一徳編 Part.2
- 6-004 名前:一徳編:後 1/36 :04/06/19 20:31 ID:685b1zZd
- 思えば、生まれた時から私の男運は悪かったんだろう。
親父はアレだし、初恋もアレだし、今だって。
くー、と水の如く酒を飲みながら、私は馬刺しを食べる。うん、美味しい。あ
あ美味い。太るな、これは太るな。そう思いながら、料理を追加する。いつもな
らそんな食えないけど、今なら食える。きっと食える。
「…うま」
馬を食いながらうま、とはこれいかに。思い切り口の中に詰め込んだ食物を、
酒で流し込んだ。
嫌な事があった。
好きな男に浮気されて、年下の母親が出来て、素っ裸見た男と再会した。
帰ろうかと思ったけど、ムシャクシャしたから、なんか食べようと思って居酒
屋に入った。でもって今に至る。
「お待たせしました、オムライスです」
ことん、と美味しそうなオムライスが置かれる。問答無用でスプーンを取った。
がつがつ食べていると、不意に大輔と付き合い始めた頃の事を思い出した。そ
ういえば、大輔ケチャップ嫌いだったな。
チキンライスを凝視して、浮かぶのは大輔の事ばっか。
…好きだよ。凄く好きだ。大輔の事、好きだ。だから、余計に腹が立って来る。
黙っときゃ良かったのに。私に殴られるって、罵倒されるってわかってた筈なの
に、馬鹿正直に言いやがって。それでその後どうなるかってのも、薄々どころか
厚々わかってたろうに。それで、実際そうなったのに。
あぐ、とちょっと大きすぎるくらい取ったオムライスを無理に口に運ぶ。熱い
し、多いし、喉に詰まる。それをまた、酒で流し込んだ。
- 6-005 名前:一徳編:後 2/36 :04/06/19 20:31 ID:685b1zZd
- 「…あの、もしかして」
不意に、声を掛けられる。振り向くと、男が1人。なんだ?相席か?でも席は
空いてるし、なんか、見た事あるような顔…して…
「―――っ」
酔いが、一気に覚めた。
「覚えてる?忘れちゃった…かな?俺。由貴。染井由た…」
「失せろ!」
私は思い切り睨んで、一言そう言った。そして、再びオムライスに向かう。
「…手厳しいね」
人の話、聞いてないのだろうか。そいつは私の正面に座ると、なんか辛そうな
顔をして私を見た。
…本当に、厄日だ。好きな男に浮気されて、年下の母親が出来て、素っ裸見た
男と再会して、初めて好きになって騙された男にも再会した。
染井由貴。
親戚で、桜花ちゃんを落とす為に私に近付いて来た奴。正直、気分悪いわ。
初めて、自分よりも桜花ちゃんを選んでくれて、本気で好きになって、自業自
得だけど、自分の身体までやって。それなのに。
「手厳しくもなりますね。これ以上酷い扱い受けたくなかったらとっとと帰って
下さい。私、機嫌が凄く悪いんです」
「…わかってる。叔父さんの再婚でぐげっ!?」
わかっているなら言うな。帰れつってんだから。思い切り弁慶を蹴ってやる。
本当は、こんなもんじゃ済まないんだけどね。
「いらっしゃいませ、ご注文は」
「あ、この人すぐ帰りますから」
「っ…なっ…生中と…枝豆…後、ほら、何頼んでもいいから…」
- 6-006 名前:一徳編:後 3/36 :04/06/19 20:32 ID:685b1zZd
- 「じゃあ、この店で値段が高いものベスト3を3品ずつ」
言った瞬間、由貴の顔が引き攣る。店員は終始笑顔で。
「はい。それではアワビの酒蒸し、松坂牛の炭火焼、世界3大珍味+日本3大珍
味の素敵丼を3つずつと、生中、枝豆ですね」
爽やか~に言い放ってくれた。由貴は泣きそうだったが、異論は無さそうだっ
た。ちょっと、スッとした。
「おーいしーい!!」
「…うん、美味しいね」
物凄くがっくり来ている由貴を無視して、私は料理を食べる。お酒もどんどん
進む。ごはん奢ってくれた礼として、空気としてここに存在しないという認識で
相席している。
「ねえ、さくらちゃん」
「うわー、ナニコレ、すっごい美味しい」
素敵丼は、絶妙なまでの味のハーモニーだった。美味しい。美味しいにも程が
ある。自分家で作ろうと思っても食材に手が出ないから、正にここでしか味わえ
ない。
「…さくらちゃん」
「うめー!松坂牛、半端なくうめぇー!!底知れねぇー!!」
由貴は、尚も私を呼ぶ。悪いけど、返事は絶対しない。絶対、呼び掛けには答
えない。絶対に。
「さくらちゃんってば…」
「あ、すいません。芋焼酎お願いします」
「かしこまりました」
笑顔で対応してくれる店員。既に何杯目かわからない。
それでも、由貴はしぶとく私を呼び続けていた。
- 6-007 名前:一徳編:後 4/36 :04/06/19 20:33 ID:685b1zZd
- 「おなか一杯…」
はぁ、と頼んだ物を全部2皿と半分ずつくらい残して、私はカルピスサワーを
飲む。おなか、はちきれそうです。
「…そりゃそうだろうね」
「あー、死にそう」
その残りを、死にそうな顔で食べている由貴。
「あれ?おかしいなぁ、誰もいないのに勝手にお皿の料理が減ってる」
「…勘弁してよ…ねぇ、話だけでも聞いてくれないかなぁ」
由貴は、本気で頼み込んで来る。けど、私は絶対に視線を合わせない。陰険だ
って、酷い人間だって、そう思われても構わない。そうなった理由の何割かは、
確実にこいつにあるから。
観念したのか、由貴は溜息をついて、下を向いた。そして、聞いているかどう
かの確認もせずに、勝手に喋って来た。
「…あのさ、俺、振られたんだ」
その声は、今にも泣きそうだった。ふーん、ともへぇー、とも言ってやらない。
その対応でももういいと判断したのか、由貴はそれでも喋る。
「俺、会社で好きな人がいたんだ。それで、付き合ってて、で、今日喧嘩して…
そしたら、本当は俺の事、好きじゃなかったんだって。友達がいて、そいつの事
が好きだったんだって。でも、友達は別に好きな人がいるから、仕方無いから俺
と付き合ってやってたって…」
心の中で、へぇー、と思う。どこかで聞いたような話。どこかで見たような表
情。由貴は、明らかに傷付いていた。
- 6-008 名前:一徳編:後 5/36 :04/06/19 20:33 ID:685b1zZd
- 「…そう言われて、ああ、これは自業自得だって思った。俺はあいつを責める事
なんか出来ない。そんな資格は無いって思った。君にした事、殆どそのままの事
が、自分に跳ね返って来たからね」
自然消滅ってか、無視し出して、そのまま終わったから、あっちにしたらばれ
たかー、ちっ、くらいにしか思ってないだろうなと思ってたけどな。
「それで、よく考えたら、君にろくにあやまりもしなかった事に気付いて、気が
付いたらさくらちゃんの家に行ってた。そしたら、いないんだもんなぁ…」
