場で、Secularismという、唯一の看板の下にSPが折れる可能性も大きい。

選挙に突入した場合には、早ければ6月。南部〜中部インドにはモンスーンが到来する。モンスーン期の選挙はどの政党も嫌がるという。恐らく、ロジスティックスの問題と、農繁期に当たることから、選挙民の動員が出来ないからであろう。

それもこれも、デリーで起きていること。デリーでは、「インドを代表する政治家」達が新政権樹立に向けての協議を重ねているが、その中でビハールでの虐殺が論じられた形跡はない。


4月21日(水)
このところあまりにも政治のことばかりなので、書いている自分でもつまらなくなってきた。デリーの地下鉄プロジェクトの関係者から聞いたインドらしい話を一つ。

デリーやカルカッタなどの都市には、上下水、配電、電話、ガス管などが地下に埋設されているのだが、プロジェクトを始めるに当たって、「どこに何が埋まっているのか」を確認する必要がある。恐らく日本などでは、詳細な図面があって、どの位の深さに何がどの方向を向いて埋設されているということが分かるのだろうけれど、ここインドではどこにもそんな記録など残っていない。カルカッタなどは、デリーよりも都市としては古いので、100年以上経った下水道などが、突然現れることがあるという。

地下鉄プロジェクトはこれから建設が始まる段階であり、丁度今「何が何処にどのように埋まっているのか」を調べているところ。とあるところで、道路の舗装を一旦剥がしてから掘り下げて、電話線が埋まっているのを確認したという。その日は作業に時間がかかり夕刻になったので、再舗装は翌日に譲った。すると、翌日、その地域一帯の電話が使えなくなったとの由。

何が起きたのか。闇夜に紛れて何者かが舗装されていない穴を掘り返し、電話線をごそっと引き抜いてしまったというのだ。一体何のためにそんなことをしたのか?どうやら、電話線を鋳潰した上で銅を取り出して売り払うためではないか、というのが定説。

送電線のプロジェクトなどでも、鉄塔を立てて、電線を張ったら、最初にすべきことは、「取敢えず電気を流しておくこと」。そうして置かないと、闇に紛れて何者かが鉄塔に登り、電線を盗んでしまうからだという。送電線泥棒の話は他の国でも聞いたことがあるが、地下鉄プロジェクトの電話線の一件は、感電するほど強い電気が流れていないという盲点をついた犯行で、この話を聞いたときには唸ってしまった。


さて、止めたくても止められないのが政治観戦。ということで、今日の出来事。忙しいけれど益々展望が見えなくなった一日。

  • 99年度予算案を通すことになっていた国会、昨日のTDP国会議員の国民会議派政権支持発言を巡って、TDP及びBJP連立与党側が国民会議派による"Horse Trading"(馬を競りにかけるように、色々な政治的(金銭含む)な代償をつり上げていって反対党の議員を味方につけること)であるとして、激しい抗議を行い、議事進行が不可能となる。結局、本日予算案は下院を通過せず。(その後、大統領を中心に協議が行われ、予算は明日下院通過の予定)
  • 昼刻、Sonia Gandhi会議派総裁が大統領に面談。大統領に対して、2日間の猶予の後、272議員の支持レターを取り付け、国民会議派単独による少数内閣を作ることを目指すと述べた。但し、会議派政権の首班が誰になるのかは明らかにせず。
  • 反BJP勢力の内、非会議派全勢力(SP(20議席), RJD(17議席), AIADMK(18議席)、左翼政党)は夕刻会合を持ち、「国民会議派単独政権には反対。首班候補としてJyoti Basu西ベンガル州首相を推挙」と発表。JayalalithaとLaloo Prasad Yadavは同決定をSonia Gandhi会議派総裁に連絡。(会議派の一方的な「単独政権構想」に激しく反発したもの)
  • しかし、その直後、Jyoti Basu州首相自身と、所属政党であるCPI(M)が、首班を受け入れる用意がない旨発表。
  • BJP及び支持政党、大統領に面談、270議席相当の支持レターを提示(但し、TDP、Samata Partyなどの一部からは会議派支持を打ち出す議員が出てきている)。政権への返り咲きは特に求めず。
  • National Conference(3(-1)議席: カシミールのムスリムを基盤する政党)国民会議派政権を無条件支持する旨決定(未確認)。(-1は、信任投票時に党議違反を犯しつつ反対票を投じたSoz議員)
  • 大統領は明日、CPI(M)、CPI、SPとそれぞれ会談予定。

と、いうわけで、どうなることやらもう全く分からない。国民会議派単独及びSonia Gandhiの首相就任の線は極めて困難になったと見てよかろう。と、なると、会議派とその他政党の連立政権か、その他政党による政権への会議派による閣外協力かということになるが、後者の場合は首相は、Mulayam Singh Yadav(SP(20議席))か、Jayalalitha(AIADMK(18議席))か、Laloo Prasad Yadav(RJD(17議席))か?それとも「常識的」な線で、Deve Gowda元首相(JD(6議席))とか、Gujral(JD)か。ただただ混沌である。

会議派としては、下手な連立よりは総選挙の方がまし、との見方もあるようだが、その場合、会議派はUP、ビハールなどでBJP、SP、RJDに対して勝利を収めることは難しくなる。また、(確認する必要があるが、)恐らく、国民会議派は連立政権に参加したことはないはず。また、連立に参加した場合でも、BJPと同じ誤り(= 連立相手とEqual Partnerとしての付き合いではなく、導く者と従う者という関係に終始してしまう )を冒してしまう可能性が高い。

と、いうことで、反BJP勢力の各党は、「取敢えず政権を作る。いずれにせよ、それは短期間で崩壊する。いずれにせよ不可避な総選挙において、政権崩壊の仕方、その際の各党の対立模様を如何に自党に有利に作用させるか。」という、そもそも政権崩壊を前提とした戦略を描いているのではないだろうか。

さて、今日の昼刻のテレビ中継に映ったSonia Gandhiは記者団に囲まれても逃げず、何と10以上の質問に答えた。中でも、「BJPは会議派がHorse Tradingをやっていると批判しているが?」との質問に対しては、怒りをあらわにして、「そもそもHorse TradingはBJPがこれまでやってきたこと」と、BJPの主張を否定。

これを見ていて、「おぉ、これは本当に化けるかもしれないなぁ。楽しみ楽しみ」と思ってしまった。CongressiのMPS氏などに言わせると、「Mr Haraもやっとインド政治が分かってきましたか?」ということか。

化ければ化ける程、「素人の本能」は失われていくわけで、いずれかの段階では彼女が首相になる可能性が高いことを考えると、それがインドにとって良いことなのかどうかは分からない。因みに、Mulayam Singh Yadavなどまでが、「外国人の首相は要らない」と言い出している由。

「お仕事モード」の資料を再度手直し(JDは「特になし?」では無くて、問題が多い)。


4月20日(火)
今日は久しぶりに仕事を持って帰ったので、つかれた。簡単に今日の出来事。
  • 国民会議派、多数党の連立内閣、もしくはThird Front内閣への閣外支援よりは、会議派単独少数内閣を志向するとの方向性を打ち出す。
  • Sonia Gandhi国民会議派総裁、Jyoti Basu西ベンガル州首相と面談。面談後、「Mr Basuは首相のポストには興味がないと言った。現在、どのような政府をつくればよいのか、コンセンサスを作るために各党と協議中」と(だけ)発言。会議派政権への支持を拒んでいるRSP(5議席)、All India Forward Bloc(2議席)に対する働きかけをJyoti Basu州首相に依頼したものと見られる。別途Deve Gowda、I K Gujral両元首相にも面談。
  • Samajwadi PartyのMulayam Singh Yadav党首、「自分は20議席を有する政党の党首であり、それなりの立場がある」と発言。国民会議派単独政権には反対する意向と言われる(=会議派政権が出来た場合には、地元UP州でのSPの基盤が崩される可能性があるため)。
  • Chandra Shekar元首相、「会議派内閣は支援しない。少なくとも、どのような政策をもって政権に就くのか明らかにしない限りは支持できない」と発言。(同元首相はRajiv Gandhiによって退陣を余儀なくされた)
  • Janata Dal(6議席)、国民会議派政権を支持するか否かについて態度を保留(Janata Dalには国民会議派により退陣を余儀なくされたDeve Gowda、I K Gujral両元首相が属する他、今年末に州議会選挙が予定されているカルナタカ州はJD政権)。
  • TDP(12議席: BJP政権を閣外支持)のVijayarama Raju議員、国民会議派政権を支持する旨を国民会議派本部における記者会見で表明。
  • Chandrababu Naiduアンドラプラデシュ州首相(TDP党首)、Raju議員の行動を激しく批判するとともに、国民会議派は議員をまるでモノ扱いして引き抜き工作を図っていると批判。
  • BJP、信任投票に賛成した269議席分の支持表明レター(但し署名者は各党党首のみであり、BJD、TDP、Samata Party等、構成党内が分裂し、一部が会議派支持に回った場合には269を下回ることとなる)を集め、明日大統領に提示する予定であると発表(BJPによる組閣を求めるものではなく、反BJP勢力はこれを上回る議席数を文書で確認すべきとの点を大統領に対して強調するためと言われる)。
  • 一方、国民会議派も、支持レターの取り付けを開始。
  • 明日、大統領とSonia Gandhi会議派総裁の面談が予定される。組閣指示ではなく、「各政治勢力との協議の一環」との由。

