不妊症の検査と、おもな治療法(一般不妊治療/高度生殖医療)を紹介しています。少し難しい専門用語も出てきますが、診療を考えていらっしゃる方には一読をお勧めします。

不妊症の検査

【検査】一般不妊治療(人工授精まで)

不妊検査を受ける上で知っておいていただきたいことは、「不妊原因の頻度が、男性側・女性側それぞれ半々である」と言うことよりも、「男女両方の検査をしなければ、不妊原因は分からない」と言うことです。

 

・ホルモン
 (下垂体ホルモン、卵巣ホルモンなど)
・卵管疎通性
・フーナーテスト
・排卵の時期
  超音波
  頚管粘液の検査
  尿中ホルモン検査

・精液検査
・子宮内膜の検査
・抗精子抗体
・その他
※腹腔鏡等が必要と思われる検査は、提携病院をご紹介いたします。
※ブライダルチェックとして、結婚前にも検査することができます
 (ただし、保険は適応されません)。

【女性側の検査】

1. 基礎体温の測定
まず婦人体温計で基礎体温を測っていただきます。これにより、排卵があるか?黄体機能不全の可能性があるか?おおよそ推測できます。基礎体温で排卵日はなかなか予測できませんが、低温相最終日から基礎体温上昇期の3日間に排卵することが多いと言われています。また、基礎体温高温相が10日以下だと黄体機能不全が多いのです。


2. ホルモンの基礎値の測定
月経の始めに、採血してホルモンの基礎値を測定します。排卵障害があれば、これでおおよその障害部位がわかります。

3. 卵管の疎通性検査
月経終了後(月経開始から9〜11日目頃)に、卵管の疎通性検査を行います。超音波を使った通水検査をして、卵管の通りを検査します。この結果が不良な場合、子宮卵管造影を行います。

4. 超音波検査とフーナーテスト
排卵が近づくと、超音波検査をして卵胞が成熟しているかを診ます。排卵が近づく頃には、卵胞の直径は約20mm位になり、この時期には子宮内膜が厚くなります(通常10mm以上) 。
 また、同時に頚管粘液や尿中のLH(ホルモン)を調べます。卵胞が発育し、排卵直前になると、卵胞ホルモンの影響で頚管粘液が増え、精子を子宮に受け入れる準備をします。そのため、頚管粘液の検査を行います。また、下垂体から出るLHがピークになると、17〜24時間以内に排卵すると言われているので、LHが増えているかどうかを尿検査で調べます。
 排卵が近くなると、夫婦間適合性検査(フーナーテスト)を行います。フーナーテストを2回行い、2回とも運動精子が見つからない場合、抗精子抗体を調べる必要があります。


5. 黄体ホルモン検査
排卵後1週間目、基礎体温が高温相になったころに、超音波検査で排卵しているかどうかを検査し、妊娠維持に必要な黄体ホルモンが出ているか(正常値は10ng/ml以上)を採血して調べます。

*当クリニックの場合、来院される患者さんの約7割は他の医院からの紹介なので、一通りの検査や治療は終了している方がほとんどです。そのため、場合によっては、すぐに体外受精や顕微授精を行うことも少なくありません。


【男性の検査】
男性の検査は、主に精液検査です。当クリニックでは、採精室(精液を採取するためのビデオルーム)を用意しております(採精より2時間以内であればご自宅で精液を採取されて持参いただくことも可能です。ただし、3時間以上経過すると精子運動率は低下していきます)。
 4〜5日の禁欲後に検査を行い、異常があれば、さらに詳しい検査をして治療を行います。約15%の方は不妊の原因が見つからない(機能性不妊)のですが、当然このような方にも不妊治療は行います。


【戻る】