- 5月31日(月)
- 東京からの出張者が、嬉し涙が出るお土産を買ってきてくれた。インドに住んでいながらも何ともお恥ずかしい話(?)ではあるが、カレーパンである。はい、カレーパン好きなのです。ロンドン留学中にはるばる訪れてきた弟と、カレーパンを巡って喧嘩になったともあったくらいだ。Kさんありがとうございました。密かに、しみじみと味わうことと致します。
さて、ワールドカップでは、Bグループの最終戦、パキスタン対バングラデシュ戦が行われた。パキスタンはBグループの首位、バングラデシュはBグループ最下位のスコットランド(ロンドンにいた時もクリケットはイングランドだけのスポーツだと思っていたのだが、今回スコットランドが登場して驚いた。やはり弱い。)に勝って大喜びしていたようなもので、試合前は誰もがパキスタンの圧勝を予想していた。因みに、バングラデシュは、史上、One Day International Matchでは、ケニアとスコットランドにしか勝った経験がない。
しかし、しかしである。何と、バングラデシュはパキスタンに62runもの差をつけて勝ってしまったのだった。
出張者とホテルで夕食を採っている時に、テレビ中継があって、それを見ながら、もしかしたら、やっぱり無理だろうけれど、でも頑張ればバングラデシュは勝てるかもしれないなぁ、と思って一人応援していたのだ。周りのインド人は全く関心がなさそうで、バングラデシュがパキスタンからWicketを挙げる毎に、僕が一人喝采しているのを訝しげに睨むといった風だった。
家に帰って続きを観戦する。バングラデシュの選手一人一人が、一生懸命に試合に取り組んでいるのが手に取るように分かる。
バングラデシュは元東パキスタン。1971年に、独立戦争を経てパキスタンからの分離独立を得た、「ベンガル人の国」だ。世界の最貧国の一つであり、洪水、サイクロンと自然災害には事欠かない国だが、(西)パキスタンによる反ベンガル語政策に対抗するベンガル語国語化運動を発端に、内戦を経て独立を勝ち取った歴史、そしてベンガル文化には高い誇りをもっている国だ。毎年僕は我が社に入社した直後から約二年半、バングラデシュ向けの円借款を担当していたので、バングラデシュはこの仕事の原点のような国で、「お世話になった国」だ。今でも愛着をもっている。
と、いうこともあって、今日はバングラデシュの応援をしていたのだが、バングラデシュの選手とパキスタンの選手を並べてみると、巨人と小人位の違いがある。また、顔つきも、パキスタンの選手が所謂アーリア系の顔つきなのに対して、バングラデシュの選手はモンゴロイドの血が色濃い、典型的なベンガル顔ばかりで、違いは一目瞭然。真っ向から闘えば、肉体的にはパキスタンの方が強いのは明らかなのだ。
ところが、バングラデシュは本当に勝ってしまったのだ。力で圧倒したというよりも、ボウラー、フィールダーそれぞれが文字どおり一生懸命にプレーした結果である。まるでバングラデシュの独立の歴史をフラッシュバックで見せ付けられたようだった。
勿論、パキスタンに勝ったところで、バングラデシュはSuper Sixに残ることは出来ず、この試合をもってバングラデシュにとってのワールドカップは終わる。しかし、国を挙げてのお祭り騒ぎが続くことだろう。
インドのチームも上り調子ではあるが、今日バングラデシュの試合に見られたような、ハングリー精神を発揮してもらいたいものだ。
カシミールの状況
- インド空軍は、最新鋭のミラージュ2000戦闘機を投入。
- インド政府、パキスタン外相のデリー訪問受入の意図表明。但し、空爆は続行すると共に、今週末以降に予定される協議の内容はカシミール問題ではなく、今回のKargil地区での衝突に限定される模様。
- その他、カシミール紛争特集ページはBBC Newsなどを参照のこと。
- 5月30日(日)
- また昼過ぎに起きてクリケット観戦である。イングランドはたいそう寒いそうで、開戦前に解説者は「これはクリケット日和ではないですね」と繰り返していた。
さて、インドのボウリングが昨日のペースを保てるか、心配されたが、今日のインドチームは、ボウリング(野球でいうピッチング)、フィールディング(守備)いずれをとっても満点の出来。南アフリカ、ジンバブエに連敗したチームとは思えないようなすばらしい試合だった。
インドのボウリングは、Extra(野球でいうボール、ボークの類。クリケットでは相手側の点数になってしまう)が多く、試合に勝っても、口うるさいクリケット評論家(市井のアマチュア評論家達も含む)達は、規律のないボウリングだといって文句をつけてきたものだが、昨日から今日にかけてのExtraはわずかに13。
ボウリングは、ボウラー(投手)一人当たり6球ずつ区切って(Over)行われるが、登板の順番はキャプテンが決める。また、守備のポジションもバッツマン(打者)とボウラーの組み合わせをみてその都度キャプテンが指示を出してシフトさせる。インドのキャプテンはMohamed Azharuddinという前回のワールドカップにも出場したベテラン選手。これまで、パキスタン戦も含めて、彼の采配がよくないというのが、評論家達の専らの批判で、彼を交替させよとの声が高まっていたのだが、今日のAzarの采配は、Mohantyの勢い、Ganguly、Srinathのコントロール、Kumbleの巧緻を正に適材適所で使い分け、フィールダーのシフトも適切で、汚名を雪いだということができるだろう。
インドの好守もさることながら、雨が降ることが分かっていながらも先にインドにバッティングさせたイングランドの作戦ミスだという見方もある。
いずれにせよ、これで、インドはSuper Six入りを果した。グループBで圧勝し、既にSuper Six入りを決めているパキスタンとの対戦も行われることとなるので、当面クリケット熱が続きそうである。
カシミールの状況
- Vajpayee首相、国連のAnan事務総長との電話会談で、カシミール問題に対する国連の調停を拒否した旨発表。
- パキスタン側から返還されたパイロットの遺骸が荼毘に付された。
- Kargil、Drass地区での進入者の撃退が成功しつつある旨発表。但し、完全に撃退するための軍事行動は長期化する可能性もあり、LoC沿いのインド側ポスト(4,000mを超える高地なので厳冬期には閉鎖されている)を通年のポストにする方向。
- 5月29日(土)
- 10時頃に某友人の電話で起こされる。今日はインドにとって生死の分かれ目、イングランド戦があるというのに、出勤なのだという。一頻り、やぁやぁ久しぶり、的な会話をして電話を切ってから一眠り。
試合は当地時間3時半から始まった。コインのトスでイングランドが勝ち、後打ちを選び、インドのバッティングから始まった。
実を言うと途中一寸寝てしまったのだが、インドはGangulyとDravid、そしてJadejaが活躍し、Sachinは振るわなかったにも関わらず、232点(211run + 21 extra)を挙げた。
イニングが変わってインドのボウリングに入ったころから、如何にも英国らしく(懐かしい)、それまでカンカンに照っていた天気が急変して、雨雲が黒くため込めてきた。新人のMohantyが2 Wicketを挙げるなど、インドのボウラーが押し気味に試合を展開していたが、GangulyがイングランドのHusain(インド系?)を仕留めた直後、21.3 over(6×21+3 =129球)で、雨のため試合中断。結局残りの28.3 overは明日へ持ち越しということになった。
グラウンドはシートで覆われたが、雨が降ると、Pitch(Wicketが立っている三和土のように固められた部分)が湿り、ボールも重くなるので、バッティング側には不利になるとの由。
いずれにせよ、試合結果は明日に持ち越しである。インドではまだ週休二日制が普及しておらず(金融関係など)、土曜日も働いて人達が多いが、遠く離れたイングランドの雨のお蔭で、マッチの続きを日曜日に生で見ることができるというわけである。
カシミールの状況(インド側報道によるので、偏っている)
- 空爆は今日も続いた。空軍の損失はゼロ。武装侵入集団の一部をLoCの外に押し返すことに成功したと伝えられる。
-
- Vajpayee首相、全政党会議を開催し、カシミールの状況を説明すると共に、政府の採っている措置への支持を要請。出席した32政党から現在進行中の陸・空軍の作戦への支持を集めた。
- パキスタン軍に墜落されたMiG-21のパイロットの遺体がインドに返還された。インド側は同パイロットは墜落前に脱出したとしているが、返還された遺体には銃痕があり、脱出後にパキスタン軍に射殺された可能性が高い、と発表。
