EDELWEISS Winter Storm Campaign Series.3
デザイン:John Schettler 1〜4人 2〜50時間 1089-19


 1942年のロシア戦線南部、独軍夏期攻勢「青の場合」において、ソ連の石油資源を根絶する為、広大なカルムィク平原を縦断し、遥かにそびえる大コーカサス山脈を越えカスピ海に面するバクー大油田の占領を目指すドイツA軍集団と、それを阻止すべくスターリンの厳命を受けて全力を挙げて抵抗するソ連軍。
 ゲームでは大小合せて10枚もの地図をつなげて、この戦場全域を再現。地図上には戦場となったロシア南部コーカサス地方が、目を見張る美しさで描かれ、コーカサス山脈の険しい山肌まで視覚的に感じ取ることが出来る程である。さらに実際にこの作戦に参加した部隊はもちろんのこと、参加する可能性のあった空挺師団、山岳軍団まで、水も洩らさぬ徹底的な調査にもとずいて登場する。
 肝心のゲームシステムも、膨大な内容物に負けず劣らず精密を極め、各軍団司令部が配下の師団司令部を統轄(攻撃か防禦などおおまかな作戦を決定)し、師団司令部が直接、戦闘部隊に各種の命令を与えることで作戦を具現化していく。その他にもソ連黒海艦隊が1隻単位で登場し、海上輸送から艦砲射撃まで行なえる。天候も実に15種類の多種に渡り、夏から冬にかけての南部ロシアを余すところ無く再現している。
 ゲームの展開は、ロストフを陥とした独軍が当初は無人の野を行くがごとくカルムィク平原をコーカサス山脈目指して進撃し、ようやく山脈の麓にたどり着いた頃には補給線が延びきり、不足するトラックの代わりにラクダやラバで編成された補給キャラバンまで使って、補給物資を前線の部隊まで届ける姿が頻繁に見られるようになり、その補給路もゲリラにたびたび寸断される。戦闘自体も山地に入ると独軍お得意の戦車戦術も使えず、飛行場不足から急降下爆撃機も投入できないことから不利な消耗戦に引き摺り込まれていく。さらに天候の悪化に伴い徐々にソ連軍に主導権を奪われ、遂には全面的撤退を余儀なくされていくドイツ軍の姿がリアルにシミュレイトされている。
 このゲーム、扱うテーマも貴重であるばかりでなく、作戦級と呼ばれるシミュレーションゲームのジャンルの中でも、その精密さ、システムの完成度、グラフィック面の美しさなどでひとつの頂点に位置すると言うに相応しい内容を誇っている。いまだパソコンSLGでは再現できない、真実のシミュレーションの姿がここにはあると言っても過言ではないだろう。






The Campaigns of Robert E.Lee デザイン:John Prados  2人 3〜8時間

 米国南北戦争における東海岸戦域の主要な10の戦いを、10本のシナリオで再現。古地図を思わせる2枚の地図と、無能有能取り混ぜた将軍たちを巧くキャラクター化した駒、そしてそれら将軍たちが率いる部隊を、区別して運用する大きな編成表が用意されている。それぞれの戦いは、ブル・ランからアポマトックスの戦いまで年代順に用意され、順にプレイしていくことで南北戦争の歴史が体感できる。
 ゲームの展開は、有能な将軍に率いられた南軍が、数を頼りに攻撃してくる北軍を撃退し続ける戦争前半期、ゲティスバーグの戦いの後、グラント将軍が北軍に着任し、1ヵ月に5万人の死傷者を出すような阿鼻叫喚の消耗戦となる戦争後期をヒストリカルに再現できるようになっている。将軍の能力が作戦の成否を決定ずけた最後の戦争と云われる南北戦争らしく、それぞれの将軍には軍隊を組織的に運用する「管理能力」、実際の戦闘において修正値となる「戦闘能力」、地図上を移動する際、移動力を決定する基準となる「移動能力」が設定されており、北軍の「若きナポレオン」マクレラン将軍などは、戦線後方で軍隊を管理運用する能力は充分だが、戦闘はからきしダメといった特徴が実によくでている。センスの感じられない題名と箱絵で、プレイした人間は少ないがプレイしてみればその傑作ぶりが納得できるだろう。






