D-DAY デザイン:鈴木銀一郎  1-3人 4時間 WWG-6

 大きめ地図1枚サイズの手頃な大きさで、ノルマンディ上陸〜コブラ作戦を扱う。ゲームの進行方法は「移動・攻撃〜相手の反応移動・攻撃・補給」という簡単なシークエンスで、これを枢軸軍と連合軍が相互に繰り返す。
 このゲームの特徴は、相互射撃方式の戦闘結果表、戦闘の度に消費をする補給ポイント、連合軍増援部隊の任意編成(プレイヤーが自分自身の判断で増援部隊を編成する)などにある。他にも戦闘爆撃の移動妨害や支援爆撃(失敗する可能性もある)、上陸時の艦砲射撃や猛爆撃、上陸前の空挺降下、嵐の到来など、史実に見られる出来事を再現するためのルールは一通り揃っている。
 地図が扱うのは、南北がシェルブール〜ファレーズ、東西はカーン周辺〜アバランシュと、この戦域の激戦区が全て含まれている。このテーマのゲームの常として、全体として「ボカージュ(生け垣)」地形が目立ち、ユタ海岸周辺には史実通り冠水地域が存在する。
 このゲームのドイツ軍は、他の同テーマのゲームとは違って「守り勝ち」は許されない。手頃なサイズゆえにドイツ軍には余剰駒が少なく、連合軍に物量作戦を仕掛けられた場合には非常な苦戦を強いられるからである。一方で、ドイツ軍には「連合軍の上陸地点にある、米英どちらかの人造港を全て破壊すること。」という勝利条件が設定されている。(この人造港は、やがて到来する嵐によって水没する可能性もある。)これらの理由のために、少数精鋭のドイツ軍は、連合軍の上陸地点めがけて突破戦術を中心とした積極的反攻を敢行する必要がある。上陸時には兵力不足に悩まされるドイツ軍であるが、2〜4ターンにかけて装甲師団中心の増援が与えられ、6ターンの嵐の到来までは攻勢を行なうに充分な兵力を保有できる。ただし、攻撃は補給ポイントを多大に消費するため、これ以降の攻勢は実質的に不可能である。そのために、ドイツ軍は6ターンまでに先の勝利条件を達成する目処を付けねばならないのである。
 対する連合軍には「シェルブール港を占領した上で3個師団分の駒を地図外へ突破させること。」という勝利条件が与えられている。結局は物量で優位に立てる連合軍であるが、とりあえず前記のドイツ軍の攻勢を凌がなければ勝利はない。ここで鍵となるのが、戦闘爆撃機による移動妨害、艦砲射撃、増援である。この中でも特に難しいのが増援の編成であろう。このゲームの増援は、プレイヤー自身が補給ポイント(これが不足すればドイツ軍に撃たれるままで、撃ち返すことができない。)または部隊(これが不足すれば、戦線は当然弱くなる)を選択して編成するのである。この選択を行なうためには、増援到着時(2ターン後)の戦況を先読みし、「その時、何が必要か?」を正確に予想しなければならない。まさに、連合軍の戦略手腕の見せ所である。この選択を誤れば、連合軍の勝利は覚束ないものとなるだろう。6ターンまでのドイツ軍の攻勢を耐えて生き残ることができれば、その後は連合軍の兵力の方が大きくなる時期が到来する。これ以降は、力押しの物量作戦が展開できるだろう。
 エポック社のゲームと言えばスピーディーな展開と自由度の高さが特徴であり、このゲームでもそれらは健在である。さらに、攻防双方が射撃し合う相互射撃方式の戦闘は、エキサイティングで激しい戦闘を攻防両方のプレイヤーに肌で感じさせてくれる。戦略だけでは勝てず、運だけでは勝てず、飽きのこない傑作ゲームである。





