最初の転職

(外資系の会社に応募。お祈りの中で教会の姉妹が幻を見、 私が合格すると言いました。
難しい試験で受かるはずはなかったのに。そこには神様の御計画がありました。)

優しい上司や同僚に囲まれて幸せでしたから、最初の日系の会社にいた方が精神的にも肉体的にも楽だったかもしれません。でも、温室を出て厳しい環境の中に入ろうとも、もっと英語が使えるやりがいのある仕事がしたいという気持ちは高まっていきました。20代の後半になり、結婚する機会を失ってしまった私のような者が、仕事に走るのはごく自然だったかも知れません。主は私のキャリアプランを長いスパンで考えておられているようでした。今でもはっきりと覚えている入社試験について証しをしたいと思います。

私はあるアメリカの会社に応募しました。職種は秘書でした。条件には「生きた英語の書ける方」とありました。秘書の経験もなく、英語の日記くらいしか書いたことのない私が、何故応募する気になったのか定かではありませんが、とりあえず書類選考に通ったのです。一次試験は役員の人達との面接と英語の筆記試験でした。その試験は難しすぎて、半分くらいしか出来なかったと思います。この程度の実力なのに何て身の程知らずだったのだろうと恥ずかしくなりました。もう二度とここに来ることはないだろうと、恥ずかしさのあまり、そこを逃げるように去って行きました。

一次試験の結果待ちの時に、教会の朝のお祈り会で4、5人の人達が私の為に祈ってくれました。お祈りが終わった後、M姉妹がにこにこしながら、私にこう言いました。「お祈りをしていた時、モーセが紅海を二つにわった光景が見えてきたの。Sさん、試験は大丈夫よ。」と。そう言われても、試験を受けたのは私、そんなことは絶対にあり得ないと思いました。ところが、どういうわけか二次面接の通知が来たのです。何かの間違いではないかと思いました。

二次面接の当日の朝のことです。目を覚ますと、とても不思議な感覚だったのですが、心に喜びがあふれて感謝で胸がいっぱいになりました。自分では理由がわかりませんが、聖霊は私がまだ見ていない知りえていないことでも当然わかるわけです。私は聖霊に満たされて突然涙をながし、「イエス様、私にはまだわかりませんが感謝します。ありがとうございます。ありがとうございます。」と言うばかりでした。私は聖霊に導かれるままに、感謝のお祈りをささげました。

二次面接に行ってみると、秘書は別の人に決まってしまいましたが、たまたま貿易担当の男性が辞めてしまいそこのポジションが空いているのでどうかと言われました。そこのトップの人は、仕事をやりながら英語の学校に通っていた私に好感を持ったようでした。ナンバー2の人も一緒になって、「輸出を一から教えてあげますよ。あなたは今まで輸入をやってきたんですから、輸出を覚えれば貿易のエキスパートになれますよ。是非うちでやってみませんか。」と言いました。私は輸入だったら断ろうかと思っていたのですが、輸出に興味はあったし、そこまで熱心に言ってくださるのならと思いそこに行くことに決めました。

生まれて初めてのお給料の交渉も、たまたま人材銀行の人から外資系の相場を聞いていたので、参考にすることが出来たのも感謝でした。そしてトップの人に「どうしてその金額なんですか?」と聞かれました。普通でしたら、私は今までこういう経験をしてきてこういうスキルがあるからこうですと答えるはずです。ところが私は、自分を売り込む術もテクニックも知らなかったのです。いかにも子供っぽい私らしい答え方だったので今でも笑ってしまうのですが、「はい、Sアカデミーに引き続き通って勉強したいし、今まで全く蓄えも出来なかったので貯金もしたいし、お風呂のあるアパートに引っ越ししたいのでそれだけ必要なんです。」と無邪気に答えていました。別の会社だったら落とされたかも知れませんが、一度好感を持たれると悪くは取られないようで、すんなりその金額が通ってしまいました。

朝起きた時に、聖霊の喜びで満たされていたのは、この為だったのだとわかりました。イエス様の御計画は本当に素晴らしいと思いました。想像もつかない不思議な方法で、私がそこで働くように導かれたのです。余談ですが、トップの人はアパートのことを覚えていたようで、そのあとしばらく経ってから「HSさん、お風呂付のアパートには引っ越ししたんですか。」と笑いながら言われていました。