
9月12日、夕方、仕事中に電話がありました。 チュイが立っていられず、痙攣をおこし、直らないと。 今度の痙攣は、かなり深刻でした。 私は、急いで家に帰り、車で動物病院に連れてゆきました。 体重は変わらず16グラム。 やはり、衰弱と、おそらく、最初に落ちたダメージで神経が、 やられているのでは・・・という事でした。 先生は、神経の注射をしましょう。と言いました。 私は、この体力で、注射に耐えられるのか、疑問があり、一度 ためらったのですが、他の方法も解らず、お願いしました。 薬も、粉薬ではだめだと言う事で、今度は液体にしてもらいま した。 家に帰っても、ほとんど自発的には物を食べなくなりました。 ミルワームは、全く食べません。なんとか、ぶどう虫だけ食べ ました。 翌日、その翌日と、容態は、悪くなる一方でした。 もはや、ぶどう虫もほとんど食べません。 目の前で、ぶどう虫を動かしても、うつろな目で、見ているだ けでした。 それは、まるで生きる事を拒絶しているようでした。 「もう、苦しいから、死なせてよ。」そういっていたのかも しれません。 それでも私は、最後の望みに賭けていました。 自分で調合したすり餌を水に溶き、耳かきで口に入れました。 9月16日、その日も二人とも仕事でした。 私は、仕事先に連れて行きました。 チュイの疲れを避ける為、車で出かけ、車の中でも、ずっと片 手で、抱いていました。 その日は、MA(録音)だったので、スタジオで餌をやりなが ら、作業を見ていました。 チュイもなんとか、すり餌を食べてくれました。 翌日も同じように、車で連れて出ました。 その日は、元気が無かったのですが、車の窓の外を、一生懸命 みていました。最期に、色々な風景を目に焼き付けておきたか ったのかもしれません。 スタジオに入り、「チュイ」と呼ぶと、小さな声で鳴きかえし ました。前日と同じように、餌を溶いて口に運びましたが、 かたくなに口を閉じ、拒否していました。 チュイは、私の左手からすりぬけると、羽ばたいて、椅子の上 に落ちてゆきました。高さは10センチぐらいなので、その、 ダメージではないと思いますが、そのまま、足をうしろにやり 目を閉じ、二度と動かなくなりました。 ついに、その時が来ました。手の中で必死に呼びかけても、 返事はありませんでした。 最期はやっぱり鳥として、終わらせたかったのだと思います。 そういえば、飛べなくなってからのチュイは、よく、眠ってい る時、羽を膨らませていました。 その姿は、まるで、大空を滑空している様でした。 きっと夢を見ていたのでしょう。 自由に飛んでいる夢を・・・ 2003/9/25 M
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