最前線 デザイン:日野 昭  1〜2人 30分〜2時間 SWG-16

 第二次世界大戦の西部戦線を舞台に、ドイツ・アメリカ・イギリスの3ヵ国の兵士を一駒一人、武器1丁(手榴弾1発)単位でシミュレート。
 このゲームでは、兵士は武器を運搬する機械に過ぎず、武器の性能だけが精密無比なほどに再現されている。武器の能力はそれぞれが有機的に関連しあい、機関銃のように火力の大きいものは、弾切れや銃身過熱を起こしやすく、ボルトアクションの小銃なら火力が小さい代わりに、弾切れしにくく、白兵戦でも強力(銃剣の威力)と云った具合。個々の兵士駒には兵隊の顔が描かれ、中には「戦争のはらわた」のシュタイナー軍曹やストランスキー大尉、「コンバット」のサンダース軍曹らしき顔など、何処かで見覚えのある顔が使用されていて、その手の物が好きな人にはたまらない魅力があるだろう。
 登場する歩兵用兵器も、驚くばかりで、試作品やマイナーチェンジされた物、果てはロシア戦線で捕獲されたソ連製短機関銃まで駒になっている。兵器の多種多様さが受けて、あのコンバットマガジン誌でも取上げられた程。システムは基本的に(AH)Squad Leaderのルールを巧く流用し、そつ無く仕上げてある。ただ、ルールの複雑さをなくすため、車両や高度(2階)は一切登場しないのは仕方ないところか。しかし内容物は、バンダイの財力を存分に見せつけ、綺麗にコーティングされた両面印刷の地図盤、ゲーム界唯一のビニール製地形オプションなど、余り評判の良くなかったバンダイのシミュレーションゲーム群の中でも抜群の出来を誇っている。





Samurai Blades CRY HAVOC Series デザイン:Peter O'Toole 1-2人以上 30分−2時間

 イギリスのゲーム会社から出ているこの戦国時代の日本を扱ったシミュレーションゲームは、1駒1人単位の集団戦闘ゲームで、驚嘆すべき美しさで駒に人物が描かれ、その登場キャラクター全てに名前が入っているという念の入れよう。そして駒に描かれた日本の武士・足軽・浪人たちには、無傷の状態を表わす駒と負傷して傷だらけになった姿が描かれた駒の2種類が用意されているといった心憎いまでの準備周到さがある。さすがマニアックな国:イギリス製のシミュレーションである。 
 登場キャラクターには、馬上で大弓をひく騎馬武者(大名)、僧兵、ナギナタ、槍、鍬を担いだ百姓、忍者(偉そうに「マサズミ」なんて名前まで付いている)まである。ただ緻密に描かれたキャラの姿を見るところ、どうやら戦国時代というより源平合戦や応仁の乱を連想させるものになっている。使用する地図は、川の流れる神社を舞台にしたもの、ネギが生えかけたような水田を持つ白龍村を舞台にしたものの2枚が用意されている。これらの地図は、他のCRY HAVOCシリーズの地図と連結することができ、シリーズを集めることで大規模かつ多国籍他次元の戦闘を愉しむことができる。ちなみにこのゲームに描かれた日本の木は全て満開の桜である。まさに「花は桜木、人は武士」といった所か。
 肝心のシステムは大方の期待を裏切って、いたって真面目なシミュレーションゲームで、徒歩の弓兵は移動前と後に2回射撃できるなど射撃戦を重視したものとなっている。ゲームの展開は、ひとしきり弓による射撃戦を行った後、敵の弓兵目指して騎馬武者、足軽などが殺到し切った張ったのチャンバラが開始される。しばらくすると辺りは死屍累々となり、自らも手傷を負った侍たちが最後に残った敵を追い詰め、敗北は避けられないと悟った相手は、日本の武士らしく「即興の辞世の句」を詠んで切腹するといった、他のシミュレーションゲームではお目にかかれない特異なものとなっている。この辞世の句だが、英文ルールブックには良い例と悪い例とが参考に載っており、悪い例(poor death poem)として「俺は生きるのが好きだ。ひとつでいい、にぎり飯が食いたい。しかしそれももうお終りだ」といったスゴイ内容の辞世の句が挙げられている。





AGAINST THE REICH  デザイン:Joseph Balkoski 2人 8-10時間 10040

 第二次世界大戦の西部戦線を扱った作戦、戦略規模のゲームである。地図は2枚で北部フランスやベルギーをカバーしているが、南部フランスは含まれず、そこでの上陸や戦闘は、地図外のボックスで解決される。ユニットは両軍とも師団規模である。他のゲームによくあるようなドイツ装甲旅団やアメリカ騎兵連隊、空軍駒等はすべて省略され、駒も基本的に兵科ごと同一戦力で統一されているので、部隊に思い入れのある方は物足りなさを感じるかもしれない。
 連合軍は、上陸地点を選択できるが、あらかじめドイツ軍の配置が分かっているので、“FORTRESS EUROPA”のように上陸してみたら、突如ドイツの装甲軍団が出現して肝を冷やすというようなことはない。
 このゲームの手順は、一般的なシミュレーションゲームのように、交互にすべての部隊の移動と戦闘を繰り返すのではない。サイコロを振って先攻プレイヤーを決め、先攻プレイヤーが1集団または1部隊を移動、戦闘させることを繰り返すのである。即ち、部隊を活動させるためには、主導権を取るか、先攻プレイヤーがパスしなければならない。この特殊な手順の為、頻繁に手番プレイヤーが入れ替わるので、相手プレイヤーの手番の時に退屈するなどということはない。また、連続して自軍の駒が動かせるとは限らないので、戦線を維持しながらの後退は困難で、フランスからの退却戦はドイツ軍プレイヤーの腕の見せどころとなるだろう。
 駒の数が少なく、1ターン2週間ということもあって、このテーマのゲームとしては、早いテンポでプレイできる好ゲームである。