苦笑いする。まぁ、実家は出てるけどね。その事…ついでに桜花ちゃんと同居
してる事も知らないか。どうでもいいけど。
「…本当に、ごめん。悪いって思ってる」
私は、応えない。視線を合わせずに、ただ酒を飲む。
謝ったからってどうなるってんだ。要は自分がスッキリしたいだけだろ?そう
やって謝って、こっちが同情してやりゃ、気分良くなって、それでもって明日か
らは私の事なんか忘れるんだ。
…私は、7年経った今でも―――
「さく、え、え!?さくらちゃん!?」
視界がぼやける。気持ち悪い。物凄く、眠い。
「ちょっ、え!?えええっ!?さくらちゃん、どんだけ飲んだの!?」
「えーと、お客様はカルアミルク2杯、カルピスサワー3杯、芋焼酎2杯、当店
特製マムシ酒1杯、シラネケン5杯です」
「飲み過ぎだ――――――!!」
…絶叫する由貴とは対極に、終始笑顔の店員は、どこまでも爽やかなまでに冷
静だった。
- 6-009 名前:一徳編:後 6/36 :04/06/19 20:34 ID:685b1zZd
- その頃、俺はたった一人の人を守れるだけの力が、欲しかった。
「……」
「……」
「……」
何も、言えなかった。
転校してから暫く経ったけど、友達が出来ない。そりゃ当然だろう、全然喋ら
ないのだから。喋れない訳でもない。ただ、何故か言葉が出ないだけだ。楽しく
話そうという気が無いから、何を言ったらいいのやら。
だから、こんな時もそうだった。
何か言わないと、この人、確か…あの人の弟さんだった。えっと、えっと、名
前は…あれ、えっと、岸部さん家の次男だから…
「シローさん?」
「…お前、この状況で言いたい事はそれだけか?」
3人くらいの…多分シローさんの同級生に囲まれて泥だらけになってるシロー
さんは、至って冷静に突っ込んでくれた。
「別に、それだけって訳でも無いですけど…えいっ」
「っわぁああっっ!?」
俺は、掌大の石を思い切り、囲んでいる人に投げ付ける。すんでの所で、避け
た。俺は、もう少し大きめの…あ、いいいものあった。
「どわああああああああああああっっ!?」
「ちょっ…こいつヤバイぞ!?」
すぐ側にあったものを手に取り、振り向いたら、囲んでいる人達は逃げていた。
- 6-010 名前:一徳編:後 7/36 :04/06/19 20:34 ID:685b1zZd
- 「…大丈夫ですか?」
「お前、本気でヤバイな」
若干蒼褪めながら、シローさんは言った。
「とにかく、その物騒なもん…放せ」
俺の持つ錆びた鉄パイプを凝視しながら、溜息をついた。
「…大丈夫ですか?」
ごとん、と鉄パイプを放り捨てて、座り込んでいるシローさんに手を差し伸べ
る。が、ぺちん、と手で弾かれる。
「なんだよ、同情でもしてんのか?言っとくけどな、誰にも言うなよ。特に、家
の馬鹿には…っお!?」
寸前で、掌で受け止められる。馬鹿、と言うのが誰を指しているのかすぐわか
ったから。
…不愉快だった。初めて会った時から、自分の兄を見下しているこの人が。自
分だって弱いくせに、あんな必死な人を蔑むこの人に、正直腹が立った。
「なっ…なんだお前!?もしかしてただ暴れたいだけなのか!?」
「……」
俺は、その人を放って帰る事にした。怪我をしていたみたいだけど、知らない。
こんな人、死ねばいいんだ。あいつみたいに。
「…言われなくても、誰にも言いません。話題に出したくもありません。そうで
すね、もし言ったら全財産あげるって約束してもいいですよ」
腹立ちついでにちょっとしたイヤミを。まんまと乗ったのか、シローさんは。
「っんだと!?お前…いくらだよ全財産!!」
「600円です」
ちょっとの、沈黙。ていうか、気になるのそっちなんだ。そして、絶叫。
「スケールのちっさい話だなぁああああぁあああああっっ!!」
- 6-011 名前:一徳編:後 8/36 :04/06/19 20:35 ID:685b1zZd
- 守りたい人がいた。
けれど、俺には力が無い。何も出来ない。ただ、守られるしかない。
…そして、守りたい人を守ってくれる人間が、現れてしまった。その人は、大
人だった。俺よりも、守りたい人よりも大きくて、ちょっと…なんていうか、ア
レだけど、絶対に、大切にしてくれる人。
劣等感に苛まれた。
そりゃ、俺はまだ子供だから。歳だって、やっと二桁になった程度だから。
けれど、俺は、俺があの人を―――お母さんを守りたかった。それなのに。
その人は、俺の事も守ろうとしてくれてる。大切に、優しくしてくれる。俺は、
そんな人に対して、悔しくて、無視する事しか出来ない。自分が情けなくて、ち
っちゃくて、大嫌いだ。
その人みたいになりたいのに。大切な人を守りたいのに。思う理想とは、どん
どん掛け離れて行くだけの自分が、そこにいた。
「…ねぇ、大ちゃん!」
「?」
お母さんは、帰って来るなり血相を変えて俺の所に来た。
「ねぇ、今聞いたんだけど、彰ちゃんの弟の孝一くんがまだ帰って来てないんだ
って!大ちゃん知らない!?」
…孝一?
俺は考える。誰だろうか、孝一って。
頭を捻る俺を見て、お母さんは苦笑する。
「そのレベルの認知度なのね…いいわ。お母さん、探すの手伝って来るから、お
留守番お願いね」
- 6-012 名前:一徳編:後 9/36 :04/06/19 20:35 ID:685b1zZd
- そう言って、お母さんは行ってしまった。
俺は中断していたゲームを始める。ちら、と時計を見ると…7時近い。外も暗
い。近所の人が、行方不明なのか。そういえば、彰ちゃんって…
俺は、なんか引っ掛かる。彰ちゃんって、言ってた。誰だっけ、彰ちゃん…彰
ちゃん…あ。
『始めまして、大輔くん。俺の名前は岸部彰一っていうんだ』
でもって、その彰ちゃんの弟…シローさん。孝一っていうのか。で、まだ帰っ
て来ない。そういえば、さっき座ったままだった。
「…もしかして、立てなかった…?」
俺は、慌ててセーブしてリセットボタンを押しながら電源を消す。そしてその
まま走った。
いた。
暗い中で、その人は…泣いてた。
俺より年上の(と言ってもひとつだけど)6年生の男子が、暗い中で、さっき
と同じ格好で、ランドセルを抱き締めて、泣いていた。
「…みんな、探してましたよ」
「っのぇ!?」
シローさんは、驚いてこっちを見る。
「いっ…言ったのか!?」
「いいえ、言っていません。ていうか、孝一君を探してるって言われて、後から
考えたら、ああ、孝一君ってシローさんかって思い出して、来ました」
- 6-013 名前:一徳編:後 10/36 :04/06/19 20:36 ID:685b1zZd
- …なんだろう、やっぱ悲しいのかな。それとも、俺が来た事への安堵感かな?
