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アメリカビールの種類 ( Last updated : February 8, 1998 )


BEERとは...

容積比でだいたい2%〜6%のアルコールを含んだ発酵(※1)飲料。原料は、麦芽(大麦がほとんどだが、すべてがそうではない)、ホップ、酵母そして水である。ただし、初期の英国ビールにはホップが使われていなかった。

ビールは、それが上面発酵下面発酵かで分類されることがある。一般的に、上面発酵ビールは、色が濃く、だいたい半透明の銅色からくすんだ茶色であるのに対して、下面発酵ビールは、だいたい琥珀色から薄い黄色だ。上面発酵ビールが普通は室温で飲まれるのは、英国の遺産であり、その一方で、下面発酵ビールは、冷やして飲まれる。


上面発酵ビール

ALE
7世紀のはじめに英国でつくられた上面発酵ビールで、17世紀以降はホップが使われた。だいたい55度F〜70度F(12.8度C〜21.1度C)の温度で発酵させ、これは、LAGERの発酵温度より少しだけ温度が高い。ALEは、LAGERより色が濃く(半透明な銅色)、ホップが多めに使われているが、通常は、PORTERSTOUTよりは色が薄い。英国の伝統的な総てのビールと同じように、ALEは、室温で飲まれる。ALEは、北米より英国やカナダ東部で好まれるが、北米でも1980年代から次第に好まれだしている。
ALTBIER
ALEと非常によく似た上面発酵ビール。違うのは、ALEが英国で作られたのに対して、ALTBIERはドイツで作られたことだ。アルコール禁止令の後、事実上、合衆国で知られていないが、1980年代にオレゴンとカリフォルニアのいくつかの小さなビール醸造業者によって再び作られはじめた。
PORTER
18世紀中頃のロンドンに由来する、伝統的な上面発酵ビール。その名は、PORTERをすぐに気に入ったロンドンの運搬人(PORTER)から来ている。STOUTと似てはいるが、少し甘い。PORTERは、中庸の強さ(アルコール量が5%〜7%)の褐色のビールで、麦芽にしない煎った大麦から作られる。
STOUT
英国の小島や、特に、アイルランドでポピュラーな(Budweiser Lagerが合衆国で有名なことよりも、そこではGuinness Stoutが有名)、褐色、濃厚な、上面発酵ビール。PORTERと似ているが、甘くない。アルコール量は、4%〜7%の範囲である。
WHEAT BEER
大麦麦芽の代わりに、小麦麦芽が使われる上面発酵ビールの一種。もともとはドイツで作られ、合衆国では1980年代からいくつかの小さなビール醸造業者が作り始めた。


下面発酵ビール

BOCK BEER
LAGERより濃い下面発酵ビールで、アルコール濃度が他より高い(通常はおよそ6%)。季節的なビールで、伝統的に春の例祭に飲まれてきた。第二次世界大戦の前、多くのアメリカのビール醸造業者は、毎年春にBOCK BEERを作っていたが、大戦の後の全米的な市場の成長のため、季節的なビールの習慣が次第に消えていった。1980年代、いくつかのビール醸造業者が、BOCK BEERを再び作りはじめた。雄山羊(ドイツ語でBOCK)は、伝統的にBOCK BEERのシンボルとなっている。
LAGER
中央ヨーロッパ(大ざっぱに、ミュンヘン、ウィーン、ピルゼンあたり)で作られた、中庸の強さのうすい下面発酵ビール。LAGERは、北米、特に、人口が90%を越える合衆国において、最もポピュラーなビールである。LAGERは、上面発酵ビールよりずっと低い温度(32度F〜50度F=0度C〜10度Cの範囲だが、ブランドによって異なる)で発酵させ、ずっと低い温度で飲まれる。アルコール含有量についての地方の法律に従うために、合衆国のLAGERの場合は、通常、2.7%〜3.2%の間にしている。
MALT LIQUOR
下面発酵のLAGERよりは、上面発酵のALEに近い、麦芽の味わいのある下面発酵ビール。MALT LIQUORは、LAGERより少しだけアルコール量が高い(5.6%〜6.5%)。
PILSNER (PILSENER)
もともとは、ボヘミアのピルゼンで作られたうすい下面発酵のLAGERビール。PILSNERは、技術的にLAGERの最も薄いビールではあるが、この言葉は、とぎとき、LAGERという言葉と交換して使われることがある。
STEAM BEER
下面発酵酵母を使ってはいるが、本来のLAGERの発酵で要求される温度でなく、60度F〜70度F(15.6度C〜21.1度C)で発酵させたビール。このビールを指し示すために、ゴールドラッシュの頃のサンフランシスコで使われた言葉が、STEAM BEER発酵は小さな樽の中でも続けられ(※2)、樽の栓から二酸化炭素を逃がすことが、「STEAM」という言葉の語源となったと言われる。現在、STEAM BEERは、Anchor Steam Beerを作る、サンフランシスコのThe Anchor Brewing Companyの登録商標となっている。


その他

DRAFT BEER (DRAUGHT BEER)
瓶や缶に詰められるというよりは、むしろ小さな樽から飲まれるという文字通りの意味 (draft = 樽などから容器に出すこと) のビール。すぐに飲まれるために作られたので、DRAFT BEERは、低温殺菌されず(※3)、それゆえ、そのさわやかな味わいを失わないように、冷やして保存される。DRAFT BEERは、一般に瓶などに詰められたビールよりも、フレッシュという点で良いとされるが、熟成するとそうでもない。いくつかのビール醸造業者は、低温殺菌されないドラフトタイプのビールを売っている。そのビールは、冷蔵コンテナに積んで運搬される必要がある。
LIGHT BEER
1970年代の中頃に、合衆国とカナダのほとんど総てのメジャーなビール醸造業者が導入した。LIGHT BEERは、LAGERALEのカロリーを少なくしたビールで、アルコール量もそれらに比べてわずかに少ない。
NEAR BEER
アルコール禁止令の間に合衆国で作られたノンアルコールビールであるが、未だに作られ続けている。
TESGUINO
ヨーロッパと交流する前に、メキシコやアメリカ南西部のインディアン達が作っていたトウモロコシビール。


文中の※印について

※1:発酵
酵母が麦芽に存在する砂糖をアルコールと二酸化炭素に変えること [もどる
  C6H12O6 → 2 C2H5OH + 2 CO2
※2:発酵は小さな樽の中でも続けられ / ※3:低温殺菌されず
通常のビールの醸造工程では、最後に、発酵を停止させるために低温殺菌されるものがある。また、低温殺菌されないものは、フレッシュさを保つために、樽(瓶、缶)詰めされたあとは、冷やして保存される。 [もどる