ヲヤジ以上 カメコにはなりきれないオヤジがおくる中途半端なペェジ
カメコ未満 とは
番外編:肌色って
人物撮影においてかなり重要なのが肌色再現ですが、なかなかうまくいきません。なぜか? そのあたりについてチマチマと書いていきます。
銀塩の利点はバッファ待ちが無いだとか、ファインダーが見やすいとか、撮ってて気持ちがイイとかいろいろありますが、最近のデジタルはこのあたり概ね改善されています。イチバンの違いは、フィルムかCCDかということに尽きます。
フィルムは正確な色再現や暗部表現が苦手ですが、明部表現は得意です。CCDは正確な色再現、暗部表現が得意ですが、明部表現は大の苦手です。
こうした特性差がそのまま肌色再現の際に利いてくるわけです。フィルムでは少々の露出オーバーではビクともせずネバりがあります。CCDでは、簡単にすっ飛んで255,255,255なデータ無し状態になってしまいます。まぁこうした欠点をカバーする為、少々工夫はされていて露骨に全チャンネル飛ばないケースでも、どれかが飛べば残りのチャンネルから補完して適当な値を生成してくれたりします。←このあたりが不自然な明部表現を生んでいるのではと思うわけです。妙にヌルヌルした絵になるのはノイズレスのせいだけではありません。
さて話戻ってフィルム・・・こっちは正確な色再現が苦手と書きましたが欠点ともいいきれません。コマーシャルフォトでは困るかもしれませんが、普通の人にとってはむしろ歓迎すべきことです。というのも本当の色と頭の中で期待する色は違うからです。往々にして記憶色は鮮明(笑)だったりします。フィルムというのは長年のチューニングでこの記憶色ベースになっていて心地よいと感じるようになっています。
ただ露出オーバーに強いのはいいですがあまり頑張り過ぎるとネガ濃度が上がりすぎて民生スキャナーではまともに読めなくなってしまいます。←グループでフレックスタイトを買うというような猛者がいるとかいないとか・・・。
デジタルではこのあたりは発展途上で、本物(チャート?)の色を目指しているようです。一応の源流があってコダック系とフジ系のチューニングはされてますがそれほど踏み込んではいません。これはプロの人は自分で色作るから余計な味付けするな!というところから来ているのと、そもそも味付けするマージンがデータに無いという悲しい現実もあると思います。
[補2005/5] ピクチャースタイルというフィルムを選ぶように画質を変えることが出来る機種が現れています。これはCCDよりもノイズが多いとされたCMOSを工夫した成果。AFモータ駆動ノイズが画質に影響するほどCMOS出力がローノイズ化されたことにより画像をいじっても破綻しなくなったから。
そういうわけでデジタルで出てきた色はそのままでは好ましいとは感じてくれない可能性が大ってことです。また飛ばしてしまったら最後救えない(涙)です。←ある程度はレタッチで救えますが、それは塗り絵の世界です。フィルムは、とにかく飛ばないというのが利点ですね。ストロボ撮影のケースではこの特性は重要です。データがみっちり詰まっていて素材性が高いことからネガフィルムは商用ポートレートの世界でも好まれています。ポジは・・・最近では趣味用としかいえないかもです。
少し前までは、まだマシでした。が、今は写真閲覧環境としては劣悪です。
CRT全盛の頃は、並みのビデオカードとよほどひどくないCRTさえあれば調整次第でそこそこいけました。別に#9のIBMのDAC付きビデオカードとナナオのディスプレィが無くたって良かったんです。今は液晶時代でして泣けてくるような画質のものがあふれています。
なにかそんなにいけないのか?ノート用は薄暗いバックライトで明るくする為に、カラーフィルターを薄くしてみましたってなもので色域狭すぎ。色温度も変えられない・・・というかバックライトの色温度もいい加減。やっとデスクトップ用がデジタル接続になったと思ったらDVIが8bitしか無くて出力段でキャリブレーションしたらガタガタになる・・・。動画対応も大事ですしってなもんで静止画時の色を犠牲にしてますよんとか。
といったマニアックな話以前に、ガンマがめちゃめちゃで急に黒くなったり白にすっ飛んでいったりします。おいおい文字が見えたらそれでエエンか?はいはいそうですが、それがなにかというくらいの代物が多い。そういった画面に肌色を出そうとしたら、どうなるか。もうお分かりかた思いますが飛ばなくてもいいハイライトがスコーンと飛ぶわ、艶かしい肌がザラザラになったり妙に色が浅かったり、逆にドギツかったり(涙)。
じゃぁどーしろと1? 一部のハードウェアキャリブレータLCDが最低ライン(前述のDVI8bitのため)ですが、そこまではチョットというバランス感覚ある人は日立のIPSパネルのものを選ぶのも手です。はい。くれぐれも動画対応の為、応答速度重視のハッタリカラーLCDを選ばないようにしましょう。まぁ何を選ぶも自由ですが。
じゃぁどーしろと2? 色なんて見るもんじゃねー。カラーピッカーで計るもんだよ坊主・・・なんていう手もあります。ただ見てる本人が、つまらないでしょうけど。