シローさんは物凄く顔が引き攣っていた。
「歩けないんですよね。おぶって行きますよ。あ、ランドセルは背負って下さい
ね」
そう言うと、俺は背中を差し出す。が。
「どうしたんですか?この体勢意外と辛いんですよ」
「…お前、馬鹿にしてんのか」
「してませんよ、さ、早く」
本当に馬鹿になんてしてないから、即答する。シローさんもこのままでいるの
は良くないと思ったのか、割合素直におんぶ状態になってくれる。
俺は背の小さい方で、シローさんは大きい方+ランドセルだからちょっときつ
いけど…まぁ、頑張ろう。
「やっぱ、馬鹿にしてるだろ」
「…くどいですね。俺はしてないって言ってるじゃないですか」
「だって、俺、さっき…」
ああ、泣いていた事だろうか。
「だって、酷い事されてたじゃないですか。動けなくなっていたじゃないですか。
シローさんスカした人ですから、クラスに友達も味方もいないの丸わかりですし。
そんな状況だったら誰だって泣きますよ」
「…うわぁああーん…」
何故か、素直に泣いてくれた。
でも、素直になる事っていい事だと思う。俺も、そうなりたい。あれだけスカ
していたのに、シローさんって凄いと思う。
―――決めた。
- 6-014 名前:一徳編:後 11/36 :04/06/19 20:37 ID:685b1zZd
- 「シローさん」
「っ…だ…だんだよ…」
鼻声で、返事をする。
「俺、シローさんを守ったげます。俺はスカしたシローさんは死ね!って思いま
すけど、今のシローさんは好きですから」
―――誰でもいいから。
自分より弱い人を、守って見せたかった。
それは、一種の…ていうか、そのままか。単なる自己満足だった。
守りたい。ヒーローになりたい。泣いている人を守ってあげたい。その為なら、
俺は―――
「…で、なんでこんな事をしたんだ」
「言えません」
同じ遣り取りを、もう何度しただろう。
夕日が差し込む職員室。呼び出されたのは、もう何時間も前。その間、何度同
じ事を言われ、言って来ただろうか。
シローさんを守ると決めてから数日。一向に改善しない、クラスの人達のシロ
ーさんへの仕打ち。俺は、手始めにボスらしき人のランドセルに、紙袋を忍ばせ
た。ゴキブリで一杯の、紙袋を。
当然、疑いはシローさんにかかってしまった。糾弾されるシローさん。俺は、
責任を取って、自分が犯人である事を告げた。
- 6-015 名前:一徳編:後 12/36 :04/06/19 20:37 ID:685b1zZd
- …でもって、これだ。
ていうか、シローさんが虐められてて何もして来なかったのに、この先生はな
んで俺を責めるんだろう。なんで、一方的に俺だけが?とはいうものの、俺は何
故こんな事をしたか、の理由を言っていない。だって、シローさんとの約束だか
ら。
「なぁ、水沢。先生は怒っているんじゃないんだ。ただ、なんであんな事をした
のか言ってくれないと…」
「ですから、言えません」
かち、と時計の長針が動く。5時になった。
「っ…すいません、あの、水っ沢大輔の、ほっごほ、保護者代理の者ですが」
「え?」
思い切り咽ながら、何故か、あの人が入って来た。俺は予想外の人物の出現で
思考が一時停止した。ていうか、俺の保護者って事は…
「っ、アンタ、俺のお母さんと結婚したの!?」
「えっ…え、えええ!?いや、まだ、え!?ていうか嫌なの!?」
「ていうかお前、まだ諦めてなかったのか!?」
三者三様の叫び。
「うっ…うるさいなぁ先輩!いいじゃん!!俺の将来の夢、意外と実現しそうで
しょ!?」
「将来の夢が『とも子さんの旦那になる』だったな!!好きなら名前を全て漢字
で書いてやれよ!!すげぇ婆さんのイメージになるぞ!!」
…なんだろう、この戦い。俺はもんの凄―――くレベルの低い罵りあいを暫し
凝視していた。視線に気付いたのか、先生は気を取り直して咳をひとつ。
- 6-016 名前:一徳編:後 13/36 :04/06/19 20:38 ID:685b1zZd
- 「まぁ、実現するかしないかはともかく、お前…まぁ、捕まらなかったのか…忙
しいらしいからな。未来の父親って事で…まぁ、腕の見せ所だぞ」
「…先輩、わざと嫌な言い方してない?」
「うるせぇよ、こまっしゃくれたクソガキ共の相手に疲れたんだよ。言っとくけ
ど、俺は明後日からずっとやりたかった母方の実家の養豚業やるからな。知るか
知るか。教師なんかクソだクソ。豚に塗れる素晴らしい毎日に戻るんだ」
言いながら、先生は机に突っ伏してしまった。
…辛い事、一杯あったんだなぁ。
俯いたままぶつぶつ愚痴ってる先生は置いといて、彰一さんは俺をじっとみつ
める。初めて会った時から変わらない、物凄く真剣な眼。大人の男の人の眼。
「…聞いたよ、大体の事は、孝一から」
俺と目線を合わせて、そう言った。
「言ったんですか、シローさん」
「シ…あ、あー。シローさんね。じゃあ俺は一徳さんになるのかな?」
「そうですね。で、言っちゃったんですか」
ギャグを思い切り流した事にちょっと不満だったのか、苦笑する一徳さん。が、
そこは大人の男の人。すぐに持ち直して立ち上がる。
「ここじゃなんだから、どっか行こうか。先輩、この子連れて帰りますよ」
「おー、帰れ帰れ。とっとと連れて帰れ」
ぱたぱた手を振る先生。一徳さんは俺の手を引いて、職員室を出た。
「…気ぃ悪くしないでね。あの人も色々あるんだ」
「はい…人生って色々ありますよね」
子供の癖に、つい知ったような事を言ってしまった俺に、一徳さんは笑ってく
れた。
- 6-017 名前:一徳編:後 14/36 :04/06/19 20:38 ID:685b1zZd
- 「大人っぽいね、大輔くんは。羨ましいよ」
…それは、無理してるからそう見えるだけで、俺に取っては、一徳さんの方が
羨ましい。早く、大人になりたいのに。
何も言えない。
てういか、知ってるんだから、別にもういいと思うんだけど。俺は謝る気は一
切無い。自分のやった事は悪い事かもしれないけど、それでも。
「はい」
近くのお店で、一徳さんはおしるこドリンクと粒入りコーンポタージュを買う。
そのチョイスになんだか泣きそうになりながら、俺はおしるこドリンクをいただ
いた。
…甘い。頗る甘い。
それを飲みながら、一徳さんはじーっと俺をみつめて来た。
言われる。
きっと、何か言われる。俺は、色々な事を覚悟しながら視線を返す。
「…どういう気持ちで、君はああいう事したの?」
あれ?