Hitler's Last Gamble  デザイン:Danny Parker 1−4人  4-12時間

 第二次世界大戦の西部戦線において、敗色濃いドイツ軍が最後の賭けとして行ったバルジ大作戦を、バルジ戦ゲームデザイナーの第1人者が全力を投じてシミュレートしたのがこのビックゲーム。
 大きめサイズの地図2枚には、戦場となったアルデンヌ地方がほぼ全て描かれ、色遣いも冬の森林を連想させる落ち着いた雰囲気のものとなっている。部隊を表わす部隊駒にはその部隊が装備する戦車のシルエットが描かれ、非常に緻密なリサーチにもとずいてゲーム化されたのが分かる。バルジ戦ゲームの決定版として作られた為にルールは難しい部類に入るが、それを克服してまでプレイする醍醐味がこのゲームにはある。バルジ戦ゲームは数あれど、それらはドイツ軍側が史実以上に成功する可能性が大きいものが殆どで、このゲームのように自然と史実での展開に近いものに落ち着くゲームは数少ないものなのだ。
 ゲームは昼と夜とに分かれ、夜の戦いでは決着の付かないのでもっぱら翌朝の戦闘に備えて準備を整えるといったメリハリの効いた流れとなっている。
 部隊は基本的に連隊規模だが、戦車部隊などは大隊で1駒となっている。その為、扱う部隊駒の数は多いが、まとまって行動しなければ効果的に戦えないのでそんなに扱いずらいといった感じはない。何と言っても戦車部隊がシルエットで描かれているので、エレファント巨大自走砲と共同で歩兵が攻撃を仕掛けるなど、扱っていてあれこれ想像を巡らすことができるのが愉しい。もちろん戦車の能力差も明確で、シャーマン戦車を蹴散らすタイガー戦車など痛快な場面が随所で展開する。
 選択ルールにおいては、軍団長クラスの将軍から上の指揮官が駒となって登場し、直接、地図上で部隊を指揮するといった両軍の駆け引きが再現できる。またアメリカ軍の新兵部隊は、ドイツ軍の戦車と遭遇するとタイガー戦車と間違えるチェックを行うなど、その緻密さはこのゲームをして、バルジ戦ゲームの決定版という呼び声を益々高いものにしている。






Thunder at the Crossroads Cvil War Brigade Series.2a
  デザイン:David A.Powell 2人以上 18時間以上

 米国南北戦争における最大の決戦ゲティスバーグの戦いを、プレイヤー自身が実際に命令書を書き送ることで進展させる同社特有のシリーズゲーム第2作改定版。大きめサイズの地図2枚全体に、戦場となったゲティスバーグ周辺全域が目の覚める美しさで描かれ、色取り取りに区別された両軍の旅団が激戦を繰り広げる。部隊の戦力と戦闘意欲の高さは部隊駒の裏に記載されているため、相手は知ることができず、戦っても戦っても挫けない敵に恐怖を募らせることも度々である。ただし部隊の損害は別紙の専用チェック用紙で記録していく為、煩雑さは拭えない。それでも命令書を自分で書き、それに従ってしか活動できないので、命令書を書いた時点とそれが届いた時点では状況が異なり、無謀な攻撃に早変わりしたり、敵の機動についていけなかったりと、実際の戦場で総指揮官が感じるジレンマを体験することができる。それどころか送った命令書が実際に発動するまでには、何時間もかかることがしばしばで、命令と状況が食い違うのはいつもの事とまで言えるほどなのだ。それだけに命令書は将来の作戦を考えたものでなければ有効なものになりえないのだ。
 実際の戦闘は、お互いに射撃し合い兵員の損害と、戦闘意欲の変化を判定するもので、1回に8個のサイコロを振りあって解決する。その為にゲームプレイ後の疲労感は他のゲームの比ではないのだが、リアルな展開と実際の戦場を感じさせるシステムとで、もう一度もう一度とプレイしたくなるから不思議だ。ただしこのゲームの展開は、命令書の発動如何にかかっているので、得てして南軍が大迂回作戦に転じやすく、史実では決戦二日目の激戦地であったリトルラウンドトップの丘が、初日の夜には南軍に占領されてしまうなど、史実とは少し違った進みかたになる傾向が強い。この点は実際に南軍の知将ロングストリート将軍が、ゲティスバーグの戦場で、リー将軍にしつこく意見具申して却下された作戦でもあり、あながち間違っている訳ではないのだが。いずれにしてもこの南北戦争シリーズは、当時の指揮官が感じたであろう状況を見事に再現しており、いまだ米国で人気の衰えぬ証拠でもある。