と、いうことで、ガタガタと各勢力が動き回っており、BJPも返り咲きをまだまだ諦めていないという素振りを見せている。

明日予定されている99年度予算の下院通過後、政権づくりに向けての動きが本格化するが、最大の焦点となるのは、大統領が、組閣をすると主張している反BJP勢力(としか呼び様のないまとまりの無さなのである)から、安定政権が可能であるという証拠として、文書による各党の支持確認を求めるか否かという点である。憲法上、このような規定はないが、前回BJP連立政権成立の際求められたものであり、前例主義及びBJP政権との平等性、大統領としての一貫性との観点から、Narayanan大統領は同じ手続きを会議派を中心とする諸勢力に求めることとなるものと見られている。

会議派は、「土壇場でのSoniaの奇跡」に期待しているというが、さてどうなることか。「Soniaの奇跡」の最大の弱みは、彼女はずっと(正式に政治活動を始める前から)会議派の中で君臨してきた訳で、彼女にとっての政治とは、「取り巻き」とのやり取りで終始していたということだろう。そのような、言わば「温室育ち」の彼女に、Mulayam Singh Yadav、 Laloo Yadav、Mayawati、RSP、Forward Blocといった、「土臭い」政治家、政党、そして、忘れてはいけないJayalalitha、Subramaniam Swamyといった「バケモノ」を相手に、「奇跡」を発揮することが出来るかどうか、見物である。

Sonia Gandhiの旧姓はなんていうのかなぁ、という興味本位で、インターネットを検索してみたら、その名も、"Sonia Gandhi, Future Prime Minister of India"という名のページを見つけた。旧姓はMainoというらしい。旧姓に戻したら、多分選挙には勝てないだろうなぁ。

「お仕事モード」の資料を一部手直し(SPとRJDの重要な票田であるムスリム層を書き忘れていたのと、JDのカルナタカ政権のことを追加)。

(追伸: いくつか頂いているメール掲示板の書き込みへの返事が遅れています。日記を書くだけでヒイヒイ言っているので許して下さい。すんません。)


4月19日(月)
さてと、今日は中休みにしよう。と、いっても政治の話ではある。

週末の政治ドラマは多くのインド人を釘付けにしたようで、今日オフィスで、「この週末はすっかりインド政治観戦のために捧げてしまったようなものだなぁ」という話をしていたら、同じような過ごし方をしたという返事が返ってきた。

オフィスの中でも、僕が「反国民会議派・反Sonia Gandhi」であるということは良く知られているのだが、Hard Core Congressiの某MPS氏から、「なんでそこまで?」と問いつめられたので、「インドの惨めな状態=会議派責任論」や、「会議派の欺瞞に満ちたSecularism論」、「Sonia Gandhiド素人論(Not-More-Than-Two-Sentenses論)」、「10億の国家に(元)外国人首相不要論」、云々云々、結構血相を変えて日頃の持論を長々と説明したのだ。

MPS氏からは、「これだけ大きくて、バラバラの国をまとめて来たことだけでも会議派の大きな功績」(まぁ、そうかなぁ?)、「まぁ、インドはなんでもありの国ですからね。イタリア人も首相になれれば、Jayalalithaも首相になれるんですねぇ、これが。そもそもヒンドゥー教もそんなもんでしょ。No Problem!」という回答が返ってきて、あきれるというか、「そうか、そうか、インドの政治に期待しすぎてる俺が馬鹿だったのかぁ。」と悟った次第。よくよく考えると、外国人の僕がインドの政治に熱くなっているのはおかしな話ではある。

とはいえ、政治ショーからは今日も目が離せない。

  • 下院議長主催の全党協議会で、99年度予算については、水曜日に再開される国会で特段議論を行わず通過させることが決定された。反BJP側(もはや野党と呼ぶのは不正確?)は、「経済の信頼を取り付けることが重要。政権樹立後、必要な修正を加えた補正予算を組めばよい」としている。
  • 株式市場はこの決定を好感し高騰。一方、外国為替市場は、安定した新政権樹立を疑う見方からルピー安へ。
  • Sonia Gandhi会議派総裁、国民会議派院内会派から、新政権樹立に向けての全権委任を得る。その後、国民会議派の代表が、国民会議派が中心となって政権を作る用意がある旨、大統領に申し入れ。
  • 左翼勢力、新政権樹立に向けて協議を行うが、RSP(5)とAll India Front Bloc(2)は国民会議派主導政権には絶対反対との立場を貫く。
  • Jayalalitha、Sonia Gandhi、Mulayam Singh Yadav (SP)、Jyoti Basu西ベンガル州首相(CPI(M))とそれぞれ面談。Jyoti Basu州首相との面談後、「新政権は早々に出来る。BJPが再度政権に返り咲くことは阻止する。新政権の枠組みは現時点では公表できないが、Jyoti Basu氏が首相の座に就くことを受け入れてくれるのでば、AIADMKは諸手を挙げて歓迎する(be over joyed)。」、と発言。
  • BJP、反BJP勢力はまとまりに欠け、過半数を確保することが困難であるとして、「再度BJPが組閣するか、さもなければ総選挙」とのスタンスを明らかに。但し、BJP勢力も、カシミールの国民会議(NC)が反BJP政権への閣外協力も可能との線をにじませている一方で、BJD、Samata Partyなどの内部分裂を抑えると必要がある。また、政権から転落し「ウマミ」が無くなったことによる求心力の低下を抑える必要に追われている。
  • Naiduアンドラプラデシュ州首相(TDP)、BJPと距離を置く発言。秋に州議会選挙を控えていることもあり、宿敵の国民会議派に近づくことはないものの、州内のマイノリティー票田を考慮しているものと考えられる。
  • 大統領からは未だにどの政党にも組閣の指示は出ていないが、火曜日か、予算が下院を通過する水曜日中には何らかの動きが示されるものと見られている。その際に、前回BJP政権樹立の際に求められた、文書による過半数政党の支持確認が求められるかどうかが争点。

さてさて、とうとうJayalalithaの口からJyoti Basuの名前まで飛び出した!。Jyoti Basu西ベンガル州首相は、20年以上西ベンガル州首相の座にある老練政治家であり、UF政権の成立時には、首相候補として推されたのだが、CPI(M)の党議で政権に直接参加することは否決されたので、首相にならなかったという経緯がある。「ヒンドゥー至上主義政権の崩壊」と報じた欧米の報道機関は、Jyoti Basu首相が誕生した暁には、「インド初の共産政権成立」とでも報じるのだろうか。

テレビを見ているだけなのだが、Sonia Gandhiは、前々から書いているように(上述NMTTS論)報道機関に対していつも多くを語らず、まるで不倫現場を押さえられた芸能人のように、突きつけられるマイクを逃げるように車に乗り込み、「政権を作るんですか」との質問に「現在、状況を踏まえつつ、各党の指導者と協議しているところです」程度のことをいってその場を去ってしまう。一方、Jayalalithaはカメラの前でも極めて堂々としていて、ハッキリとものを言うものだから、何だか妙に安定感を感じてしまって、よっ、Jayaオバサン、できました!(ちょっと古すぎるかこれ?)、とか思ったりして。やっぱり役者が違うよ。こりゃ。

インド人に言わせると、Rajiv Gandhiも、政治家として登場した当初は、Soniaのように言葉少なで演説も下手糞だったらしいが、表舞台に立つようになってから、がらりと変わったという。さて、Sonia Gandhiは、落語の世界などで言われるように、「化ける」(= 一皮むけて藝に深みが出ること)ことが出来るのだろうか?

もう一つ、「会議派・Sonia嫌い」の僕が彼女に期待していること。それは、「飽くまでも政治の素人、普通の人としての本能、善悪の判断を大切にすべきではないか。」ということ。今回の政権崩壊劇は、「政権の座になければアイデンティティーを失ってしまう政党」である国民会議派がJayalalithaの起こした騒動に悪乗りをして政権を狙った結果だと言っても良いのではないかと思う。Hard Core Congressiは、「会議派はBJP政権を積極的に引きずり降ろした訳ではなくて、状況として選択肢が無かった」と言うが、投票直前にMayawatiにSonia Gandhiが協力要請をしているのだから、その言い訳は疑わしい。これではこれまでの会議派(see Sitaram Kesri)と何も変わらない。「権力のためには何でもやる会議派」という本質を変えていくためには、「素人の本能、善悪の判断」が必要とされているのではないかと思うのである。まぁ、今回のドラマで、Sonia Gandhiも、既にルビコン河を越えてしまったという見方も出来るけれども。

全然「中休み」になっていないのであった。


4月18日(日)
このところ、すっかりインド政治日記になってしまっているが、しかたがない。

新政府の姿は未だ不透明。Mulayam Singh YadavのSamajwadi Partyは政権に加わることを求める一方、左翼のRSPは国民会議派内閣には反対。今のところ大統領からの組閣指名は行われていない。

昨日のBJP政権退陣劇の中で、鍵を握ったSonia Gandhi、Jayalalitha、Mayawatiの三女性のことを、「稀代のトラブルメーカー」Subramaniam Swamyは「Laximi、Sarasvati、Durga」と称したそうな。ローマンカソリックのSonia Gandhiをヒンドゥーの女神に喩えるなど言語道断、との反応がRSS辺りからは予測されるところだが、今日、テレビのインタビューで、Mayawatiが、「あなたはこのうちどの女神ですか」と問われていたが、言を左右して答えなかった。

どう考えても彼女は戦いの女神Durgaだが、それは良いとして、Jayalalithaは何だ?Sarasvati(知識・芸術の女神)かぁ、どっちかというとKali(生き血を啜る破壊の女神)だよなぁ、と一人思ったのだった。不正蓄財で有名な彼女であるが、彼女がLaximi(幸運と富の女神)に擬されているとしたら、すごいブラックジョークではある。(それにしてもJayalalithaは今回デリーに出てきて以来、モーリヤシェラトンという5スターホテルの、クリントン大統領やチャールズ皇太子が泊まったといわれる部屋に泊まっているが、どこからそんな金が出てくるのか?)

