Mの詩



偽りの夢

小さな幸せを感じたいがために
皆、偽りの夢を見る

それが偽りだと知りながら
その夢にしがみつく事で
自分の安住の地を
求め続ける

普通だと言われたいがために
皆、偽りの夢を見る

それが偽りだと悟りたくない
だから見ないふりをして
自分の安定のために
皆、偽りの夢を見る。


開店休業 無我夢中で走りつづけると 誰だって息が切れてくる だから時折、開店休業 いろんな事に疲れて 大声で叫びたくなる だから時折、開店休業 心配事が山積みで 眠れなくなる だから時折、開店休業 その日一日 すべてをサボって 開店休業

自分のなかみ 壊れた自分を直すことが出来るのは 自分を見つめようとする心 乾いた気持ちを潤せるのは 正直な自分の涙 痛んだ胸を癒す事が出来るのは 自分の愛を信じる事

桜 その老木が 桜の木だという事を たとえ人々が忘れても 桜は、 また今年も 誰に言われずとも 春の訪れを 一番美しく人々に告げる

透明な時 夜が明ける少し前の すべての音が消える瞬間 それは、透明な時 虫達がやっと寝静まり 鳥達が朝を告げる身支度を 始めようとする頃 大地は、刻む時間を ほんの少しゆるめ その瞬間を知る者だけに 透明な時を与える 見てごらん 紺青のグラデーション 聞いてごらん 音のない世界

誇りを持って、希望を持って 誇りを持って生きることは、 とても大変な事 自分に誇りを持つためには、 自分の行動に、責任を持たなければならない 誇りを持ち続けるために 自分を、いつも磨き続けなければならない 大変な事と、わかっているけど あえて、君に言いたい 誇りを持って生きてほしい 希望を捨てずに生きることは、 とても大変な事 自分の希望を捨てないために 自分を信じていなければならない 希望を持ち続けるために 信じられる自分で、い続けなければならない 大変な事と、わかっているけど あえて、君に言いたい 希望を持って生きてほしい これが、僕に言える唯一のアドバイス 誇りを持って、希望をもって、生きてほしい ずっと、ずっと、持ち続けて、生きてほしい 生き続けてほしい

声 遠くから聞こえるその声に 耳を傾ける事が 出来るようになったのは つい最近の事 声の主を探しても 決して姿を見せぬそのひとは もしかしたら 自分の中に宿る神 今は、その声を信じよう 今は、その声に従おう

カーテンコール カーテンコールの拍手の中を 深々と頭を下げて 去ってゆくあいつ 夢は叶ったのか 幸せになれたのか その答えは あいつにしか判らない でも、あいつがいた事は みんなの胸に残っている あいつはきっと だれかの人生を ほんの少しだけ変えたかもしれない あいつの夢が、たとえ叶わなくても

ヒミツの30秒 一年に一度だけ入る伝言ダイアル 彼女のBirthdayに 別れた彼からの おめでとう 誰も知らないヒミツの30秒に 今年もまた おりひめが舞い下りる きっと もう二度と会う事のない二人 それでも 彼女は 万に一つの偶然のために 毎日必ず化粧をする 子供たちを送った後で 来年も その次も ヒミツの30秒がある限り 彼女は毎日化粧をする 別れた彼との偶然のために・・・

時代 静かに死なせてくれる程 やさしい時代じゃない 冷たい目という熱い視線で みんなが みんなを監視している 静かに生かしてくれる程 やさしい時代じゃない 辛そうな人に 不躾に 無言の疑問符を 浴びせかける

深い谷 悲しみを越えるって 山を越えるんじゃない 深い深い谷を越える事 でも、谷には美しい河が流れ 緑が豊かに生きている だから、悲しみを越えると 人はとてもきれいになる 山を登るだけに終始している人には 決して見ることのできない美しい風景を 心の中の印画紙に 焼き付ける事ができるんだ

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