資料1は、AT&T社の1988年の経営者報告書である。内容はつぎのとおりである。
「ここに添付されている財務諸表は、アメリカン・テレフォン・アンド・テレグラフ社とその子会社の勘定を連結したものであり、一般に認められた会計原則に準拠して作成されております。
これらの財務諸表は、期末までに完了していない事象に関する見積りと判断を含んでおりますが、そのデータの完全性と客観性は、特に記載しない限り、当アニュアル・レポートに含まれているその他すべての情報と同様、経営者に責任があります。そのため経営者は内部統制組織を維持しております。当社の内部監査人は、年間内部監査計画にもとづき、内部統制が遵守されているかどうか監視しております。内部統制組織は、運用の過程で、経営者による不断の監督、内部監査、独立監査、当社の事業の変更、その他の状況や変化の結果によって必要な調査、評価、改善を行っております。当社の内部統制組織は、全体として、(1) 財務記録が適切で、一般に認められた会計原則に準拠した財務諸表を作成するために依拠できること、および(2) 資産への接近が経営者の承認を得た場合に限られること、に関して合理的な保証を提供するものである、と経営者は確信しております。記録された資産は合理的な間隔で実在する資産と照合され、いかなる差異に対しても適切な措置が取られております。内部統制の一環として、経営者は組織構造を確立し、責任を適切に分担するキーパーソンを注意深く選択し、方針、基準および経営者の権限が組織全体に理解されることを保証するよう設計された情報プログラムを使用しております。
これらの財務諸表は、独立公認会計士事務所クーパース・アンド・ライブランドによって監査されております。当該監査は一般に認められた監査基準に準拠して実施されており、取引の試査と内部統制の調査を含みます。
取締役会の監査委員会は、社外取締役によって構成されておりますが、経営者、内部監査人および独立監査人と定期的に会合をもち、その責任をどのように果しているか調査し、監査、内部統制および財務報告事項について監督しております。また、内部監査人および独立監査人は別個に監査委員会と定期的に会合をもち、さらに監査委員会および個々のメンバーといつでも接触することができます。」4)
経営者報告書は1978年のコーエン委員会の勧告にもとづいて、会社が自主的に公表しているものである。1979年にSECは経営者報告書とこれに対する監査報告書を義務づける提案を行なったが、この提案の目的は1977年の海外不正行為防止法違反を立証することにある、という批判のために撤回された。5)しかし、将来的にはディスクロージャーを内部統制にまで拡大しようとするさきがけだと思われる。