さて、問題は予算である。99年度予算案は2月27日に下院に提示されたまま、今も下院にある(6日の項で「下院は可決済」と書いたのは誤り?要確認)。99年度予算はビジネス界からは好感をもって受け止められていたが、今回の退陣劇で予算審議がどうなっていくのか見通しがつかなくなり、その結果、昨日の株式市場は大幅な下落を記録したもの。

予算については、明日全党協議会が開催されることになっており、そこで何らかの方向性が出てくるものとは思われるが、国会の規定により、予算案が国会に提示されてから75日以内(今回の場合は5月13日)に通過しない場合には、予算案に基づいて徴収された間接税(Excesise tax とCustoms duty)は納税者に還付する必要が生ずることになっている。そんなことになると大変なので、予算は優先して国会を通してしまうべき(=最も簡単なのは、国民会議派とBJPが予算について手を結ぶこと)だが、今回の政権崩壊劇に参加した左翼政党を中心にBJPの予算案に対する反対が根強く、それは不可能。大統領はVajpayee首相に各党間の調整を命じたが、今後どうなっていくのか、新政権樹立と並んで不透明な状況である。

政治家の、言わば悪乗りによる内閣退陣劇が、経済に大きな打撃をあたえる可能性がでてきた。4月6日の項に、Yashwant Sinha蔵相はまたも悲劇の蔵相となるのか、と書いたが、それが本当になってしまった訳である。


4月17日(土)
疲れた疲れた。今朝7時過ぎに横になり、10時半過ぎからテレビを見る。

11時過ぎからVajpayee首相の最後の演説(本当に最後の演説となってしまった)が始まった。

ヒンディーだったので、完全には分からなかったが、BJP政権の功績を強調しつつ、今回の混乱は国民会議派とAIADMKを中心とした今回の企みを批判。また、国民会議派が前回総選挙の際に共産党を始めとする各党を激しく批判していたことを挙げ、日和見的な和合であると批判した。

1時間と10分原稿なしで滔々と続けられた首相演説(完全には分からないものの、聞き惚れる)の後、決議に入った。

その際、BJP側から「2議員は重い病をおして登院しており、車椅子に座っているので議場外での投票が許されるべき」との発議があり、これは一部の反対を除いて可決。

やれやれ、これで3日間続いた議論に終止符が打たれる。朝刊にも書いてあるように、結果はBJP勝利だな、と思っていたら、BJP側から、もう一つ、「国民会議派のGamang議員は、オリッサ州の州首相を兼務しており、憲法・院内規則の規定に反する他、前例にも反するので、投票を認められるべきではない」との発議があった。

BJPの論旨は、憲法上、州首相に選出された者は3ヶ月以内に州議会議員となる必要があること、国会議員が州議会議員となった暁には、国会議員の資格が剥奪されるとの規定があること、国及び州政府の"Office of Profit"のポストを持つ者は国会議員の資格が剥奪されるとの規定があること、過去の同様の事例では、国会の議場に入ることも不可能とされた例があること、などからGamang議員は投票する権能を有しない、というもの。

これに対して、野党側は、Gamang議員はまだ州議会に選出されておらず、国会議員資格を有すること、議員資格に疑問が呈された場合には大統領が資格の有無を決定する、との憲法規定があり、国会内で特定の議員の資格の有無については決定出来ないことから、今回の投票については彼の投票権を認めるのが筋である、と主張した。

これを巡って議場は混乱。両勢力が憲法の規定や院内規則、過去の記録を持ち出しての応酬を始めてしまい、これだけで一時間以上かかった。これを見ていて、「何か変だな。事前の票読みではBJPは反対票1票くらいではなんともないはずなのになぁ」と思っていた。結局、この問題は、議長の「投票する本人の良心に任せる」との発言で納められることとなり、投票が実施された。

最初は発声投票が行われたが、雌雄つかず、結局電子投票器による裁決へ。その結果は、賛成256反対263棄権1というもので、誰かが操作を間違えたのか、機械が壊れていたのか分からないが、出席総数に合わないということで、結局投票用紙による投票が行われた。

その結果は、既に報道されているように、賛成269票対反対270票というもので、何と1票差でBJP政権は不信任ということになってしまった。

昨日の項に書いたように、BSP(5議席)は棄権すると発表していたものだが、これが全て反対票に入ったのみなならず、党議決定としてBJPを支持することになっていた、カシミールを基盤とする国民戦線の議員1名(イスラム教徒)が、「よくよく考えたが、BJPはやはりcommunalであり、これを支持することは出来ない」として党議決定に背く形で反対票を投じたもの。

BSPのMayawati女史は、投票後、「一昨年、ウッタルプラデシュでKalyan Singh政権(BJP)に種々の約束を反古にされた経験に基づき、最終的にBJPに反対することとした」と発表。本日の議会開会直前にSonia Gandhi国民会議派総裁と、Jayalalithaから直接説得工作があったとの由。

この投票結果を受け、Vajpayee首相は時間をおかずに大統領官邸に出頭し、辞任の意を申し出た。大統領からは新政権が出来上がるまで暫定首相として首相の地位に留まるよう指示があった。番狂わせで政権の座から追われる形になったVajpayee氏ではあるが、大統領との面談後の会見は、「やることはやった」との爽やかな表情。

さて、頭痛はSonia Gandhiへ。国民会議派の中央作業部会は、いつもの得意技で、「今後の政権樹立については、Soniajiに全て一任」と決議。

Secularismという看板しか共通したものを持たず、明らかに対立している党もいくつかあり、それぞれバラバラな、且つ政治的に危険な要求を掲げている中をどのようにまとめていくのか、会議派がいうような、安定政権が可能なのか、彼女の政治家としての試金石である。BJP側は、現有勢力が269議席であることははっきりしているのだから、それを上回る支持を文書にて取り付けることを条件とすべきとしている(BJPは前回組閣の際に大統領に文書による支持確認を求められたことを根に持っている)。

それにしても、3日間の集中審議の後、一票差で政権が変わるというドラマを見て、インドの民主主義なるもの、取敢えずは健全に機能している、という感を受けた。

BJP政権崩壊への経緯。そして今後の見通しについて、少し「お仕事モード」の資料を作成した。

尚、欧米の報道機関は、早速、「ヒンドゥー至上主義政権崩壊」との報道を行っている由。今後、Sonia Gandhiという、(中身は全くないが)欧米の報道機関には受けがよさそうな女性の下、国民会議派政権が成立する場合には、好意的に報道されるのではないか。BJP自身にヒンドゥー至上主義の側面があることは事実だが、今回のBJP連立政権自身がヒンドゥー至上主義であったとは思えない。また、BJP自身も、今回政権の座にあった期間に、キリスト教徒の迫害などが起こり、(RSSが関与している可能性は高いが)メインストリームの政党として、過激なヒンドゥー至上主義を前面に押し出すことは危険であるということを学んだはずである。今回の政権崩壊劇で最終的に勝つことになるのは誰か。今回の経験を踏まえてBJPが「成熟した政党」に脱皮していくことになる可能性も大きい。


4月16日(金)
今これを書いているのは4月17日の午前2時過ぎ。何と、国会では、信任投票を巡っての議論がまだ続いている。

今日の出来事。

  • 国会の午前のセッションでDMK(6議席)、BJP政権支持を表明
  • INLD(4議席)のChautala党首、これまでの姿勢から一転して、BJP政権支持を表明。(BJPはDMK及びINLDに大臣ポストを約束すると共に、DMKに対してはJayalalithaの追求強化、INLDに対しては、肥料、農産物への補助金削減政策の見直しを約束したと言われる)
  • Chautala会見後、政権継続の期待感からボンベイの株式市場は10%以上高騰。
  • Sonia Gandhi国民会議派総裁、TMC(3議席)のManoopar党首と会談、信任投票への反対を要請。Manoopar党首からは、Jayalalitha抜きの政権を作ることを条件として提示したと言われる。
  • 国民会議派、BJP政権崩壊の場合には、連立の核として政権を担当する意欲がある旨発表。
  • BSP(5議席)、国会にて、信任投票からは棄権する旨発表
  • Deve Gowda元首相、国会にて、Janata Dal(6議席)は信任投票に反対する旨発表
  • TMCのChidambaran前蔵相、BJP政権の13ヶ月で経済は停滞し、政権としての業績は無であると述べ、名指しはしなかったものの、Jayalalithaを含んだ形での不安定な政権運営を痛烈に批判し、信任投票には反対する旨発表。同時に、野党側に対して、新たな政権を作るに当たっては、BJP政権の混乱を収拾し、「違いのある政権」を作らなければならない、と要求(=Jayalalithaを排除せよとの意か)。
  • 17日午前3時過ぎの現在も国会審議は継続。「稀代のトラブルメーカー」Subramaniam Swamy Janata Party(1議席)党首が新聞記事などを引っ張り出して、Fernandes国防相とBJP連立政権の構成党であるMDMKのVaiko党首がLTTE(スリランカのタミル系ゲリラ)との結びつきがあり、国家安全保障を冒すものであるとの演説を始めたところで、彼の演説の内容はAllegationであり、Allegationを行う場合にはその証拠と共に議事開始前1時間前に議長及び担当大臣に通知する必要があるとの院内規則に反するとする者(BJP側)、自分も同じような事を述べたいとする者(野党側)が続出し、議事進行が紛糾。