独ソ電撃作戦 デザイン:黒田幸弘 2人 1時間 WWG-1

 第二次世界大戦は、人類史上、最も熾烈を極めた戦いである。その中でも、1941年、ドイツ軍のソ連軍に対する侵攻作戦、いわゆる「バルバロッサ」作戦を、このゲ−ムは、シミュレ−トしている。内容は、ドイツ軍の中央軍集団が、独ソ国境に布陣するソ連軍前線部隊を、奇襲戦法によって粉砕し、将軍グーデリアンの考案した、「電撃作戦」によって、次々にソ連領内の都市を占領。わずか2週間のうちに、30万人の捕虜と、白ロシアの主都「ミンスク」を占領、といった史実だが、ゲ−ム盤上でもドイツ軍が先行で攻撃を開始し、中央軍集団の両翼、2個装甲軍集団が、ソ連軍前線部隊を撃破、突破。鋏のごとく、中央の残存兵力を、包囲しつつ、最終目標「ミンスク」へ、展開することになる。包囲されたソ連軍には、中央の2個歩兵軍が、掃討にあたり、各部隊間の役割がはっきりしている。
 ソ連軍は、数量的には、ドイツ軍と劣らないが、各部隊によって精鋭・弱小など、兵力に差があり、行動力にもドイツ軍のそれとは、1ランク劣っている。だが、歴史では、「ドイツ軍の反撃に対して戦力の各個投入による司令部の判断ミス」、を犯したが、実際のプレイでは、史実を再現する必要はない。プレイヤ−は、冷静な判断で、戦況を把握し、ドイツ軍の進撃を阻止、又は、妨害するため、強力な防御拠点を、幾つも形成することになる。それには、ソ連軍の主力部隊である戦車師団の運用がゲ−ムの鍵になるだろう。終盤戦には、「ミンスク」の前面で、両軍の一進一退の攻防戦が行われ、きっとプレイヤ−を熱中させることだろう。





砂漠の狐 デザイン:鈴木銀一郎 2人 2時間 WWG-3

 「砂漠の狐」とは、ドイツ軍の名将ロンメル率いる、ドイツアフリカ軍団に、付けられた綽名である。その存在と機動力は、「神出鬼没」、とまで言われ、相手の連合軍を、恐れさせる程であった。このゲ−ムは、北アフリカ戦史より、最もアフリカ軍団が活躍した戦いをゲ−ム化している。
 史実では、北アフリカの最重要拠点である、「トブルク」をめぐる攻防戦であり、同都市を包囲するドイツ・イタリア軍に対して、戦車を主力とする連合軍が、救出・開放を目的とした作戦、「クルセイダ−」を発動、敵味方入り乱れての激戦が展開された。ゲ−ムの中でも、その状況が表現されるように工夫されている。2〜3個程、紹介すると、戦闘が実施されるまで、敵戦力が確認できないこと(敵戦力未確認ル−ル)。囮部隊駒によって、自軍戦力配備の隠蔽(囮部隊駒ル−ル)を行い、引っ掛け作戦・奇襲攻撃・強襲攻撃・牽制・戦術撤退など、幅広い行動選択が実行できる。また、何時、自分の主力を戦線に投入するか、敵主力は何処から進出するか予想するなどの、相手との駆け引きも生まれ、非常に面白い。
 ドイツ軍は、少数精鋭部隊で、あまりにも御粗末なイタリア軍とで、如何にして「トブルク」の包囲網の維持と、救出部隊の進出を食い止めるかが、問題となり、連合軍は、大量の兵力を、各戦域に投入することで、敵への撹乱、弱い戦線の探知、突破による「トブルク」の救出などが目標となる。このように、相手の手の内を読むという、緊迫したゲ−ムは、多くはないことであろう。





バルジ大作戦 デザイン:鈴木銀一郎 1〜4人 3時間 WWG-4

 1944年、ヨ−ロッパ世界を席巻していた、ヒトラ−率いる「第三帝国」は、ソ連東部戦線にて、スターリングラード攻略失敗以降、全戦線にて撤退を余儀なくされていた。それは、アメリカ・イギリス軍の西部戦線でも同じで、ノルマンディーの上陸、パリの開放、ドイツ・フランス国境(ジークフリートライン)への進撃など、ドイツ軍の戦線は、非常に危険な状態にあった。ヒトラーは、この戦況を打開するべく、ひとつの作戦を考案した。それは、フランスを降伏に追いやった作戦の焼き直しであった。作戦名「ラインの守り」。彼は、この起死回生ともよべる作戦に、人生最後の賭けに真っ向から挑んだのである。
 「バルジ大作戦」、と呼ばれる、このゲームは、連合軍の死角であったアルデンヌの森にて、ナチ親衛隊戦車軍が、奇襲によって電撃作戦を実行し、アメリカ・イギリスの戦線を分断・孤立に追いやるため、アントワープを目指す、といった内容である。この当時、連合軍は、連戦による連戦で、疲労し切った部隊を休養させるための要地として、アルデンヌを指定していた。よって、当然、ここの戦線は貧弱であり、ゲームでも、戦線を維持するための絶対数が足りない。対して、ドイツ軍は、優秀なナチ親衛隊装甲師団を主力とする、3個軍(2個装甲軍、1個歩兵軍)である。戦力の優劣は歴然である。しかし、連合軍は、増援兵力という強い味方がドイツ軍の侵攻範囲を制限していくので、前線部隊は少しでも、ドイツ軍の進撃を遅らせる行動をとるようになり、逆にドイツ軍は、素早い侵攻(装甲師団の機動力)が勝敗の鍵となる。だから、自然とゲームの焦点は主要道路を占める都市の確保(サン・ビット、バスト-ニュ)に集まる。この1分1秒を争う緊迫した展開は、プレイヤーを楽しませてくれるに充分のゲ−ムだ。





