*マニュアル(その1)

(秘書はよろず請負人、何でも屋みたいなものです。又ボスが難解な問題を
持ってきましたが、イエス様に寄り頼んで祈った時、素晴らしい結果が。)

Mr.R(通称モーちゃん。私のボスでデンマーク人の社長)の自宅にファックスを入れることになりました。 NTTはファックスの設定まではやってくれませんので、朝から上司の自宅に行き、 一日がかりでミセス(奥さんの通称)に操作の仕方なども一つずつ説明しました。問題はメーカーが英文のマニュアルを作っていないことでした。そうわかっていても、上司は私にそれを入手するようにと言いました。最初Kマネージャーが同じことを頼まれたようなのです。彼女は、メーカーの海外本部長と大喧嘩して何も入手出来なかったらしいのです。前の会社で学んだこと(どんなやっかいな仕事もイエス様が一緒に働いて下さるから大丈夫)もあって、トイレの中でお祈りをして、電話をする前も、「主よ全て御手に委ねます。よろしくお願いします。」と心の中で祈りました。104の電話案内から始まって、めぐりめぐって結局は彼女と同じ所にたどりついたのでした。

担当者(本部長)が席を外しているということで、替わりにその部下が応対してくれました。Uさんというとても親切な男性で、英文マニュアルが作れない事情も丁寧に説明してくれました。日本人としては理解出来るのですが、マニュアルがないとファックスの操作が出来ない外人のことを考ると「ああそうですか」と引き下がるわけにはいきません。輸出仕様のファックスのマニュアルが全く同じでなくても、6割でも似ていれば良いという上司の要望でしたから、それを貰うことにしました。でも、それでさえも、一台に一冊と決まっているからダメだとメーカーは言うだけでした。上司は絶対に納得しない人ですから、困ったなと思いました。

人を動かす為には、苦手なこともやらなければいけないのでエネルギーが必要です。ふと、Kマネージャーのことを思い出しました。私は穏やかな口調で、「うちのマネージャーが同じ用件でそちらの本部長とお話したようなんですが、英文のマニュアルがなければ外国人はどうやってファックスを使うんですかと伺ったら、じゃあうちのは買わなきゃいいだろうと言われたそうで、非常に立腹しておりましたよ。」とホントのことを言いました。彼は、「お客様に対して、そんなことを言うなんて信じられません。」と言いました。「まあ、うちのKもよほど失礼なことを申し上げたのかも知れませんね。」と私。彼女は悪い人ではないのですが、波瀾万丈が大好きでなのです。

Uさんは、このままではまずいと思ったのでしょう。「あと一日待って下さい。どうしたら良いか考えますから、明日の朝又お電話します。」とのことでした。翌日の電話でとても嬉しい返事を頂きました。信じられないことに、その人は、自分がマニュアルを一冊紛失したことにして、内部手続きをとるから、一冊無料で分けてくれると言うことでした。そして、それは翌日会社に届いたのでした。普通はそこまでしてくれるでしょうか。文章にしてしまうと、何でもないような話に思われがちですが、マニュアル一冊の為に半日以上かかっています。私は本当に神様に感謝しました。同じ事をするのでも、喧嘩をした挙げ句に何も結果を得られなかったKマネージャーと比べ、神様が上から別の親切な人を用いて下さって、マニュアルを入手させて下さったことを、心の底から感謝しました。

私達クリスチャンの信仰は、「苦しいときの神頼み」のような「御利益」的信仰ではありません。ちっぽけな知恵しかない自分の考えよりも、全能者に任せたほうが遥かに良い結果が得られるのを知っています。