なんか、今までとは若干意味合いの違う質問が来る。似てるようで、なんか違
う。俺はなんだかしっくり来ない気持ちで一徳さんを見る。
「それって、どういう…」
あくまで、普通に。一徳さんは、同じ大人に問うような表情で、言った。
「そのままだよ。君はそれをやった時、どういう気分だった?」
怒ってる訳でも、悲しんでる訳でもない。本当に、質問していた。逆に、なん
かすっと答えられた。
「正直、気分が晴れました」
それを聞いて、一徳さんは少し苦い表情になる。
- 6-018 名前:一徳編:後 15/36 :04/06/19 20:39 ID:685b1zZd
- 「じゃあ、君はそれを続ける気?」
「誰かが、シローさんを傷付ける限りは」
守るって決めたから。
「…他に、解決方法は無いの?」
「だって、あの人達はシローさんに酷い事をするから」
守りたい人が傷付けられたら、それはやっぱり。
堂々と答える俺に、一徳さんは溜息をついた。
「それじゃあ、同道巡りになっちゃわない?」
「なりません」
きっぱり言い切った。
―――その当時は、俺は自分が一番正しいと信じていたから。
お母さんを、誰かを、誰でもいいから、誰かを守りたかったから。
今は…今だってどうなんだろう。
ただ、泣きそうだったから。絶叫してるのに、凄く悲しそうに見えて、ちっさ
い身体が、もっとちっさく見えて、だから、俺は…
「…ん」
「あ」
ほわよん、と何か凄く柔らかくて軽くて大きいものが掛けられる。その比類な
き柔らかさを持った何かの感触がこれまたなんて言えばいいかわからなくて、起
きてしまった。
「…これ、何ですか」
「知らない」
- 6-019 名前:一徳編:後 16/36 :04/06/19 20:40 ID:685b1zZd
- 苦笑いをして、その物体を俺から取る…
「…俺、貴方の事、どう呼べばいいんですか」
その人は、もこもことその物体(正直、掛布なのか敷布なのかの判別も付かな
い)を畳みながら、俺を見る。
何も喋らない。
馬鹿みたいに、お互いをみつめ合う。その内、耐えれなくなったのか、その人
は眼を逸らし、唇を震わせて、明らかな挙動不審人物と化した。
たっぷりと間を置いて、そして、物凄く小さな声で、その人は。
「…出来れば、お父さんって」
「お父さん」
「あ、嫌なら、パピィでもダディでも…」
「…お父さん」
「あの、あ、やっぱ、いつも通りで…」
…テンパリ過ぎて、お父さんはどうやら俺の声が聞こえていないみたいだ。
「あの、だから、あの…」
「そういえば、二ノ宮先生って元気ですか?」
不意に、夢に出てきた、顔を合わせた時間は少ないけどインパクトは最上級の
先生の事を思い出す。
「え?え、あ、あー…先輩なら、元気だよ。今は二ノ宮さんでなくて松浦さんだ
けど…毎日豚に塗れて…こないだ、豚肉お裾分け来たでしょ、アレ、先輩の…」
どうでもいい事を聞きながら、夢の内容をどんどん思い出してしまう。もしか
して、この人…あ、そういえば訂正なんてしてなかった。
「…お父さん、もしかして、未だに俺がお母さんと結婚するの嫌がってると勘違
いしてるんですか?」
- 6-020 名前:一徳編:後 17/36 :04/06/19 20:41 ID:685b1zZd
- …その瞬間、お父さんの表情が変わる。
この人、本当に馬鹿なんだなぁ、と何度も思った事を、また思う。
あの日、俺の『お父さん』みたいな存在は、前のお父さんから、この人になっ
たのに。
お父さんは、大切な事をわかりやすく教えてくれた。
俺がした事が問題じゃあない事。それを平気で、出来るっていう考えの事。人
を敵か味方でしか判別出来ない事の怖さ。
…俺が、お母さんやシローさんを大切に思うように、シローさんを苛めてた人
だって、他の誰かにしたら、俺にとってのお母さんと同じなんだって事。
もし、お母さんが、俺がした事を他の誰かにされたら。
想像しただけで、凄く嫌だ。物凄く、悲しい。
俺がそう思う事を、俺自身がやらかしてしまった。そしてその事に気付かず、
またやらかそうとしていた。そんな俺を、軌道修正してくれた。
嬉しかった。それなのに、俺はそれを何ひとつこの人に伝えていなかった。
一番言わなきゃいけない事だったのに、何年も。ずっと、この人は、俺のたっ
た一度の『アンタ、俺のお母さんと結婚したの!?』って言葉に脅えてたのかと
思うと…
「あっ…あの、大輔…」
「なんですか、お父さん」
さっきから、気付いているだろうか。そりゃ、気付いてるだろうけど。
お父さんは、どうしたらいいかわからないといった顔のまま近付いてくる。俺
も、別段逃げようとは思わない。きっと、抱き締められるんだろう。そう思った
その瞬間。
―――とても陽気な着メロが、鳴り響いた。
- 6-021 名前:一徳編:後 18/36 :04/06/19 20:42 ID:685b1zZd
- 「出るの!?」
どこかで聞いたようなツッコミ。まぁ、滅多に掛かって来ない人だし、今は味
方にしたい人だし。
俺は、桜花さんからの電話に出ると、畏まって返事をした。
『こんばんは。突然のお電話、すいません』
「いえ、いいんです。て言いますか、桜花さんが俺に電話を掛けるって、さくら
さん関連以外無いでしょうし」
…正直、俺と桜花さんの関係って物凄くドライだ。多分、お互いにちょっと嫉
妬心みたいなものがあるからだとは思うけど。まぁ、今はどうでもいい。
「どうしたんですか?何か…また、行方不明になったとか?」
俺の言葉を聞いて、お父さんがあっ、という顔をする。え?何?なにか知って
るの?聞こうとしたけど、それより早く。
『いえ、もうすぐ家に帰って来ます』
と、あっけない返事。一瞬何か大変な事が起こったかと思った。俺は溜息をつ
いて胸を撫で下ろす。が。
『私、今からちょっと出掛けるんです。それで、さくらちゃんなんですけれど』
「今から出掛けるって…」
そんな、さくらさんじゃあるまいし桜花さんがこんな時間にって…て、まさか。
「ちょっと、桜花さんってばぁ、もう、やっだぁ」
物凄い気の利かせように、俺は思わず笑みが零れる。が、気のせいだろうか、
桜花さんが…ここからでは表情のわからない桜花さんが、なんか、鼻で笑ったよ
うな気がした。
『男の人と、一緒に帰って来るんですよ』
- 6-022 名前:一徳編:後 19/36 :04/06/19 20:42 ID:685b1zZd
- 「はぁ!?」
「えええっっ!?」
突然大声を出した俺に驚いて声を上げたお父さんを睨むと、すいません、と手
を合わせる。そのままそれは放って置いて、桜花さんを問い詰める。
「ちょっ、どっ、どういう、え!?」
『私達の親戚の方が、居酒屋で潰れてしまったさくらちゃんを発見して、お家ま
で送り届けてくれるそうです。最後に見たのは数年前でしたが、かっこいい方で
すよ』
…桜花さんって、こういう人だっけ?