- また、作戦地域で回収した武装集団の遺体から、パキスタン正規軍の身分証明証が見つかったとの発表もあった。
- Kargilから約40km東方、Leh寄りのChorbat La及びTurtuk地域へも武装集団の侵入が見られる。
- 米、英、仏、露が、今回のカシミールにおけるインドの軍事行動を国連の場に持ち出さないと約束したと報道される。
- 5月28日(金)
- 昨晩良く眠つけなかったこともあり、大変な寝坊をしてしまった。出たり入ったり、バタバタと忙しい日ではあった。
空爆は今日も続いた。インドは更にヘリコプター1機を失い、乗員4名が死亡。LoCのインド側に潜伏する武装集団から米国製のStingerミサイル(熱追尾型)の攻撃を受けたものと言われ、アフガニスタン戦争の際に、米国からアフガンゲリラに供給されたものではないかと見られている。
パキスタンのSharif首相が、Vajpayee首相に電話を掛け、パキスタンは本件調停のため、外務大臣をデリーに派遣する用意がある、と表明したと伝えられる。
一方、ニュースでは、「インドに対して国際的なシンパシーが集まっている」との由。実際のところ、インドの空爆を明確に支持しているのはロシア程度のもの。核実験の時も感じたことだが、この国のマスコミは、自国に対する国際的な批判というものを正確に伝えない。「言論の自由」を標榜している割には、政府による情報統制があるのか、メディア自身が偏っているのか、良く分からないが、インターネットなどで世界中から無制限に情報が入ってくる昨今、何だか大政翼賛的な、時代錯誤の感がある。
まぁ、某国のマスコミは自国に対する批判に過剰反応するのが習慣となっているわけだけれど。
- 5月27日(木)
- カシミールでの戦闘は今日も継続されたが、既に報じられているように、今朝インド空軍のMiG-21とMiG-27が交戦地域で相次いで墜落した。
インド国防省の発表によると、MiG-27がエンジントラブルで墜落し、これを確認するために、墜落現場に向かったMiG-21は、LoCのパキスタン側から攻撃を受け、これも墜落した。両機ともパイロットは脱出したが、パイロットの居場所、消息については不明であるとの由。インド側はパキスタンの攻撃を批判しつつも、パキスタンに対してLoCを越えて反撃を行う意図のないことを発表。
一方、パキスタン側は、両機ともLoCのパキスタン側に侵入して来たものであり、攻撃の末撃墜したと発表。パイロット1名が死亡、一名は捕虜となったとの由。また、インドはLoCを越えてパキスタン側に爆弾を投下してきているとも発表(インド空軍は、「今回のオペレーションは、LoCの内側に限定されていた。そもそも爆弾は用いておらず、パキスタンの主張は事実無根」と否定、但し、両機が操縦不能に陥った後、LoCのパキスタン側に墜落した可能性は否定せず。また、インド国内の報道では、アメリカ国務省筋の発言として、「我々が得ている情報では、意図的にであれ、偶然であれ、インドがLoCを越えてパキスタン側を攻撃したことはない」と発言したとも伝えられている)。パキスタンは国連の介入を要請。
いずれにせよ、情報が錯綜していること、インドにいるとどうしてもインド側のフィルターがかかった情報しか得られないこと、から、実際のところどうなっているのかは良く分からない。パキスタンは今回の、(インド側のいうところの)武装集団の侵入との関係を否定している一方、国内の報道では、同集団を"Freedom Fighters"と呼んでいる。
パキスタンの見解は、これらの集団はLoCを越えて侵入したものではなく、カシミール内の反インド勢力が自発的に行動しているもの、というもの。これが事実とは考えにくいが、インド領カシミールや北東部におけるインド政府・軍の人権弾圧行為については、インド国内では殆ど論じられないが、パキスタン側は勿論のこと、国際的な批判もあるのは事実である。
CNNやBBCなども、イラクやユーゴスラビアの時とは異なり、今回の戦闘地域には特派員を派遣していないようで(インド政府が許可を与えていない?)、インド、パキスタン両国政府発表の情報を並べて報じるに留まっている。
さて、これから一体どのような展開を見せるのだろうか。兎に角、頼むから戦争だけは止めて欲しい。
明日はパキスタンの核実験一周年である。とんでもないことが起きないことを祈るばかりである。
- 5月26日(水)
- 早起きして早朝の特殊業務(?)をこなす。日本人会関連ゴルフの手伝いお蔭で一日眠かった。
その後出勤して、メールをチェックしつつ、インターネット上のニュースを確認していたら、「カシミールのスリナガル空港閉鎖・インド空軍の管理下に」という記事が飛び込んできた。どうもおかしいなぁ、と思い、更新されていく記事をフォローしていたら、「インド空軍、カルギル(Kargil)地区において、武装侵攻集団への空爆を実施」という記事が12時前になって現れた。
この、カルギル地区での小競り合いについては、先週ころから激化しつつあったのだが、あぁ、またやってるなぁ、くらいにしか思っていなかったので、この日記には書かなかった。
カルギル地区は、インド統治下にあるカシミール(地図はここ(但しファイルサイズが大きいので注意))の中でも、パキスタンとの暫定停戦ライン(Line of Control: LoC)に近接している。州都スリナガルと、東に位置するラダック地域の中心地レーを結ぶ国道があり、これは急峻な山岳地帯を貫き、カシミールの東西に分散しているインド陸軍の拠点を結ぶ軍事的な生命線なのだが、この国道がLoCに最も接近しているのが、カルギル地区なのだ。ここが切断されると、東部地域への補給路が断たれてしまう。
5月6日頃から、カルギル地区を中心して、LoCを越えて武装集団が侵入してきており、所々に戦闘拠点を構築しているという。インド側の発表では、既に600名程度がLoCの内側に侵入し、更に数百名の追加要員がLoCの反対側で準備中との情報を有しているとのこと。この武装集団は、パキスタン正規軍ではなく、アフガニスタンなどからの傭兵であるとも言われている。地図を見れば分かるが、LoCは海抜5,000mを超える稜線で構成されており、これを越えて戦闘拠点を築くためには極寒地対応の装備を整えるとともに、高度順応(それもトレッキング程度のものではなくて、戦闘に耐えうるもの)などの面で相当程度長期の準備期間が必要であり、同武装集団はパキスタン国内の軍事キャンプでの訓練を受けていると言われる(いずれのケースについても、パキスタン政府は関与を否定)。冬期の厳しい気候が緩むこの時期になると、今回のような武装集団の侵入が繰り返されてきているが、今回の規模での侵入は初めてと言われる。
インド側は昨日までの戦闘で、死者17名、負傷者90名、行方不明者20名以上を出している。また、昨日の陸軍による記者会見で、当初見込に反して今回の侵入を排除するオペレーションには時間がかかることが予想されると発表した。
今日のオペレーションには、戦闘機と戦闘ヘリコプターが導入され、山岳地帯に点在する侵入武装集団の拠点を攻撃したと言われ、空軍の発表では、侵入集団の約00名にダメージを与えたとの由。尚、空軍の行動範囲は厳密にLoCのインド側に限定されているとのこと。このオペレーションがいつまで継続されるのかは明らかにされていないが、侵入者を排除することが目的であるとされていることから、数日間は継続される可能性が高い(スリナガルの空港は少なくとも三日間閉鎖される見込)。
パキスタン側からは、攻撃に対しては反撃する、との声明が発表されているが、軍事行動について明確なシグナルはない。一方、インドとパキスタンの両軍間のホットラインが開設された由。
(インド側報道が正しいとして)、パキスタン側は、国内政治が不安定であること、軍の支持を取り付ける必要があることから、Sharif首相が自らの基盤を盤石のものにするために始めた軍事的冒険であるとも言われるが、パキスタンがラホール宣言後のこの時期に大々的な侵入行為を行っている本当の理由は明らかではない。そもそも経済が破綻寸前といわれるなかで、どこまでインドとの闘いを継続可能なのか、大いに疑問ではある。
このオペレーションが今後どのような展開を見せるのかについては、インド側がLoC内の行動としている原則を何処まで遵守することができるのか、という点に罹っているのではないか。現場ベースでの何らかのミスを含めて、インド側の軍事行動がLoCを超えるような事態が発生した場合には、両国間の本格的な軍事衝突にいたる可能性も否定できない。
