油汚染海鳥被害委員会(Oiled Bird Information Committee)の設置について

 新年早々起きたナホトカ号の重油流出事故は、日本ではこれまでに見ない大規模なものであり、環境への多大な影響が懸念されます。
 さて、今回の事故には、海鳥の保護のために、複数の団体、個人が活動されています。個々の場所では機能的な反面、現場での意思統一がはかれなかったり、情報が入り乱れたり、データが散逸してしまう可能性が出たり、と、多くの弊害を生んでいます。
 そのため、関係諸団体、個人の枠をすべて外し、海鳥の保護のためにひとつになるべく、油汚染海鳥被害委員会(OBIC)を設立しました。民間組織ではあるものの、環境庁の方々とも官民を超えて動いています。
 情報の提供や質問など、すべての窓口はOBICの事務局で対応し、関係者に回します。設立主旨をご理解の上、ご協力下さい。「地方は地方、中央は中央」という考えだと、伝わる情報も伝わりません。事務局にはいろいろな情報が入り、どうしても対応が遅れる面もありますが、それをサポートする形でみなさん協力して下さい。また、個々のネットワークをすべてOBICにつなぐことで、より機能的に動けるようになることをご理解下さい。
 海鳥のために”誰が”やったか、ではなく、”何を”やったか、です。こういうときだからこそ一つになるよう、努力して下さい。
 この文書は転載自由です。

A.委員会の目的
 この委員会は、各団体の枠を超えて、油で汚染された鳥を保護し、記録し、適切な対応をとれるようにするために設置が提案されました。
 救護の体制は整っているのにパトロールできる人がいない、油にまみれた鳥を見つけたのに、どうしていいかわからない、被害規模を推定したいのに情報がバラバラで推定できない、などの声が各団体からあがっています。団体毎にさまざまなお考えがあるとは思いますが、そのために一番当惑しているのは海鳥自身です。
 委員会の目的はつぎのとおりです。

1. 情報の収集
全国諸団体への呼びかけ、情報の相互交換

2. 被害の実状記録、規模推定
集まった情報を順次整理し、関係者に提供する

3. 現地での対策
海岸のパトロール体制作り
救護体制の連絡徹底
油の付着した鳥が
a) 生きている場合
1.油の洗浄と収容
2.種類、被害の程度の記録(→鳥の種類の簡易識別マニュアルの作製)
3.野生への復帰
b) 死んでしまった場合
1.付着した油の量、部位の記録
2.種類、羽衣の記録
3.死体の保存と処理

4. 海外との連携、他団体、一般の人々への対応

5.資金の調達

これらのことを実行するためには、きちんとした体制(体制図は事務局よりFAX可能です)と情報公開が必要です。
委員会設立のために、まず各団体では担当の委員を決めて下さい。団体毎に一人、というわけではなく、何人出されても構いません。人は多ければ多いほどいいです。また、団体にこだわらず、お手伝いできる方がいればいつでも誰でも委員会に入れます。委員の方はOBICの連絡先となります。
 委員はそれぞれ役割分担をし、団体の枠を超えて作業を行います。救護のことならば、野生生物救護獣医師会、地元の情報は日本野鳥の会の各支部や日本ウミスズメ類研究会、などと、各団体毎に得意・不得意な分野があることと思います。その溝を埋めることが肝要です。(鳥関係の関係各機関などにも参加を呼びかけており、ほとんどの団体がカバーされることと思います。)

分担する役割について、思いつく限り記します。
・現地の救護
・現地調査(海岸のパトロール)
・油で汚染された鳥の運搬や救護補助のための人員配置
・被害規模の推定と各地の記録
・一般問い合わせ
・海外との諸連絡
・マスコミ
・会計(全体の支出と、募金集め・管理)
・E-Mail等の諸連絡

各委員のなかから委員長と副委員長を選び、全体の掌握と各担当者への指示は委員長が行うようにします。

OBICへの問い合わせ先:
 油汚染海鳥被害委員会(OBIC)事務局
 日本野鳥の会 担当・上原 健、古南幸弘(保護・調査センター室長)
  Tel: 03-3463-8997 Fax: 03-3463-8844
  E-Mail: KYN05770@niftyserve.or.jp, XLG05570@niftyserve.or.jp
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補記
OBIC事務局は日本野鳥の会で引き受けて下さいましたが、OBICでは、日本野鳥の会も一構成メンバーであって、代表意志決定機関ではありません。団体ごと、あるいは個人のこだわりを超えて、ご協力下さい。
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Compiled by Koji Ono kojiono@gol.com
Revised: 15 Jan. 1997
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