俺はちょっと悪意を感じて、舌打ちする。
「それで、俺にどうしろと言うんですか」
『いいえ、ご自由にしてください。私は、明日まで近所の漫画喫茶にでもいます
から』
なんだろうか。物凄く冷たい声。桜花さんは少し間を置いて。
『…私、自分がここまで嫌な人間だなんて知りませんでした』
そう、吐き捨てるように呟いて、電話を切った。そして、俺も切り。
「あ、あの、大輔、俺…」
「すいません。話は後でお願いします。お父さん…えっと、あ、もういいや、い
いです。結婚でもなんでもOK牧場です。そんな事より俺、行かなきゃいけない
用があるので、行きます」
「そんな事って…え!?ちょっと、ちょっとぉおおお!!いいの!?」
半分困惑、半分嬉しいといった顔。お母さんののんきな『行ってらっしゃい』
の声に送られ、俺は家を出る。
…今日からは大手を振ってお母さんを守って下さい。俺は、俺の大切な人の所
に行って来ます。
行った所で100%死ぬ訳ないのに、そんな事を思った。
- 6-023 名前:一徳編:後 20/36 :04/06/19 20:43 ID:685b1zZd
- 「う…」
なんか、誰かにおんぶされてる。なんだろう、うう、気持ち悪い。飲み過ぎた
し食い過ぎた。
「気が付いた?」
優しく、でもって呆れたように呟く誰か。
誰だろ…大輔、かな。
「ぉう―――…」
「まだ寝てるみたいだね。いいよ、もうすぐ家だから」
…そっか。あ、なるほど。来てくれたんか。あんなに会いたくないって言った
のに、あんなに罵倒したのに、あんなに攻撃したのに。
大輔は、いつだって来るなって言うのに来る。
ホントは、それが嬉しい。いや、人それぞれだろうけど、私は、嬉しい。うざ
ってぇって思うけど、でも、心のどっかで来て欲しいって思う時に限って…大輔
は。いつだって、大輔は…私の事。
じわ、と涙が浮かんで来る。
今日、誕生日だったのに。
ケーキだって、料理だって、プレゼントだって用意してた。
わざとじゃないって、事故みたいなもんだって、やっぱり心のどっかで理解し
てるのに、物凄くイライラして、それで。
でも、それでも、大輔は…
「…ごめん…私、やっぱり、好きなの」
酒が入ってなきゃ、こんな事、言わなかったと思う。
- 6-024 名前:一徳編:後 21/36 :04/06/19 20:43 ID:685b1zZd
- ぴた、と大輔は止まる。息を飲むような音。私は、続ける。お話させていただ
きます。
「誰が悪いかって言えば、そっちだと思う…けど、私だって、何にも話を聞かな
いで、ただそっちを責めてばっかで、でも、それでも…私は」
「…さくらちゃん」
なんか、一瞬違和感を感じる。けど、いいや。どうとでも呼べ。私は大輔から
降りて、背中に抱き付く。なんでこいつスーツ着てるんだろうなんて、一瞬思っ
たけど…まぁいいや。
「好き」
浮気したっていい。たまには羽目外すのもいい。ただ、やるな。合体はよせ。
私はそこまで心が広くないんだ。やったとしても、黙っとけ。私が、抑え切れな
くなるから。
…きっと、大輔はもうそんな事しない。今回の事で一番傷付いているのは、多
分大輔だから。きっと、私よりも―――
「好きなの…今まで、ごめん。本当に」
きゅ、と大輔の身体に回した手を、大輔は握ってくれる。
「…俺だって、本当はずっと後悔してた。いなくなってから君が一番大切だって
事に気付いた。けど、でも、ごめんっ、俺は、俺は…」
ずき、と胸が痛んだ。
―――もう、駄目なの?
そう思った正にその時だった。
「へ?」
「…え?」
ぎゅきぎぎぎぎぎぎぎぎょっ、というような音。でもって、どげん、という音。
私は大輔の背中に顔を埋めていたから、それが何かは、見えなかった。
- 6-025 名前:一徳編:後 22/36 :04/06/19 20:44 ID:685b1zZd
- 「ちょ、え!?だっ、大丈夫ですかぁっ!?」
慌てて大輔は音がした方向に向かう。あー、なるほど、事故か。自転車でスピ
ード出し過ぎて、で、人がいて、慌ててブレーキ掛けて、避けて、衝突と。大輔
がよくやりそうな事故…
「…大輔?」
「さくらさん、おっはー…」
「…古い」
あれ?
私は頭が混乱する。あれ?今そこで事故っておっはーやってるのが大輔で、私
が今までこっぱずかしい事口走って抱き付いてたのは…
「さくらちゃん、あの、この人知り合…」
「ええええええええええええええええええええええ…」
私は、絶望感丸出しの顔で言う。
つまり、私は…酔っ払って由貴を大輔と間違えて恥ずかしい事ぶっぱなしてい
たのか…うわあああああああああああああああ。
大輔は地べたにねっ転がった状態のまま大分冷静に。
「あ、俺は浮気して三行半突き付けられたけど未練たっぷりの元恋人です」
「…そ、そうですか」
そう言いながら、由貴は真っ赤になって私と大輔を見る。あーあ、あーあ、誤
解してる。私はがしがし頭を掻く。ていうか、これって千載一遇のチャンスじゃ
ね?今なら、色んな事が一気に解決するような気がする。だから、言う事にする。
私は大輔に近付くと、しゃがむ。苦笑いをしてみせると、大輔も笑う。
「久しぶりですね、さくらさん」
「…そうだね。もう半日も会ってなかったね…ってバカ」
ノリツッコミ大成功。私は大輔の頭を撫でる。言葉は、慎重に選ぶ。吹っ飛ん
だ眼鏡を掛けてやると、大輔はちょっと困ったような顔になった。
- 6-026 名前:一徳編:後 23/36 :04/06/19 20:45 ID:685b1zZd
- 「あのさ、大輔」
「あの、さくらさん」
同時に喋ってしまう。あまりにぴったりで、お互い吹き出してしまう。
「…大輔どうぞ」
「ありがとうございます。あの、さくらさん、俺はやっぱりまだ貴方が好きです。
なんでもするんで、俺の事見捨てないで下さいお願いします」
…うわー。
痛いわ、大輔さん、その愛は。でも、嬉しい。物凄く、なかんずく、あにはか
らんや嬉しい。私はにんまり顔になってしまう。
「その顔、気持ち悪いですよ、俺は好きですけど」
「人に天国と地獄一気に味わわせるの、やめて」
ぺし、と大輔を叩いた。ほったらかしの由貴は、私らを見て、凄く困ってる。
こいつの事嫌い。
正直、どうしていいかわかんないくらい嫌い。だけど、いつまでも引き摺って
るのも…なぁ。大分金使わせたし、ヤな事あったみたいだし、ここで、すっぱり
切った方が…お互いいいのかな。
「…あの、由貴さん」
「なに」
困ったような笑顔。
あ、変わってない。私が好きって言う度にしてた顔。後戻り出来なくなって、
困って、流されるままになってた時の顔。
「さっき言った事、酔っ払ってコレに言ったもんだと思ってただけだから。私は、
アンタが大嫌いで、もう会いたくも無いから」
わざと、すっげぇ嫌な感じで言う。
「…あ、そう…まぁ、そう、だよねぇ」
