第3回 久積絵夢の巻




絵夢 今日はゲストに来ていただいたんですけど、二人に色々な話をしてもらおうと……
佳以 あははは(笑)。
絵夢 お呼びしたんですけど。
佳以 そんな絵夢さんです(笑)。きょうのゲストは久積絵夢さんです。
絵夢 はい。
  立場が逆でしたね、今(笑)。
絵夢 このまま載っちゃうの?
佳以 ううん、編集してくれるの。
絵夢 そうか、じゃ、いいこといっとかないとね。
――そのままなんか載せたら話になんかならないでしょ、この人たちで(笑)。
  話がまとまらない、この人のせいで(笑)。
佳以 はぁっ(笑)?




オーディション




絵夢 質問はないの?
  今回のオーディションの話からしようか。
佳以 3人ともオーディションあったわけだし。
絵夢 では、オーディションの時はどんな気持ちでしたか?
佳以 わははは(笑)。
絵夢 でもよくやれてたね、今までこのコーナー、二人とも。どうやっていたの?
佳以 いや、普通に(笑)。
  普段みたいに喋っていただけなの(笑)。
絵夢 ああ、そう。まとめる方が大変なんだ(笑)。
――毎回テーマを決めてやろうかといってやってるんだけどね、ほら、無視する人がいるからさ、約1名(笑)。
佳以 あははは(笑)。
  あなたよ(笑)。
佳以 ということで、今回のテーマは南少春公演の「ハイスクールRevolution」です(笑)。
絵夢 オーディションはね、2日に渡ってやったんだよね。1日目がダンスで、3人ずつやって。2日目は演技と歌で。演技は2人ずつ組んでやったんだよね。
佳以 そうですね。
絵夢 誰と組んでやったんだっけ?
佳以 私はぁ、まこ(遠藤雅子)と組んでやった。
絵夢 こわそう。佳以こわそう(笑)。
佳以 なんでですか(笑)?
絵夢 なんだかまこ、圧倒されてそう(笑)。
  あはは(笑)。
絵夢 未は貴美子とやったんだよね。
 そうです、いつも一緒なんです。
佳以 今回のオーディションは私たち3・4期生はちょっとね苦戦してたよね。
  うん、色々言われた。
絵夢 うそ?
佳以 それじゃ見ている方は楽しくないって。
――オーディションってある程度役柄とか想定した上でやるの?
絵夢 いや、ぜんぜんそうじゃなくて、紙にA、B2人の台詞があって、それを2人で組んで交代でやる。
佳以 その台詞は30分くらい前に渡されるんだよね。両方交代してやるんですよ。
――その時点ではまだ本とかはみてないんだ。
  みてないです。
絵夢 だって役が発表されたからだいぶ立ってから台本もらいましたもん。
――で、誰が配役を決めるの? 劇団?
絵夢 劇団じゃなくて、演出の先生が。
  八木橋先生(演出)とか畠山先生(振付)だよね、今回は。
佳以 歌は歌で課題曲が出て。1日前だっけ?
  もうちょっと前。3日前くらい?
絵夢 1週間はなかったね。
佳以 テープを渡されて。
  私は色々あって前日だった。ほんとぎりぎりだよ。
佳以 ダンスは普通にその場で振り付けされて、1期生から順番にって感じで。
――それがいつくらい?
佳以 11月の終わりくらい。役が発表されたのは12月ですよね。
絵夢 それで台本もらったのが2月だから、2ヶ月も間があいてんの(笑)。
――公演は4月だよね。
佳以 はい。
――公演の2ヶ月前に台本が上がってるなんてすごいじゃない。本番3日前とかいう劇団もあるし、こまつ座なんて毎回毎回新作の脚本があがらず、公演中止になっている。
絵夢 それは普通じゃないですよ。
  配役発表になったときの写真で絵夢さんピースサインやってましたよね。
――主役でやったぜって感じ?
絵夢 ぜんぜん。私端役でいいと思っていたから。主役はきっと別の子だと思っていた。まぁ、舞台って主役より端役がちゃんとしていないと成り立たないから、私はそれでいいやって。脇をガッチリ固めていこうと思っていたんです。
佳以 へぇ〜。
――そうしたら、主役だったわけだ。
絵夢 全然考えていなかったから、名前呼ばれたときはビックリしたとでもいっておけばいいでしょうか。


