「そしたらね、ちょっとだけ条件があるんだ」
「なによう」
「これ着けて」
靖之がゴットンとカウンターに置いたのは、ベージュ色の犬の首輪。
「ばッ! バカ!何これ!SMする気ィ?」
「こら、声が大きいよ」
「あ…。 …イヤよ、そんなの」
「じゃあ、アレは無しね」
「ひどい!」
「して欲しいなら、自分がエッチなこと覚えちゃった証拠として、
その首輪を着けるんだ」
「それって、あたしのこと、ちょ…調教…した、つもり…?」
自分で『調教』って言った瞬間、じわぁあっとエッチな汁が溢れ出した気がした。
「そんな大それたことじゃないよ。 でもそんなに嫌なら…」
いったいどうしたんだろう…
自分の心の一部が、靖之に創り変えられてしまったことに、今気付いた。
気付いたとたん、最初にここでキスされた時みたいに、
腕の産毛が鳥肌立つようにゾクゾクと甘美な悪感が走り、
どうにも堪らなく首輪を着けたくなった。
自ら犬の首輪を身に着けることによって、
完全に靖之の所有物になれるような気がした。
「…でもそんなに嫌なら… …いいよ」
ちょっと済まなそうに言う靖之が、ぐっと目を剥く。
私が首輪を掴んだからだ。
カチャカチャとバックルを外し、
その真新しい、染めてない厚手で幅広の革を、ギシギシと開いて、
髪の毛を持ち上げて首の後ろに回した。
首の前でバックルに通し、ちょっときつめに引いて留めた。
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