両国とも、核実験を行って、諸外国から「亜大陸に軍事的不安定要因をもたらした」と批判されている中、これをきっかけとして本格的な軍事衝突に至ってしまえば、「ほれみたことか!」ということになり、その場合、双方とも誰も助けてくれなくなる(パキスタンは中国を頼り、インドはロシアを頼みにする可能性はある?)。国際的な評判を落とすのみならず、特にパキスタンは破産状態に陥る可能性もあるわけで、両国の指導者が智恵(Wisedom)に従って大規模衝突を回避する道を探ることを期待したい。
こんなことが始まってしまい、いずれにせよ、尾を引きそうなので、「カシミール紛争日記」でも作ろうかとも思ったが、ただでさえヒィヒィ言いながら日記を書いている中、そんなことをしたら寝る時間が無くなるので、取敢えず止めにしておく。
代りに、カシミール紛争関係の情報が掲載されているページをまとめておく。但し、そもそも紛争であることから、両国が180度違う見解を述べているので、バランスのとれた情報を得るためには、注意が必要である。
今日、インドにはもう一つの闘いがあった。午前中はカシミール紛争で持ち切りだったのだが、午後になると皆の関心は移ってしまった。そう、クリケットである。
今日の対戦相手は前回ワールドカップに輝いたスリランカであった。
午後になると、ローカルスタッフが何だか皆そわそわし始め、仕事をしていたかと思うと、いつのまにか席を外したりする連中が出てきて、一体どうなっているのかと、席を外した後をつけていくと、運転手連中が事務所の外でトランジスタラジオを中心に車座に座り込んでクリケット観戦(聴戦?)していたのだった。仕事をしながらも、スコアが気になって、時折運転手に途中経過を聞きに行っていたと言うわけである。
正式な勤務時間終了の5時が近づくと、「そわそわ度」は増していき、普段ならば7時過ぎまで働いている連中が、5時15分過ぎには一人残らず帰宅してしまったのだ。
さもありなん、インドは今日の試合に勝たないかぎり、Super Sixに残ることは出来ない。背水の陣だったのだ。
ローカルスタッフが駆け足で帰っていってしまったのをみて、何となく僕も仕事よりもクリケットの方が大切なような気になって、居ても立ってもいられなくなり、早々に帰宅して観戦した。
試合の詳細についてはこのページをご覧頂くとして、結果はインドの非の打ちどころのない大勝。且つ、Partnerとして記録的な318runを叩き出したRahul DravidとSourav Gangulyの大活躍により、スコアは歴史的とも言えるものであった。前回の立役者、Sachin Tendulkarは、Dravidがアウトになってから登場したが、Gangulyの183runの前にして今日は端役であった。Sachin無しでもインドの破壊力は充分あることを示したということで、あのジンバブエ戦は一体何だったのか、という感があるが、29日に予定されているリーグ最終戦のイングランド戦も多いに期待出来る。
テレビ観戦途中、出掛けなければいけなくなり、その用事が済んでからRaj Path周辺を通ったのだが、いつもは夕涼みの車で溢れかえっているRaj Pathが、今日はがらんとしており、所狭しと並んでいるはずのアイスクリーム屋台もいつもよりは少なく見えたのだった。げにげにクリケットはインド国民を結び付ける宗教のようなものであって、今日は全国5億人(控えめな見積り?)のクリケットファンは興奮で沸き返ったことだろう。
- 5月25日(火)
- 今日、インド南端、ケララ州とタミルナド州がモンスーン入りした。去年の日記を見ると(もう一年経ってしまったんだなぁ、と実感)、モンスーン入りは6月2日になっており、5月25日のモンスーン入りというのは、記録的な早さだそうである。インド東部一帯も、ベンガル湾から上昇するモンスーン前線の下に続々と入っていくことになる。
モンスーン中の降雨は、北部、南部では、例年を10%以上上回るであろうと予想されている一方、東部・北東部(オリッサ、西ベンガル、北東州)では例年を10%程度下回るのではないかと見られている由。インド全体でみれば、多雨となり、農作物にも好影響が期待される。一方、干害による飢餓が多発しているオリッサ州等が小雨になる、というのは心配である。このところ、10年間続けて、モンスーンは好調である。インドの経済がインドなりのペースで成長を続けられているのも、商工業の伸びもさることながら、順調なモンスーンに支えられた安定した農業の貢献が大きいと言われている。
とまれ、デリーにまでモンスーンが到達するのは約一ヶ月後。それまでは暑い毎日が続くことになる。ここ一週間位、突然雨が降ったりして、どちらかというと涼しい日々が続いてはいるが。
そうそう、皆様のご期待に応えて、Sonia Gandhi女王が、寛大なるお慈悲により、皆さんを見捨てずに、会議派総裁に返り咲かれましたこと、申し添えます。
- 5月24日(月)
- 午前中、20日の項に書いた、植林(林業)案件の関連で、GIS(Geographical Information System)のプレゼンテーションに参加する。GISというのは、衛星によって得られた地理情報(地形、植生、水系、土壌など)と、地上の情報を地図上で管理する一種の総合データベースで、都市計画などに広く用いられているもの。カーナビゲーションのシステムもGISの一種ということが出来るのではないか。
今日採り上げられた植林(林業)案件は、ラジャスタン州の一部を対象としたもので、GISを導入することにより、植林計画の策定・管理が如何にシステマティックに行い得るかというプレゼンテーションであり、出席した植林局のお歴々は、口々に、「最新の情報を現場から集めるのに数ヶ月かかっていたのに比べると、これは革新的なシステムだ」とか、「これからは、計画づくりも(マウスの)クリック一つで簡単だ」とか言っていた。
これらの発言を聞いて、何か違和感を感じたので、「わたしぁ植林もGISもズブの素人ですが、そもそもGISってぇのは、アメリカとか、カナダのような広大な国土で且つ人口密度が低い国から始まったものではないですか。インドのような人口密度の高い国では、何から何まで衛星の情報に頼るのではなく、相当程度地上情報のフィードバックが行われないと、折角のシステムも無用の長物になってしまうし、何よりも、実際現場で働く森林局の職員がシステムにアクセス出来なければ、中央の管理部門に座っている人に情報が集中することになり、そもそもこの植林案件のキモであった、JFMを核とした分権的な案件の実施というのが、ないがしろになるんではなかろうかかねぇ」という意見を述べた。お歴々は、うんうん分かってる、とはいうものの、どうもシステムの素晴らしさに目が眩んでいるような感じであった。
素人なので、良く分からんが、恐らく広範な地域を対象とする林業案件では、GISの導入というのは世界の常識なのだろう。それはそれで分かるが、高い金を出して導入したシステムが、現場から遠く離れ、空調の効いたオフィスで働く幹部職員のオモチャに終わってしまっては残念である。そうなってしまう可能性が高いのだけれど。
- 5月23日(日)
- 今日は多くのインド人がそうしたように、一日家にいてクリケット観戦である。インド対ケニア。午後2時過ぎから、トイレに行く時間も惜しみつつ、テレビに釘付けになる。結果は329対235でインドの大勝。父君のお葬式の直後にイングランドにとんぼ返りしたSachin Tedulkarが大活躍したのだ。
インドはSuper Sixに生き残るためには、残されたケニア、スリランカ、イングランドとの3試合に全て勝たなければならない。ただでさえ困難なのに、そこにSachinが欠けると殆ど不可能になると、インド中のクリケットファンがSachinの早期復帰を祈っていたのだが、今日、正にファンの期待に応えて彼はやってくれた。
Rahul DravidとのPartnership(Batsmanの組み合わせ)で、長打を挟みつつも、むしろ確実にRunを稼いで行った。Century(=一人で100点稼ぐこと)に達して、場内が沸いたとき、彼はヘルメットの中に手をやり、涙を拭っていた。父君に報いることが出来た気持で一杯だったのだろう。
その後も彼は華麗なるバッティングを繰り広げ(リバースショットは凄かった)、140Runを叩き出した。
野球ファンではないのだが、現役時代の長嶋選手には花があったと良く言われる。ジンバブエ戦で苦汁を飲んだインドチームも、Sachinが戻って雰囲気ががらっと替ったような気がする。父君の葬式の後の第一戦で大量点を稼ぎ出してチームを大勝利に導くなど、出来すぎではあるのだが、Sachin Tendulkarというクリケットプレーヤーはそういう花を持った選手なのだ。
