午前中に降ってた雨は、もう湿った雪に変わってる。11月の末にもなれば当たり前なのかな。

私はもう真っ暗になった校庭を全力で駆け抜ける。学校の入り口─古ぼけた校門の側に、彼はいた。
「幸希!!…ご、ごめ~ん。待った…よね?」
「…待ってないはず無いだろ?美佳沙、今一体何時だ?…寒すぎだって」
白い息を吐いて、走り疲れてはぁはぁ言ってる私に、私の彼氏、幸希が憮然とした態度でそんな事を言う。
「だって…だって仕方ないでしょ?数学の追試、難しすぎるんだもん!あんなの私には無理!」
そう、数学が弱い私は、期末テストの追試を受けていたのだ。
「俺があんなに…何時間もかけて教えたのにか?」
「ゔっ……だって、難しくて…ねぇ?」
と言っても通じるわけがない。一つ年上の幸希は家の事情がなかったら国立大学だって受かるくらいの頭の良さ。それで私が頼み込んで一緒に試験対策を手伝ってもらったのだったのだけれど…。
…でも私は追試になって、こうして一緒に帰る待ち合わせの時間もすっぽかしてる。
「ごめん幸希…。今日はうちの両親いないから、私の家で一緒に夕食でも食べようって約束だったんだよね…ごめんね。私、何か埋め合わせするからさ、ねぇ、ゆ・る・し・て?」
私は、ダメもとの[思いっきりおねだりモード]でそう幸希に言ってみる。幸希が可愛い可愛いっていつも言ってくれる上目遣いで。…そうしたら。
「そうか、俺に埋め合わせしてくれるか…。よし、わかった。それじゃ美佳沙の家行こうぜ。どうせおじさんとおばさんは夜遅いんだろ?」
「うん、約束するよ♪それじゃ行こ行こ!!」
その時…幸希がにやぁ、と笑ったのに、私は気付いてなかった。
だって、その時はウキウキ気分で幸希と手を繋いでたんだし。


どさっ…と音を立てて、私と幸希は鞄を部屋に置く。
心なしか、さっきまで怒ってたはずの幸希はもう─何だかニヤニヤしてる。変なの。
「ねえ、それで私何をすればいいの?幸希?えっと…料理なら何でも作るけど…何が食べたい?」
私の質問に、幸希は私の部屋のカーテンを閉めながら言った。
「…お前が食べたい」

一瞬の沈黙。
「へ……今、なんて…?」
凍りつく私を前に、幸希ははっきりと言った。
「料理じゃなくて、お前が食べたいの。…美佳沙は今日一晩、何でも俺の言う事を聞く、ど・れ・いって事で。それで許してやるから、な?」
「なななな…そ、そんなの反則よぉ!!そんな恥ずかしい事、私っ…」
絶対そんなのダメ。夏以降何度も幸希とえっちしてるけど…私、まだ恥ずかしいんだし。
「ダメ。って言っても…俺も鬼じゃないからな。…そうだな、ジャンケンして俺に勝ったら何にも無しで。それならいいよな?」
そんな幸希の言葉に、私も覚悟を決める。…そうよ、ジャンケン勝てば良いんじゃないの。
「いいよ。私が勝つんだもん!」
「それじゃ行くぞ…ジャンケン…」
「「ポン!」」

「美佳沙…お前って、力入ったジャンケンすると絶対にグー出すよな」
「……ずるい」
ニヤニヤしながら外套を脱ぐ幸希。グーを握ったまま下を向いて顔を真っ赤にする私。

私、もしかして嵌められたの…?
…ともかく、こうして私は…幸希の「一晩奴隷」になる事になっちゃったんだけれど…。


「……そ、それでどうすればいいの…?」
どうして?《奴隷》と言う言葉に緊張してるのか、私…声がか細くなってる。そんな私の様子…幸希は楽しそうに眺めてる。
「ん?まず飯食おうぜ。美佳沙が何か作ってくれるんだろ?」
「はい?……そ、そうだよね。うん、私美味しいもの作るから♪」
その後、私達は普通に夕食をとった。…ひょっとしたら、さっきの事、忘れてくれるかな…。得意料理の回鍋肉を食べながら、私はそう思ってたけど。