ドイツ戦車軍団  デザイン:鈴木銀一郎他 1〜2人 30分〜2時間 WWG-7

 このゲ−ムは、「エル・アラメイン」、「ダンケルク」、「ハリコフ」の、3つのミニゲ−ムが入っており、「シミュレ−ションを始める初心者」の為の入門用としては、最適のゲ−ムである。簡単ではあるが、以下にゲ−ムの紹介をさせて頂く。

 ◆「エル・アラメイン」 北アフリカ戦にて、連合軍重要都市「アレキサンドリア」を、奪取するため、ロンメル率いる枢軸軍と「エル・アラメイン」で、待ち受けるモントゴメリ−の連合軍の攻防戦。攻者(枢軸軍)と、守者(連合軍)が、はっきりしており、攻撃・守備の基礎動作が学べる。

 ◆「ダンケルク」 1940年のフランス侵攻を使って、戦線の張り方、装甲部隊の運用方法、撤退のタイミングなど、前作の基礎を、もっと広く活用させるためのゲ−ム。ドイツ軍は、足の早い装甲部隊を使って、一早く、敵補給源(港湾)の占領。または、連合軍部隊の壊滅・包囲を目的とする。連合軍は、各部隊の補給路を遮断されず、「ダンケルク」などの港湾都市からの脱出を行う。

 ◆「ハリコフ」 東部戦線に於ける、スタ−リングラ−ド陥落後のソ連軍のハリコフ一帯の大攻勢と、名将マンシュタイン元帥指揮するドイツ装甲集団の反撃を表わしたゲーム。前の2作とは、地図の広さ、部隊数の量的にも上をいく規模で、修得知識をフルに発揮できる。ソ連軍は、初〜中盤戦は、数の優勢をもってドイツ軍部隊の壊滅、ドイツ占領下の諸都市(ハリコフなど)の解放を行い、終盤戦には、ドイツ増援部隊に対して、強力な防御戦線を構築する。ドイツ軍は、初めは、手持ちの部隊が殆ど無いので、増援部隊と協力しながら機動防御をしながら我慢する。中〜終盤戦には、充分な装甲部隊が揃うので、タイミングを見計らって、反撃に転ずる。どちらの軍も、攻守の立場が入れ替わるため、戦況を見極める目を要する。





日本機動部隊  デザイン:鈴木銀一郎  2人〜 30分〜2時間 WWG-8

 簡略空母戦ゲ−ムの決定版(海戦入門用)。そのシンプルなデザイン、ル−ルとは裏腹に、スリリングな展開を実現可能にし、初めての入門者にも喜ばれるゲ−ムである。シナリオも「真珠湾攻撃」、「マレ−沖海戦」、「珊瑚海海戦」、「ミッドウェ−海戦」、「ガダルカナル」など豊富で、自分で艦隊を作成して、相手と仮想戦を楽しむこともできる。
 ル−ルは、シナリオごとに必要なものを修得していく、段階教育方法。故に初心者にも無理なく覚えることができる。また、ゲ−ムが2つあれば、ル−ルブックの後ろにある。相互秘匿索敵システム(判定員を含む3人で対戦)ゲ−ムも、お薦めである。以下に、代表的なシナリオを紹介する。
 
 ◆「真珠湾攻撃」 太平洋海戦のキッカケになった、日本機動部隊のアメリカ海軍ハワイ軍港への奇襲空爆。1人プレイ用であるので、日本爆撃機を持って、停泊中のアメリカ軍艦を、爆撃する。1人練習用である。
 
 ◆「珊瑚礁海戦」 日本海軍が、オ−ストラリア大陸に進出するため、ポ−トモレスビ−に上陸船団を送った時に、発生した日米初の空母戦。両軍共、兵力の差がないため、非常にプレイバランスのとれたシナリオ。
 
 ◆「ミッドウェ−海戦」 太平洋上の小島、ミッドウェ−諸島争奪をめぐっての有名な空母決戦。ゲ−ム開始時から、大量のアメリカ軍索敵機による索敵により、日本機動艦隊の所在が判った状態でプレイ。ゲ−ムバランスは、あまりよくない。
 
 ◆「ガダルカナル」 ガダルカナル島に建設された、アメリカヘンダ−ソン航空基地奪取作戦による、日米航空海戦。日本海軍は、航空基地に対して艦砲攻撃を、実施できる、面白いル−ル。バランスは、そこそこにいい。





