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参考図書


上方落語のテクスト

桂米朝『米朝落語全集』(全7巻)創元社
今や人間国宝の米朝師匠の残した、いわばクリティカル・エディション。師匠の解説も平易であり奥が深い。CD版『特選!! 米朝落語全集』に収録されていない噺も多数収載されている。

桂米朝『特選!! 米朝落語全集』(全40巻)東芝EMI
こちらはCD版。同じ内容を収録したビデオテープもある。CDについているブックレットには高座の本文が全文掲載されていて、貴重なテクストになっている。

笑福亭松鶴(五・六代目)『上方落語』講談社
五代目松鶴と六代目松鶴の演じた噺を集めた本。あの『上方ばなし』を底本にして、三田純一が監修している。特に古い落語の型や珍しい噺を知るには必須の本と思えるが、残念ながら現在絶版。

桂文我『復活珍品上方落語選集』燃焼社
滅びかけた古い噺の発掘・復活に力を注いでいる文我師匠の落語。まだまだ高座で聴くことのできる機会の少ない噺だけに貴重なテクスト。

豊田善敬編『桂春団治はなしの世界』大阪東方出版
現春團治師匠をメインに、歴代春團治について書いた本。そういう意味ではテクストとして紹介するべきでないのかも知れないが、現在の三代目師匠の「お玉牛」などの噺が活字に起こされ、写真入りで掲載されている。

上方落語協会編『古典落語(十)上方ばなし』角川文庫
残念ながら現在絶版になっているが、上方らしい噺を要領よくまとめている。桂枝雀の「鷺取り」も収録されているが、一時期の「ニワカじゃニワカじゃ」をカットした版が収録されている。



落語についての研究本

桂米朝『上方落語ノート』青蛙房
現在第四集まで出されている。博識をもってなる米朝師匠が上方落語についての考証をまとめたもので、深く落語を知りたい向きには必須の本。

桂米朝『米朝ばなし 上方落語地図』講談社文庫
上方落語に出てくる土地を地図入りで紹介し、簡単な落語の粗筋をつけたもの。最近では聴くことのできないような珍しい噺も知ることができるし、その噺の舞台が具体的にどんな土地だったかも理解できる。

小佐田定雄『噺の肴』弘文社出版
もともとこのサイトを作ろうと考えたのは、この本を読んだ記憶から。落語についての背景知識や蘊蓄、考証を軽い文体のエッセイ風にまとめた本。読みやすく、かつ詳しいという意味で、落語の周辺知識を得るには座右に欠かせない本といえる。

宇井無愁『落語のみなもと』中公新書
これは説話や古典文学、能、仏典などから落語の原話を探ったもの。たとえば「猫の忠信」は『義経記』のところで紹介されている(当然、『義経千本桜』のエピソードとして)。こちらも落語の考証という意味では欠かせない本。



歌舞伎についての本

戸板康二『すばらしいセリフ』ちくま文庫
歌舞伎の名科白を紹介し、その芝居のストーリィ中でどう使われているか解説した本。落語の中で「?」と思う科白があったとき、ちょっと引くにも便利。

水落潔『上方歌舞伎』東京書籍
平成9年の松竹座開場、10年の十五代目片岡仁左衛門襲名と、上方歌舞伎も復活の兆しが見えてきた。とはいえ、まだまだ上方歌舞伎の型による上演は多いとは云えない(平成9年9月の『義経千本桜』の「椎の木」「鮨屋」や平成11年3月の『假名手本忠臣藏』通し上演は上方の型であったが、それが話題になるということ自体が、上方型が珍しいことの証左といえる)。この本では、その上方の歌舞伎、上方の型について江戸歌舞伎と比較しながら論じている。上方落語に出てくる芝居がどんな演出だったか(江戸とは大きく違う)、これでイメージできる。

『忠臣蔵』演劇出版社(『演劇界』平成11年1月号臨時増刊号)
『假名手本忠臣藏』の各段についての豊富な舞台写真とストーリィ紹介や型についての解説、登場人物事典で、芝居を観ていない人でもどんな舞台か解るように構成されている。また、文楽での上演形態や上方での上演の特徴についても詳しく解説されている。一冊あれば、落語の『忠臣藏』ネタを知るに充分。

中村鴈治郎/水落潔編『鴈治郎芸談』向陽書房
中村鴈治郎が演じてきた上方の歌舞伎についての芸談集。役者の芸談という形で、上方歌舞伎がどう演じられてきたかを知ることができ貴重。

『歌舞伎名作事典』演劇出版社
芝居のタイトルと筋、解説が要領よくまとめられている。

『歌舞伎名作鑑賞1 丸本歌舞伎』演劇出版社
上方落語で出てくる歌舞伎の多くは義太夫から発生した、いわゆる「丸本歌舞伎」。この本では丸本歌舞伎についてストーリィ、解説、名科白などをまとめている。


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