と、いうことで、午前3時20分現在も、50人程度が出席している国会(少数政党が発言順を待っている)では熱い議論(?)が交わされている。

さて、昼食を食べに家に帰ってテレビをつけると、DMKとINDLがBJP支持を明らかにした、というので、僕が一人で手を叩きつつ、Jayalalitha hatao, Sonia hatao, Atal Behari zindabad!(Jayalalithaは要らねぇ、Soniaも要らねぇ、Vajpayee万歳!)喜んでいたら(注1)、メイドのPushpaが、"Ram raj karega, Laximan bhi raj Karega, lekin hamko roti chahie!"(Ramの政府でも、Laximanの政府でもいいけれど、わたしぁロティが欲しいよぉ(注2))と言い出して、笑ってしまったが、それが政治に対するdisillusionが浸透した庶民の実感だろう。

(注1) 私は、貧困、文盲、汚職、非効率な行政など、現在のインドの惨めな状況の責任の大半は、40年以上にわたって政権の座にあった国民会議派にあると考えている。「ヒンドゥー至上主義」という危険な側面を有するBJPを心から支持しているわけではないが、旧来依然たる体質から脱却出来ない会議派、それに輪をかけて政治的に未熟としかいいようのないSonia Gandhiが首相となること、BJP政権以上に不安定になることが確実な連立に政権を渡すことは、この国にとって大きな不幸だと思うのである。一方、BJPについては、「国民会議派の害毒に冒されていない」という点で、会議派政治の負の遺産を思い切って整理していくことが出来るのではないか、と淡い期待を寄せていたのだが、全く期待を裏切られている。また、BJP政権には、責任をもって核実験後の後始末をやって欲しいし、パキスタンとの関係についても、ミサイル実験競争を続けるのではなく、責任をもって「ラホール宣言」を真の意味で実施に移して欲しいと考えているのである。
(注2) Ramはラーマヤナの主人公。Laximanはその弟。AyodhyaにRamが戻って国を治め始めてから、全ての民が満足する理想的な統治(raj)が布かれたと言い伝えられており、理想的な政治というときに、Ram rajという。roti chahieというのは「キチンと食べられるようにしてくれ(roti=チャパティ、ナンなどインドのパンの総称)」という意味。
Ram rajについては、RSSがAyodhyaのモスク破壊事件の前後につかったスローガンであるが、そもそもこの表現を使って選挙キャンペーンを繰り広げたのはRajiv Gandhiであって、Ayodhyaの事件の遠因はRajivにもある。BJPは、イタリア出身のSonia Gandhiによる政権の可能性について、Ram rajをもじってRoma rajとからかって、「外国人にインドを治められて良いのか?」とのプロパガンダを行っている。

さて、BJP側は、DMKとINLDの支持を確認し、確定勢力は267議席となったところから、昨日までの元気の無さから一転して強気になった。また、BSPが棄権を表明し、TMCはDMKとの関係から棄権するものと見られていたので、午後10時過ぎのテレビニュースではほぼBJP政権継続との報道振りだった。

ところが、Chidambaran前蔵相の演説が行われたのは17日の午前0時40分頃、TMCが信任投票に反対することになると、野党側の勢力は266+3で269となり、BJP勢力の267を上回る可能性が出てきた。

野党勢力の中にも、今回の政権転覆劇に疑問を呈している議員が数名いるといわれ、それらが明日(といってももう今日だけれど)の信任投票から棄権する可能性もあると言われるため、まだ結果がどうなるのかは分からない。

信任投票は11時に予定されている。土曜日の11時に起きているというのは至難の技なので、早く寝るべきなのだが、3時40分現在国会審議中継はまだ続いている。聞いたこともない小党の政治家が次から次へと演説しているのを見ていると、何となく引き込まれてしまう。

昨日書き漏らしてしまったことだが、パキスタンがShaheenという新型ミサイルの発射実験(最大射程2,000km以上へ向けて開発するとの由)を行った。また、それに応える形で(?)インドは本日、Trishulという短距離地対空ミサイルの発射実験を行った。ミサイル一発でいくらかかるのか知らないが、こんなことが続くと、どっちもいい加減にせぇよ、そんな金があったら出来ることは他にも沢山あるだろう、と、極めて常識的な(?)反応をしてしまう。それにしてもパキスタンが心配である。

現在4時40分。国会審議はまだ続いている。


4月15日(木)
また会議につぐ会議でほとほと疲れた。

今日の出来事。

  • 国会にてBJP連立政権への信任決議発議。本日、明日、明後日と各党から40名以上が順々に意見を述べることとなっており、信任投票は17日の12:00に行われる。それまでの間、予算審議を含む一切の議事は停止。混乱はみられず、各党が粛々と演説を行っている。
  • Vajpayee首相、発議の演説で、「野党がこの政権を引きずり倒したいのは分かっているが、ではその代わりにどのような政府が出来るのか、是非知りたい。」と簡単なスピーチを行った。土曜日の投票直前に最後のスピーチを行う予定。
  • Advani国務相、演説の中で、DMKがBJP政権を救ってくれる、との発言。
  • Pawar国民会議派院内代表、「BJPはJayalalithaが支持を撤回した段階で、国民の支持を失っており、Vajpayee首相がすぐに辞任してくれさえすれば、この議論は行わないで済んだ。」と発言。
  • Laloo Prasad Yadav RJD党首、「演説はよいからすぐに大統領官邸に行って、辞職してくれ。そうすれば、5分以内に新政権を樹立してみせる。」と発言。
  • Yashwant Sinha蔵相、「予算審議がこれ以上延ばされると、やっと復調を見せてきた経済に甚大な影響がある。国会議員全員が経済に対する責任を果してもらいたい。」と発言(=BJP政権が崩壊すると、現予算案は破棄されてしまう)。(以上国会での発言)
  • DMK(6議席)のKarnanidhi党首、「BJP政権は生き延びると思う」と発言、また、Third Frontで共闘してきた左翼勢力について、「今回の一連の動きについては一切相談が無かった」と批判。BJP寄りの立場をより鮮明に。
  • 基本的には会議派政権支持と言われるが、タミルナドではDMKと友党関係にあるTMC(3議席)は態度を明らかにせず。但し、TMCはそもそも、国民会議派中央(Narasimha Rao政権当時)が一方的にAIADMKとの協力を決定したことに反対して、タミルナド州の会議派が分派したものであり、Jayalalithaと席を同じくすることが出来るのかどうか、見極めをつける必要があるものとみられる。
  • BSP(5議席)のMayawati副党首(女性)、「BSPの立場は投票の際に明らかにする」と発言。BJP寄りの立場(棄権を含む)を示す余地を残した。
  • INLD(4議席)のChautala党首、基本的にはこれまでの発言を繰り返すが、最終的な立場は議場で明らかにする、と発言。
  • Jayalalitha、Sonia Gandhi国民会議派総裁と面談。面談後、「会議派が、どのような政府(会議派少数内閣、会議派とThird Front+AIADMKの連立、Third Front+AIADMK連立への閣外協力)を作りたいのか明らかにすることが先決。」と発言。AIADMK自身が政権に参加することを要求していくことをほのめかす。
  • 国民会議派は、「BJP政権を崩壊させることがあくまでも先決。会議派としての対応はその後明らかにする」とのスタンス。

と、いうことで、粛々と議論は始まったが、BJP政権は、BJD、Samata Partyなどの内部分裂を抑えることを前提とすると、過半数達成のためには追加で15議席を必要としており、DMKの6議席分が転がり込んだとしても、まだ9議席不足。最後の最後まで少数党、個人議員の取り込みを図る見込。一方、野党側は、内閣不信任との結果を出すことについては確信しているものの、その後の政権の形、それが安定政権となるのかどうかについては、上述のLalooなどを除いてははっきりとした絵が描けていない模様。"Jayalalitha Factor"をどう扱うか、が共通の課題。

一方、Jayalalithaにとっては、今回の政権崩壊劇が成功しない場合、また、成功した場合でも国民会議派・Third Front双方から最終的に袖にされた場合には、中央政界にも、地元タミルナドにも「お友達」がいなくなってしまう、という「背水の陣」におかれている。以前も書いたように、言うならば、常に注目を浴びていたいという本能だけで、BJP政権を揺るがせ、崩壊直前まで追い込んで来た彼女が、スポットライトを浴びる日々というのも終わりに近づいているような気がしてならない。


4月14日(水)
当地国際交流基金事務所で行われた「開発と文化研究会」で、「OECFの仕事」について簡単な説明をさせて頂く。「今日はお休み、そしてお暑い中、お集り頂いて、ありがとうございます。わたくしの小噺に小一時間お付き合いを願います」と落語調に始めて、その後は滑らかに続いていくはずだったのだが、準備不足でしどろもどろであった上に、後半は核実験後の仕事の辛さを公衆の面前でぼやかせて頂いたようなもの。

右に行ったり左に行ったりした「小噺」が時間オーバーで終わったあと、取って頂いたピザを挟んで懇談会。政治の話になった。某新聞社特派員も加わって、昨今の「政治スター」について聞いた凄い話(他にもあったはずだが、一眠りしてからこれを書いているので忘れてしまった)。