- 5月22日(土)
- 今日はとあるお宅で御馳走になった。
詳しくは書けないが、とある奥様がトラックの運ちゃんと一戦構えてしまったお話など、驚く話を聞かされた。大変美味しい食事で苦しくなるくらい腹一杯になった後、エベレストトレッキングのスライドショーをさせて頂いた。解説をしながら、懐かしさがこみ上げて来たのだった。そういえば、トレッキング日記も、メモを起こすだけの作業なのだが、何だか面倒くさくなってしまって全く進んでいない。
- 5月21日(金)
- パソコンが絶不調である。「絶不調」というのは、「絶好調」から生まれた言葉なのだろう。嫌いな表現なのだが、正に絶不調なのである。押してもいないキーが勝手に入力されたり、カーソルが突然移動したりと、以前の症状がより重くなっている。どうやらパソコンが過熱してくると調子が悪くなるようだが、どうしたものか。インドでパソコン自作してみようかなぁ、とも思うが、残り少ないインド生活をそんなもので無駄に過ごすことはないではないかという気もする。
- 5月20日(木)
- 我が社とJICAの協力による専門家の派遣を受け入れてもらえるかどうかについて、環境森林省と協議。
我が社は、インドの5州において、植林案件(林業案件と呼ぶ方が正しいかも知れない)を支援してきている。インドの植林案件の特色は、Joint Forestry Management(JFM)と呼ばれる形態であり、植林対象地域の住民の参加を得て苗の育成・植え付け、植え付け後の保全、森林資源の保護を行うというものである。
案件の実施に当たっては、植林局が荒廃林、裸地などを選定し、その周辺の住民にVillage Forestry Protection Committee(VFPC)を組成させる。苗の選定などは、VFPCの意見を採り入れて決定される。苗の植え付け作業には、VFPCの構成員が携わり(賃金が支払われる)、植え付け後の保全もVFPCが責任を持つ。VFPCは、担当範囲の森林から得られる牧草、枯れ枝、落ち葉、果実などの副産物を与えられ、それらの処分方法については、VFPC内の議論で決定される。これらにより現金収入が得られた場合にも、VFPCの共通口座に集められ、村落内の施設整備などに充てることが出来る。
このような実施形態であって、今流行の「参加型開発」の一つの例とも言えるものであるが、これに日本から専門家を派遣しようというわけである。これは、ODA改革の一案として、我が社とJICAの連携を強化すべし、との課題がありこの一環として取り組んでいるものであり、日本は我が社による円借款供与を通じて、インドの植林セクターに対する(金額ベースでは)最大の援助国となっているため、植林案件の運営には一定の責任を果すべし、という考え方に根差しているものだが、中々簡単な話ではない。
第一に、インドの場合、「自国に専門家が充分いるのに、何故外国から専門家を連れてこなければならないのか。言葉も充分に出来ず、土地の事情もよく分からないのに、一体何を指導しようというのか。」という、専門家受入に対する基本的な嫌悪感があること。第二に、実際問題、このような植林案件に対して、「専門家」として指導に当たれるような人材が日本に本当にいるのかということ。
実際問題、これらの植林案件に対しては巨額の資金が供与されているが、これまで我が社は案件の実施についてはインド側任せにしてきたきらいがある。勿論、資金の使途については、キチンとチェックしてきており、その点については全く問題はないが、「実際、これらのプロジェクトが、インド側の主張するように、『参加型開発』の手法に基づいて実施されているのか」という点の実態については、対象村落の数が多いことなどから、よく分からないというのが正直なところである。
VFPCの組成においては、Forest Guard、Foresterと呼ばれる森林局の現場職員が何度か村落を訪問することを通じて、個別の村落との信頼関係を築き、その村落のニーズの把握、資源、経済・社会状況、伝統習慣の把握を行い、JFMの仕組みを説明し、VFPCの組成を促す。更なる現地状況の調査を実施し、VFPCとの議論を通じて住民の意見をくみ上げつつ、村落毎のマイクロプランを作成する。マイクロプランがVFPCで承認された後、同プランの実施についてVFPCと植林局の間でプランの実施について正式に契約が結ばれる。この過程は全て議事録の形で保存され、VFPCの得る森林資源、現金収入などの処分についてもVFPCで議論され、それらは全て議事録に記録される。
このような仕組みであり、我々が現地視察に行くと、比較的これらのプロセスが上手く回っているところを見ることになるのだが、根本的な疑問は、Forest Guard、Foresterの村落民との関わり方である。森林局は、現場職員はそれぞれ地元出身なので、地元の事情は知悉しており、彼らがVFPCの組成及びプランの実施に携わっていくのが最も効果的であるとしている。それは正しいのかも知れないが、Forester達が、Sarkari Babu(政府のお偉方)として振る舞い、VFPCから出てくる意見が、それによりバイアスがかかったものになっていないか、という点が気になる。
その点について、実態を調査し、問題がある場合にはどのように是正したらよいのか勧告できるような専門家がいれば一番よいのだが、本当に日本人でインドのド田舎にいってそんなことが出来る人がいるのか、という問題と、このような、言わば案件の「核」の部分について、口出しをされるのをインド側は嫌っている、という問題があるので、困っているのである。
今日の会議では、インド側を余り刺激してそもそも入り口のところで蹴られてもつまらないので、上述のような問題には余り触れなかった。むしろ、「日本国内でODAの見直し議論があって、その結論としてOECFとJICAの連携を強化することが必要であり、OECFの案件にJICAの専門家を送り込むことが大きな課題になっている。取敢えず何でも良いから専門家を送り込みたいのだが、何が良いか知らん」という、何とも情けない提案の仕方になってしまった。
- 5月19日(水)
- 今日はインドにとってワールドカップ第2戦、対ジンバブエ戦があったのだが、インドの国民的クリケット選手であり、多分Sonia Gandhiよりも広範な人気を誇るSachin Tendulkarの父親が昨晩死去。Sachinは急遽イギリスから帰国した。
と、いうことで、今日のジンバブエ戦はSachin抜きで戦われたが、終盤、インドはあと6球で4点稼げばよいという、ほぼ勝ちが確実ではあるものの一球一球を無駄には出来ないという緊迫の場面で、ジンバブエのスピードボーラーOlongaの前にガタガタに崩れ、負けてしまった。
インドがSuper Sixに進むためには、残りの3試合(ケニア(23日)、スリランカ(26日)、イングランド(29日))に3連勝しなければならないが、スリランカ、イングランドは強豪であると言われている。一方、Sachinについては、服喪期間は家から出てはいけないと習慣があるため、2週間程度はイングランドに復帰出来ないのではないかという見方もある。インドにとって、この3試合、特にスリランカ、イングランド戦をSachin抜きで戦うのは至難の技となる。
- 5月18日(火)
- 今日も政治(と呼ぶのが正しいかどうかよく分からないレベルの話だけれど)が熱い一日となった。
さて、このページを作っているパソコンだが、シャープのメビウスPC-A330(Pentium 90MHz)という代物で、Windows95が出た直後に買ったものだから、そろそろ4年。以前の日記にも書いたように、何回かお腹を開けていたりして、もうボロボロである。それに加えて、何故かよく分からないのだが、このところ起動する時にKeyboard Errorというのが出て、こうやって文書を書いている時にも急にカーソルが上に向かって暴走したり、突然ggggggggggと押してもいないのに、何故かgの字が止まらなくなったりと、言うことを聞かなくなってきた。
頭にきて、キーボードをガツンと叩いたら(そんなことするから言うこと聞かなくなるのだろうけれど)言うことを聞くようになったのだが、何かの弾みで電源を切ってしまい、再起動しようとしたら、ハードディスクの一部が破損してしまったらしく、起動してくれない。仕方なく、Windows95の再インストールをして、やっとここまで辿り着いた訳である。眠い眠い。