- 6-027 名前:一徳編:後 24/36 :04/06/19 20:45 ID:685b1zZd
- 微妙だ。物凄く微妙だ。残念なのか喜んでるのか戸惑ってるのかパニくってる
のか、どうとでも言える顔。
大輔は、何も言わない。立ち上がって服に付いた汚れを払う。自転車を起き上
がらせて、固定する。その間私と由貴は見合ったままだ。
「…でも、本当にごめん。俺がした事は消えないってわかってる。でも…」
「くどいよ…もういい。アンタも謝ってスッキリしたでしょ。それでいいじゃん」
「っ、よくなんか、ない…俺は」
私は、後ずさる。これ以上、聞きたくない。
それでいいんだと思う。多分、お互いこういう偶然の重なりでも無きゃ、普段
は思い出しもしない古傷なんだから。ただ、思い出したら胸が痛い程度の。
だから、これでいいんだ。会った事で、お互い少し踏ん切りは付いた筈だ。こ
れ以上は、もう…嫌だ。
「…大輔、行こ」
私は大輔の手を掴んで、歩こうとする。ちょい足取りふら付くけど、気にしな
い。大輔は私と由貴を見て、黙って付いて来た。由貴も、追っては来なかった。
―――さいなら。
私は泣きそうになりながら、心の中で呟いた。振り返る事は、無かった。
そのまま歩いて、家まで辿り着く。大輔は自転車を引っ張りながら、私の横を
歩く。そして今更。
「俺、いていいんですか?」
「黙れ」
私は一刀両断した。大輔も、黙った。
- 6-028 名前:一徳編:後 25/36 :04/06/19 20:46 ID:685b1zZd
- 大輔は、駐輪場に自転車を止める。そして、私の方に一直線に歩いて来る。ど
うするかは、なんとなくわかってた。で、やっぱり。
「……」
すっげぇ力で抱き締められた。
ていうか、馬鹿じゃねぇの、別れて半日くらいしか経ってないじゃんか。それ
なのに、なんでこんなんになるんだ、こいつは。こんな根性も性格も悪い女なん
かの為に。
「さくらさん」
抱き締めたまま、呼ぶ。私も、背中に手を回す。これで、わかって貰えただろ
うか。よく考えなくても、大輔には何も言っていない。一回恥ずかしい事言っち
ゃったから、もう言いたくないんだけど…
「あの人、もしかして―――あ、あの、やっぱいいです」
聞こうとして、すぐに首を横に振る。ああ、そういやこいつに話したっけな。
何気なく話したつもりが、最期には泣いてたな。あーみっともな。
「うん、そう。偶然会って、飲み過ぎて、ああなっちゃった。ていうか、なんで
大輔来たの?」
「あ、あー…あの、愛の力という訳じゃないんです。あの、桜花さんが教えてく
れたんです。あの人、多分桜花さんに家の場所を聞いたんだと思います」
ちょっとしどろもどろになりながら説明してくれる。桜花ちゃんめ、やってく
れたな。今度すっげぇ半端ねぇチーズオムレツ作るから。
「あ、じゃあ、桜花ちゃん今、あの、家に…」
「…近所の漫喫に朝まで避難するそうです」
にやー、とすげぇ笑みを浮かべて、大輔はいきなりキスして来た。
「あの、怒ってませんか?」
別に、怒ってないけど…そう質問するくらいならすんなよ。
- 6-029 名前:一徳編:後 26/36 :04/06/19 20:46 ID:685b1zZd
- 「怒って、ない…あの、むしろお前が私に怒ってない?私、随分とえらい事した
気がするけど」
「いいんです。俺が悪かったんですから。それに、これから随分とエロイ事した
いと思ってますし」
大分質の悪い冗談だ。けど、大輔はこうでないとなぁ。うん、好きだよ。すっ
げぇ好きなんだよ。だから、あんなに許せなかったんだよ。
「…しても、いいけど」
「マジっすか!?やったぁあ!!」
いや、喜び過ぎ喜び過ぎ。私は夜という事もあって、大輔の口を押さえる。
「いいけど、あの、出来れば、私以外とはもう…しないで欲しい。あの、大輔の
事縛りたい訳じゃないの。あの、コンパ行っても、多少羽目外してもいいの。け
ど、私…うわ、痛いなぁ。あの、他の女と大輔がしてるなんて、考えたくもない」
あの、って何回言えば気が済むんだ。うわああ、なんだよ、スゲェ独占欲丸出
しじゃねぇか。いった、いったいわぁ。って。
「っ…」
ぶにょ、と頬を両手で掴むような感じにされる。眼を閉じちゃったけど、恐る
恐る開いてみると…大輔が、笑ってる。ぶっさいくだわぁ。
「俺は、もう絶対同じ過ちは犯しません。貴方を悲しませるような事はしたくな
いです。あと、俺は別の意味で貴方を縛ってみたいとは思いまごっ!?」
瞬時に意味を解して、私は攻撃する。この野郎、いい事言いながら同時に落と
そうとするな。
「ばぁーか、いいよ。私に合わせるな。どうにもこうにも私の気持ちって重たい
みたいだし…ごめんね、私…」
「いいですよ、安心して下さい。俺だって昔彼女に『アンタの愛はイタイ』『お前
の気持ちは重すぎる』って言われましたから。重い同士でいいカップルですよ」
…あれ?なんだろう、すっげぇ救われないし、嬉しくないし、しっくり来ない。
- 6-030 名前:一徳編:後 27/36 :04/06/19 20:47 ID:685b1zZd
- 微妙な気分になって大輔を見る。なんだよ、真面目くさった顔してこっちを見
るなよ。そう思っても、じーっとこっちを見たままだ。私は、眼を閉じる。
それを合図に、大輔はまたキスをした。ほんの短いちっすだった。
「行きましょうか」
「…うん」
私は自然に顔が熱くなるのを感じながら、頷いた。
ざー、と火照った身体を冷やすようにちょっと冷た目のシャワーを浴びる。が、
何故かどんどん熱くなるばかりだ。馬鹿じゃなかろか、初めてでもないし、第一
大輔となんて…ついこないだもしたばっかだ。
それなのに、なんで、あの、こんな恥ずかしいんだろう。
それを悟られたくなくて、油断したらすぐ一緒に風呂に入ろうとする大輔を先
に風呂に入れた。それで、今に至る。
付き合ってから、結構…大輔とした。若いし基本的にエロいし、色んなことさ
れた。それこそさっき言った『縛りたい』とか、冗談に聞こえない。別に、いい
けどさ。痛いとかそういうのでなきゃ。大輔がしたいんなら。
そう思ってたくらいなのに、なんでまた今、恥ずかしいんだろう。念入りに身
体洗って、髪も洗って、ついでに泡で髪の毛をスネオヘアーにしてみたり。
…あんまり延ばすのもなぁ、と観念する。本当は髪の毛で遊んでて、ふと鏡を
見て我に帰っただけだけど。泡も恥も洗い流して、風呂から出る。意を決してタ
オル1枚で部屋に向かった。
「…大輔、ごめん遅くなっ…」
「だぁーれだぁあっ!!」
物凄く楽しそうに、後ろから乳を両手で掴まれた。
- 6-031 名前:一徳編:後 28/36 :04/06/19 20:48 ID:685b1zZd
- 「…大輔、ごめんなさいは」
「ごめんなさい」
顔におもいっきり手形付けて、大輔は土下座する。私は溜息をつくと、土下座
