大きめ地図1枚サイズの手頃な大きさで、ノルマンディ上陸〜コブラ作戦を扱う。ゲームの進行方法は「移動・攻撃〜相手の反応移動・攻撃・補給」という簡単なシークエンスで、これを枢軸軍と連合軍が相互に繰り返す。
このゲームの特徴は、相互射撃方式の戦闘結果表、戦闘の度に消費をする補給ポイント、連合軍増援部隊の任意編成(プレイヤーが自分自身の判断で増援部隊を編成する)などにある。他にも戦闘爆撃の移動妨害や支援爆撃(失敗する可能性もある)、上陸時の艦砲射撃や猛爆撃、上陸前の空挺降下、嵐の到来など、史実に見られる出来事を再現するためのルールは一通り揃っている。
地図が扱うのは、南北がシェルブール〜ファレーズ、東西はカーン周辺〜アバランシュと、この戦域の激戦区が全て含まれている。このテーマのゲームの常として、全体として「ボカージュ(生け垣)」地形が目立ち、ユタ海岸周辺には史実通り冠水地域が存在する。
このゲームのドイツ軍は、他の同テーマのゲームとは違って「守り勝ち」は許されない。手頃なサイズゆえにドイツ軍には余剰駒が少なく、連合軍に物量作戦を仕掛けられた場合には非常な苦戦を強いられるからである。一方で、ドイツ軍には「連合軍の上陸地点にある、米英どちらかの人造港を全て破壊すること。」という勝利条件が設定されている。(この人造港は、やがて到来する嵐によって水没する可能性もある。)これらの理由のために、少数精鋭のドイツ軍は、連合軍の上陸地点めがけて突破戦術を中心とした積極的反攻を敢行する必要がある。上陸時には兵力不足に悩まされるドイツ軍であるが、2〜4ターンにかけて装甲師団中心の増援が与えられ、6ターンの嵐の到来までは攻勢を行なうに充分な兵力を保有できる。ただし、攻撃は補給ポイントを多大に消費するため、これ以降の攻勢は実質的に不可能である。そのために、ドイツ軍は6ターンまでに先の勝利条件を達成する目処を付けねばならないのである。
対する連合軍には「シェルブール港を占領した上で3個師団分の駒を地図外へ突破させること。」という勝利条件が与えられている。結局は物量で優位に立てる連合軍であるが、とりあえず前記のドイツ軍の攻勢を凌がなければ勝利はない。ここで鍵となるのが、戦闘爆撃機による移動妨害、艦砲射撃、増援である。この中でも特に難しいのが増援の編成であろう。このゲームの増援は、プレイヤー自身が補給ポイント(これが不足すればドイツ軍に撃たれるままで、撃ち返すことができない。)または部隊(これが不足すれば、戦線は当然弱くなる)を選択して編成するのである。この選択を行なうためには、増援到着時(2ターン後)の戦況を先読みし、「その時、何が必要か?」を正確に予想しなければならない。まさに、連合軍の戦略手腕の見せ所である。この選択を誤れば、連合軍の勝利は覚束ないものとなるだろう。6ターンまでのドイツ軍の攻勢を耐えて生き残ることができれば、その後は連合軍の兵力の方が大きくなる時期が到来する。これ以降は、力押しの物量作戦が展開できるだろう。
エポック社のゲームと言えばスピーディーな展開と自由度の高さが特徴であり、このゲームでもそれらは健在である。さらに、攻防双方が射撃し合う相互射撃方式の戦闘は、エキサイティングで激しい戦闘を攻防両方のプレイヤーに肌で感じさせてくれる。戦略だけでは勝てず、運だけでは勝てず、飽きのこない傑作ゲームである。