いうことをよく聞いて、且つサクサクと早く動くパソコンに買い替えたくもあるが、何とも言えず愛着があるのと、そもそも個人向けパソコン市場に厚みがないインドではPentiumIIIのノートパソコンなど目玉が飛び出すような値段なので、中々手が出ない。
- 5月17日(月)
- ワールドカップは今日、ニュージーランドとバングラデシュの試合。
とても弱い、との噂は以前に聞いていたのだが、バングラデシュは我が社入社当初、約2年半にわたって仕事をさせて頂いた国で、インドに来てからも周りに何かとベンガル人が多いので、僕にとってインドに次ぐ親近感をもっている国だ(ネパールも同じくらいかもしれない)。
と、いうことで、馬鹿にしているインド人連中をものともせず、バングラデシュ頑張れと心中思っていたのだが、結果は、先にBattingを行ったバングラデシュが116 Run、 37.4over(226球)でall out、ニュージーランドは117Runを楽々28over(168球)で叩き出し、バングラデシュは敢無くというか、情けないほどの敗退。
哀しいと思うと共に、あぁ、賭けに参加しなくて良かった、と思った私。
さて、政治の世界では、Sharad Pawarの剛直球にSonia Gandhiが真っ正面から向かっていくのか注目されたが、その詳細は政治日記に譲るとして、こちらの方も、賭けを変更したいとの申し出が相次いでしまったのだった。
The Great Indian Novel(先週金曜日に読了)に引き続いて、P SAinath, Everybody Loves a Good Drought - Stories fro India's Poorest Districts, Peguin India.を読み始める。
- 5月16日(日)
- 夕刻会社にいって少し仕事を片づける。その後駐車場から車を出して、事務所ビルの前で一寸した買い物をして車に戻ろうとすると、何だか酔っ払ったようなオッサンが声をかけてきて、"Aaapka Piyar chaahie, Muhabbaat chaahie"という。そのまま訳すと、「愛して下さい。愛を下さい」というような意味。何かそれ以外にも言いたげだった。別にオカマ風でもなく、なんだか面白そうなので、少し話の相手をしてやろうかとも思ったが、やっぱり気持ち悪くなって逃げた。
久しぶりに「政治日記」に論評をつけた。
- 5月15日(土)
- 事務所のMr Singhのうちで、娘さんが5歳になったお祝い等のために一晩中お祈りをするという会があり、事務所一同招かれたので夕刻アンバサダーで家を出る。途中で某上司をピックアップして、順調に走り始めたのだが、Mr Singhの家の近くまで辿り着いてからが大変だった。
事務所のドライバーが書いてくれたSingh邸付近図を頼りに路地を曲がる。車一台がやっとの通りなのだが、子供が遊んでいるは、牛がたむろしているは、で、神経を使う。どうやら曲がるところを間違えたようだ、と気づいた時には、前に進んでUターンも出来ないところに迷い込んでしまった。とはいえ、これまで辿り着いた道をバックで引き返すことは絶対に無理なので、切換しすることにする。
しかし、道の幅は、車長(というか、何というのか、車の鼻からお尻までの長さ)+50cm位しかなく、少しずつバックして、ハンドルを反転して少し前に出て、また切換えして、バックして、...というのを15回位はやったのではないか。やっとのことで切換しが終わったときには、全身汗だくである。
僕の腕が良くないこともあるが、このような時、小型車マルチであれば、すぐに反転できたのだろうが、車重1.5トン、勿論パワーステアリング無しの拙車、アンバサダーにはそのような芸当は出来ない。
なんだか動物的としか言いようのない勘に従ってフラフラ運転していると、結婚式のような仮設テントと、煌煌と照らされた門が見えてきて、そこに辿り着くと果してSingh邸なのだった。
到着したのは午後八時位。メイン・イベントであるお祈り(puja)は十時位から始めるというので、それまではおしゃべりをしながら過ごす。この時点で来ていたのは日本人のみ。他のインド人スタッフは「インド時間」で九時前後に集まってきた。おしゃべりが一段落した後は、Mr Singhの居間にあるテレビでワールドカップ観戦。今日はインドの開幕戦、対戦相手は今回最強との前評判が高い南アフリカである。
「インド人にとってクリケットは宗教だ」とか、「インド人の数だけクリケット評論家がいる」とか言われるが、いやいや本当にそのとおり。15人位集まっていたのだが、皆それぞれに論評を始めてしまう。接戦だったこともあるが、今日集まった本来の目的であるpujaが始まっても中々みんなテレビの前を離れようとしない。Mr Natarajanの二人の息子に至っては、小型イヤホンラジオ持参で、十時過ぎから始まったPujaの間も一喜一憂していた。
無事Pujaも終わったので、居間に戻ってテレビをみるが、インドは終盤守備がガタガタに崩れて、あっと言う間に負けてしまった。試合が終わった後でまた一頻りクリケット評論。Pujaのためにきたのだか、クリケット論議をしに来たのだか分からない夕べだった。
帰りにも、停めておいたアンバサダーを何回も切換す羽目に陥り、あろうことか、Mr Natarajanの車にコツンとぶつけてしまった。誠に申し訳ない。
結局、一日で都合三十回位切換えしをしたことになる。深夜家に着いて、車庫入れした時、既に筋肉痛が始まっているのを自覚したのだった。アンバサダーを操らんとする者、まず身体を鍛えるべし、ということを思い知らされた。腕立て伏せでも始めるか。
- 5月14日(金)
- ワールドカップ99が始まった。日本では知られていないかも知れないが、インドの国技と呼んでも間違いではない、クリケットのワールドカップである。今回の会場はイングランド。
詳細は
このページに掲載されている(但し、India Todayの特別ページなので、インド情報中心)。
簡単に仕組と日程を整理しておくと、以下の通り。
- 12ヶ国の代表チームが以下の2リーグに分かれてリーグ戦(One Day Match)を行う(5/14〜31)
| Group A | Group B |
| イングランド | オーストラリア |
インド | バングラデシュ |
ケニア | ニュージーランド |
南アフリカ | パキスタン |
スリランカ | スコットランド |
ジンバブエ | 南インド諸島 |
- 各リーグの上位3位がSuper Sixとしてリーグ戦(但し、Group AのチームはGroup Bとしか戦わない)を行う(6/4〜13)
- Super Sixの上位4チームがSemi Final(1位と4位、2位と3位)を戦う(6/16〜17)
- Semi Finalの勝者2チームによるFinal(6/20)
スポーツ観戦は嫌いではないが、プロ野球とかサッカーの結果に一喜一憂する柄ではないので、クリケットについても、余り熱心に追っているわけではなく、インドのスター選手といっても、取敢えずSachin TendulkarとAnil Kumbleを知っている程度なのだが、どうやら今回は毎日観戦する必要がありそうだ。
と、いうのも、周りのインド人が、老若男女、富めるも貧しきも、兎に角ワールドカップ一色になっているのだ。今日も、仕事が一段落したところで、VS氏が、「スリランカ(前回優勝)はイングランドにぶっ潰されてますよ、へへへ」と言い出した。「お隣の国が負けてるからって、そんなに喜ばなくても良いじゃないか」とからかってやったが、真面目に仕事をしていたはずなのに、どこから仕入れてくるのか最新情報を知っている。どうやら、事務所のドライバー諸氏がトランジスターラジオを持ち込んで、待ち時間に釘付けになっているらしい。
第1戦、スリランカ対イングランドの結果は、204対 でイングランドの勝ち。インドは明日の開幕戦で、今回のワールドカップの最右翼候補と言われている南アフリカと対戦する。
インドの最大の敵は、イングランドの気まぐれな天候だと言われている。今日のスリランカ・イングランド戦も、ロンドン名物の雨に見舞われて、2回中断を余儀なくされた。40度近くのインドから一日の間に季節が変わるような天候のイングランドに出かけて行ってプレーするのだから、よく分かる話ではある。
四年に一回のオリンピックのようなものなので(オリンピックにクリケットはない)、インド中が熱狂しており、STAR Newsでは、ジャイプールの映画館が映画の大スクリーンで実況中継をやるとか、ムンバイのムスリムが金曜礼拝でインドの勝利を祝って特別にお祈りをしたといったニュースが伝えられた。また、巷では賭けが横行しており、バングラデシュの勝ちに掛けた場合には100ルピーに対して10,000ルピーのオッズだという(バングラデシュしっかりせいよ!)。