見どころについて




佳以 でも、今回の話は面白いですよ。
絵夢 いじめと自殺未遂だから(笑)。
佳以 未来と現在の両方が出てくるんですよ。
絵夢 いじめとかあったり、勉強ばかりしていたりとか、そういう普通の女の子の話で、未来が主なんだけど、その未来から現代に来るんだよね。
佳以 そう、タイムスリップしちゃうの。33年前に。
  3人の女の子がね。
絵夢 だから面白いんだけど、大変だと思う、私は。今まではダンスと歌とかが多かった。ダンスとか歌は好きだとすごくいい表情が出るし、みんな好きだから楽だったけど。演技とかはちゃんとやんなきゃいけないし、間の取り方とか大変だし。今回は歌とかダンスより演技が多いから大変だよね。
佳以 うん、大変。歌が少ないよね。
絵夢 全然少ない、今までより。
佳以 私5曲くらいかな。
絵夢 私、多分5曲もないよ。
佳以 えっ? うそ〜。
絵夢 ほんと。私、今回は歌わないし、踊らない人だから。
佳以 私、ストリートのところがすごい不安なんですよ。すごく踊らないといけないし。
絵夢 そうそう。ダンスが得意って台本に書いてあるもんね。
  野村さん、わかんないですよね、突然、そんなこといっても。
佳以 ダンスをすごく頑張らないといけないシーンが1つあってね、大変なんですよ。
  私もある。
絵夢 未も今回ダンスをやる役だからね。
  NY帰りの役なんですよ。
絵夢 でも、今回はみんなそれなりに見せ所があるからいいよね。今まではアンサンブルは本当にアンサンブルって感じだったけどね。
佳以 やっと立ち稽古に入って。だんだんやる気になってきたぞって感じ。歌も今回はわりと順調に上がっていますよね。
絵夢 まあね。
  ダンス、振り付け早かったよね。立ち稽古にはいる前に1曲振り付け出来ちゃったし。
絵夢 幕前の演技とかあるんだよね。初めてだよね。広さがわかんないから不安だよね。
佳以 今回は本当に中学生とか高校生とかの人に見てもらいたいと思う。
  いじめのこととか。
佳以 テストしたら自殺しますとか言うの一時期あったじゃないですか。そういうのも入っているんですよ。学校の子とかにもいってるんですよ、見に来て見に来てって。
――実際に自分たちの通っている学校ではそういういじめの問題とかはどうなんだろう。
佳以 ないよね。
  うん、ない。
絵夢 ないとは限らないでしょ。
  私は知らないと思う。
絵夢 私たちみたいなのは気づかないんだよ。少なくとも私は。私は学校終わったらすぐ稽古行くし、あんまり放課後とかわかんないし。中学の時に私無いと思っていたら、あったって聞いてビックリしたもん。
佳以 いじめが?
絵夢 うん。でもそんなのどこの学校でもあるよってみんないってた。
  そうなのか。
絵夢 自分は好きなことやってキャーとかいってるのに、そんな風にいじめられて辛い思いをしている人もいるんだって。知らない世界だったね。
――最近のいじめは陰湿になっているみたいだね。言葉とか精神的にいじめるっていうか。
佳以 そうなんですよ。いじめってなくならないんですよね。
絵夢 なくなんないよ。誰がなにしてもなくならないよ、これは。
佳以 どうしたらいいんだろうと思う。このごろすごく思う。みんながみんなのこと好きだったらいいのにって思うんだけど。
絵夢 芝居の中では、現代の一人の少女が最後の最後まで追いつめられていくところまであるんだよね。
佳以 最終的には助けてあげるっていうか、親身になってくれる人が必要なんだよね。なんかわかんない、私。
絵夢 いじめはわかんないよ。
  わかんない。難しいですよね、人間は。
佳以 そのわかんないとこが楽しいっていうか、変な言い方だけど。
――管理教育とかいっても、必ずはみ出る部分がある、誰もがね。それをどういう形で発散してバランスをとるかということが大事になってくる。こういう舞台で発散する人もいれば、バイクとかで発散する人もいる。発散する場所が他人に対する攻撃となって現れる人もいる。
佳以 大変だぁ。どうしてなんだろう。いやだよね、いじめはね。みんな優しい気持ちを持てばいいのに。


