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             コムスン問題に寄せて 赤旗記者の取材に同行して 

─ 常磐井 茂樹 ─



第1回

 コムスンの問題が露呈し、福祉分野に民間企業が参入することの弊害が浮き彫りとなりました。道内でコムスンが訪問入浴事業を展開しているのは、5市で、札幌市西区、函館市、室蘭市、釧路市、苫小牧市などとなっています。コムスン一事業所の経営は、室蘭市だけとなっています。コムスン以外の訪問入浴事業を行なっている事業所数は、札幌市西区で1事業者、函館市で7事業者、釧路市で1事業者、苫小牧市で1事業者と全体で15事業所で広い北海道をカバーしていることがわかりました。このうち、コムスンが経営している、5事業所が継続できるのかが大きな問題となっています。
 コムスンは、介護事業所をワタミに譲渡すること、7月までに全事業所2081箇所を1000程度に縮小した上で、譲渡しようとしています。室蘭における訪問入浴事業が継続される保障はありません。採算を重視する民間企業への市場開放が福祉部門ではなじまないことが明らかになってきました。「福祉は人なり」継続的に安定してサービスを継続できるのは公務労働をおいてはありません。

第2回

 コムスンの訪問入浴を利用している方の取材では、あらためて家族介護の大変さが浮き彫りになりました。訪問入浴を利用されている方は、いずれも介護度が4、5と高く、家族の負担が重い、利用料の負担が嵩むなどの声が寄せられています。
 また、日常の介護疲れから悲惨な事件、事故が頻発していることもあって、家族介護を行なっている家庭にたいするケアも重要になってきていることを実感しました。
 訪問入浴サービスの介護報酬単価は、要介護1から5が、全身浴で12,500円、部分浴・清拭が8,750円と看護職員1名、介護職員2名の3名1組で、十分な単価とはいえません。利用者負担は1割となっていますが、訪問入浴に伴う介護サービスも付加されるため、限度額まで利用はほとんどないのが実態です。
 また、家族介護を行なう家庭にたいしての、介護手当を支給されている家庭は皆無に近く、要件の緩和が求められています。社会的介護が名ばかりとなって、家族の負担だけが年々増しています。昨年の改悪介護保険法に賛成した、自民・公明・民主の責任が問われています。

第3回

 連載の二回目で昨年改正された介護保険法の改悪に、自民、公明、民主党が賛成した問題を取り上げました。今週はこの改悪によってどのような問題点が出てきているのかを見てみたみたいと思います。
 二日に介護保険2006年度の介護費(給付費と自己負担の総額)のうち訪問介護の費用が対前年比でマイナス4%と制度創設以来はじめて前年を下回りました。利用件数も前年に比べて27万件余の減少で、マイナス18%でした。
 自民・公明与党と、民主党の賛成で成立し、昨年4月から全面実施された改悪介護保険法によって、軽度者のサービス利用に制限が加えられた結果です。
 介護費をサービス別にみると、訪問通所サービスが対前年比でマイナス1・9%。そのうち特殊寝台や車いすなど福祉用具貸与がマイナス10・4%を記録。法改悪にともなう介護報酬の改定で、要介護1以下の軽度者がこれら福祉用具をレンタルできないようにしたためです。室蘭市の実態は、福祉用具貸与利用件数が平成17年11月と平成18年11月との比較で、561件から404件と28%と近く減少しています。

第4回

 当初、コムスン側は、七月までに譲渡先を決定するとしていましたが、同社が全国のケアセンターに対し、利用者に提供している掃除などの生活援助サービスの一部を介護報酬の高い身体介護サービスに変更するよう指示していたことが20日、同社の内部文書で明らかになりました。不必要なサービスを上乗せし、水増し請求を組織的に行なっていたことが裏付けられました。
 いま、グッドウィル・グループはコムスンなど介護関連会社6社の売却先を厚生労働省に今月末に提出する移行計画にもとづき、利用者全員にたいするアンケートなどを実施。売却先の最終決定は9月にずれ込むことも予想され、利用者の不安が高まることが懸念されています。
 収益を上げやすい有料老人ホームや利用者の多い都市部の訪問介護事業所は、譲渡先が決まることが予想されますが、採算性の低い山間部、離島などの事業所引継ぎは困難が予想されます。だからこそ、公的機関での介護事業を展開することが求められています。
 福祉の構造改革や規制緩和路線によって市場原理万能主義がもたらした最大の弊害といえます。厚生労働省も、マスコミの報道も市場原理に福祉分野を丸投げすることがどんな結果をもたらすかの論評は一切ありません。
 それは、国が進めてきた構造改革路線をまともな批判もなくマスコミも一緒になって推進してきたからにほかなりません。
 昨年の改正介護保険法が今回のコムスン事件の引き金となっています。国の支出を減らすために、介護予防に特化し大幅な介護報酬の引き下げが大きな要因となったものです。

最終回

 今回で、連載は終了となります。先週の号でコムスン事件は、介護をはじめ社会保障を「市場原理」優先で進める「構造改革」の破綻が原因であることを指摘しました。「市場原理」「規制緩和」一辺倒のやり方をあらため、利用者の立場にたった介護保険にすることが求められています。
 日本共産党はこの立場で介護保険の改革を求めていきます。改正介護保険法では、軽度の認定者が急増し介護給付費が上昇したことから、軽度者向けのサービスを従来の介護サービスと別建てにし、支給限度額も低くすることで給付費を抑制することが最大の狙いと言われています。訪問介護利用者の報酬体系が変わり、サービス提供時間や回数が減り、その分自費での負担が増えています。自費でサービス提供を受ける方は「経済的に余裕のある人に限られる」と指摘されています。介護報酬の引下げは、介護事業者の経営を困難にし、従事者の待遇はより劣悪にならざるを得ません。このことが、介護事業者の不正請求の要因ともなっています。利用者に負担増とサービスの抑制をもたらし、介護事業者に経営困難をもたらす結果となっています。真に利用者の立場にたった介護保険制度にすることが求められています。