した大輔を放置してベッドに向かう。タオルを取ると、裸で布団に包まった。
大輔は土下座状態から顔を上げる。私は視線でおいで、と呼び掛ける。大輔は
服を着たまま潜り込んで来る。なんだか、初めて大輔とした時の事を思い出して
しまう。
「なんだか、初めての時みたいですね」
眼鏡を外しながら、大輔は言った。なんだ、お前も一緒か。笑ってしまう。
「うん。そうだねぇ」
「あ、そうだ。前は事後確認でしたよね」
ぽむ、と手を叩いて、大輔は頷く。私は意味がわからない。大輔は改めて私を
睨む。まぁ、眼悪いし。
「さくらさん、好きです。俺の恋人になって下さい」
「え…」
一瞬戸惑う。ああ、あー、そっか、別れたもんな、一回。で、前はやってから
言われたし、だから…
「…………うん、私で、いいなら」
「さくらさんがいいです」
真っ赤になる私に、畳み掛けるように大輔は言う。私は自分の顔を隠すように
頷く。大輔がそんな私を抱き締めた。
「じゃあ、あの…」
私は大輔の服のボタンを外そうとする。こういうのも初めてじゃないんだけど、
緊張する。
- 6-032 名前:一徳編:後 29/36 :04/06/19 20:49 ID:685b1zZd
- 「さくらさん、至れり尽せりですねー」
「…うるさ…ぉわっ!?」
座って向かい合ってるような格好だったけど、これまたイヤーな顔した大輔に
急に押し倒される。上から遠慮無く自分の裸見られるのって、凄く恥ずかしい。
いつまで経っても慣れない。
「さくらさん綺麗です」
「どうも…」
ストレートにそう言う大輔にも、慣れない。正直、する事そのものよりも恥ず
かしいかもしれない。
顔が近付いて来たから、キスされるかと思ったら、唇を舐められる。その感触
に驚く隙も無く、今度は本当にキスされる。
「…甘いですね」
「ごめん、昔懐かしイチゴ味の歯磨き粉使ったからかな」
誘惑に負けて、イチゴ、メロンと色々買ってしまった。ちょっと、失敗したと
思った。
「いいですよ、ホント面白いですよねぇ、さくらさんは」
笑って、また。舌が入って来て、私の舌に絡んで来る。そうやっていて、前に
言われた事を思い出す。私って舌が短いらしい。普通だと思ってたんだけど大輔
とこうやってしてると、確かに大分短いような気も、する。
正直、長い事してるとボーっとして来て、そんな事どうでも良くなるんだけど。
キスしながら身体の色々な所を、大輔が触って来るから、余計に何も考えられ
なくなる。大輔の手が脇腹を撫でたり、太腿を擦ったりする。前はくすぐったい
なと思ってただけなんだけど…最近は、なんだか感じるようになった気がする。
「ぶふっ…」
背中を撫でられて、ぞく、となった。変な声、出そうになったけど、キスして
る最中だったから、変な音が出た。
- 6-033 名前:一徳編:後 30/36 :04/06/19 20:50 ID:685b1zZd
- 「あ…」
不意に唇が離れる。唾液の糸を拭って、大輔が今度は頬に口付けて来る。すぐ
に離れたけど、息が耳に掛かって鳥肌が立った。
大輔は簡単に私を起き上がらせると、後ろから抱くように座る。そして本当に
後ろから抱き締めて来た。
「え、なに、大輔…?わっ」
大輔が、後ろから耳を咥える。びっくりしてしまうが、そのまま大輔が舌を這
わせる。何事かと思って振り向くと、大輔はやっぱり笑っていた。私のおなかに
回している手が、両方胸に行くかと思いきや、苦しいくらいに私を抱き締めて来
た。
「や…ん、大輔…あっ」
人差し指が口の中に入って来る。どうしていいかわからずに、私はそれを自慢
の短い舌で舐める。反対の腕で、大輔は閉じていた私の脚を拡げる。恥ずかしか
ったけど、許してくれなかった。
「っん…」
口の中に入ってる指と同じように、大輔は私の中に指を入れて来る。知らない
内にヌルヌルになっていて、いとも簡単に大輔の指を受け入れてしまう。ちゅっ、
と音を立てながら、大輔の指は私の中を行き来する。
「やっ……ん、んっ…やだっ」
私の唾液で濡れた指を抜く。その指で、強く胸を揉まれる。痛いくらいだった
けど、気持ち良かった。指と指の間で乳首を挟まれると、余計に声が出てしまう。
「―――なんだか」
溜息をつくように、大輔は言う。ボーっ大輔のやる事に見を預けてしまってい
る私には、なんだか遠くから聞こえるような感じだった。
「さくらさんが1人エッチしてるみたいですね」
- 6-034 名前:一徳編:後 31/36 :04/06/19 20:51 ID:685b1zZd
- ―――え?
一瞬わからなかった。けど、抗議しようと思ったら、私の中に入っていた指が
抜かれ、濡れた指が敏感な部分に触れる。
「やぁっ!」
もう片方の腕も、下に伸びる。弄りながら、また中に指が入る。慌てて自分の
手で抑えようとしたけど、遅かった。
「あっ、あっ…ん、やだ…やっ、大輔…」
中をかき回され、その度いやらしい音がして、大輔の指も、私の指も濡れて行
く。恥ずかしくて、気持ち良くて、私は大輔の手をただ掴むだけで、されるがま
まになっていた。
「さくらさん、嫌じゃないんですか」
…わかってて、そういう事言うか貴様は。私は思い切り大輔の手の甲をつねっ
た。意外に、すぐ離れた。
「え…」
中途半端に火を点けられた状態で、大輔は止めてしまった。楽しそうに指を舐
める音がする。顔は見えないけど、なんかわかる。きっと、むかつく表情をして
いるんだろう。
「…んっ」
さっきみたいに、両手で胸を掴まれる。胸フェチの本領発揮か、実に楽しそう
に触る。けど、こっちは…あの、足りない。あそこが、あの、物足りなくて、疼
いてしまう。
「…大輔…あの、あの…」
「なんですか?」
っ…言えるか―――っ!!大輔をぶっ殺したい衝動に駆られながら、私は胸の
手を触る。
「どうしたんです?」
- 6-035 名前:一徳編:後 32/36 :04/06/19 20:52 ID:685b1zZd
- その、実に楽しそうな声!!私は泣きそうになりながら呟く。
「…あの、胸とかも、いいけど、私…」
「あ、俺さくらさんの1人エッチ見たいです」
…この男、私が言い終わらない内に、とんでもない事を言い出した。
「えっ、えっ、えぇっ!?」
あまりの予想外な自体に、私は声を上げる。けど、大輔は。
「ほらぁ、お願いしますぅ。ね?中途半端でしょ、さくらさんも」
私の手を、下半身に持って行く。ちょうど指が、感じる所に触れる。
「っ…」
両方の乳首を、指で摘まれる。同時にまたあそこが疼く。私は泣きそうに…ど
ころか、もう泣きながらそこに触れた。
「あっ…ん、んっ」
そうすれば、気持ち良くなる事なんかわかってた。けど、そんなの人前でする
なんて普通出来ない。でも、熱い部分に一旦触れてしまったら、止まらなくなる。
「んっ、ん…あっ…あんっ」