この前までは、挨拶代わりに政治の話、といった感じだったが、これからはワールドカップである。クリケットを知らずしては仕事にも差し障りが出てくる(?)。但し、実況中継は時差(5時間半)の関係で、インドの昼過ぎから真夜中1時過ぎまで。みんな寝不足な上、昼過ぎからはどんどん入ってくる最新情報で仕事が手に付かない、という逆効果もあるかもしれない。
ワールドカップ特集ページも作ろうかと思ったが、これ以上寝不足が昂ずると大変なので、やめにしておこう(今のところは)。
- クリケットのルール(日本語)
- インドクリケット情報
- 5月13日(木)
- 一日の仕事を終え、家に帰って、飯を食べて、本を読みながらうとうとしてしまい、少し寝てからまた起きた。
思い立って、台所に行ってマンゴーの皮を剥き、流しのところに立ってジュルジュルと音を立てながら食する。お行儀は悪いが、なによりもこれが一番の食べ方。誰にも遠慮は要らない。あぁ、至福の時。
- 5月12日(水)
- 昼前に急に辺りが夕方のように暗くなったと思ったら、強風が吹き、Jantar Mantarのニームの樹がそこから逃れようとするかのように暴れ始め、あれよあれよという間に大雨になった。からからに乾燥しているこの時期にデリーで雨が降るのは極めて珍しいことなのだが、お蔭で二三日前の猛暑がうそのように涼しくなった。
さて、今晩は某氏のお宅で御馳走になった。そこに集まったのは、インド、バングラデシュ、ネパール、フィリピン、インドネシア等、世界各地の修羅場を経験してきた建設関連業界関連のツワモノばかり(結構酔っ払い系の方が多かった(笑))。資材泥棒の話、敷設したケーブルを真夜中にごっそりと引き抜いてもっていかれた話、盗んだケーブルの被覆をゲリラが剥がしているところを目撃してしまった話など、圧倒されるお話ばかり伺った。
前にも書いたことがあったと思うが、我々の仕事の相手はインド政府のお役人。それも、Indian Administration Serviceという日本の国家公務員上級職よりも狭き門をくぐり抜けた選良や、インドで最も優秀なエンジニア集団が殆どである。彼らの尊大な態度に接して色々不愉快な思いをすることもあるが、こちらが「日の丸」を背負って仕事をしているということもあり、基本的に紳士的な付き合いばかりだ。
今日のような機会で、インドの建設現場でのご苦労などを伺っていると、やはり私にはインドの一面、それも一番よい上澄みの部分しか見えていないのだということがよく分かって恥ずかしい思いに駆られるのだ。
- 5月11日(火)
- 仕事を持って帰った。つかれたが、良く知らないことでも書き出すと結構すらすらとでっち上げてしまうので、我ながら呆れる。このヨタ日記を書いている効用かもしれない。
今日はRajasekharanの結婚記念日との由。午後のお茶時にクルフィ(インド風アイスクリーム)が振る舞われた。
そして、今日はポカラン砂漠での原爆実験から丁度一年。個人的な思いは4月30日の項にも書いた。
コソボ紛争へのNATO軍への介入及びつい先日の中国大使館誤爆などにより、インド国内には反米の基調が頭をもたげているような気がする。かつての非同盟諸国の盟友であったユーゴスラビアへの攻撃に対する反発ということもあるが、インドにはカシミール紛争があるため、「コソボの次はカシミールへの介入か」という極端な反応も見受けられる。
元々、インドには、「米国の世界支配」に対する反発が根強い。これは非同盟諸国のリーダーであったという歴史や、その後ソ連寄りの路線を採ったことなどに根差しているものではあるが、見方を変えるとインドという国のinferior complexの顕れだということも出来る。この、inferior complexというのは実にインド的な心情で、5月7日の項に書いた、中産階級の上流社会に対する妬み嫉みの感情も同じような心情によるものであって、inferior complexというキーワードが、インド国内の問題から国際政治までを貫いているといっても過言ではない。
政治日記にも書いたように、国民会議派からはCTBTへの署名について後向きな見解もみられるが(左翼政党はより鮮明にCTBTへの署名には反対している)、NATO軍のコソボへの介入をきっかけとする国内反米感情の盛り上がりにより、CTBTへの署名が更に遅れる可能性もある。
- 5月10日(月)
- 朝から風強く、砂埃のひどい一日だった。そのせいか、気温は余り上がらず、多分40度には達していなかったのではないか。夕方オフィスから出ると、普段は熱気でむっとするのだが、今晩は心持ち涼しく感じられた。
帰宅してから、持ち帰ったマイクロソフトエクセルのマクロプログラム作成。一回出来てしまうと簡単なのだが、頭の構造がプログラマー向きには出来ていないのか、何回も同じエラーに行き着いてしまう。
それはこちらの頭の悪さ故、致し方ないのだが、マクロ指示の中で、首をかしげざるを得ないものが多い。例えば、カンマ標記にするための指示は、「Selection.Style = "桁区切り"」というのだが、この「桁区切り」というのは日本語であって、英語のExcelでは使えない。因みに、英語のExcelでは、「Selection.Style = "Comma"」という指定になるのだが、これを日本語版でやってみるとエラーになってしまう。ローカルスタッフと共有しなければならないので、僕が作っているワークシートは英語のExcelでも使えなければならないのだが、不便なこと極まりない。
そもそも、素人の僕でも、プログラムを書くのは半角英数字が普通だということは分かっている。日本語の2バイト文字が入れば処理がそれだけ遅くなるのは当然ではないか。その外、「マクロ記録」機能を使うと、ところどころ平気で半角カタカナをつかっていたりして、一体どういうセンスをしておるのか、と思ってしまうのである。
そもそも(二回目)、Excelというソフト、突然倒れてしまうことが多いのだが、作業中のシートを保存しておく機能がない。これはExcelの問題というよりは、Windows95というOSの問題でもあるのだが、どちらもMicrosoftの製品である。こういう出来の悪さ、そして不完全なソフトでもとにかく何でもよいからばらまくというえげつない手法で市場を席巻していくマーケッティングの姿勢をあげつらっているときりがないのだが、何はともあれ、私は無責任企業Microsoftは嫌いだ。大嫌いなのだが、頼らなければ仕事にならないというのが、忌々しいところである。早くLinuxのインストールを終えて、少なくとも個人環境は脱Microsoftを図りたい。
- 5月9日(日)
- マンゴーが切れてしまったので、INAマーケットへ行く。取敢えずは八百屋へ。今晩は冒涜(トクの正字が出ない!)的な料理、ローストビーフを作ろうと思い立ってしまったので、タマネギ、ニンジン、ニンニクを0.5kgずつとセロリ二本を買う。51ルピー(約140円)也。買い物をしていると、韓国人らしき女性二人組が売り子にもっと安くならんのかとヒンディー語で掛け合っていた。たくましきかな。
八百屋の後、果物屋にいく。インドでは果物屋と野菜屋は別々に商売していることが多い。小振りのスイカ一つ19ルピー也。
さて、マンゴーである。スイカの店には僕の好みのマンゴーが無かったので、店を変える。3種類あるので、1kgいくらかと聞くと、それぞれ、45、50、60ルピーだという。少し前の新聞に、今年は豊作な上、南インドからの鉄道輸送が改善されたので、マンゴーが安く手に入るとの記事が載っていたので、45ルピーは高すぎると思い、河岸を変えることとした。
庶民的なKhanna Marketならば安いだろうと思って行ってみたが、何と果物屋がない。Sarojini Nagar Marketを目指すが、なんだか道に迷ってしまい、辿り着けず。仕方が無いので、一番高いことは分かっているのだが、外国人御用達のKhan Marketに行ってみると、思ったとおり、最低でも1kg当たり50ルピーで、高いものの中には120ルピーなどというものもあった。高いと文句を言ったら、如何にも、アンタに買ってもらわなくてもいくらでも買い手がいるわい、といった態度で、頭にきた。もう絶対にKhan Marketで果物は買わないことにする。
ケシカランと怒って、Khan Marketを離れるが、すぐ出たところにある果物屋に行ってみると、豈図らんやMarketの中で60ルピーだといっていたのと同じものが30ルピーだという。結局、二種類、1.5kgも買ってしまった。