じゃぁどーしろと3?データ側で工夫するのも手です。狭い色域に入るようにレタッチしたり、色がこけても安全なように過剰に赤系に倒しておくとか、濃い目にしておくとか。いずれもちゃんとしたモニタで見た時に泣けてきます。
・・・うわ、悲観的なことを書きすぎました。えぇーおろおろ。近いうちにデジタルインターフェースも16bitになるし、IEもカラープロファイル認識するようになるしすべて安心です?。たぶん。
えっ?今のWinのIEの表示ってまともじゃないの?そりゃ大変!!なんていう方は急いでマックを買ってカラーシンクONにしましょう。
2007/1 updat: ムラムラする液晶。っといってもエロではありません。LCDはパネルというかカラーフィルタ自体のムラと、バックライトの拡散パネルや蛍光管自体のムラとムラまみれ。このあたりはCRT以下だったわけですが、ユニフォーミニティに手が入った製品が出始めてます。CGの時さんざん文句言ったのが利いたのだと信じたいですが、(値段もさることながら、解像度が低すぎて)スグに買ってあげられそうにありません。
それからキャリブレータ。非常に安いキャリブレータ、風のヒューイだが炎のシュレンだか・・・おっと。そういうのが出ています。
ドドドドドドドド・・・・
自分の目を信じるのもいいですが、モニタがいかれているとなにをやっても無駄ァァー あなたの期待するイメージは相手には伝わりません。
先ほど露出オーバー飛んだらアウト、救えないと書きました。ま、そんなわけで飛ばさなければいいわけです。このように書くと簡単ですが、実際に実践しようとすると重要な問題があることに気付かれると思います。飛ばさない=露出アンダー気味ってことは黒側に濃厚なデータが詰まっているということです。ここから濃度調整をするわけですがノイズが多い機種は使いものになりません。なぜか・・・ノイズもドドーンと浮いてくるからです。あと赤外カットフィルターの弱い機種も黒が赤カブリして泣けてきます。伝統的に弱いのはN社。
↑赤カブリは、ホットミラーフィルターを使えば改善されるかも。やったことありませんけど。。
白飛びの例
↑飛ばしてしまうと救えない。左手白巻きに注目。これを仕方が無い、抜けていてい心地よい、唐突に飛ぶのはチョット・・・と感じるのは人それぞれ。被写体によります。画面の上ではむしろ飛ばした方が清涼感を演出出来ます。一方印刷を考慮する場合は、あまり歓迎できません。
CMOS機(Canon全般、D2x, D2h...)の場合は露出オーバしていてもヘッドルームがあって結構強い。CCD機の場合(D1,D1x,D200...)は要注意。飛ばさず後からトーンカーブをイジるほうが良い。
飛んでもいい場合は俗にいうJPG一発撮り。まさに一発で仕上げる自信があるのならこれが最強。もっとも生産性が高いです。ちんたらRAW現像何百枚もやるというのは不可能。一発撮りやるにはホワイトバランスを事前にプリセットしておいて、可能ならカスタムトーンカーブを設定・・・あとは撮りまくりですね。これが出来るのはスタジオ系じゃないでしょうか。外ではなかなか上手くいかない。
オートホワイトバランスの罠・・・これはD2xで採用されたアナログホワイトバランスが画期的とかそーゆうんじゃなくてですね・・・普通の人にも分かりやすい例なんです。普通のデジカメにおいてRGB各チャンネルが振り切っていない&16bit/colorだったりするのならグレーが写ったカットがあればOKです。ところが、どれかチャンネルが振り切った場合は、後からホワイトバランスをとっても手遅れです。また極端に偏っているのも16bitの狭いエリアを使いきってガタガタヒストグラムになって色が変になります。←もっとも大抵の素人向けデジカメは12bitしかありません。
つまりオートホワイトバランス最高ッ!とか、RAWで撮ってるから俺的には最強!とかくれぐれも思わないでいただきたいのです。
えっ〜〜〜〜〜〜。そんな〜〜〜〜〜。と言われても困ります。2005年の地球の科学力はこんなものです。
まぁ対策は無いわけではなくてD2xに搭載されているようなアナログホワイトバランスですね。こいつはCCDから出たアナログ出力そのものをバランスさせる仕組みです。これによりA/D変換された後のデジタルデータをバランスさせることにより発生するビット落ちを起こさせないわけです。←D2xの場合はCCD出力がxxxx過ぎてコレをやらないと画質的にハァハァなわけです。
あとデジタイズ前でやることによりダイナミックレンジの拡大が図れるオマケもあります。そんなワケでD2xに限っていうと現場でホワイトバランス取った方がいいです。
とにかく飛ばさずに撮れということですね。そうするとローノイズなカメラ・CCD/CMOSが偉いということに気付かれると思います。あるいはハイライトに強い機種(Fuji S3PRO)が登場すればいいですね。
2007年終盤には、イベント撮りを一変させる機種D3が来ます。暗い屋内イベント(オートサロンやゲームショー)でガガガッと連射する音が響くんでしょうか?