  • Jayalalithaの専用車には、彼女用のスポットライトが据え付けられている。
  • 彼女は今回デリーに来るに当たって、何とスーツケースを48個持ってきた。

スポットライトには驚いた。以前から、テレビで見かける度に、彼女が車の助手席に乗っているのを見て、変わっているなぁ、と思ったのだが、群集の中を行くとき、助手席に座ってスポットライトを点ければ彼女の顔が良く見える、という事らしい。まるで、ヒンドゥーの神が崇拝者にDarshan(姿を見せること、見ることを通じて功徳をつむこと)賜るのと同じ発想である。また、スーツケースについては、一体何が入っているのか。如何に彼女が巨体と言えども、サリーなんてものは、畳んでしまえば、スーツケース一つ辺り軽く10枚は入ってしまうわけで、中身がサリーばかりだとすると、500枚近く持ってきたことになる。確かに、一日の間に何回かテレビに出てくる度に別のサリーを着ているような気がしていたが、何のためにそんなに荷物を持ってきたのか、と言う話になり、「それは、首相になってデリーに居着くためではないか」との説も飛び出した。あながち冗談に終わらないかもしれない。

さて、今日の出来事。色々あった一日であった。疲れたので論評はしないが、「BJP政権を引きずり降ろす」ことには成功しても、「Jayalalitha忌避」の雰囲気が続いている一方、国民会議派の腰も据わらない感じがあり、政権崩壊後の政権づくりは前途多難ではないか。「Jayalalithaという爆弾を抱えつつも彼女を丸め込む形での比較的継続(安定の意にあらず)する政権」か、「Jayalalithaを抱えない形での不安定政権」という、究極の選択になる。

  • パキスタン、Ghauri-IIミサイルの発射実験実施。飛行距離2,000km、弾頭搭載能力500〜700kgと言われる。
  • Jayalalitha、午前中に大統領に面会、BJP政権への支持撤回の旨を記したレターを手交。
  • この結果、BJP連立政権は257議席となり、過半数の272議席に15議席不足することとなる。
  • Jayalalitha、"King Maker"であるCPI(M)のSurjeet書記長と面談、面談後、「AIADMKは政権に直接参加することを必ずも求めているわけではない」と発言。
  • 国民会議派、Constitutional Responsibilityを強調すると共に、「連立政権を排除せず」と発表。
  • Vajpayee首相、野党側の企みは失敗すると発言。
  • BJP連立政権、内部分裂の可能性を秘めていると言われるBJD、Samata Partyなどを中心に、党内結束を固める必要があるとし、Whip(党内の取りまとめ役)を全議員の下に派遣することを決定。
  • 午後、全野党の代表が大統領に面会、AIADMKが公式に支持を撤回したことを受け、15日の国会再開後にBJP連立政権側は国会の信任を問うために、信任投票を行うべきである、と申し入れ。
  • 夕刻、大統領からBJP連立政権に対して、国会再開後(期限は切らず)信任投票の動議をかけるべき旨、勧告。
  • BJP連立政権、大統領からの勧告を容れ、15日の午前11時に内閣信任動議を発議する旨、発表。
  • BSP(5議席)のKanshi Ram党首、BJP政権を救うことはしないと発言。
  • INLD(4議席)のChautala党首、信任投票には反対、不信任投票には賛成、と発言。但し、国民会議派政権にも反対。
  • DMK(6議席)のKarnanidhi党首、現在の政権転覆劇を批判し、新たな政権づくりには参画しない旨を発表。地元タミルナド州で連携しているTMC(3議席)の去就が注目される。
  • Jyoti Basu西ベンガル州首相(CPI(M))、United Front政権下では連携していたTDP(12議席)のChandrababu Naiduアンドラプラデシュ州首相に、BJP連立政権への支持撤回を呼びかけ。
  • JayalalithaとSonia Gandhi国民会議派総裁の会談が15日午後5時に行われることが決定。

11月以降、アンドラプラデシュ、マハラシュトラなどで州議会選挙が予定されている中、現時点で総選挙に臨む用意のある政党はないとされているが、いっそのこと、総選挙をやって、民意を確かめる方が余程健全であると考えるのは私だけではあるまい。選挙民は馬鹿ではないから、この政権崩壊劇の無意味さ、Jayalalitha一派の理不尽さを投票をもって具現化するはずだ。

それはともかく、パキスタンのことが気になる。ここまで来ると、インドと均衡を保つことも大切なのかもしれないが、国際的な制裁強化ということになると、経済が破綻する。


4月13日(火)
このところ何だか政治の話ばかりだが、それだけ話題を欠く毎日を送っているということである。シク教がGuru Gobind Singhによって現在の姿を与えられてから300年経つので、そのお祝いをやっているところなので、シク教についてまとめて書いておこうと思っているのだが、書きだすと止まらなくなるのが怖くて中々手が付かない。

と、いうことで政治。Jayalalithaはデリーのモウリヤシェラトンという5スターホテルに逗留。一日ホテルから出ずに、小党の党首などと協議を行っていたらしい。

一方、Jayalalithaの積年の宿敵であり、BJP政権側からの働きかけを受けているDMKのKarunanidhi党首(タミルナド州首相)は、「コミュナリズム(宗派主義)とAIADMKのどちらがインドにとっての悪か。現在のインドにとってはAIADMKの方が悪である」として、如何なる形でも、AIADMKが参加・閣外協力する政権には加わらないことを述べた。BJP政権を支持するとの発言は無かったが、15日から再開される議会で、内閣不信任案が提出された場合には、最低限でも棄権する可能性が高くなってきた模様。その場合、タミルナド州でDMKを支持しており、Sonia Gandhiが首相となるべきだとしているTMC(Tamil Manilaa Congress: 国民会議派から分派したもの。国会では3議席)がどのような行動を取るのか、注目される。

一方、国民会議派の基本線は単独政権でなければThird Frontへの閣外協力だと言われるが、Third Frontは会議派が中心となって組閣することを求めており、現下の状況で、最終的に少数野党を志向するのか、それとも連立を受け入れる余地があるのかを巡ってはっきりとしたスタンスを打ち出していない。Sonia Gandhi総裁自身は、現在の状況で政権を担当することについて消極的であるとも言われる。

Sonia Gandhiは政治の素人であり、記者のインタビューに対しても、大体2センテンス以上意味のあることを言っていることを見たことがない(キチンとした記者会見はやったことがないはず)のだが、やはり、Jayalalithaと組むことについては本能的に危険だと判断しているのだろうか。

それにしても、国民会議派政権となった場合には彼女が10億人の国家の首相となる可能性が高いが、記者のインタビューもまともに受けられない、且つ選挙で選ばれたわけでもない人物が、血筋だけでいきなり首相になれてしまう、それを老練政治家Jyoti Basu西ベンガル州首相なども含めた野党の大多数が支持しているのだから、驚きというか呆れてしまう。こんなことでいいのかね。と、いうか、こんな人を担ぎ出さなければまとまらない政治というのも変だと思うし、こんな人を担ぎ出さなければいけない程、BJP政権は悪くはないのではないのか、という気がしてならない。少なくともBJP政権には、選挙を通じて選出された、という「正統性」はあるわけで、それをこんな形で否定していくというのはおかしい。


4月12日(月)
Agniの発射については、マスコミは大筋実験成功を賞賛する記事を掲載。但し、BJP政権が崩壊せんとしているタイミングでの実験実施には、政治的な計算があったとする論評も見られる。野党も、一応実験を成功させた技術者のことは賞賛する、といったスタンス。(=昨年の核実験の時とほぼ同じ)

今日もまた政治は忙しい一日となった。

午後、Vajpayee首相がAdvani内相、Kumaramangalam国会担当相を伴ってNarayanan大統領と面談。現下の政治状況について協議し、AIADMKがBJP政権への支持を正式に取り下げた場合でも、BJP連立政権は過半数を維持することが可能であり、その限りに置いて信任投票は不要と主張したと言われるが、BJPは引き続きBSP、DMK、INLDからの支持取り付けに奔走中。一方、夕刻、Empress Jayalalithaがデリーに到着。到着時のインタビューが放映された。

それによると、「デリーに来た目的は、全ての野党指導者と協議し、BJP政権に代わる政権樹立を諮ること。新政権が誰に率いられ、誰が加わり、誰が政権への閣外支援を行うのかについてはこれからの協議で決まることで、現状で述べることは時期尚早。国全体の利益(National Interest)を考慮して、総選挙は回避する。AIADMK一党で決断せず、全党との協議により、結論を出す。大統領とも面談するつもりだが、その際にBJP政権からの離脱を申し入れるレターを提出するかどうかは現状では言えない」との由。デリーでVajpayee首相と会う予定もないという。

もうどうなっても(面白いから)いいのだが、このところ(本当は地元タミルナドと自分の汚職疑惑を逃れることが第一のプライオリティーのくせして)、何かにつけてNational Interestという言葉を口にするようになってきたEmpressは沢山の報道陣に囲まれて得意満面。

一方、彼女が要求していると言われる、政権への参加、5つ以上の大臣ポスト、等々、を前に、AIADMKと連立を組む可能性のある国民会議派とThird Frontは恐れをなしているとの話もあり、国民会議派は、「連立ではなく、会議派少数与党に対するThird Front+AIADMKの閣外協力」という線を模索しているとも言われる。

報道陣を前に意気軒昂なEmpressであるが、新政権が出来たは良いが長持ちせずに総選挙となり、AIADMKの議席が大幅減となる可能性も高く、元女優の彼女が中央政治の表舞台でスポットライトを浴びる日もそう長くないのではないか、とも思うが、いずれにせよ明日、明後日の出来事に注目である。