「ごちそうさま。…さて美佳沙、腹も一杯になったし、一緒に風呂入ろうか?」
早くも上着を脱ぎながら、幸希が冗談っぽく言う。
「ええ!?お風呂って…そんな…恥ずかしいよぉ…。…それはパス!ね、それだけはいいよね?」
幸希とこういう仲になってからも、一緒にお風呂に入った事はなかった。…だって、恥ずかしいし。でも…ここで断るのは無理かな。そう思ったときだった。
「…分かったよ。じゃあ先に入るぜ」
「え…?あ、うん…。バスタオルここに置いとくから」

意外にも、幸希はあっさり私の言った言葉を聞くと、一人でお風呂に入っちゃった。…幸希も恥ずかしいのかな、やっぱり。
幸希が出てきて、今度は私がお風呂に入る。何か念入りに洗っちゃうのはいつもの事なんだけど…。でも、私油断していた。
「幸希~?バスタオルどこぉ~?」
そんな感じでお風呂から上がったのはいいけど、バスタオルも幸希の姿も無い。変に思ったその時─
「ここ。さ、行くぞ?」
幸希─私の死角にいたんだ─そう思った時には私、裸のまま幸希に抱えあげられてた。
「な、な、何するのよっ?」
「ん?何って、お姫様抱っこ。…んー、美佳沙の裸、相変わらず綺麗だね~」
「やぁだ…何言ってるの、このばかぁ…」
平然と言う幸希。真っ赤なって抱かれたまま自分の部屋のベッドまで運ばれる私。
…でも、何か嫌な感じではなかった。だって、この後どうなるか知らなかったから……。


「ん…んぅ…。……はぁっ…」
えっちの前のいつものキス。唇から首筋へ。そして、鎖骨の周りに痕を残す…でも、今日はここからが違うみたい。
「はい、それじゃ奴隷開始な。…美佳沙、まずは足開いて」
ベッドの上。内股の体育座りみたいな格好で、あそこと胸を隠してる私に、幸希がニヤつきながら言う。
「ね、ねぇ…やっぱりやめようよ…。こんなの、幸希らしくないよ…いっつもは優しいのに…」
「ダメ。風呂の時はお前の言う事聞いたんだから、今度は俺の言う事聞けよ《一晩奴隷》なんだから」

…やられた。全部この為の伏線だったんだ…さっき大人しく引き下がったのも…。
「わ、わかった……」
そう言って私は申し訳程度に足を開く。
「う~ん。そうだな、それじゃまず…いつもは恥ずかしがり屋の[美佳沙ちゃん]が今日も嫌がって暴れないように…」
私がそんな事を考えて、とりあえず動いてる隙に、幸希が干してあった私の柔道着から黒帯を引き抜く。…と思ったら、あっという間に私の手首を後ろ手にその帯で縛る幸希。

「きゃあっ!?ちょっ、幸希、そんな縛るなんて、私…いや…こんなのやだぁ…」
くたっ、と身を震わせて、私なりの抗議をしてみる。でも…。
「へぇ…。…それじゃ、本気で抵抗しないのは何でなんだ?美佳沙、本当は…」
「……っ!…違うよ、そんな事…ないもん」

…見抜かれてる。私ってば、普通にえっちする時よりもドキドキしてた…。

「…あっ…ん…ふぁぁ…幸希…」
後ろ手に縛られてちょっと反身のせいか、いつもより強調される私の胸。私が手が出ないのをいい事に…じゅるじゅる音を立てて吸って、荒っぽく揉まれて…。
「美佳沙、少しおっぱい大きくなったんじゃないかあ?…いつも俺に揉まれてるからかもな?」
「そ、そんな事な…あふぅ…やっぁっ…」
時折先端をコリコリ、って指で弾いたり、強く吸ったり…。私はただ、幸希の指と舌に翻弄されるだけだった。

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