デジタルと違ってめったにクリップしません。スキャンが難しくなるだけです。こういった特徴を生かして強めのストロボを当てていくのがいいでしょう。これにより美肌効果が期待できます。実際某社のカメラについていた美白モードなるものはストロボ強めにするだけだったと記憶しています。あとはカラーをまともに出すには適正露出を心がけるくらいですかね。スキャンと後修正の手間がずいぶん変わります。
グレーバランスを取ってその場の完璧な色再現が出来たとしましょう。それが求める色なのか?否。フイルムの特徴で述べたように、一般に記憶色を求める傾向が強いです。一部マニアは渋い発色がうんぬんする場合あり。
肌色、空色、草木の緑、フェラーリの赤・・これらは記憶色が求められる代表。肌色を気にしだしてコントロールできるようになったなら他の色も同様にコントロール可能なはず。中でも肌色はもっとも調整がやっかい。だからこそ肌色を制すものは他の色も制す(はず)←ハズかよ!?
それでは見ていってみましょう。あくまでも私的な心地いい肌色はこんなんですよという程度です。ヒストグラム見れば分かりますが、余裕しゃくしゃく、ここからイジって追い込みましょうという前段階です。今のところサンプルはイベントものにしています。というのも光源が凶悪で難しい部類に入るからです。スポットでホワイト取れたり、光回してくれているスタジオはこれより遥かに簡単な部類に入ります。
C社です。たぶん。この例では露出不足気味なのでデータ的にはそう飛んでません。
N社です。きっと。飛び気味な絵をレタッチしたものですから肌がツルンツルン。髪の毛の赤カブリ盛大ですが本来は落とすべきところです。
ひとつでも色チャンネルがオーバーしたら不自然極まる例。C社です。左上がオリジナル。CMOSはハイライトの粘りがあります。それでもこの程度でお手上げになります。オリジナルで良しとするのなら色白美人と言い切れなくもないですが素材としてはダメダメです。無理やり明るさ調整をしてもビデオで撮ったみたいな肌に・・・。
銀塩
以下のサンプルを穴があくまでご覧ください。ストロボ光による透明感の演出がバッチリキマってます。
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T'sさんからの銀塩サンプル http://www.tsgalleria.com/
File : ts_smp01.jpg (235k)
いざ綺麗な肌色ってなると難しいですねー。
あまり意識しすぎるとどの辺りでレタッチを終えるか悩んじゃいます。
ちょっとまだ赤かったかなぁ。ま、ほんのり桜色ってことで(笑)。
肌色優先でレタッチしてくと、どうしても赤毛になってしまうのが悩みっす。
(Film : CENTURIA 200)
File : ts_smp02.jpg (188k)
さてこちらは会場COEXでの撮影。
肌色的にはこれくらいが僕の理想ですかねぇ。
特に指先の肌色はこれ以上ないくらい好みな色。
美白&透明感。これくらいいつも出せればいいと思います。
(...って、女でもないのに美白&透明感を追及なんて...我に返ればちと笑えるかも。)
(Film : SUPERIA 200)
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初版:2005-3-13
最終更新:2007-10-30 9:11 pm