カンムリウミスズメ物語について
小野宏治
(北海道海鳥センター研究員)
私は1993年から1996年まで、門川町沖にある枇榔島にてカンムリウミスズメの生態調査を続けてきました。
カンムリウミスズメは日本の天然記念物に指定されています。研究をはじめた当時は「少ないだろう」ということはわかっていても、どのくらい少ないのか、また、どんな暮らし方をしているのか、ほとんどわかっていませんでした。というのも、この鳥は無人島の崖などに巣をかまえるため、長期的な観察をするには島に長い間泊まり込むしかないからです。
枇榔島では、門川町のみなさんの暖かいご協力を得ながら、繁殖期である2月下旬から5月下旬、4年間(1993-1996)にわたってカンムリウミスズメとともに暮らすことができました。そして、枇榔島周辺には最多期で3000羽以上が集結し、ここが世界最大の繁殖地であること、抱卵は雌雄等しく受け持つこと、交代期間が1〜2日で近縁種に比べて短いことや年によって変わること、カラス類による捕食が枇榔島ではかなり深刻であることなど、多くのことがわかってきました。
同時に、図鑑に協力したり、エッセイや報告書などに文章を書きながら、門川町枇榔島のカンムリウミスズメのことを国内外に紹介しています。多くの人に知ってもらうことは、カンムリウミスズメの保護にとって、とても大きな力になります。
この絵本は、門川小学校のみなさんとの環境教育学習のやりとりのなかでできあがったものです。子供たちの絵がとてもすてきで、私にとって生涯の宝物となりました。
1999年11月
追記
門川小学校のみなさんと作った、世界でたった一冊だけしかない絵本の原稿をほぼそのままの形でホームページにしました。(もとの絵本から、追加の説明文や写真を除いたものです。)
1999年12月
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