オウムのアンテナ
オウムのアンテナ
7月20日のニュースジャパン(フジテレビ)で、スクープとしてオウムのアジト
のあるビルで、19日深夜、アンテナを立てていたという映像を流していた。
このアンテナは、本部のビルにもあったという。
ネタは、これだけ!!そこによく見るオウムコメンテーター有田氏が語る。
「このアンテナをオウムに問うても、おそらく、麻原尊師の脳波を受信するア
ンテナといった荒唐無稽な答えが返ってくるのでしょう・・・そんな、荒唐無
稽な考え方が、地下鉄サリンのような事件をひきおこしたのです。」
はぁ? いったい何を伝えたいの?
私がこの番組のディレクターだったら、有田氏のコメントなんて入れないで、
そのアンテナから解る事実と推測について語るんだけどなあ、
そこに写っていたアンテナは、10エレメント程度の八木アンテナと言うもの
素子の長さから推測すると周波数は、1ギガヘルツぐらい。
映像から判読できた情報はこんなものだが、これでも結構見えてくるはず、
まず、八木アンテナの特性は、指向性を持っている事、エレメントの数に比例
して、指向性が強くなるという特性を理解して欲しい。ということは、アンテ
ナの向きで、どの方向と通信しようとしているかが解るはず。少なくとも周り
のすべての支部と交信しようとしているのではなく、特定の一個所との通信で
ある。
周波数から解る事。1ギガヘルツ(1000メガヘルツ)前後で、一般人が使用
可能なのは、800メガ帯のMCA、900メガ帯のパーソナル無線、1.2ギガ
帯のアマチュア無線、(送信可能なもの)と、コードレスホン、携帯電話等の
受信。
さて、その中で彼らが何を使おうとしているか、
コードレスホン、携帯電話の受信は、電波法上違法ではない。しかし、携帯電
話のほとんどが現在デジタルの物なので、通話を聞く事はできない。
コードレスホンの秘話装置は簡単に解読が可能なので、聞く事はできるだろう。
しかし、わざわざ、10エレの八木アンテナで特定のターゲットのコードレス
ホンを傍受しているとは考え難い(そこに、公安関係の幹部でもいるなら、話
は別だが・・・しかし公安関係者なら重要な内容はコードレスなんかで話さな
い)
ちなみに近隣住民のコードレスを聞こうとしたら、指向性の強いアンテナは、
使わない。
とすると、何かの受信という考え方では、無いのではないか。
電波を送信する者は、よほどの微弱でないかぎり郵政大臣の発行する免許が必
要だ。
物理的には、どんな周波数でも送信することは可能だが1ギガヘルツ周辺は、
0.0125メガヘルツステップで、ほとんどの周波数は、目的別に割り当て
られている。電波法を犯してそこに割り込んだら??即、逮捕されるだろう。
オウムは、これだけたたかれているのだから、大きな違法行為はしないだろう。
ならば、一般人が使用可能な上記の種類(MCA.パーソナル.アマチュア無
線など、)を使用すると思われる。
MCAは、簡易業務無線の一種で、運輸業などで使われているのだが、免許の
手続きでオウムの場合、許可されないだろう。
パーソナル無線は、だれでも免許され、業務にも使用できるのだが、八木アン
テナを使う事は認められていないはず。
それでは、アマチュア無線だろうか・・・
アマチュア無線なら、どんなアンテナを使用しても合法、しかも認められる送
信出力も高い。本部と支部の連絡には、もってこい??
しかし、業務に使用する事はできない。
結局、どれを使おうと彼らの目的を考えると合法的には、不可能だろう。
ここで、その目的について考えてみたい。
通信傍受法の成立をふまえて、彼らは独自の安全な通信手段を持ちたいと、考
えたのではないだろうか、
そこで、無線通信をホットラインとする事を思いついた。
しかし、大きな違法行為は、出来ない。
ここからは、私の推測。
外から見て違法と分かる事はしない。したがって、パーソナル無線は、ないだ
ろう。
そこで、アマチュア無線の免許を持った信者が、個人的な通信(あくまで、業
務ではない。)を行う。
当然、オウム真理教の業務連絡のためなので暗号化するだろう。しかし、アマ
チュア無線での暗号の使用は、禁止されているので、露骨に解る音声通信での
暗号の使用は危険だ。
だから、ATVと呼ばれるテレビ画像通信で、文字情報を流し、そのなかに暗
号を潜ませる。これなら、一般の音声受信機では、復調出来ないので、足がつ
きにくい。
まあ、こんな風に考えたのだが、少なくとも最後の推測以外は、アンテナから
解る事で、素人の私がここまで読み取るのに、電波の専門家が沢山いる放送局
が、何故この位のコメントをしないのだろう。
公安との取り引きがあるのかもしれない。しかし、子供の使いではないんだか
ら、あまり意味の無い煽るだけのコメントなんて入れないで、アンテナの解説
をすればいいと思った。
1999/7/21 M
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