▲トップページへ

米軍再編・強化と室蘭港の軍事利用
“キティホーク入港”は何を残した?



1)「友好・親善ムード」「経済効果」の影で

 十月二十六日から五日間、室蘭港に米空母キティホーク初めて入港した。入港目的は、「友好・親善」。歓迎実行委員会による歓迎式、市長表敬訪問、艦長主催の艦上レセプション、歓迎実行委員会主催の歓迎レセプションなどが行われ、乗組員と市民のスポーツ・文化交流もバレーボール、野球、ソフトボール、サッカーなどに及び、「お茶会」や測量山の清掃ボランティアも行われた。
 入港から出港翌日までの地元紙は、「キティホーク入港一色」の観を呈した。乗組員四千二〇人の上陸、二日間で二万三千人の市民が訪れた一般公開。バスに長蛇の列が出来、タクシー・ハイヤーも売上を伸ばし、飲食店がにぎわい、コンビニの売上があがり、ホテルも大入りでさまざまな経済効果があった。多くの関係者は「大きなトラブルがなく無事に終わった」と胸をなでおろした、と……。

路上飲酒、暴力事件

 米艦入港反対室蘭実行委員会は、二十七日から三日間、中島町を中心に安全パトロールを行った。
 二十七日午後に抗議集会が行われた中島向陽公園で夕方、三名の米兵が飲酒し、空き缶を放置した(写真撮影済)。市総務部に通報し、「路上飲酒は禁止する」という米領事館の言明を確認。翌日も、同公園付近と中島本町歩道に十数人が座り込んでの飲酒を確認し、市総務部に再度通報するも、「問題ないのでは…」の対応。実行委員会には、空母入港に関して、「中島町飲食店で米兵同士が喧嘩になり、MPが来た」、「キティホーク見学で小学生に銃を持たされた」、「中島町の屋外で米兵が女性に不純な行為をしていた」などの通報が寄せられた。


2)「地域の平和と住民の安全」=自治体の役割は

 キティホークの入港計画が明らかになった八月一日から出港までの約3ヶ月間、「地域の平和と住民の安全」を守る役割を担う地方自治体・室蘭市の取った対応を検証することは特別に重要である。
 米空母入港反対を申し入れた団体は、八月初旬で十団体を超えた。二十九日に初めて記者会見を行った新宮市長は、「容認前程で判断せず」と述べた。九月二十六日、室蘭港寄港の通報を受けた市長は、「荷役等への支障がないか」「核の搭載はないか」「施設面で問題はないか」の三つを判断基準にあげ、「入港ありきではない」ことを繰り返した。十月二日、市は在札領事館に「反対の声」を伝え、五日に表敬訪問したダーナー・ウェルトン総領事に市長は「市民には大きな不安がある」「賛成と反対が二分している」と伝えた。

「核の搭載ない」と

 十月十二日、市長は『核搭載がない』ことなど三要件が確保され「拒否する理由がない」と入港を容認した。
 外務省の(安保条約にもとづく)「事前協議がないので、核搭載はない」の回答を鵜呑みにした判断だ。日本共産党は八月の申入れで「核持込の密約」公文書の存在の確認を求めていたが、「外務省は存在しないと回答した」というずさんなもので、不安は残ったままだ。
 入港までの間に、夕張市がキティホーク乗組員の奉仕活動を辞退。青森県知事が地位協定をたてにした青森空港の米軍利用を拒否(昨年四月)していたことが報道された。十九日、広島市で米海兵隊員四人による婦女暴行事件の発覚で市民の不安は増大し。室蘭市長宛の入港容認抗議・撤回要請は、二十六日の入港までに1102通に達した。
 二十七日、市長は地元商工会議所主催のレセプションに出席した。「市民の安全」を言い続けていた市長は市民の安全を守る自治体の役割を放棄した。


3)「基地再編強化」の中で米軍のねらいは

 在札幌米総領事館からの入港通報の前に、キティホーク入港計画を私たちが目にしたのは、九月二十二日付全国紙の神奈川版で報道されたリチャード・レイ司令官(第5空母打撃群)の記者会見だ。会見には「友好・親善」の文言は無く、入港目的は「海上自衛隊との年次演習」に参加するための寄港。そして、この「年次演習」に参加するミサイル・イージス艦「マスティン」の函館港への同時入港も十月九日に明らかとなった。

三年連続の入港

 〇五年から三年連続、イージス艦の入港が繰り返されている。日本海でのミサイル防衛計画参加のために室蘭港が作戦港とされており、市民の共通する懸念は、「米艦入港が繰り返され(慣熟作戦)、軍港化される」ことである。そして遂に空母の入港となったのである。
 キティホークは来年退役し、後継艦は原子力空母ジョージ・ワシントンと決まっており、専門家やNPO関係者は、「入港のための軍事演習、下調べ」とも指摘する。喫水14メートルの崎守埠頭を持つ室蘭港は、道内最良の港である。
 平和運動関係者が明らかにした、?日米合同委員会の「室蘭、小樽港が優先使用の対象」の合意(1974年のマル秘文書)と、?F15の離発着訓練の千歳移転で、太平洋沖からの「空母離発着訓練」は絶対無いと言い切れるのか、の問題提起は重大である。

海自誘致と一体?

 〇六年二月、市内七社会ほか市議らが出席して「海上自衛隊を誘致する会」が発足した。千歳は航空自衛隊と、矢臼別は陸上自衛隊と一体で米軍の移転訓練が行われている。室蘭港を海上自衛隊と一体で米海軍が使用することを室蘭市民は、けっして許してはならない。


4)米艦入港を許さない「非核室蘭条例」を(最終回)

 空母キティホークとイージス艦フィッツジェラルドは、トマホークミサイルとMD(ミサイル)防衛装置を備え、劣化ウラン弾を常備し、核トマホーク積載の危険も大きい軍艦である。
 04年にアメリカが日本海周辺で開始した、日米海軍によるミサイル防衛作戦以降、05年のラッセン、06年のチャンセラーズビルと毎年米イージス艦が室蘭港に入港しているのである。核兵器を積んだ恐れのある艦船入港が常態化している。
 室蘭市議会は1984年9月、「『非核3原則』を将来とも遵守」する「核兵器廃絶と恒久平和実現に関する決議」を採択した。さらに1998年12月市議会では、『非核3原則』を明記した「平和都市宣言」が採択された。いらい約9年間、残念ながら多くの市民が願う「非核3原則」の?とりわけ室蘭港への核兵器の持ち込みを禁止する?実効ある措置の実現には至っていない。
 私たちは、米国政府による核兵器積載の有無を「肯定も否定もしない」(NCND)という政策を打ち破る力を手にしなければならない。
 今年の原水爆禁止世界大会・長崎決議「長崎からのよびかけ」は、「核兵器廃絶と『非核3原則』の厳守を政府に宣言させる『非核日本宣言』運動」を、地方議会を皮切りに各地域に広げることを呼びかけている。
 2002年4月、「苫小牧市非核平和都市条例」が制定された。北海道では初めてだ。それ以来、苫小牧港には米軍艦は入港していない。
 “キティホーク入港”が残したものは、幅広い市民の参加による「非核室蘭条例」実現への協同の必要性だ。