2004.11.14 地域にニュース「ばんばおむろ山」を発行 

新聞折込「読売」と「朝日」で 5000部を折込み。読売東浦和販売店さんには、特にご協力いただいた。

http://www.omuroyama.info        2004年11月14日

ご署名いただいた皆様

考古学をご専門とする方から、「馬場小室山遺跡」の特徴と重要性について話を伺いましたのでご報告します。

小室山周辺の遺跡の特徴

(1)縄文時代中期の集落の上に、縄文時代後晩期の直径50m前後の「盛土遺構」(古墳のような塚)が、中央くぼ地を中心として環状に5つ取り囲んでいることが判明。

(2)「盛土遺構」が長い期間に累積されて重層した住居址群であることを、日本で初めて検証した遺跡。

(3)遺存状態の良好な多くの種類の土器群がたくさん出土した直径 3.5m、深さ4m 前後の「大土坑」が「盛土遺構」の縁辺から検出。
 ●「環状盛土遺構」は寺野東遺跡の調査以降、国史跡の対象になった が、馬場小室山遺跡のような「環状土塚集落」として「多埋設土器群大土坑」との組み合わせは、日本で初めての事例。

(4)縄文時代の保存状態が極めて良い遺跡。歴史的景観である里山 として長い間大事に保護されてきたので、弥生時代以降の撹乱が殆どない、例えて言えば「縄文時代の正倉院」。

「小室山」周辺の
環状盛土遺構概念図


監修 早稲田大学 鈴木正博氏

さわらびホームページより引用
http://homepage1.nifty.com/sawarabi/ 

この文書についての連絡先  〒336-0911さいたま市緑区三室2025-10 飯塚邦明


10/29 日本考古学協会が
文化庁長官に「遺跡保全」の要望書

「馬場小室山遺跡」が改めて重要な遺跡であるとして、日本考古学協会が、文化庁、埼玉県、さいたま市に保全の要望書を送りました。

埋文委第18号
2004年10月29日


要望書

文化庁長官    河合隼雄 様
埼玉県知事    上田清司 様
埼玉県教育長   稲葉喜徳 様
さいたま市長   相川宗一 様
さいたま市教育長 臼杵信裕 様


日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

馬場小室山遺跡の保存に関する再要望について

 さいたま市三室に所在する馬場小室山遺跡は、埼玉県を代表する遺跡として全国的にも広く周知されており、学術上きわめて重要な内容と意義をもっています。本委員会ではその重要性に鑑み、埋文委第16号(平成16年9月21日付)で、遺跡の保存を前提とした発掘調査体制・期間の見直しや史跡化を含めた整備・活用の措置を要望し、多大な期待をもって調査の推移を見守ってまいりました。
 
その後の発掘調査では、遺跡の重要性を更に高めるような成果が相次ぎ、多大な関心を寄せていた次第です。すなわち、9月中旬以降の段階で御柱の存在を想起させる大形ピット群が発見されたこと、盛土状遺構では縄文時代中期から晩期に至る竪穴住居跡群等の重層的な形成がみられること、完形土器をはじめとした遺物が大量に出土していることなど、新たな知見が続々と明らかになってきておりました。しかしながらこうした状況であったにも拘わらず、9月30日(木)をもって調査は強制的に打ち切りとなり、およそ3割ほどの調査未了地区を残したまま、遺跡は開発業者に引き渡されてしまいました。

 10月27日現在、開発予定地区内では伐木作業が終了した段階で、土器をはじめとして多くの遺物がまだ散乱したままの状態にあり、工事の進捗状況によっては盛土状遺構を含む未調査区の遺構群は、すぐにでも破壊されかねない切迫した状況となっております。開発予定地内のこうした状態を放置することは、看過することができません。

 もし遺跡が破壊されることにでもなれば、埋蔵文化財保護行政上きわめて憂慮される事態であり、将来にわたり大きな禍根を残すことは必至です。文化財の保護は行政の責務であるという文化財保護法の精神を遵守し、馬場小室山遺跡の保護・保存について適切な措置を再度ご検討いただきますよう、強く要望いたします。
                      記

1. 馬場小室山遺跡の未調査地区の工事を停止し、速やかな遺跡の保護・保存対策に努めること

2. これまでの馬場小室山遺跡の調査成果を充分に尊重し、今回の調査地区を含めた馬場小室山遺跡の  保護・保存のための施策を講ずること
                                          以上


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