役柄について語る




絵夢 私の寺田役はおとうさんはいなくて、お母さんには見放されていて誰にも心を開いていない女の子。誰に対しても愛情を持たないし、心が凍っているだけで、別に内気ではない。悲しい役ですよね。難しい役ですよ、ハッキリ言って。でも楽しいよね、自分とかけ離れた役をやるって言うのは。
――前回のカネダっていう役回りとは全然違うでしょ。
絵夢 私それがすごく嬉しいんですよ。それだけがすごく嬉しい。この間と同じ様な役だったらどうしようかと思っていたんですよ。もし同じ様な役だったら、今回は降りますっていおうかと真剣に思っていた。
  どうして?
絵夢 だって、そんなの全然自分のためにならないし。舞台が好きだって言うのはあるけど、お客さんに自分の実力とか舞台への思いとかを分かってもらうっていうのがうれしいから、同じ様な役をやっちゃうとそれしかできないのかってなっちゃうし。
  お客さんもそういうイメージしか持たなくなっちゃうしね。
絵夢 だからやっぱり公演ごとに全然違う役をやった方が自分自身楽しいし、お客さんも見ていて絶対楽しいと思うんですよ。
佳以 この子、こんな役も出来るしって思われた方が。
絵夢 うん、その方が絶対にいい。
佳以 その点、私も違いますよね、この前とは。
絵夢 まあね。去年の公演でほめられたりしたから、今度は全然違う役でほめられるようにしたいっていうか、自分の目標っていうかね。自分の行けるところまで行きたいところがある。オーディションの時に去年とは違う役をやりたいっていったんだ。いってみるもんですね(笑)。
――映画監督の大林宣彦さんがいうには、キャスティングが決まれば映画は80%完成したっていう。意外性の配役もあるし、ここしかないという配役もある。
佳以 私の役なんかけっこう絵夢さんとやりあうじゃないですか。その絡みが楽しみ。
絵夢 役にはいると普段出来ないことができるから楽しい。
――演出はSETの八木橋さんで、八木橋さんの演出は2本目になるのかな?
絵夢 私、八木橋さん初めてなんですよ。
佳以 紗子が主役をやった「聖歌物語」が1本目だよね。
絵夢 私、その時他の舞台に出ていたから。みんないいことばかり言うんですよ、八木橋さんのこと。卒団した菊沢美和ちゃんとかもそういうんで、よし、付いていこうと思ったんですけど、やっぱり恐いんですよね(笑)。
  最初は恐いイメージがある(笑)。
絵夢 顔だけが笑っているような気がする(笑)。一言が重いんですよ。
佳以 私の役柄はカオルって言う役で、絵夢さんのやることに対抗する役なんですね。で、家にお姉さんの作ったタイムスリップのマシンがあって、その実験をしているときに事故があって、私と絵夢さんと貴美子さんが33年前、つまり現代に来ちゃうんですよ。私の役はけっこう人の心が分かる少女なんですよ。
  しっかりしていて引っ張っていくタイプの役だよね。
佳以 そうですね。割とハッキリしていて、けっこうよく喧嘩していたりするんです。最後は仲良くなるの。とにかく、カオルはいい子です(笑)。
  またじゃん。この前もそういってたじゃない(笑)。
――この前の役はノボルだっけ。なんていってたの?
  ノボルはいい子で、人の気持ちが分かる人だっていってた。同じこといってたよ(笑)。
佳以 そうだっけ(笑)。強い意志をもってカオルを演じたいです。
絵夢 いい子ってみんないい子じゃない。自分だけいい子みたいにいっちゃってさ。このヤロ(笑)。
佳以 自分の意見を言う子。わりとポイントになる役。カオルやってるとき好きなんです。
  私の役は2つあるんですけど、1こは未来の生徒会委員の小林さん。いつも寺田さんの後ろにいるんです。
佳以 こわいんです(笑)。
  そう。さめた風にいこうかなって。97年の方はクラブにいるNY帰りのダンサーの役。
佳以 すごくいいよね、未の役。
  ダンスに生きる人(笑)。
絵夢 でも、いいよね。1つの舞台で全然違う役がやれるんだから。
  そう。どう違うように見せるか。それが問題なんです。そうそう、私、今回の舞台で初めて制服が着れるんですよ。
絵夢 うそ?
  舞台の上で制服着るのうれしい。
佳以 私、1回もありません(笑)。
絵夢 制服の舞台の時にはまだ君らいなかったじゃない。
佳以 「憑いてますか」の時にも着れなくて。
絵夢 「憑いてますか」のときって私、制服着まくってたわ(笑)。
佳以 貴美子さんはよく着てますよね。
絵夢 貴美子はね、制服だもん、顔がね(笑)。
佳以 未来って制服あるんですかね。舞台では、私、すごい髪型にしたい(笑)。
  また勝手なこといってます(笑)。