 |
バイオリン選びのセオリーは、先ず手にとって見る事から始まります。
お店に入って、予算に合った、気に入った物があれば、店員さんに言って見せてもらいましょう。
その際、大体「弓は?」と聞かれますから、一応用意してもらいますが、すぐに弾いてみてはいけません。とにかくじっくりと見てみましょう。
|
■国産の場合は、ラベルを見る
バイオリンに向かって左側のf字孔をのぞくと、中にラベルが貼ってあります。
ヨーロピアンアンティークの場合は、ラベルは当てになりませんが、国産の場合、わざわざラベルを張り替えて価値を上げるメリットは無いので、ラベルの情報は、信用して良いでしょう。
■元々、粗悪品ではないか?
これは、指板の材質、顎当ての材質、本体の材質、塗装等を見ればわかります。
元がたいした物でなければ、あまり中古で買うメリットはありません。
■魂柱(サウンドポスト)は、正しく立っているか?
右側のf字孔から、中を覗くと小さい柱が立っています。これは、駒から表板に伝わった音を、裏板に伝える重要なもので、立っていない物は論外です。
これが斜めにに立っていたり位置が大幅に違う場合は避けた方が良いでしょう。
■表板に割れ、ひびはないか?
これも見れば解りますが、割れがあってもきちんと修理されていれば良いでしょう
■接着のはがれはないか?
見て解るようなはがれは、論外です。ほとんどは、一見すると解らないことが多いです。
これは、横板の接着部分にそって、表板、裏板を、軽く叩いてみると、音の違いで解ります。
はがれやひびは、そのままだと良い音は出ません。買ってから、かなりのお金をかけてきちんと修理すればいいのですが、それに見合う価値が元々あるかが問題でしょう。
■こま(ブリッジ)は、きれいな円弧を描いているか?
長い間使っていると弦がこすれて、駒が削れてきますし、削れるまでにならなくても駒のテンションのための隙間がつぶれて小さくなります。こんな駒が付いているバイオリンは、まともな調整がされていないので(駒の調整は、新品の駒を使っても5000円ぐらいなので、それをけちったという事)パスしたほうがいいでしょう。
■糸巻き(ペグ)の先端が、大きく出っ張っていないか?
これも一目瞭然ですね、
バイオリンの糸巻きは、本来、一台一台に合わせて、先端が飛び出さない様に調整されています。しかし使ってゆくうちに、だんだん出っ張ってきます。他にも折れたりして違う物から流用したものもあり、大きく出っ張っているものは、調整されていないと考えたほうが良いかもしれません。(しかし問題がそれだけで、安ければ、私は買ってしまうでしょう。)
|
以上のチェックポイントがOKであれば、弓で音を出してみましょう。
多少でも弾ける人であれば、必ず自分で弾いてみましょう。何台か候補が有るのであれば、弾き比べます。一台一台の音の違いに驚かれると思います。
低い音から高い音まで、すべての弦を弾いてみましょう。A線、E線の音は良くても、G線の音がいまいち、とか、E線の音がヒステリッキーだとか、その印象は大切にして、一番気に入った音の物を買いましょう。
最初の印象は、その先もずっと感じられてしまう物ですから…
又、すべての弦を開放でも弾いてみましょう。なにかビビったような音はしませんか?
もししていたら、上ナットの不良が考えられます。
開放でなくても特定の弦の音がひっくり返ってしまうような場合は、弦か駒の不具合です。
そのほか、ボディーから出るへんなざらつきのある音は、接着のはがれや、ひびが原因の場合があります。
十分弾き比べ、納得できる物を買ってください。
ただ、音質は、弦の種類(スチール弦、ナイロン弦など)の違いで大きく変わりますから、率直にお店の人に聞いてみると良いと思います。
|
バイオリニストにとって、ヨーロッパ(特にイタリア)製のアンティークバイオリンは、羨望の的です。
専門店では、そうしたものは安くても十万円台から高い物は一千万円以上と、
アマチュアの初心者にはなかなかきつい値段です。
もしあなたがお金持ちで、最初からヨーロッパ製を望むなら、出所の安心な新品をお勧めします。
イタリア製で100万円クラスの物が良いでしょう。(私には無縁ですが…)
ヨーロッパのアンティークバイオリンは、ラベルも当てにならず、程度も千差万別で、
価値基準も明確でないため、余程の腕と耳と目をもって自分の力で選べなければ、
まず触らない方が無難です。
先日、専門店で弾かしてもらったものは、ドイツ製の150年から200年くらい前の物で、
そこでは50万円でしたが、店員さんの話では、他の店では100万円以上のクラスとして売るでしょう、
とのことでした。それほどいいかげんな値段の付き方なのです。
私も100年ぐらい前のドイツ製(で有ろう)バイオリンを持っていますが、
正直な所、国産の物の方が音は良いです。それでもカラっとした音が特徴で、
曲によっては重宝するので買ったのですが…。
まあ。どうしてもヨーロッパ製を、という方は、とにかく弾き比べ、
自分の責任で、気に入った音のものを買ってください。
|
|
|
 |