新興宗教(1)

別にコレは、僕が高校大学とプロテスタント系の学校に通っているこことは何の関係も無い。無いんだってば。

新興宗教が嫌いだ。
彼らが別に、自分達だけで宗教の法悦に浸っているというんなら、それはそれでかまわない。
しかし、問題なのは彼らがその法悦をパンピーにも分け与えてやりたいと思ってしまうことなのだ。

彼らは勧誘する。
繁華街で、玄関先で、電話で。

繁華街なんかを歩いていると、よく声をかけられたものだ。
なんでか彼らは、まるで最初から僕を罠にはめようとしていたかのように、街を歩くたくさんの人々の中から、僕をめがけて一目散に歩いてくる。どうしてかは知らないが。

「すいませんちょっとお時間いただけますか?」
「あなたの健康と幸せを祈らせてください」
「アナトゥアワァカミをシンジマァスカァ?」

どうやら僕は、彼らにとって触れなば落ちん、熟した果実のように見えていたのか。それとも、救ってあげたくなるようなそんな風情の若者に見えていたのか。はたまた声をかけやすそうなフレンドリーな雰囲気だったのか。
それは当事者たる僕には判断が付かないことなのだが。

いまから5,6年前のことになるだろうか。
仙台の街では、モルモン教徒の街頭勧誘が熾烈を極めていた。
それはもう、街を歩いていると必ずといっていいほど、若い金髪の男二人組が、自転車に乗って徘徊していたものだ。
なんでも、モルモン教徒ってのは、20歳頃になると海外へ渡って宣教活動をしなければいけない。
で、主にユタ州出身の若者達が大量に諸外国へ流れていき、各地で宣教活動を繰り広げられているわけだ。

迷惑な話だ。

彼らは二人組で、自転車に乗ってヘルメットとネクタイに身を固め、街を徘徊しているのですぐにソレと見分けがつくだろう。
で、その彼らはカタコトの日本語で話しかけてくるのだ。
「アナトゥアワァカミヲシンジマァスカァ?」
???
これは「貴方は神を信じますか?」と問われているんだろうか?
僕が初めて彼らに声をかけられた時、真っ先にそう思った。
あれはおそらく・・・中学生の時、春先の、といってもまだ充分に肌寒い3月頃のことだったんじゃないだろうか?
場所は仙台駅前、VIVREの入り口、といっても、当時はまだダックシティー丸光だったと思うのだが。そこのベンチで、街を歩いて疲れた僕が腰を下ろしたところ、その2人組が話し掛けてきたのだ。
衝撃である。
中学生が大男の外人2人に囲まれるのだ。
何が何だかパニックになりそうになりながら、彼らのカタコトの日本語をなんとか理解しようと問答を始める僕。
僕の記憶が正しければ、その2人組はどちらもユタ州出身だったと思う。
一人がちょっとブサイクで、比較的日本語が堪能なバトラー。でもう一人が日本語勉強中と思われる、無口な比較的オトコマエの○○(さすがに覚えてない)だった。
彼らの話によると、僕らは魂の兄弟であり、斎藤由貴とケントデリカットも魂の兄弟であるそうだ。斎藤由貴はまだしも、ケントと兄弟なのは大変にイヤな話だなぁとか思いつつ、どこぞの教会で撮ったと思われる斎藤由貴&ケントと一緒の集合写真やら、ユタの実家の写真やらを見せられてフレンドリーな雰囲気作りを強制されつつ、近所の教会に英語を習いに来てくださいと勧められつつ開放されたのがおそらく勧誘が始まってから90分後。もう体の芯まで冷え切って、死にそうでした。しかし、彼らは寒くなかったんだろうか。宗教的な情熱が、体を心から温めてたのだとすれば、それはそれで凄いことだけど、僕は寒い時には暖かい室内にいればいいからうらやましくも何ともないや。って感じでしたが。

で、その仙台の街に出没していたモルモン2人組は無数にいて、高校生ごろなんて、学校へ行くのに使用していた地下鉄の駅周辺にまで毎日のように出没するのだった。
困ったことに、奴等は自転車に載っていて機動力があるのだ。機動力+宗教的情熱。これは本当に手のおえない組み合わせである。まさにキ○ガイに刃物。

奴等は、歩道を自転車で走っていたりすると、歩道一杯に自転車を止めて道をふさぐ。
「ヘ〜イ!」
陽気な声で、自転車の前に止まらざるを得ない犠牲者に話し掛けて、強引に勧誘を始めるのだ。困ったものだ。僕も2回ほどこの手口にやられて、それ以降は遠くに奴等の姿を見た時点でUターンすることにしたものだった。だって、貴重な時間をおもしろくないことに割かれるのってガマンできないし。

で、結局僕が高校2年生の夏頃、あれほど熾烈を極めたモルモンの勧誘攻撃は表向きなりをひそめた。モルモンの2人組が姿を消したのではなく、単に街頭での勧誘をやらなくなったということなのだが。


で、その次に仙台の街に台頭してきたのが拝む人々だ。
これは日本人だ。
「あなたの健康と幸せを祈らせてください」ってやつだ。
これについては、長くなったので次の機会に書くことにする。
疲れたから。

ってなわけで、続く!

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