関ヶ原  デザイン:黒田 幸弘  2人 3時間以上 WWG-5


 言わずと知れた戦国時代の最後を飾る大合戦をバランス良くゲーム化。一部ではエポック社のシミュレーションゲームの中で最も傑作とまで讃えられるほど、ルール、展開ともに優れている。
 東軍の家康プレイヤーと、西軍の石田三成プレイヤーは、お互いに味方に付けたい武将に対して合戦勝利後の褒美(領地)を石高で約束し、相手を出し抜くために贋の石高カードを使ってプレッシャーをかけることもできる。戦闘や重要な城などを占領すると規定のカードを受け取ることができ、それらのカードには相手武将の寝返り(ただし事前に褒美を約束していなければならないが)要請や、相手の持つカードの調査、参戦大名の日和見、九鬼水軍の後方撹乱、真田の足留め、上杉勢の江戸進撃など、関ヶ原ファンには堪らない程遊び心に満ちている。古地図を思わせる大きめの地図には、清洲城から琵琶湖沿岸の佐和山城までが描かれ、地図外には関東から関ヶ原までの移動ボックスや、反対に大阪から関ヶ原までのボックスが用意されており、続々と両軍の軍勢が決戦場めざして駆けつける姿を具体的に眺めることができる。ただ部隊駒は、極めてシンプルな出来で、所属大名の名と戦力しか記載されていないので、参加武将に思い入れのある人には残念なところ。
 また名のある大名ごとに軍勢編制表が用意されており、指揮序列や統卒能力によって配下に組み入れることのできる部隊が制限されている。例えば有能最強の島津義弘などは最高の能力を持ちながら、指揮順位も統率能力も低いため自隊以外の軍勢を引き連れて行動することはできない。この為、実際のプレイでは、島津勢を岐阜城に篭城させて、福島正則ら東軍先陣を散々に撃退することも可能である。地図上に置かれる軍勢駒には陣営しか書かれておらず、相手からはそれが何なのか偵察範囲に入るまでは判らないようになっている。戦闘も特徴的で日没までどれだけ時間があるか決定し、その長さだけ戦闘ラウンドが行われる。戦闘が行われている間、そこから離れた場所にいる両軍の軍勢は少しずつ戦場へ近付いていくことができ、ここぞという時に戦場へ到着した時には感動ものである。
 このシステムにより、一度戦闘が発生すると辺りに展開する軍勢が次々に戦闘に突入し、一大合戦に発展する様が見て取れる。ゲームの展開は清洲を発した東軍先陣が、岐阜城を陥とし、大垣城に集結する西軍と対峙しながら家康本隊の到着を待つ。西軍としてはこの段階で東軍を各個撃破したいところだが、総指揮官の三成は家康が地図上に到着するまで動きたがらないので、少数精鋭の武将達による危険な小規模波状攻撃を行うか、ひたすら決戦の時に備えて待ち構えるかしか無い。家康の到着と共に大阪めざして進軍する東軍、それを迎え撃つ西軍。戦闘の始まる前には次々とお互いの武将が裏切り、一寸先は闇の疑惑多き合戦が展開していく。この様に色々な要素を含むゲームであるためルールは少し難しいが、それらを活用したプレイにおいては興奮を押さえ切れない白熱した対戦になること請合いなのだ。





装甲擲弾兵  デザイン:鈴木銀一郎 2人 2時間以上 EP10

 第二次世界大戦の西部戦線を扱う戦術規模のゲームである。1ユニットは小隊単位で戦闘車両と歩兵、対戦車砲が登場し、砲兵は盤外射撃として処理されている。ドイツ軍を悩ませた戦闘爆撃機のルールもある。
 このゲームで重要視されているのがイニシアチブである。これを持つプレーヤーと持たないプレーヤーではターンの手順が異なり、前者でないと能動的な部隊の運用が出来ないようになっている。このイニシアチブがゲーム中に何度も入れ替わったりして、戦いの勢いみたいなものをうまく表している。また、ストップ射撃と呼ばれる一種の臨機射撃もこのゲーム独特のもので、敵ユニットが射程内に入る度に何度も射撃することが出来る。このため僅かな数の長射程のドイツ軍が、多数のシャーマン戦車を足止めするといったことも再現でき、作戦級ゲームで抽象的に表されるZOCの効果を具体的にみることが出来る。
 また、このゲームでは偵察車両と戦闘車両、そして対戦車砲または歩兵の3者の協力が重要で、その点、諸兵科連合の効果というのも実際に目でみることが出来る。つまり、このゲームは、戦術級ながら作戦級の視点を意識し、部隊運用を重視したゲームといえる。