マンゴーが安いと喜んだのは良いが、安いマンゴーを探しての彷徨のために費やしたガソリン代を考えると本当に得したのかどうか、アヤシイところではある。
- 5月8日(土)
- 起きたら午後3時。毎度毎度の何もしない(できない)土曜日である。
随分前に頂いたザーサイがあるので、とあるページの掲示板で見つけた豆腐とザーサイの炒り煮というのを作ってみた。豆腐は、マーケットでも手に入らない訳ではないのだが、暑い中出かけるのも面倒くさく、「ハウスほんとうふ」という、豆乳を粉末にしたものとニガリがパッケージになっているものから作った。インスタントだと思って馬鹿にしていたのだが、これが中々旨い。結局二丁分位の豆腐とザーサイを炒めて、そこに豆板醤を混ぜ合わせて、熱々のところをご飯と一緒に食べる。結構上手く作れて幸せ。
The Great Indian Novelはどんどん読み進んで、残り100ページを切った。インドは独立を果したが、Pandu(= Subhas Chandra Bose)は絶望の余り二度と女性に触れないとの誓いを破って斃れ、インドとKarnistan(= パキスタン)の分割を嘆くGangaji(= Mahatma Gandhi)も絶望の余り過去に拒絶した女性(Amba)の恨みにより暗殺された。マハバーラタと史実を重ねあわせているので、歴史に忠実ではないが、興味深いのは、Panduも、Gangajiも女性により斃れているという点だ。この後、Duryodhani (= Indira Gandhi/マハバーラタではDuryodana(男性))の復讐が始まっていくはずだが、未だにYudhishtir、Bhim、Arjun、Nakul、Sahadevの五兄弟が歴史上の誰に相当するのか分からず困っている。もしかしたら、歴史上の人物ということではなく、この五人はインドそのもの、と言うことなのかもしれない。
- 5月7日(金)
- 今日は何も書くことがないなぁ、と思いつつ、テレビを見ていたら、事務所のMr Rajasekharanから電話があって、「今BBCで面白い番組をやっているから見てみて下さい」との由。
チャンネルを変えると、討論番組をやっていた。ケーブルテレビで入るBBC(World)では、インド向けの時間帯があって、この討論番組もその一環である。出席者は、BJP、国民会議派、Janata Dalからそれぞれ一人ずつ、それに加えて新聞の論説委員。政治の話はすぐに済んでしまったのだが、元モデルのJesica Lal殺害事件について、議論が行われた。聴衆からは、上流階級のモラルの低下、権力と金の濫用を嘆く声が聞かれた。そこで、聴衆に、「Manu Sharma(射殺犯)は監獄に入れられるか」との問いが投げかけられたのだが、大多数が監獄には入れられないだろうとの回答。これは聴衆がManu Sharmaが無罪だと言っているのではなく、彼が金の力を使って「有能な」弁護士を雇い、裁判を長期化させ、有罪判決を引き延ばす作戦に出るはずだとの趣旨である。
この番組の聴衆は、中流の上クラスであり、この人達がこれからのインドを背負っていかなければいけないのだが、彼らが上流階級を視る目は厳しい。この厳しさが純粋な厳しさであり続ければ、上流階級の様々な不正が正されていくのだろうが、やっかみという面も強く、彼らの政治への無関心にも繋がっている。インドでは他人の肩書、所得水準、社会的地位などへのやっかみを至るところで見ることが出来る。そもそもは、カースト制度など、個人が努力しても何も改善の余地がないシステムが根にあるものとは思われるが、このやっかみという側面を克服して、政治への関心を再獲得することが、インドの中産階級の課題である
- 5月6日(木)
- 先週の土曜日から読み始めた、The Great Indian Novelの虜になってしまっている。
まだ読んでいる途中なので、物語が何処まで続くのか分からないが、インド独立運動の始まりからIndira Gandhi元首相の暗殺まで(?)の歴史を綴ったものである。面白いことに、登場人物の名前は全てマハバーラタ(=字義通り、「偉大なインドの物語」)から借りてきており、物語もマハバーラタに沿って展開する。独立運動の歴史をマハバーラタに合わせんがためにストーリーラインにちょっとした無理がないわけではないが、二千年前に成立したといわれる叙事詩と、二十世紀のインド独立の歴史が表裏一体となって物語られ、それが余りにもぴったりと決まっている。
それぞれの登場人物の性格は、説明されなくても、マハバーラタの登場人物と重ねられているので、マハバーラタとインドの歴史の両方をよく知っていないと読む楽しみが半減してしまうのではないか。かく言う私も、この本を読みながら、時折マハバーラタや、Mahatma Gandhiの本などをひっくり返している。
Salman RushdieのMidnight Childrenも、The Great Indian Novelと同じ時期を対象にしたものだが、Rushdieのそれはよく言われるように、Rushdie特有の饒舌及びシニシズムに満ちているために、中々取り付きにくく、途中で挫折してしまう読者が多いと言われるのに対して(事実私も現在挫折中)、The Great ...は一定のシニシズムをもちつつも、マハバーラタというインド人ならば誰でも知っている物語を題材に、インドの歴史を真正面から見つめたものということが出来るのではないか。
Midnight Childrenが文学好きの外国人にも受けるものであるのに対して、The Great Indian Novelは正にインド人を対象として書かれたものではないかと思う。(まだ読み終わった訳ではないが、)マハバーラタというフィルターを通すことにより、インド独立の父達の高い志がより鮮明となっており、昨今の極めて嘆かわしい政治状況に照らすと、背筋を伸ばして読まなければいけないと思わせる小説だ。多くのインド人に薦めたい(と、ここに日本語で書いてみても仕方がないが)。
5月2日の項に書いた元モデル射殺事件の犯人がChandigarhにて逮捕された。
- 5月5日(水)
- 今日は国際交流基金事務所で月一回開かれている勉強会があり、国際赤十字の活動についてお話を伺った。赤十字というと献血とか、赤十字病院、そして北朝鮮への人道支援など一般的な知識しか無かったのだが、国際政治・軍事衝突の裏舞台での知られていない活動の話や、中立性故に敵を作らず、それ故の活動の限界もあることなど、色々と勉強になった。
5月3日の項にプロレスのことを書いたが、そこに書かせて頂いた某特派員にこの勉強会の席でお会いした(5月3日の項に「プロレス研究会ご出身との由」と書いたのは私の思い違いでした。お詫びして訂正します)。早速タイガー・ジェット・シンについて聞いてみたが、僕の推論(というか、僕の周りのインド人の思い込み?)は肝心のところが間違っているらしい。
と、いうのも、ジェット=Jaatではなくて、Jeetなのだという。Jeet=勝利(ヒンディー語)なので、ヒンドゥー/シク教徒であっても、まぁおかしくはない(余り聞いたことのない名前ではある)のだが、「Jaat=カースト名->ヒンドゥーもしくはシク」というのは邪推であった。某特派員によると、彼の初期のリングネームは、Hindu Hurricane(でしたっけ?)といったらしく、プロレス界入りする前にはインドの軍隊にいたこともあったらしい。そのような事で、彼がインド人であることははっきりした。但し、息子のタイガー・アリ・シンの方は、タイガー・ジェット・シンがカナダに移住してから生まれたので、カナダ国籍との由。
さて、このヨタ日記は毎日大体30から40人程度の方に見て頂いているようだが、傾向を見てみるに、大体月曜日が一番多く、週末に向けて漸減していくようだ。要すれば、会社のインターネット回線を使ってご覧頂いている方が相当おられるということで、このゴールデンウィーク中は訪問数もガタッと減るかなぁ、と思っていたのだが、連日30人前後にご覧頂いている。ゴールデンウィーク中もヨタ日記にお付き合い頂いた方々に感謝。
- 5月4日(火)
- 昨日から、事務所に隣国パキスタンにある我が社のイスラマバード事務所からローカルスタッフが研修目的で来ており、今晩は彼と飯を食べた。
インド人は良く話す。うんざりさせられることも度々である。ではパキスタン人の彼はどうかというに、ローカルスタッフ同士の意見交換を終えて出てきた、必ずしも無口とは言い難い某MPS氏をして、「いやぁ、彼は本当の喋くりですよ。話し出すと止まらないんだから」と言わしめた猛者である。