4月11日(日)
本日朝10時、インドはAgni-IIという、中距離弾道弾の発射実験を行った。射程距離は2,000km以上といわれ、インドからパキスタン全土、中国の内陸地方を狙うことが出来るもの。また、固形燃料及び移動発射台が採用された(Agni-Iは射程1,500km、液体燃料、固定発射台)。勿論核弾頭(1トン級)も装着可能である。これまで何度か実験を行うという情報があり、その都度何事も無く過ぎていったものの、今回は予定通り実施された。一応、ラホール宣言に基づいて、パキスタンへの事前通報も行った由。

今回実験が行われる、との情報があった時に、以下の理由でほぼ確実であろうと考えたのだが、そのとおりになったようだ。国防大臣は実験場に赴いた。記者会見の模様などはこちらで

>  1. BJP政権の不安定性が増しており、「実績」を作ることで連立の
>     結束を固めること。
>  
>  2. 政権崩壊の可能性が高まる(4月15日の国会開会以降)ことから、
>     それまでに後々宣伝材料になるような「宿題」を済ませてしまお
>     う、との考えも有り得ること。
>  
>  3. 国防大臣が槍玉に挙げられていることから、派手な実績を作って
>     批判を抑えよう、という考えも有り得ること。

それはともかく、これを受けてパキスタンも同様な実験を行うと発表していることから、日本などでは、「南アジア地域の不安定要因の増大を懸念」との見方が広がっていることだろう。ところが、インドでの見方は全く逆で、「インド・パキスタン(そして中国)が信頼に足る核の運搬手段を持つことによって地域安定は増す」とのもの。言ってみれば、20〜30年前の「恐怖の均衡論」そのままであり、時代遅れと批判することは可能だが、一旦核兵器を持つ、というオプションを選んでしまった以上、仕方がない選択肢ではないかという気もする。

これで日本とインドの関係はまた悪化してしまうのだろうか。日本がミサイル実験に懸念を表明すれば、インド側から、日本に届くようなものではないのだから、関係ないだろう、との反応が帰ってきそうだ。もう勝手にやってくれ、といった感じである。日米はパキスタンに自制を求めるのだろうが、所詮無理な話。前にも書いたように、パキスタンというのはインドの影法師であり、インドがやったことはやらざるを得ない運命にある。それにしても、インドは当面大丈夫としても、パキスタンはまたミサイル実験などやらかしてしまって、経済制裁強化などということになってしまった場合、大丈夫なのだろうか。

政治の方は、昨日までと殆ど変わらず。Vajpayee首相から支持依頼を受けたDMKのKarunanidhi党首は記者会見で、AIADMKと席を同じくせず、との発言を行ったが、BJPを支持するかどうかについては明らかにせず。AIADMKがBJP政権への支持撤回を正式なものとした時点で考える、とのスタンス。

ミサイルとの関係では、今朝方Jayalalithaが、「Agniミサイルの実験を繰り返し延期してきているように、この政権は国家安全保障への関心が薄い」とのBJP政権批判を行った由(本当はてめぇの訴訟沙汰にしか興味がないくせして、国家安全保障なんて良く言うぜ、と思うが)。BJP政権にしてみれば、彼女の裏を掻けてシメシメといったところであろう。

さて、最近当地報道では、Empress Jayaと呼ばれているJayalalithaは明日デリーに再来する。大統領官邸に行ってBJP政権への支持撤回を申し入れるのか、Sonia Gandhiと再度協議するのか、Empressと添い遂げる勇気のある党は出てくるのか、はたまた、BJPとの接触は有り得るのか、など、ドラマはまだまだ続くのだ。何だか馬鹿馬鹿しくなりつつもあるけれど。


4月10日(土)
寝ては起き、起きては食い、食っては寝て、寝ては起きる...というサイクルを2回程繰り返し、結局何もやらずに一日終わってしまった。考えてみたら、一歩も家の外に出なかったのだった。外はさぞかし暑かったのだろう。左程疲れているわけではないのだが、私にはナマケモノの血が流れているのだろうか。毎週土曜日をこんな調子で無駄にしているので、いい加減始めないと任期切れの方が先に来てしまいそうだと思っている「タブラ教室」が全然始められない。

ということで、政治の話。

Sonia Gandhi国民会議派総裁が、「BJP政権が崩壊するのであれば(=会議派自ら崩壊させることはしない)、野党第一党としての責務を果す用意あり」と言いつつも、政権担当から距離を置いているのに対して、会議派内では、やはりSoniajiに首相になって欲しいとの声が大きくなっている。それに呼応する形で、インド共産党(マルクス主義)を中心とするThird Front(=United Frontとほぼ同じ)は、「国民会議派が政権を担当するのであれば、閣外協力する用意あり」とのスタンス。

一方、BJP側は、議会開会後、内閣不信任案が提出された場合に備え、DMK(6議席)、INLD(4議席)、BSP(5議席)などを取り込む動きに出ている。

一応Third Frontの一員をなしているDMKは地元タミルナド州でAIADMKの仇敵、ハリヤナ州の農民を支持基盤とするINLDは以前はBJP政権を閣外支持していたものの、農産物や肥料への補助金削減を巡ってBJPに反対して支持を取り下げたもの、BSPはDalitと呼ばれる下層カースト層を支持基盤としているが、ウッタルプラデシュの州首相のポストを巡ってKalyan Singh現州首相に対する怨恨がある、といったようなもので、どれも一癖も二癖もある。

Third Front側はDMKの離脱はありえないとしているが、AIADMKを含む形での政権となった場合には、DMKが参加することは考えにくい。BJP側はそこを狙って各レベルでの働きかけを行っているもの。また、BSPに対しては、BJPの中でも不支持勢力が出てきているKalyan Singhウッタルプラデシュ州首相の首を差し出すとの取り引きを申し入れているとも言われる。

このような動きの中、やはり一番注目されるのはAIADMK。BJP政権を引きずり倒すという限りにおいては、「英雄」になれるのだが、その後AIADMKと一緒に政権を担当しようとする「蛮勇」のある党がどれくらいあるか。少なくとも国民会議派はその「蛮勇」を見せていないように思われる。Third Frontが自らの政権担当よりも国民会議派主導を訴えている背景には、「BJP政権の頭痛の種は自らの頭痛の種」という考えがあるものと考えられる。


4月9日(金)
会議会議、会議で終わった一日。とはいえ、昼飯は地下鉄プロジェクトの実施機関の面々と。

席上、政治の話になって(というより、無理矢理話題をそっちに向けたとの説あり)、現在の政治シナリオについて自説を滔々と述べたところ、「インド人でもそこまで考えてない」とお褒め(?)の言葉を頂いた。また、昼食の場所(ホテルの一室)に間違い電話がかかってきたのだが、その時、"Wrong number!"(ゥロング ナンバル!)といってバシャっと電話を切ったのを見たインド人から「まるでインド人」と言われた私。

さて、政治の方だが、AIADMKがBJP政権のCo-ordination Committeeから脱退。Trinamul Congressは随分前に脱退している(AIADMKとは無関係)ことから、これをもってBJP政権への支持が撤回されたわけではないが、政権不支持への歩みを一歩進めたことになる。(書き忘れたが、AIADMKの2大臣の辞表は昨日受理され、正式に大統領へ提出された。)


4月8日(木)
一周年と書いたばかりではあるが、今日はまた、何にも書くことがない日である。

日本のODAのうち、「有償資金協力」つまりローンを扱うのが我が社であり、技術協力を扱っているのがJICAである。デリーでは事務所も隣同士に位置しており、文字どおり姉妹機関である。

ところが我が社は、「特殊法人改革」の一環として、ODAの実施機関ではない日本輸出入銀行と今年10月に合併されることとなっている。何故そんなことになったのか、またそもそも統合の意義はあるのか、などについてはここでは触れない。もう決まったことは決まったことなのである。

一方、我が社とJICAは「ODA資金の効率的な運用」の一環として、業務連携を深めることとなっていて、インドでも、我が社を通じたODA資金を使って実施されているプロジェクトにJICAを通じて、プロジェクトの効果を高めるための専門家を派遣する、という方策を検討しているところである。例えば、円借款資金で建設された灌漑案件(施設建設が中心)について、その実際の運用の仕方、より具体的には水利組合の設立、灌漑農法の普及などを促進するための専門家を派遣する、といった案を議論してきている。

これが上手く行けばよいのだが、我が社もJICAも政府機関であることから、お互い「お役所」的に柔軟性を欠く面があること、専門家を受け入れるインド側はそれに輪をかけて「お役所」的であって、且つ、「インドには必要な技術者は充分おり、外部から専門家と称する追加インプットは必要ない」とする傾向が強いことから、簡単には行かない。更に、そもそもインドの遠隔地に行って、灌漑地域の農民の直面している問題を把握し、彼らの意見を基として、「灌漑農法」の普及を支援していくことの出来る専門家がどれ位いるのかも分からない。

「有償資金協力と技術協力の連携」というのは確かに必要なことであり、ODA改革の一つの看板ではあるが、「言うは易し行うは難し」の世界であって、苦労が絶えないのである。この苦労を乗り越えて、本当にインド側が必要としている専門家を派遣できれば良いのだが、日印双方のシステムの中での長い戦いになりそうだ。


