メディアが、守ろうとするもの(筑紫発言)
メディアが、守ろうとするもの
7月15日、TBSニュース23の多事争論で、筑紫氏が、HP(ホームページ)
について語った。
それは、最近話題になった電気メーカーのクレーム対応を告発するページを
例に挙げたもので、論調は、電話を傍受しその内容を相手に伝えず公表したの
は、行き過ぎだ・・・個人のHPは問題が多い。といったものだった。
今回の経緯は、買って間も無い電気製品が故障し修理を依頼、しかしずさんな
修理だったので、それをメーカーに問うと、電話をたらい回しにされた挙げ句
HPに公表した内容の暴言を吐かれたと、発信者の立場では言っているもの。
もし、これが事実なら彼の悔しさや、そのメーカーに対する不信感は、相当な
物だろう、そこの部分に一切触れず単にステレオタイプのHP批判に終わって
しまった筑紫氏の意見は、放送界の立場を如実に表している。
問題はいくつかあるが、その一つは、事実でない事を放送で言い、あるイメー
ジ付けを行っている事。
今回のHP発信者は、電話の片方の当事者であって、その人間が電話の内容を
聞いている事は、傍受とは言わない。(当たり前のことだが)
電話傍受とは、話している当事者ではない第三者がその会話の内容を聞くこと
で、筑紫氏は、通信傍受法案のイメージとからませて悪いイメージ付けを行っ
ている。(故意かどうかは、不明
もう一つ、相手に、その会話内容を録音し公表すると伝えなかった、という事
について非難したが、例えば、ストーカーが、電話で話した内容を被害者が公
表すると言う状況の場合も、いちいち相手に、「いいですか?」と聞くのだろ
うか?
それは、被害者なのだからいいというのなら、今回のHP発信者も、いわれの
無い罵声をメーカー苦情係からあびせられている被害者(だと本人が感じてい
る)のだから、条件は同じだと思う。
メディアが、電話でインタビューなどを行った場合、必ず相手にオンエアで使
う旨を述べているだろうか、答えはNoだ、
これを、TBSに聞くと、おそらく「電話インタビューの場合、先ずTBSの
**だと名乗っているので、相手は、その発言が使われる前提で話すので、了
解を得ているとみなす。」とでも言うのだろう。
しかしそれは、きちんと許諾を取ったとはいえない。
ふと、考えてみた。
もし、メーカーの担当者が、あのような罵声をユーザーに発している状況で、
このHP発信者が「この電話は録音している。公表するつもりだがいいか?」
と言ったらどうなるだろうか・・・想像して欲しい
これも推測の域を出ないが、相手は脅迫ととるのでは?
「脅すつもりか、なら訴えるぞ、」もしメーカー担当者が、そう言ったら?
物事は、一面で捉える事はできない。どちらが正しいかともいえないだろう
しかし、今回の筑紫氏の発言は、明確にHP発信者の個人を斬った。
これは、テレビ(民放)がスポンサーの金でオンエアしているのだから大きな
なスポンサーの事を悪くは言えない。だったら、個人を斬る方がスポンサーや
お上の受けが良い。それに、情報は我々がにぎっているんだ。
そんな本音やおごりが見え隠れしている。
メディアが守ろうとしているのは、今、正義ではない。それを認識した上で、
個人のHPを見るのと同じレベルで疑ってかからなければ、彼らの都合のいい
事しか、見えなくなるだろう。
1999/7/16 M
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