飯の席上、パキスタンでもインドの衛星テレビ・映画が人気であること、パキスタンにも映画産業がありラホールが中心なのでLallywoodと呼ばれていること(?)、ボリウッド映画は映画館では掛けられないが貸しビデオ屋は花盛りであること、ワールドカップに向けてのインド・パキスタンクリケット談義、などなど、色々な話をした(聞かされた)。こちらからも、「パキスタンのアイデンティティはインド無くしては成り立たない」論などをぶつけてみたが、こちらが一を問うと十返ってくるといった次第。
話の流れで、インドの政治のことに話題が向いたのだが、彼の良く知っていることといったら、「インド政治ウォッチャー」を自任している僕も呆れさせられた。UP州に議席がいくつあって、国民会議派はBJP州政権とMulayam Singh Yadavへの不満層をさらって40議席位はいけそうだとか、パンジャブ州でもBSPと会議派が組めば、Akali Dalの内紛も助けとなって会議派が大勝するだろうとか、云々云々。今回の選挙で国民会議派は200議席も夢ではない、ともいう。パキスタン人のCongressi(会議派支持者)と話しているのではないかと錯覚しそうになった。
彼に言わせると、Vajpayee首相のラホール訪問後は随分と見方が変わってきているが、パキスタンではやはりBJPに対する不信感が強いそうで、パキスタンでも会議派政権の方が付き合い易いのではないかとの見方があるそうだ。
パキスタンではSharif首相に反対するとすぐに失脚させられる話なども聞いたが、一頻り話したところで、インドに限らず政治ウォッチは趣味なので、バルカン政治でも何でも話せますよ、と言い出したので、まぁまぁ、そんなの始めたら一週間かかっても終わりそうにないから、と一同笑ってお開きになったのだった。
彼はウルドゥー、ヒンディー、パンジャビ、英語を話すので、我が事務所のローカルスタッフとのコミュニケーションにも全く問題がない。極めてささやかではあるが、彼のインド訪問が、インド・パキスタン友好への小さな貢献になれば良いなぁと思っている。
さて、昨年の年末にデリーで起きた日本人学生の殺害事件の犯人が逮捕されたそうである。時々思い出しては、一体どうなっておるのか、そもそも真面目に捜査しておるのか、また日本政府はキチンと抗議したのか、などと怒っていたのだが、捜査が続行され、犯人が捕まったことは良いことだ。ただ、死人に泥を塗るようで良くないが、報じられている事件の真相を見る限り、やはり学生の側にも充分なリスク管理が出来ていなかったのではないかという印象は拭い去れない。インドに限らず、貧乏一人旅自体は否定されるべきではない。但し、一人で旅をするからには、自らを守ってくれるのは自分自身しかないということを肝に銘ずるべきだろう。そこのところが分からないのであれば、わざわざ日本でもやらないようなスタイルの旅をする必要はない。パック旅行でも良いではないか。
辛口のコメントになってしまったが、改めてご冥福をお祈りします。
- 5月3日(月)
- 掲示板で、タイガー・ジェット・シンのことが話題になっているので、周りのインド人にそもそもタイガー・ジェット・シンを知っているか、というところから聞いてみた。すると、半分位の人が知っていた。タイガー・ジェット・シンなる名前の由来は、と聞いてみると、タイガーはともかく、ジェットというのはJaat(北西インドの農民を中心としたカーストの名前)ではないか、との由(実をいうと、僕もそう勘ぐっていたのです)。Jaat Singhであれば、ヒンドゥーでも、シクでも有り得る名前である。タイガー・ジェット・シンはアミリトサル出身とのことだから、ヒンドゥーもしくはシクというのは充分有り得る話である。
ところが、彼の息子のリングネームは、タイガー・アリ・シンだという。アリがAliだとすると、これは紛う方無きムスリムの名前。誰に聞いてみても、Ali Singhという名前はあり得ないという。因みに、シク教徒の運転手Sheetalに聞いてみたところ、Iqbaal Singhという名前はあるという。Iqbaalというのは元アラビア語で、ムスリムの名前だが、シク教徒でもIqbalという名前はありだという。
と、いうことで、タイガー・ジェット・シン親子がヒンドゥーなのか、シクなのか、ムスリムなのか、また、果してインド人なのか、パキスタン人なのかという問題については、今のところ回答が出ていない。子供心にプロレス中継でタイガー・ジェット・シンを見ていた時の印象では、ムスリムっぽいなぁ、と思っていたものだが。
インドでもケーブルテレビを中心として、WWF等の放送は良く見られていて、我が社のローカルスタッフの中にも熱心なファンがいる。彼らによると、ヨコヅナという名前の日本人レスラーがいて、相手を突き倒した上に座り込んでフォールを取ってしまうのが得意技だという。
2月5日付読売新聞に、「『イノキどうしてる?』 不公正ゆえ求める正義」というパキスタンでのプロレス人気を熱く語ったコラムが掲載されたが(手元に切り抜きがあるので、ご希望者にはスキャンして送付します)、このコラムの筆者(同新聞のデリー特派員)は、大学のプロレス研究会ご出身との由。今度この、「タイガー・ジェット・シン親子問題」の真相を聞いてみよう。
因みに、Samajwadi Partyの党首で、先だっての政権崩壊劇で国民会議派への反対を鮮明にした闘士Mulayam Singh Yadavは元レスラー(といってもプロレスではなくてインド伝統のレスリング)である。
- 5月2日(日)
- 暑くて外に出る気にならず、一日内でごろごろ。昨日のデリーの気温は44.4度を記録した由。
夕刻、思い立ってトンカツを作る。旨い。トンカツも旨いが、キャベツの千切りにトンカツソースをかけて食べるのは至福の時である。つくづく、とんかつソースを作った人は偉いと思う。
それはともかく、今年もオリッサ、マディヤプラデシュ、アンドラプラデシュなどでは暑さで人がばたばたと死んでいるという。暑いから誰でも死ぬというわけではなくて、やはり栄養状態の悪い貧困層が直撃されるのだ。
デリー南郊の某デザイナー経営のレストランで、元モデルのJesica Lalという女性が射殺されるという事件が起きた。このレストランは酒類を販売する免許がないにも関わらず、内輪のパーティーとの名目で酒を出していたらしい。この元モデルはバーテンのようなことをしていたらしいが、4月30日の深夜にこの「パーティー」が終わりかけた頃にやってきた男が酒を要求したが、元モデルがバーは閉めてしまったので、もう酒は売れないと拒絶したところ、男はピストルを持ち出して彼女を射殺したという。
容疑者は逃亡中。容疑者の父親は、国民会議派の元上院議員であり、現在もChandigarh行政区の国民会議派代表を務めているという。Sonia Gandhi会議派総裁は彼に即時辞任を要求した。
警察はChandigarhに容疑者の行方を追っているが、既に外国(ネパール)に脱出したのではないかとの見方もある由。
貧困層が自然の力の前に斃れていく一方、金持ち連中はオモチャのようにピストルを使って殺人を犯した上、金の力を借りて外国に逃亡してしまう。英字新聞はこの殺人事件を一面記事扱いにしているが、一体どちらが大切なことなのか。
少し前のことだが、軍の高官の息子がBMWを乗り回して警官数名をひき殺す事故を起こした上逃亡した事件もあった。ことごとく、自分達の保身のためであれば何でもやるといった具合であり、この国の中・上流の道徳観念の欠如は甚だしい。
- 5月1日(土)
- 昨日分の日記をぐずぐず書いていたら遅くなってしまい、結局二日分まとめて書く羽目に陥ってしまった。
さて、今日から5月。本日デリーは気温摂氏44度、5月1日としては史上最高を記録したそうだ。
コンノートプレースの近くの雑誌売り場で、BJPの機関紙らしきものを見つけたので買う。6ルピーなのだが、小銭を持っていなかったので、10ルピー札を渡す。すると売り子から1ルピーもってませんか、と聞かれるが、ないと答えると、お釣として5ルピーくれた。また来たときに1ルピー払ってくれれば良いという。
1ルピー位どうでも良いことかもしれないが、生活しているとこういう事は結構あるのだ。インド人は騙す連中ばかりだとか、必ずお釣をごまかそうとするとかいわれるが、大多数のインド人が真面目に生きているからこそ、この大きな国がバラバラにならずに保たれているのだと信じたい。
Shashi TharoorのThe Great Indian Novel, Penguin Books.を読み始める。