ブラックコメディ本番を観る(25 Nov.95)

羽田惠理香の初舞台である「ブラックコメディ」を楽日前日に銀座博品館まで観劇に行った。ゲネプロをすでに観ているのであるが、やはり観客が入っているのと入っていないのは違うし、我々もゲネプロはどうしても取材という目で観ることになる。折角の羽田惠理香の初舞台であるので、ちゃんと観客の入っているところも観ておこうというわけである。
当日私は昼から秋葉原のヤマギワソフト館と池袋パルコ内の三省堂書店で西村知美ちゃんのCD-ROM発売記念サイン会があり、そちらの取材があったので、まずはそれに出かけた。ちなみにその様子はこちらで。
はねちゃんと知美ちゃんは「週刊スタミナ天国」(CX)のレギュラーが一緒であり、どちらも(もらいものの)Macintoshのユーザーであるため、パソコン関係の共通の知り合いとして私の悪口や噂を言い合うことがあるらしい。誉めるのはいいけど、悪口はやめてね。閑話休題。

しかし、銀座博品館ていうのはどうして1階のエレベーターがあんなに狭いところにあるんだ。せめて劇場へは専用のエレベーターを用意して欲しいものだ。
開場時間にエレベーターで劇場のあるフロアに行く。さすがに色々なところからの花が来ている。編集部の名義で東京公演の初日にちゃんと花を贈っておいたのに、またもや表に飾られておらず、楽屋へ一直線だったようだ。ライブのときにも花は贈っているんだけどなぁ。もっと大きな花を贈ればいいのだろうが、なにぶん予算というものがあるのだ。
ロビーで飲み物を買っていると、私の後ろをはねちゃんのマネージャーである池田さんが通ったような気がしたが、まぁいいか。どうせ終演後には楽屋に行けば会うことだし。今日観に行くことは一応は内緒だし。
私の席はR席の真ん中というもの。ほとんど一番後ろといっていい。補助席も出ており、満員御礼というところ。私の隣の女性は野口五郎のファンらしい。
やはり観客が入っていると舞台は違いますねぇ。明らかに観客の笑い声に舞台上の俳優が反応し、またそれに観客が反応する。今回も俳優が観客に背を向け笑いをこらえるというシーンが。もちろん、はねちゃんも笑いをこらえている。ようやるよな。

カーテンコールが終わり、観客もある程度ひけたところで、楽屋の方へとお邪魔する。
「お疲れさま〜〜」
「いつもすみません。お忙しいところ、わざわざ来ていただいて」
「今日はなかなか盛況だったね」
「ホント、今日のお客さんはいいお客さんでした」
「また笑かされていたね」
「あそこのシーンは油断も隙もあったものじゃないんですよ。毎回違うネタを仕入れてくるんだから」
などとはねちゃんと話しているところに池田さん登場。
「池田さん、野村さんが来てくれたの」
「うん、知ってる。さっき始まる前にロビーで見かけたから。どうせ終わったらたずねてくるだろうと思って声かけなかった」
「あらま、目立たないようにしていたんだけど」
「充分目だっていたよ。仕事落ち着いたの? どうせ入稿済んでいないんでしょ?」
「全然。今日はさすがに家に帰るけど、明日の日曜はまた会社」
「お忙しいんですね。すみません、それなのにわざわざ来ていただいて」
「いいんだよ、どうせ野村さんは仕事が趣味みたいな人だし。はねの舞台やライブが仕事の息抜きになっているんだからさ」
「まぁね、否定はしませんけどね」

しかし、このはねちゃんと池田さんのコンビは相変わらず変である。生稲のあっこちゃんに言わせると、どちらがタレントでマネージャーだか分らない対応の仕方と言われているらしい。マスコミに対してもタレントの方はやたらと腰が低くて、マネージャーの方はため口。池田さんと僕は同い年ということもあって、完全にため口のききあいであるのは確かだ。

「ところでさぁ、Windows95って買ったの?」
「僕は無償アップグレードのやつだし、Microsoftからは編集部に送ってくるから買ってない」
「いや、Windowsのノート買おうかと思って」
芸能プロダクションのマネージャーさえ買おうと思うほど、Windows95は浸透しているのか?
などなどの無駄話をして、私は楽屋から追い出されたのである。

なお、「ブラックコメディ」は好評だったので、96年2月に再演が決まったとのこと(2月9日〜18日、13日は休演)。見逃した人はぜひどうぞ。ピーター・シェーファーの原作戯曲の面白さは折り紙つきだし、演出は萩本欽一。取り敢えず、観て損はないです。


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