いざソウル

大韓航空機・12時50分発


●「海外に行くとき空港には、2時間前に到着しているように。」という
  言葉は、海外旅行のマニュアル本に必ず載っている。
  その言葉通り、10時30分に関西空港に到着した。
  関西空港が完成し、数年が経っているが、東京に住んでいるので、
  もちろん今回が初めてだ。
  今回は、3人で行くのだが、私は東京、一人は大阪、もう一人は、山口
  に住んでいる関係もあり、関空で行くことにしたのだ。
  また、「広くて、新しい」という評判の空港なので、2時間あれば、
  十分見学も出来る、と感じていた。

  航空券を搭乗券に引き換え、空港内を散歩。空港は、海上にあり、
  景色もいいし、きれいだし、結構広いから人も少なく感じるし、
  成田空港に比べれば快適ではあると感じた。
  
  出発は12時50分なので関空で昼食を取ろうかとも考えたが、飛行機の
  中で出るとのことなので、がまんをし、明日・明後日の予定を
  考えることにした。
  板門店にも足を伸ばそうと考えたが、板門店へのツアーは、48時間前に
  予約をしないといけないらしい。ソウルに到着したら、すぐ申し込もう、
  などと話をしていると、時間が過ぎ、搭乗時間になった。

  12時40分に席に着席してから、20分。救命道具のビデオ説明など、いつも
  どうり準備はすべて終了。12時50分発のはずだから、もう機体も滑走準備に
  入ってもいいはずなのに、動かない。どうしたのかな?と不安になっていると、
  アナウンスが入り、30分後の出発とのアナウンス。先行きに不安が過ぎる。
  腹が減っておるというのに・・・。

  そして13時45分。出発延期のアナウンスから45分経ってから、何やら韓国語での
  アナウンス。韓国語がわかる人が、ざわざわし始める。次に英語のアナウンスだが、
  なんとなく出発が延期になったことがわかる。
  そして、日本語のアナウンス。第2エンジンに トラブルが発生したので出発は
  「17時」 に変更とのこと。ふざけんなよ、と思ったが、すでに周りの人が
  「何だよそれー」とかいろいろ不平不満を言っているので黙っていることにしよう。

  飛行機を降りてロビーで待機するようにとのこと。いずれにせよ。誘導も下手だし、
  こんなに待たせて、すみませんの一言も大韓航空の人は言わないので、対応は
  よくないと思う。カウンターに突っかかっている人もいる。関西人の怒りかたは
  やはり、迫力があると感心する。ソウルでトランジットがある人は焦りまくっている。
  かわいそうだ。

  とにかく腹が減った。機内で食事が出るということだったから食っていないのだ。
  飯食おうか、などと話していると、搭乗OKのアナウンスが入る。おいおい。
  17時って言ってなかったか?などといいながらまたも搭乗。時間は14時30分。
  ところが・・・。またも飛ばない。30分ほどたち、15時になって、昼食が出る。  
  飯はいいから、早く飛んでくれよ、という気持ちと、腹が減っているので、
  うれしい。という気持ちが入り交じって複雑だ。
  で、飯だが、うまい。腹が減っているだけあってうまい。機内食でこんなに
  満足するのは初めて。たぶん、腹が減っていなかったら、こんなにうまいとは
  思わないだろうが。飯を食ったところで、やっぱり、エンジンがおかしいので
  部品を交換するので降りて待つようにとのアナウンスが入る。
  
  降りて待つが、暇だ。何もすることがない。いろんな飛行機が飛び立っていくのを
  ただ、恨めしそうに眺めるしかない。

  そして16時30分。部品の交換が終わり、完全に直りました、とのアナウンスを
  受けて乗り込む。これで飛ばなかったら本当に洒落にならん。さすがに、大韓航空
  の社員もお待たせして申し訳ございません、と言ってくれる。着席すると、
  機内の人数が減っている。韓国行くのをあきらめた人もいるようだ。
  確かに、子ども連れの人は大変そうだったもんな。いいかげん、飛行機に乗る時の
  感激も失せている。ところが・・・。

  飛ばない。18時過ぎても飛ばない。18時15分になり、アナウンス。この飛行機は
  だめなので、機体を変えて20時30分に飛ぶとのこと。乗客総立ちで怒号、罵声の
  あらし。うーん、すごい。しかし、今回は、乗客の気持ちが本当に良く分かる。
  機を降りると、カウンターのところでは、20人くらいの乗客が、社員に対して
  詰め寄っている。
  パンと、コーヒーが出される。みんな疲れてしまっている。10時間も関西空港に
  いることになる。

  20時45分。ようやく、別の機体に乗り込んで、出発。くたくた。
  
  23時ソウル着。誰もがつかれきった顔をしている。税関を通り、両替をして、
  現地係員と待ち合わせの場所に行く。現地係員の人も「心配顔」で出迎えてくれた。
  小型のバスで移動し、23時45分、ホテル着。
  本当に意味のない疲れを感じる。  
  半日つぶれたのだから、その分の慰謝料が欲しいくらいだ。
  


  関西空港からみた景色。 橋は、紀伊半島と関西空港を
結ぶ橋である。きれいだ。
 

98年3月 小松 一郎


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