無意識の偏向(パレスチナ問題)



無意識の偏向(パレスチナ問題)

アメリカ大統領まで事態の収拾を図ろうとしているパレスチナ問題について、
今回はやはりメディアサイドの問題を書こうと思う。
連日、パレスチナ側の自爆テロが報道されている。凄惨な風景が世界に配信
され、「これにより、イスラエル政府は、パレスチナ自治区に、再び軍隊を
進攻させています」というコメントが付け加えられ、イスラエル側からの映
像が流される。
パレスチナの、政治的、宗教的背景については、この場では語らない。
しかし、現在のこの自爆テロの激化については、明らかに、私達に見えてい
ないものがある。
それは、日常的に行われているイスラエルのパレスチナ自治区に向けての砲
撃、そこでの子供を含めた多数の民間人の死。

数ヶ月前、ある自爆テロが、イスラエル市民を愕然とさせた。
それは、過激派ではない、ごく普通のパレスチナの若い女性がテロに及んだ
からだ。
イスラエル側から見ると、労働力としてパレスチナ人を雇っている以上、日
常生活のなかで、パレスチナ人を完全に排除する事は出来ない。それまでは
女性に対しては警戒しなくても済んでいたのが、もはや、誰が自爆するか、
判らなくなってしまったのである。
パレスチナの自爆した女性は、看護婦だった。
彼女は毎晩運びこまれるイスラエル軍の砲撃で負傷した民間人の手当てを行
なっていた。人を救う事を信条にしていた彼女が、なぜ自爆テロを行なった
のか、考えて欲しい。
私達に見えているのは、ほとんどがイスラエル側の映像だ。
血だらけで泣き叫ぶイスラエル市民の犠牲者の画は見る事は出来るが、同様
に、毎日死んで行くパレスチナ市民の姿は、ほとんど見る事が出来ない。
これは、テレビが無意識の偏向を行なっている事だと思う。
でも何故、そうなるのか、
残念だが、ここで書くのは止そう。
毎度、言っている事だが、メディアに中立はありえない。悲しい事だが、そ
れを感じながらメディアに向き合って欲しい

                                                          2002/6/21 


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