ホントに1人でする時みたいに、中に指を入れる。さっき大輔がしてたよりも
激しく、指を動かす。その間、執拗に大輔は胸を愛撫して、首筋を舐め回す。
…これは、本当に1人自家発電行為なんだろうか。そう思いつつ、私は1人で
達してしまった。身体を仰け反らせ、大輔に寄り掛かる。シーツに染みを作って、
私はお尻が冷たくなるのを感じた。
「あぅ…」
ひょーい、と大輔が寄り掛かる私から離れる。バランスを崩して、足を広げた
まま仰向けになってしまう。恥ずかしい、とは何故かその時は思わなかった。
―――その時までは。
「えっ!?」
- 6-036 名前:一徳編:後 33/36 :04/06/19 20:52 ID:685b1zZd
- 汗ばんだ太腿を掴まれ、大輔は私の身体を2つにするみたいに足を上げる。胸
に膝が押し当てられるような、窮屈な格好。イッたばっかで、まだヒクヒクしな
がら濡れてる所が、丸見えになる。
「いっ…嫌ぁ…」
大分弱気な声が出てしまう。そりゃそうだ、あんま、こういう明るい明かりの
下で見れるようなもんじゃないし…
「あ…っ、ぁ、ああああっ…」
無言で、大輔は私の中に入って来る。指よりも何倍も太いものが、眼の前で、
ゆっくりと私に突き刺さって行く。
易々と私の身体はそれを受け入れて、それが、またゆっくりと引き抜かれて行
く。丸見えの状態から、私は眼が離せなくなっていた。
「やだ…ん、あっ…ああっ…感じ…んっ…」
引き抜かれたものは、私自身のでヌルヌルになっている。それが灯りのせいで
濡れて光っている。これ以上無いくらいやらしい光景。眼を背けたいくらいなの
に、それ以上に私は興奮している。
もっと、して欲しい。そんなゆっくりでなくて、もっと。
「ああっ…だい…す、け…あんっ…あっ…」
びくびくと腰が震える。眼の前が、霞む。また軽くイってしまったようで、中
のものをきゅーっ、と締め付けてしまう。大輔は楽しそうに笑うと、少し体勢を
変え、私の身体が楽になるような、普通の、あの、世間一般の形になる。少し乾
いた唇を、大輔はまた舐める。
「大輔…」
私は、やっと真正面から顔を見れて、馬鹿みたいに安心してしまった。首に腕
を絡めて、抱き寄せる。大輔も私を強く抱き締める。
そして、ひとつの決意を胸に、口付けた。
―――大輔、終わったら後でぶん殴るから。
- 6-037 名前:一徳編:後 34/36 :04/06/19 20:53 ID:685b1zZd
- 「…で、どういう事」
さっきの手形が消えかかっているけど、反対の頬に新たな手形が付いている。
2人で布団に包まって、私は呟いた。
「だから、羽目外していいって言ったから…」
鼻を啜りながら、大輔は言う。
「は?」
「だって、さくらさん言ったじゃないですか。多少羽目外してもいいって。です
から…」
あ、あー。
言われて、思い出す。そして。
「アレがちょっとなのか―――!?」
「ちょっとですよ!!ていうか足りないくらいですよ!さくらさんだって口では
嫌がってたって、下の口は物凄く悦んで―――」
「お前、本気で死ね!!!」
とんでもない事を口走ってくれる大輔。私はもう一度殴ってくれようかと起き
上がる。が、それより先に、大輔が私を抱き締める。
「…本当に嫌なら、もうしません」
そう、口ぶりでは本当に反省しているような感じで言う。
…けど、あの、その、ホントは私だって、あの、凄く気持ち良かったし、でも、
凄く恥ずかしくて、それで―――
「さくらさんが、本当に嫌がる事はしたくありません。俺は、貴方を―――」
「…お前、ちょっと黙って」
私は、うるさい大輔の口を、自分の口で塞いだ。
- 6-038 名前:一徳編:後 35/36 :04/06/19 20:54 ID:685b1zZd
- 「…さくらさん?」
「うるさい。ホントにうるさい。五月の蝿って書いて五月蝿い」
「さくらさん」
私は、大輔の胸に頭をくっつける。何も言わず、何も言えず。大輔は私の頭を
撫でて、私を抱き締めた。
「俺は、ずっとお母さんの事守りたかったんです」
…?話が読めない。私は訝しげな顔になってしまう。だって、唐突だから。
「ていうか、誰かを守れるような強い大人に早くなりたかったんです。ぶっちゃ
け、自己顕示欲を満たしてくれる相手なら、誰でも良かったんです」
なんでだろう。
そう自嘲的に呟く大輔は、なんだか悲しそうだった。
「でも、現実は駄目でした。俺はいつだって相手を悲しませる事しか出来ません」
溜息。私は、やっぱりどう言っていいのかわからない。何が言いたいのかも。
「でも、これだけはわかります。今は、誰でもいい訳じゃないです。貴方を守り
たいんです。さくらさんでなきゃ、俺は駄目なんです」
―――ああ、物凄く前フリの長い告白か。私はくすぐったくなりながらも、笑
を堪えていた。
「…お前、何が言いたいの?」
「全部要約すると、さくらさんを愛してますって事になりますが」
さらりと言い放つ。うーん、悲しいくらいシンプル。
「じゃ、それでいいよ。私も同じだよ。それじゃ駄目?」
「…いえ、物凄く嬉しいですよ」
一瞬、なんか驚いたような顔をして、それから大輔が、なんかいつもの胡散臭
い笑みじゃなくて、ホントに子供みたいな笑顔になる。
―――不覚にも、ときめいてしまった私は…うん、馬鹿だな。
- 6-039 名前:一徳編:後 36/36 :04/06/19 20:56 ID:685b1zZd
- 「それで、どういう事ですか」
私は、将○の寿司を片手に、絶対に孝一さんを見ずに話をする。どうやら孝一
さんは土下座をしているみたいですけど、知りません。
「…ですから、もう2度とあんな事はしません…」
「当然ですっ」
…私は、心が狭いです。凄く嫌な女です。おまけに、私の大切なさくらちゃん
をあんなに傷付けた要因を作ったこの人も、大輔さんも簡単には許したくありま
せん。まぁ、さくらちゃんの気持ちは知っていますし、孝一さんに私の居場所を
教えてしまったお茶目な部分で、譲歩はしましたけど。
「……」
光だけで、メールが来た事を告げる。私は携帯電話を見ると、大輔さんからで
した。どうやら上手く行った模様です。私はおめでとうメールを返信しました。
ぱちん、と携帯を閉じると、泣きそうな顔で孝一さんが私を見ています。でも、
知りません。
「今の、誰から?」
「他人の貴方には関係ありません」
つーん、と私はそっぽを向きます。あ、孝一さんが泣きました。
…でも、許してあげません。全巻読み終えるまでは、絶対。
私は、嫉妬深いんです。今日、知った事ですけど。物凄く、性格が悪いです。
嫌な、女です。腸が煮えくり返っています。
多分、それだけ私が孝一さんの事を愛してるからでしょうけど。
「桜花さんごめんなさいぃぃぃぃ…」
私は孝一さんの声を無視して、○太の寿司の続きを読み始めました。
…この分なら、朝までに全巻読めますね…
終