和歌山カレー事件で思う事
和歌山カレー事件で思う事
7月に起きた和歌山カレー事件で、林真須美容疑者逮捕前後のメディアについ
て、とても気になることがあったので、その事について書こうと思う。
マスメディアの作り手の傲慢さである。
もともとテレビ番組の作り手であった自分が、自分の事を棚に上げ、言わせて
もらえば、「テレビはいつから裁判長になったのだろう」と言う事だ。
あやふやな状況証拠しかなく、逮捕を躊躇する警察を引っ張る形で、連日保険
金詐欺疑惑についてワイドショーで語り、それに続けて亡くなった子供を思う
母親の童話を紹介する。無意識で見ていると気が付かないかもしれないが、そ
の段階では、容疑者でもない人間をカレー事件の犯人という印象づけを行い、
警察の逮捕を急がせる結果となった。
私は、林容疑者が犯人ではないと言いたいのではない。
もしかしたら、犯人(カレー事件の)かもしれない。
しかし、それを確定するのは、メディアでもなければ、視聴者でもない、
裁判で事実が明らかになり、断定されるのであって、それまでは、万が一でも
冤罪の可能性があるなら、報道は中立を守らなければならない。
現行犯逮捕の事件なら解るが、状況証拠だけで、犯人だと思わせ感情論でさら
に煽るのは、その行為だって犯罪に近いものではないだろうか、
今年、ロス疑惑の三浦氏が、証拠不十分の扱いになった。
彼は、数多くのマスメディアに対し獄中から名誉毀損の訴訟を起こし、そのほ
とんどに勝訴している。
逮捕された後の訴訟で勝っていることは、容疑者であっても、守られなければ
いけない部分があり、マスメディアがそれを犯しまくったという事を意味して
いる。それなのに、何故同じ事を繰り返すのだろう・・・
きっと、これからも、繰り返すのだろうワイドショーと言う名の物見高いバラ
エティー番組が続く限り、
それを報道だと錯覚しながら見続ける人がいる限り・・・
98/12/30
ご意見、ご感想をぜひメールでお寄せ下さい。hishida@gol.com
Back to MainPage