卒論を書くのは容易ではありませんでした。日本語でも文章を書くのはあまり上手ではないからです。 今思えば、私は英語が好きですがとくに文学が好きなわけではなかったのです。英語が好きだから、 英文科に進むというのは自然な流れだったようにも見えますが。教会に通っていたおかげで、 その本のテーマだった「罪」の意味がわかったので、何とか書くことができました。 自分では一生懸命に精一杯やったのですが、内容はもちろんですがやはり文章に自信がありませんでした。 しかも私は、恥ずかしいことに、原書を半分しか読んでいなかったのです。 殆ど翻訳を読んで書いてしまいました。英文のサマリーは多分普通に書けたと思います。
口頭試問の日がやってきました。生まれて初めてのことなので、とても心配でした。 どんな質問をされるのだろう、つっこんで質問されたらどうしよう。と気が気ではありませんでした。 出かける前に、イエス様にお祈りをしました。「イエス様、私は一生懸命書いたのですが、 自信がありません。どうか難しい質問をされないで済みますように。」と、 非常に虫の良いお願いをしたのです。大学の教室の外では、 座って自分の順番を待たなければなりませんでした。私の3人前の人もすぐ前の人もホーソンでした。 彼女たちの時間が長かったので、私は少々焦りました。30分以上も質問責めにされたら、 どうしようかと思いました。
私の番になりました。担当の教授と文学部長が座っていました。簡単な質問を2つ位しかしませんでした。 すると、担当の教授が、「罪についてとても良く書けていますが、貴女はクリスチャンですか?」 と聞いてきました。私は、罪の意味が分からなかったので、教会に通い始め、 そうしているうちに洗礼を受けてクリスチャンになったいきさつを話しました。 その教授がクリスチャンかどうかは知りませんが、 「それはブレッシングなことですね。」とにこやかに言われました。 文学部長は地元で教会の牧師もしていたので、私は、洗礼のやりかたや、 洗礼のあとにみぞおちの痛みが消え去った不思議な話のことなども、 こと細かにありのままに説明しました。(口頭試問で証しをするなんて私くらいでしょう。(苦笑)) すると、彼は「ふっ」と笑ったのです。その笑いは、 何を馬鹿なことをいっているんだと言わんばかりの笑いだったので、ショックを受けました。 この人は牧師なのに、何で神様がなさった素晴らしい出来事を、 理解出来ないのだろうと驚きました。
そのあと担当の教授に、「貴女は原書を全部読みましたか?」と聞かれたので、 「いいえ、あまりにも難しくて、実は半分しか読んでいません。」と本当のことを話しました。 彼には、わかっていたようです。ばれたかと思いましたが、怒られることもなく、 私の口頭試問はほんの10分かそこら(実際はもっと長かったかも知れませんが、 それくらい短く感じました。)の、世間話で終わってしまいました。 すごい、あんな虫のいいお祈りなのに、ちゃんと聞いて下さったと、感謝しました。 ちなみに私の成績は「良」でした。ハレルヤ!