4月7日(水)
今日はまた「オフ会」。最近この日記を読んで頂いているとある方が出張でデリーにお出でになったので、夕食をご一緒する。

インドに度々(数えられない位)出張でお出でになっているそうで、一緒に仕事をし易いインド人、し難いインド人のタイプのお話、時には敢えてインド人の逆鱗に触れるようなことを言って怒らせておいてから上手く纏めていく話(高等技術!)など、初対面とはいえ、実に楽しい夕食をご一緒させて頂いた。

また、ご本業のエンジン関係では、デリーやカトマンズの大気汚染を抑えるための案などについても話を伺うことが出来て、オートリキシャのエンジンの改善など、対象を絞り込めば、思ったよりも小さな金額で効果を生むことが出来るのだが、それを現実に運用するためのインフラ(物理的なものと制度的なもの)の整備が必要だ、ということになった。僕がかねがね考えている、「円借款によるデリーの排ガス対策」の実現化(多分僕がインドにいる間には、「種まき」すら無理だろうけれど)にも多いに参考になりそうである。またインドにお出での際には是非宜しくお願いします。


政治の方は中休みか。昨日AIADMKの2大臣はVajpayee首相に辞表を提出したが、未だ正式には受領されていない。また、Sonia Gandhi会議派総裁は、「状況をよく観察しているところ。時と状況によっては必要なアクションを起こすが、拙速な動きはとらない。」との由(この人、いつもこの程度しか発言しないんだけれどね)。AIADMKとの協議には入っていない、とも発言している。


さて、この日記も今日で一周年。パラパラと見返してみると、成長したようでもあり、退化したようでもあるが、取敢えずここまで続けてこられたことをもって良しとしよう。いつまで続けられるのか(=いつまでインドに居られるのか)良く分かりませんが、このヨタ日記にお付き合い頂いている皆様ありがとうございます。


4月6日(火)
以前、特別寄稿してもらった山本さんの送別会。某助教授、各社特派員、某政府機関駐在員等々がご参加。

突然インドからコソボに行かれることになった某助教授と、某助教授記念財団(?)設立の話、Arundhati Royはやはり美人だったという話、某特派員が美容・脚マッサージに凝っている(肩も凝っているけど)という話、出るべくして出たアガスティアの葉(大槻教授がNoで通した3時間)の話、ちょっときついなぁというチャッパル(サンダル)を店のオヤジが大きな足を無理矢理突っ込んで広げてくれた話、原は実のところはJayalalithaが好きなのではないかという話、そしてこのヨタ日記の話などなど。事務所でぐずぐずしていて、遅れていってしまったのが残念。ザルール(ヒンディー語で「それはやらなきゃいけないよ」の意)を連発していた山本さん、お疲れ様でした。日本に帰られても、「インドの匂い」が嗅ぎたくなったら、是非このヨタ日記をご覧頂きたく。


さて、政治。国民会議派は自らBJP政権を引きずり降ろし、不安定な政治状況の中で政権を担当することに難色を示していると言われている中、Laloo Prasada YadavとMulayam Singh YadavのRashtrya Loktantrik Morcha(全国民主主義戦線)の威勢が一番良いようだ(この人達いつも威勢良いのだけれど)。RLMの会合の後、国民会議派が政権を担当することに難色を示す場合にはRLMを中心とした旧United Frontが政権を担当することも有り得る、と述べたとのこと。Jab tak aloo hai samosa mein, tab tak Laloo hai hamare neta!(サモサの中にジャガイモ(aloo)がある限り、Lalooは我々のリーダーだ!)が掛け声のLaloo Prasad Yadavが首相(はいくらなんでも無理かもしれないので、国務相くらい?)になる可能性もある?

このような状況下、15日に国会が再開される。取敢えず国会を通さなければいけないのは99年度予算(下院では可決済)なのだが、憲法上、上院は14日以内に審議を終え、予算案に修正が必要とされた場合には下院に同案が提示され、下院で再度議論が行われた上で、上院の勧告を受け入れられない場合には下院案のまま予算が成立することとなっている。しかし、国会開会と同時にいずれかの勢力から内閣不信任案が提出される可能性が高く、これが可決されるかどうかは分からないが、いずれにせよ国会は空転することとなり、下院を一旦通過した99年度予算案の上院による審議がいつ行われることになるのか分からない。

大蔵大臣のYashwant Sinhaは1991年のJanata政権の崩壊時にも大蔵大臣を勤めており、今回とほぼ同じ状況に置かれた。彼は91年の国際収支危機に際し日本を始めとした各国を飛び回って緊急支援を仰ぐという損な役割を務めざるを得なくなり、その挙げ句国会を通過したのは暫定予算のみだった。98年度は核実験後の異常事態とはいえ、一応本予算が通過して溜飲を下げたのだが、今回も「悲運の大蔵大臣」となってしまうのだろうか。


4月5日(月)
今日は、Deepaの退職・結婚祝いとMr Gaurの取敢えずの退職を記念しての事務所全員ランチ。僕はMr Singh、Vineet、Rajasekharanの「ほぼ同世代組」と隣合わせになって、ガヤガヤと、Rajが菜食主義を放棄すべき理由や、昨今の政治談義などで盛上ってしまった。

ランチの後、事務所全員(何故かMr NatrajanとRajがいない!)と記念写真。残念ながら、Deepaは目をつぶってしまっている。「写真は苦手」を連発していた。


さて、政治は今日も騒がしい。午前中にBJP連立政権は臨時閣議を開き(AIADMK出身の2大臣はデリーにおらず欠席)、Jayalalithaの要求は全て受け入れられないことを決定。それを受けて、夕刻、AIADMKは2大臣が内閣から辞任することを発表。また、4月12日にJayalalithaが再度デリーに来て、各政治勢力と協議を行う旨を発表した。実質的なBJP政権からの離脱といっても良い。恐らく12日にデリーに来た際には、大統領に面談し、正式にBJP政権への支持撤回を申し出ることになるのだろう。

そもそも、辞任した2大臣は、法務大臣と、歳入・人事担当大臣であり、Jayalalithaが20件以上抱えていると言われる汚職・脱税疑惑について、捜査を進ませないために戦略的に獲得したポストである。

BJP政権がもつのかどうかは、今後(不)信任投票に向けて、少数党や無所属議員(合計で20議席程ある)の取り込みが奏功するかにかかっているが、もうこうなると端で見ている立場からは、BJP政権が崩壊してくれた方が面白い。

まず、国民会議派はAIADMKと組むのか。Jayalalithaのこれまでの言動、汚職疑惑などを考えると、会議派の看板を汚すことになるのではないか(過去40年以上充分汚れ切っているけれど)。JayalalithaはBJPであろうが、会議派であろうが、求めること(上記大臣ポスト、タミルナド州のDMK政権の解任等)は変わらず、それは会議派が呑むことのできるものなのか。

いずれにせよ、会議派は最大野党として首班を主張するのか、その場合誰が首相になるのか。当然Sonia Gandhiがなるべき、との考え方が支配的なようだが、Jayalalithaを抱えた状況で、彼女が首相になりたがるかどうか。Sonia Gandhiでなければ、誰か。国際的にも評価され得る無難な選択肢として、Manmohan Singh元蔵相という見方もあるが、学者肌の彼に政治的なリーダーシップを発揮してJayalalitha、Laloo Prasad Yadav、Mulayam Singh Yadavといった、Jayalalithaに劣らず癖のある連中をまとめることが出来るのか。

国民会議派でなければ、またUnited Front政権となるのか。その場合の首班は誰か。Deve Gowda元首相などの可能性もあると言われるが、Gowda氏のJanata Dalはわずか6議席。Gowdaが駄目なら共産党か?共産党なら、Jyoti Basu西ベンガル州首相という切り札もあるが、共産党の首班を国民会議派は(閣外協力とはいえ)支持することが出来るのか。そもそも、国民会議派によって政権の座から引きずり降ろされたUnited Frontは国民会議派を信用できるのか。それとも(まさか)Laloo Prasad Yadavか、Mulayam Singh Yadavか。どっちも「インドの顔」としては恥ずかしいなぁ(笑)...等々、等々。

...と、考えると、反BJP陣営にはBJPに劣らない頭痛の種ばかりであり、BJPが少数与党として生き残る可能性が最も高いのではないか(不信任投票が成立した場合には、選挙管理内閣として存続し、秋には総選挙か?)。いずれにせよ、このような状況でSonia Gandhiに首相の役回りが勤まるとは思えない。ランチの席上の政治談義で、「Vajpayee首相はRight man in a wrong partyだ」ということを誰かが言っていたが、正にそのとおりだと思う。彼を首相に、国民会議派が閣外支援、というのが、最良のオプションではないかなぁ、と思うのであるが、勿論そんなことはありえない。

BJPにとって、今一番見たくないのは、内部分裂だが、UP州のBJP党員の中では、Kalyan Singh州首相への反対姿勢を明らかにしている勢力も出てきている。


4月4日(日)
米が切れたので、Khanマーケットにいって買ってくる。自分で米を買ったことが無かったので、どれくらいのものか分からなかったのだが、何と1kgで80ルピーである。僕は元々物の値段には無頓着な方だが、庶民が買う量り売りの米が精々1kg20〜30ルピーであることを考えると、きちんとした包装に入っていること、最高級と言われるバスマティ米であること、を差し引いても高すぎる。買った場所が、「金持ちインド人と外国人専用」のKhanマーケットだったので、文句は言えないが、INAマーケットなども外国人が沢山行くようになって、最近は割高感があるそうで、住宅地の真ん中にあるSarojini Nagarマーケット辺りでないと「適正価格」は得られないとの由。

