2005年1月30日

    

小室山セミナーの報告

音楽・絵画・そして考古学

○2005年1月30日(日) 午後2時〜3時30分 ○三室公民館 1F講座室 

セミナーにはたくさんの方々にご参加いただき、ありがとうございます。当日の写真と報告です。

1. 音楽「小室山のテーマ」

小室山が開発される前、緑におおわれウラシマソウなどのめずらしい植物も自生していた姿や、小室山出土の土器・石器などを「浦和市出土品百選」(浦和市教育委員会 1994年)の中からビデオで紹介。BGMは飯塚のピアノの生演奏で「小室山のテーマ」(オリジナル)。

2. 絵画「ばんばおむろ山」

小室山の表土を精製してつくった土絵の具を使って、地元の画家、井山紘文氏が描いた作品を2点をご本人が紹介。モチーフはこの地域の舌状台地。黒っぽい部分は小室山の土をアクリルエマルジョンで固めたもの。明るい部分は京都産の「とのこ」。表面には縄文土器のように縄目模様がつけられている。昨年、飯塚の「ジャズピアノコンサート」のとき、ホールで開演を待っている間に着想を得て、一気に仕上げたとのこと。作品の題は「ばんばおむろ山」。

3. そして考古学

「馬場小室山遺跡」

講師の鈴木正博氏の話は、馬場小室山の「環状盛土遺構」の場所の紹介から始まった。

1.ひとまとまりの土器群の意味

「土偶装飾土器」や「人面画付土器」など、個々の土器が指定文化財となることが多かったが、第51号土坑や、今回発掘された土坑のように土器をたくさん埋納した場所は、その形態と土器のまとまりが大きな意味を持っている。最近は、土器群をまとめて文化財に指定する方向に進みつつある。

2. 馬場小室山遺跡の価値

馬場小室山遺跡の価値について、浦和市教育委員会の人たちが中心になって、さきたま出版会から出した「馬場小室山遺跡」という本の中に書かれている。鈴木氏は、同書の最後、「遺跡の価値を考える」という部分を配付資料として引用し、次の部分を読み上げた。

 土地に住んでいる古くからの人は、皆、口を揃えて、あそこは土器がでるところだと言っている。まさに、そうなのである。土器だけでなく、縄文時代のいろいろな遺物が、異常に含まれているところなのである。誰の目にもそこは古代の遺跡というように見えるのである。それこそ周知の埋蔵文化財包蔵地なのである。

 余すところなく展開する遺構、厚い包含層、縄文文化後半の連続性、種々の遺物、特殊な遺物、保存の良さ、まわりの人たちの遺跡に対する関心など、この遺跡は優秀な遺跡である。恵まれた遺跡である。未来に残していくべき遺跡である。子孫たちが、現状のまま受け継いでいきたいと期待されるであろう遺跡である。

 

さらに、鈴木氏は、「この遺跡は、浦和市教育委員会によって1969年から、30回以上にわたる調査が行われてきており、保全運動の署名が提出されたという新聞記事を読んだ時、当然、保全されるであろうと思った。残念だったのは、浦和市からさいたま市に変わったことが、どのような結末に結びつくか、その時には予想できなかったことだ」と述べた。

3. 盛んだった交易、やってくる他所者

縄文時代も後晩期となると低地につくられる貯蔵庫跡や丸木船が多く発見されている。遺跡の位置を水上交通という視点がみると、交易するに便利な位置関係にあるものも多い。また、縦穴住居を作るときに、地面を柄鏡形に出っぱりをつけて掘る文化をもった人たちが、丸く地面を掘る人たちと隣接して住んでいたこともわかった。異なる文化を持つ人たちがやってきて、一緒に住むようになったことを示している。

以上、印象に残った点。詳細は「さわらび通信」

http://homepage1.nifty.com/sawarabi

に掲載されるとのこと。

連絡先 048-874-3159 飯塚   e-mail  iizuka.kuniaki@gol.com

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