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短い夏を迎えた北国の小さな街。降り注ぐ陽光の中を、学生らしき一組の男女が何か話しながら歩いている。
「ねぇ幸希、明日…暇かな?」
「明日か?……まあ、暇だけど。どうかしたのか、美佳沙?」
幸希と呼ばれた男と、美佳沙、と呼ばれた少女。二人はよく言う「幼なじみ」というやつである。
「あ、やっぱり幸希暇なの?…あのさ、明日二人でどっか行こうかなぁ……なんて思ってるんだけど。どうかな?」
美佳沙は16才の高校二年。ポニーテールにまだ幼さの残る子供っぽい、しかし充分整った顔立ち。
セーラー服に良く似合ったその笑顔は、田舎の女子高生とは思えないほどの魅力を持っていた。
「遊びに行こうってか?明日お前部活あるんじゃないのかよ?」
一方の幸希は高校三年。美佳沙とは部活も同じ柔道部である。と言っても幸希の方は今はもうOBであったが。
「ううん、明日は部活休みだって。今日は全国選抜まで行った先輩が稽古付けてくれたんだから、明日は休みだって先生が言ってたよ」
美佳沙は屈託のない笑顔でそう答える。肩に背負った柔道着さえ無ければ、普通の可愛い女子高生、と言った所だ。
「明日かぁ…まあ、いいか。で、どこに行くんだ?」
「んーとねぇ、じゃあ遊園地行こうよ!隣町の新しくできたあれ♪」
簡単に明日の約束を済ませて、美佳沙は家に帰っていく。と言っても、幸希と美佳沙の親が共同経営で牧場をやっている為、家もすぐ近くなのだが。
「おう。それじゃ明日な、美佳沙」
バイバイ、と手を振る美佳沙を見送りながら、幸希は複雑な思いを抱いていた。
「明日って俺の誕生日だな。…そういえば」
それを知ってるからなのか、と聞こうとしたが、もう美佳沙は束ねた髪を揺らしつつ、走り去ってしまっている。
成長するにしたがってますます美人になっていく美佳沙を思うと、幸希は色々と葛藤してしまうのである。
美佳沙と幸希は家族同然に育ってきた。赤ん坊の時からの付き合いだ。
幼い頃は可愛い妹みたいな、そんな気持ちでいた。
そんな感情が彼女を異性と認識する…そんなふうに変わり始めたのは中学生くらいの時だったか。
牧場の馬に乗り、躍動感あふれる動きで手綱を操る美佳沙を見ている内に、彼女に今までになく強く惹かれている自分に気付いた。
「頑張って3冠馬育てようね!」と言っていた美佳沙の言葉が耳に入ってなかったのを覚えている。
最近では、柔道部では比較的珍しくない…男女間での乱取り等を見るにしても、美佳沙の相手の男子部員に何か嫉妬の様な感情を感じていたのも事実だ。
「はぁ…あいつもてるからなぁ…俺には家族みたいな感情しか無いよな…きっと」
そんな事をぼやきつつ、とりあえず自分的には最高の服を選ぶ幸希だった。
翌日。天気予報は雨だと伝えている。もっとも、目的地の遊園地は全天候対応型の屋根付き遊園地らしいが。
「あ、幸希、待たせちゃったかな?」
幸希の目の前に現れた美佳沙はいつも以上に輝いていた。精一杯背伸びした格好で、少し化粧もしているようだ。
道行く男共の視線もいつも以上だ。
「お前…こんなに…。あ、いや…何でもない」
「ん?どうしたの?……早く行こうよ?」
まるで厚い雲も吹き飛ばすような明るさの女の子…そんな表現でもすればいいのか。ドギマギする幸希を見て、美佳沙が笑顔のまま促すように言う。
「あ、ああ。そうだな」
二人はその遊園地で目一杯遊んだ後、列車で帰り、駅を出て家路についた。…が、外はもう予報通りの大雨が降り出していた。
「あー、もう!最後に雨降るなんて最悪!傘持ってきて無いし!」
「美佳沙、天気予報見てなかったのかよ!」
雨に濡れ、走りながら交わす言葉。
「とにかく、早く幸希の家に入ろうよ!どうせ今日は親居ないんでしょ!?」
大雨から逃げるようにして、二人は迷わず幸希の家に駆け込んだ。
「うわぁ…もうびしょびしょ…。お気に入りの服なのにぃ…」
「と、とりあえずお前シャワーでも浴びて来いよ。俺は…その、タオル使うから」
服が濡れたため、はっきりと透けて見える美佳沙の青っぽい下着のせいで目のやり場に困りながら、幸希はそう促す。
シャワーを浴びる美佳沙を待つ間、幸希は自室に戻っていた。
「はぁ……折角のデート?が台無しだな」
向こうの気持ちはともかく、幸希にとっては大好きな幼なじみとのデート。
「あいつ俺の事どう思ってるんだろ?告られた男はことごとく振ってるけど」
部の友達に相談すれば、「夫婦」等と言って茶化されるのだが。
その間にも、先程の濡れて色っぽい美佳沙の姿が脳裏に浮かぶ。
(あーっ、俺って奴は…静まれ静まれ!)
