・イントロダクション

 南北に細く連なり、四方を海に囲まれた日本では、年間を通じてじつに数多くの海鳥を観察することができます。また、人の近づかない離島や離礁では、オオミズナギドリ、カツオドリ、オーストンウミツバメなどがひっそりと繁殖しています。
 ウミスズメ類(Family Alcidae)は、そんな海鳥の一つで、海鳥の中では小型の部類に入ります。ベーリング海を中心に、北極海とその沿岸域、および中緯度以北の北太平洋、北大西洋に広く分布し、22種に分類されています。
 このうち日本ではウミガラス、ケイマフリ、ウミスズメ、カンムリウミスズメ、ウトウ、エトピリカ、(マダラウミスズメ)の繁殖が知られています。さらに、ハシブトウミガラス、ウミバト、エトロフウミスズメ、シラヒゲウミスズメ、コウミスズメ、ウミオウム、ツノメドリが洋上で観察されています。じつにウミスズメ類の半数以上にあたる14種が、日本の近海に分布しているのです。
 しかし、これらの種の多くは、人が近づくことが困難な離島や離礁で繁殖し、繁殖期後はもっぱら洋上で過ごすため、日本ではこれまでほとんど調査されることがありませんでした。
 そうした状況のもと、ウミスズメ類をとりまく環境は日々悪化しています。スポーツフィッシングの流行により、これまで人が入ることのなかった繁殖地に多くの釣人が上陸したり、ネズミ類の侵入で壊滅的な打撃を受けた繁殖地もあります。魚網による混獲や海洋汚染は、他の海鳥にとっても深刻な問題です。
 そこで、繁殖地や繁殖生態、洋上分布等を明らかにし、個体数のモニタリングを行なって、具体的な保護対策を取っていく必要があります。

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Compiled by Koji Ono kojiono@gol.com
Revised: 18 Oct. 1995
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