INAマーケットと言えば、3月30日の未明に火事があった。新聞によると、漏電が原因とのことで、死傷者は出ていないものの、商店13軒が全焼とのこと。

写真は30日の出勤前に撮ったもの。まだ煙が上がってるのが見える。

今週末はINAマーケットには行かずじまいだったが、火事に見舞われた個所には、何度も買い物をしたことのある、シク教徒の3兄弟がやっている小さな雑貨屋があった。つい一ヶ月前程に内装工事をして、間口は狭いながらも中々綺麗な店に生まれ変わったばかりだったのだ。先週末に行ったときに、ターバンのニイチャンが自慢気だったのが記憶に残っているが、さぞ落ち込んでいることだろう。出来るだけ早く復興することを祈るばかりである。


4月3日(土)
さて、現実の政治状況である。これが大変。

12月の末に起こった海軍参謀総長解任劇を巡って、お馴染みAIDMK党首のJayalalithaが雑音を起こし、それに対してBJPのKumaramangalam電力・議会担当相が、「Jayalalithaはデリーに滞在した5日間、5回前言を覆すような発言をした。そんなに政権に対する不満があるのであれば、何で政権に連なっている必要があるのか」という発言をしたものだから、AIADMKは怒った。その怒り方も、「我々のリーダー(彼らにとっては神に等しい)に対する何たる暴言」というもの。結局、BJPとAIADMKは対決を深めて行く雲行きで、これを傍らから国民会議派が虎視耽々と観ている、と言う状況。

この、「海軍参謀総長解任劇」、今後の政局を左右する話になりそうなので、これまでに起きたことを時系列で並べてみよう。尚、Bhagwat問題に関する一連の関係記事はここに良くまとめられている。

98年12月30日海軍参謀総長(Chief of Navy Staff)のVishnu Bhagwat海軍大将が解任される。その理由は、「故意に、確立された民主主義、伝統的な軍の中立性及び客観性並びに国家安全保障を脅かした」とのもの。
Bhagwat大将及びその夫人(弁護士)は、解任をコミューナル(宗派的)なものとして批判。この後、夫人共々テレビのインタビューを受けるなど、BJP政権への対決姿勢を明らかにする。因みに、Bhagwat夫妻はこれまでも海軍内でのBhagwat大将の処遇などを巡って裁判沙汰を何回も起こしてきている。
99年1月2日Jayalalitha、Bhagwat参謀総長解任の背景についての特別調査を要求。
2月22日Bhagwat大将記者会見にて、Fernandes国防相は武器商人との疑わしい結びつきがあること、国防相として不適格であること、などを述べる。
3月10日下院議長による調整会議。国民会議派を始めとする野党側はJoint Parliamentary Committeeの設置を要求。
3月11日JPCを開催することについて合意。但し、Bhagwat問題について「議論」は行うものの、「調査」は行わない、というのがBJP政権側の立場。これを巡ってこの後与野党間での混乱が続き、国会は審議停止状態へ。
3月14日Bhagwat大将、解任劇の背景とFernandes国防相を糾弾する趣旨の宣誓書を国会議員に配布。
3月26日Jayalalithaデリーに到着。5日間滞在予定。
3月27日BJP連立政権のCo-ordination Committee開催。席上、JayalalithaはBhagwat問題についてのJoint Parliamentary Committee(JPC)の設置を求めたが、議論の結果、「全会一致で」JPCの設置に反対することに決定された。
Jayalalitha、Vajpayee首相との面談後、「Fernandes国防相を問題の少ないポストに配置替えすること」を首相に対して進言した旨を公表。
3月29日Jayalalitha、Subramaniam Swamy主催の「お茶会」にて、Sonia Gandhi国民会議派総裁と面談。
3月30日Vajpayee首相は内閣メンバーと会談、Bhagwat問題に関するJPCによる調査は行わないこと、Bhagwat大将の職務復帰はありえないこと、を確認。
3月31日Kumararangalam電力・議会担当相、Jayalalithaは5日間のデリー滞在で5回前言を翻しており、それほどBJP政権に不満があるのであれば、何故連立に加わっているのか疑問であると発言。
4月1日AIADMK、Kumararangalam大臣の発言に対して、いつでもBJP政権への支持撤回は可能であり、他のTime tested(これまでの実績がある)連立相手(=国民会議派)との協議を開始することも可能である、と発表。一方、BJP側はKumarangalam大臣の発言は個人的なものであったとするが、同発言を否定はせず、また、Kumarangalam氏自身は発言を撤回せず。
4月1日BJPの全国執行委員会開催のためゴアを訪れたVajpayee首相は、下院の現議席数を前提とする限り、連立与党からの離脱があった場合でもBJP政権は継続すると発言。また、Kumarangalam大臣の発言は個人的なものであると発言。
4月2日BJP、AIADMK双方に対決回避の動き?
4月3日AIADMK、新たな連携先の選定をJayalalitha党首に一任する旨決定。Jayalalithaは同決定を受け、BJP政権に対して、1)Bhagwat大将の参謀総長への復帰、2)Fernandes国防相の更迭、3)Bhagwat問題についてのJoint Parliament Committeeの設置、を再度要求し、今後2、3日の間に劇的な変化があるだろうと発言。(因みに、国会は4月15日に審議再開予定)

さて、この状況で、BJPが事態を収拾するためには、Jayalalithaの要求を飲むか(面子の問題からありえない)、Kumaramangalam大臣の辞任(彼自身タミルナド州出身であること、元来国民会議派からの離党組であること、などから困難?)しか方途がないが、いずれも困難である。

JayalalithaがBJP連立政権から離脱することになった場合のインプリケーションは以下の通り。結局は少数与党ということでBJP政権が継続する可能性が高いのではないか。

  • いずれにせよ、どの党も現時点で総選挙を行うことは避けたいので、政権が変わるとしても、下院の現行議席を前提とした合従連衡となる。
  • 定数543の下院において、AIADMK(18議席)を含むBJP連立政権の議席数は283。ここからAIADMKが離脱すると、265議席となる。
  • 一方、国民会議派単独議席は148。これにLaloo Prasad YadavのRJDとMurayam Singh YadavのSamajwadi Partyの連合(38議席)、左翼政党(46議席)、その他諸派(20)を加えると、252議席。ここにAIADMKを加えると辛うじて270議席を確保することになる。
  • ところが、タミルナド州でAIADMKと対立しているDMK(4議席)がBJP側に付く可能性もあり、その場合BJP側も269議席。
  • また、左翼政党からはSonia Gandhi総裁に対するラブコールが続いているものの、国民会議派は左翼政党との連立は避けたいとも言われている。

と、いうことで、このNumber's Gameが今後どのように推移していくのか、ここ数日目を離せないのだが、解任後のBhagwat大将の活動の裏で国民会議派が糸を引いているとも言われ、一連の出来事は全てBJP政権を崩壊させるためのもの、と言って間違いではない。

突然海軍の最高職を解任するというBJP政権の決定にも疑問がないわけではないが、この出来事から政治的な利得を得ようとする国民会議派及びAIADMKの執拗な姿勢には呆れてしまう。勿論、彼らが政権を取って、本当にインドのためになるのであれば、異論はないのだが、はっきり言って、BJP連立政権も、国民会議派連立政権も同じ。何にも変わらないのに政治的な駆け引きだけのために国政が右に行ったり左に行ったりさせられるのはたまらない。

Jayalalithaにとっては、相手がVajpayeeであろうと、Sonia Gandhiであろうと求めるものは同じ。少し意地悪な観点からは、Sonia GandhiがJayalalithaをどのように御することになるのか見てみたいような気もする。


4月2日(金)
昨日の記事は真っ赤なうそ。エイプリルフールです(笑)。驚かれた方が居られたらすみません。最初はSonia GandhiとVajpayee首相が結婚、ということにしようかとおもったのだけれど、それじゃぁあんまりだというので、マハリンガラムという架空の政治家(ありそうな名前でしょう?)を作り上げてしまったのです。結構良い出来だと自任しておるのですが、如何でしょうか?

現実の政治状況はもっと大変。それは明日の記事に譲る。


4月1日(木)
ソニア・ガンディー国民会議派総裁が再婚するらしい。お相手は明らかにされていないが、BJPの大物政治家であるマハリンガラム氏と言われている。ラジブ・ガンディーが暗殺されたのは91年のこと。もう8年も経って服喪の期間も終わったということか。

それにしてもBJPの政治家との再婚とは驚きである。個人の生活と政治活動は別もの、と割り切って、今まで通り野党としての活動を続けるのか、それとも、国民会議派の総裁は予てから期待されている娘のプリヤンカに禅譲して政治の表舞台から下りることになるのか良く分からない。

既に、この問題を巡って、「BJP連立政権内の野党」AIADMKのジャヤラリタ党首は、「連立与党内で協議することもなく、ソニア・ガンディーがマハリンガラム氏と再婚するなど、容認できない。連立政権からの離脱を検討する用意あり」とヒステリカルな発言を行っている。また、ママタ・バナジー Trinamool Congress党首も怒りをあらわにして、「BJPと国民会議派の間で裏取引があったとの情報を掴んでいる。これはRSSのコミューナル(宗派的)な陰謀である。バジパイ首相の退陣を求める」と発言している。因みにジャヤラリタ、バナジー両女性党首は独身である。

このような予想もしなかった出来事によって、BJP政権の不安定要因が増しているが、BJPと国民会議派の大連合が成立し、政治の安定性が強化されるとして、歓迎する声もある。インドの政治、知れば知るほど分からなくなるものだ。