そんな幸希の思考を中断させたのは、戸惑ったような、しかしはっきりとした美佳沙の声だった。
「こ、幸希、ちょ、ちょっといいかなぁ~?」
「ああいいけど……ってお前!!」
部屋に入ってきた美佳沙はバスタオル一枚。肩からブラの線が見えるから下着は付けてるのだろうが、それでも年頃の男には刺激の強い格好だった。
「み、美佳沙!どどどうしたんだよ!」
「だって服無いもん…。でも大丈夫だって!」
「バカ!大丈夫じゃねえっての!お前には羞恥心っつう物が…っ」
なおも何か言おうとした幸希の口を、美佳沙の口の前に当てられた人差し指が遮る。
「私が大丈夫だからいいの!それより…あのね、この際だし…私、幸希に誕生日プレゼントが…あるの」
ベッドに腰掛けている幸希の隣にちょこんと座ると、美佳沙は澄んだ瞳でじっと幸希を見つめる。
「この際?プレゼントって何……んぐぅ!?」
白い羽…例えるならそれが自分の胸に飛び込んできたような感じだった。
幸希は突然抱きついてきた美佳沙にキスされる。幸希にとっては無論ファーストキスであった。
唇が触れているだけなのに、この痺れるような陶酔感は何だろう。美佳沙はただ、目を閉じたまま自分と唇を重ねている。
「ぷはぁ……私、今なら…言えるよ。…幸希…あのね、美佳沙は、美佳沙は…幸希の事が…ずっと…大好き、です」
幸希に抱きついたまま、顔を真っ赤に染めて美佳沙が辛うじて言う。どうやらずっとそれを言いたかったようだった。
永遠のような一瞬が過ぎる。幸希の答えはもちろん最初から決まっていた。
「美佳沙…俺も、俺もお前の事、好きだ…」
「……うん。……嬉しい」
幸希も美佳沙も嬉しかった。何となく、長年お互いに気付いていながら言えなかった想いだけに。
勢いでしばらくそのまま抱きしめ合う。が、柔らかな美佳沙の身体を抱きしめるうちに、不覚にも幸希の股間は立ち上がってしまっていた。
「…………!」
「あ……おっきく…なってる。…その、幸希のが」
「あ、いや、これは、違うんだってその…」
幸希としてはこの場から逃げ出したくなるくらい恥ずかしいった。せっかく想いの通じた美佳沙に誤解されたく無かった。だが。
「えっち…したいの?えっと…幸希がしたいなら…私…しても………いいよ」
「えっ?」
思わず耳を疑う。信じられない発言だった。しかしそのまま美佳沙に体を引っ張られる。
そのまま美佳沙を押し倒すような姿勢になってしまった。
「私の…初めては、幸希って決めてたから…。…私とじゃ、嫌?」
自分の身体の下でも目こそ据わっているものの、いつもの強気を思わせないくらい弱々しく言う美佳沙。幸希のリミッターを外すのにはそれで充分だった。
「美佳沙……本当に、いいんだな?」
真っ赤な顔のまま、うん、と頷く美佳沙。その身体を覆っていたバスタオルを、ゆっくりと剥ぎ取る。美佳沙なりの勝負下着なのだろうか、さっきも見た淡いブルーの上下の下着が現れた。
なぜか、自分はやけに冷静だった。
「ちょっと、い、いきなり脱がすなんて幸希…は、恥ずかしいよぉ……」
消え入りそうな声を出す美佳沙に、幸希は安心させるためにもそっとキスしてやる。そして抵抗の無いことを確認すると、美佳沙を覆っていた最後の着衣を脱がしていった。
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